東雲結子:先生、冬のオリンピックの季節ですね! 4年に1度って、ビットコインの4年サイクルと同じです。過去の記録を全部並べれば、次の天井の日も高さも、ぴたりと当てられますよね!
税理士石井:うーん、記録表で金メダルが決まるなら、選手はみんな練習をやめて、表計算ソフトを開いていると思いますよ。
東雲結子:えっ……それはそれで、すごく静かな大会になりそうです。
税理士石井:ははは。でも、記録を並べること自体は大賛成です。ビットコインの天井から底までの下落率は、終値で−93%、−85%、−83%、−77%でした。
東雲結子:高く跳んだぶん、着地で8割も沈むなんて……。スキー板より先に、スコップが要りますね(汗)。
税理士石井:そうなんです。ただ、よく見ると下落率は回を追うごとに浅くなっています。一方で、底から前回の最高値を取り戻すまでは469〜721日と、毎回ばらばらでした。
東雲結子:浅くなっているなら、今回はもっと浅いはず、ですよね?
税理士石井:そこが落とし穴なんです。大家業でも、過去の空室率の表は「来年の空室率」の予言ではなく、どこまでの空室に耐えられるようにしておくかを決める材料ですよね。しかも並んでいるのは、たった3〜4回分の記録です。
東雲結子:なるほど。記録表は予言書じゃなくて、練習メニューなんですね。
税理士石井:その通りです。この回では、2011年から2025年までの5つのサイクルを、天井・底・下落率・日数で並べ、円建ての数字と、データを読むときの注意点まで確かめます。
ビットコイン(BTC)の過去の値動きを、チャートの印象ではなく数字で並べると、何が見えてくるのか。この回は、2011年から2025年までの5つのサイクルについて、天井と底の価格、下落率、天井から底までの日数、底から前回の最高値を取り戻すまでの日数、そして半減期から天井までの日数を一枚にまとめます。
仮想通貨(暗号資産)の今後を考える連載の第2回で、4年サイクルの仕組みそのものは、連載の地図を描く回で取り上げます。ここでは、そのサイクルの中身を数字で確かめることに集中し、後半では、その数字を投資の目線で読むとどうなるかも整理します。
価格は、断りがなければデータ提供サイトの日足終値(Yahoo Finance、CoinMarketCapのデータ)で、日付は協定世界時です。2011年と2013年の値は二次情報で、マウントゴックス(Mt.Gox)などの取引所やデータ提供元によって値が違います。数字はすべて2026年1月31日までに公表・観測されたもので、2025年10月6日の最高値は「暫定」、その後の底は「未確定」です。
| この記事の要点 | 根拠となる数字 |
| 天井から底までの下落率は、回を追うごとに浅くなってきた | 終値で−93.18%(2011年)→−84.53%→−83.40%→−76.63%(2021〜22年) |
| 2011年を除く3回で、底から前回の最高値を取り戻すまでは469〜721日、天井から数えると847〜1,127日かかった | 2021年の天井(67,566.83ドル)は2024年3月4日に終値で回復(底から469日) |
| 円建ての2025年の天井は10月8日の18,838,562円。2026年1月末の下落率はドル建てより小さい | 円建て−35.42%、ドル建て−36.98%(2026年1月31日の終値) |
| 投資の目線:過去の数字は「どこまで下がりうるか」と「戻るまでの時間」の物差し | 2022年の底(15,787.28ドル)は、2017年の天井を19.03%下回った |
ビットコインの過去の5つのサイクルを、天井と底の終値で並べる
まず、5つのサイクルの天井と底を並べます。天井はそのサイクルの最高の終値、底はそのあとの最安の終値です。日中の高値・安値も、参考に並べました。
| サイクル | 天井(終値) | 天井(日中) | 底(終値) | 底(日中) | 下落率(終値) | 下落率(日中) |
| 2011年 | 30.06ドル(2011年6月9日) | 31.91ドル(Mt.Gox、6月8日ごろ) | 2.05ドル(2011年11月18日) | 1.92ドル(11月の安値) | −93.18% | ― |
| 2013〜15年 | 1,151.17ドル(2013年12月4日) | 1,156.14ドル(日付不明) | 178.10ドル(2015年1月14日) | 171.51ドル(1月14日) | −84.53% | −85.17% |
| 2017〜18年 | 19,497.40ドル(2017年12月16日) | 20,089.00ドル(12月17日) | 3,236.76ドル(2018年12月15日) | 3,191.30ドル(12月15日) | −83.40% | −84.11% |
| 2021〜22年 | 67,566.83ドル(2021年11月8日) | 68,789.63ドル(11月10日) | 15,787.28ドル(2022年11月21日) | 15,599.05ドル(11月21日) | −76.63% | −77.32% |
| 2025年〜(暫定) | 124,752.53ドル(2025年10月6日) | 126,198.07ドル(10月6日) | 未確定 | ― | −36.98%(2026年1月31日の終値まで) | −39.92%(同日の安値まで) |
※数値は日足(協定世界時)。下落率=底÷天井−1。2011年はStatMuse(終値)とBitcoin Wiki(Mt.Goxの高値)、2013年の天井はStatMuseなどの二次情報で、取引所によって値が違う(2013年の天井は、Mt.Goxでは11月29日の1,242ドル)。2011年の日中の下落率は、取引所の違う値を組み合わせることになるため載せていない。2015年1月以降はYahoo Finance(CoinMarketCapのデータ)。
天井の値は、2011年の30.06ドルから、2025年の124,752.53ドルまで。14年あまりで、桁が4つ増えたことになります。チャートの上では右肩上がりに見えますが、その途中で、天井から8〜9割の下落を4回くぐり抜けてきました。
それぞれの下げの途中には、市場を揺らす出来事が起きていました。文書の日付で2013年の天井の前日にあたる12月3日には中国人民銀行などの通知が出され、2014年2月28日にはMt.Goxが東京地裁に民事再生を申し立てています。2018年1月26日にはコインチェックから仮想通貨のNEMが流出し、2022年には5月のテラ(LUNA/UST)の崩壊、11月のFTXトレーディングの破綻が続きました。
2025年も、天井の4日後の10月10〜11日に、報道で史上最大とされた清算が起きています。出来事と値動きの関係は、暴落を年表で読む回で、資料の言葉で確かめます。
用語メモ:終値=その日の最後の価格。日中の高値・安値=その日のうちについた最も高い・低い価格。ビットコインは24時間取引されるため、データ提供サイトは協定世界時の0時で1日を区切っている。
2011年のサイクルは、1ドルに届いてから4か月で30ドル、そこから−93%
表のいちばん上の2011年は、まだ取引所の数も少なかった時代です。二次情報によると、最初の取引所とされるBitcoin Marketが開かれたのは2010年2月6日、Mt.Goxの開設は2010年7月17日でした(Bitcoin Wiki)。2010年5月22日には、1万BTCでピザが買われ、そのビットコインの価値は約41ドルだったとされています(Wikipedia)。
Blockchain.comが主な取引所の平均として示す価格は、2010年8月18日の0.07ドルが最初で、2010年末は0.30ドルでした。Mt.Goxで1ドルに届いたのが2011年2月9日で、そこから4か月後の6月9日には、終値で30.06ドル(StatMuse)まで上がっています。
そして11月18日には2.05ドル(同)まで下げ、下落率は−93.18%でした。1ドルから30ドル、そして2ドル。この1年の値動きは、今の感覚からすると桁違いですが、当時は市場そのものがごく小さく、資料によって値も違います。この連載で、日数や下落率の平均を出すときに2011年を外すことが多いのは、そのためです。
下落率は−93%から−77%へ、回を追うごとに浅くなってきた
下落率を古い順に並べると、終値で−93.18%、−84.53%、−83.40%、−76.63%です。日中の値でも、−85.17%、−84.11%、−77.32%と、同じ向きに小さくなっています。完結した3回(2013〜15年、2017〜18年、2021〜22年)の平均は−81.52%で、2011年を含めた4回の平均は−84.44%です。
なぜ浅くなってきたのか。資料がその理由を示しているわけではありませんが、私は市場の大きさが関係していると見ています(当ブログの見方)。CoinMarketCapによると、仮想通貨の市場全体の時価総額は、市場全体の天井の日で比べると、2018年1月7日の8,285億ドル、2021年11月8日の2兆9,197億ドル、2025年10月6日の4兆2,761億ドルと大きくなってきました。
市場が大きくなれば、同じ額の売りが価格を動かす力は相対的に小さくなります。大家業でいえば、物件が数十戸しかない小さな町と、何万戸もある都市とでは、一人の大家が投げ売りしたときの相場への響き方が違うのと似ています。
ただし、ここで早合点しないでほしいのは、「浅くなってきた」と言っても、いちばん浅い回でも天井の4分の3以上を失ったということです(−76.63%)。天井で100ドル分を持っていた人なら、底では23ドルあまりになった計算です。そして、この傾向が続くかどうかを決めるのは、並んでいる3〜4回の記録ではなく、これからの買い手と売り手です。
上がり方も小さくなってきた:底から次の天井まで約109倍、約21倍、約7.9倍
下げ幅だけでなく、上げ幅も小さくなっています。底から次の天井までの上昇の倍率と、天井が前回の天井の何倍だったかを、終値で計算しました(当ブログの計算)。
| 局面 | 底(終値) | 次の天井(終値) | 底から天井までの倍率 | 前回の天井の何倍か |
| 2015年→2017年 | 178.10ドル(2015年1月14日) | 19,497.40ドル(2017年12月16日) | 約109.5倍 | 約16.9倍 |
| 2018年→2021年 | 3,236.76ドル(2018年12月15日) | 67,566.83ドル(2021年11月8日) | 約20.9倍 | 約3.5倍 |
| 2022年→2025年 | 15,787.28ドル(2022年11月21日) | 124,752.53ドル(2025年10月6日、暫定) | 約7.9倍 | 約1.8倍 |
※当ブログの計算。日足終値(協定世界時)。2025年の天井は暫定。前回の天井の何倍かは、2013年12月4日(1,151.17ドル)、2017年12月16日、2021年11月8日の天井との比較。
天井の高さは、前回の天井の約16.9倍、約3.5倍、約1.8倍(2025年は2021年の天井の+84.64%)と、伸び方が鈍ってきました。下落率が浅くなったことと、上昇の倍率が小さくなったことは、揺れ幅全体が小さくなってきたという一つの流れとして読むのが自然だと思います(当ブログの見方)。
大家業でたとえれば、駅前の再開発が始まったばかりの頃は地価が何倍にもなりますが、街が出来上がってくると、上がり方も下がり方も落ち着いてくる。そんな成熟の過程に近いのかもしれません。ただ、それでも株式や不動産とは比べものにならない揺れ幅であることは、変わっていません。
天井から底まではおよそ1年、前回の最高値を取り戻すまでは1年3か月〜2年
次に、日数です。天井から底まで、底から前回の天井を終値で取り戻すまで、そして天井から数えて取り戻すまでの日数を並べます。
| サイクル | 天井→底 | 底→前回の天井を終値で回復 | 回復した日 | 天井→回復 |
| 2011年 | 162日 | 462日 | 2013年2月22日 | 624日 |
| 2013〜15年 | 406日 | 721日 | 2017年1月4日 | 1,127日 |
| 2017〜18年 | 364日 | 716日 | 2020年11月30日 | 1,080日 |
| 2021〜22年 | 378日 | 469日 | 2024年3月4日 | 847日 |
| 2025年〜(暫定) | 117日経過 | ― | ― | ― |
※日数は暦日の差。2011年はStatMuseの終値(二次情報)。2013年の天井の回復(2017年1月4日)は、2013年の値と2017年の値でデータ提供元が混在し、差は0.3%。継続して上回ったのは2017年2月23日(底から771日)。日中の高値で見た回復は、2017年の天井が2020年12月16日(底から732日)、2021年の天井が2024年3月5日(470日)。
天井から底までは、完結した3回で364〜406日、つまりほぼ1年でした。2011年は162日と短く、市場が小さかった時代の値動きは、今とは別物と考えたほうがよさそうです。
2011年(462日)を除く3回では、底から前回の天井を取り戻すまでは469〜721日でした。月に直すと、およそ15か月から24か月弱です。天井から数えると847〜1,127日で、天井で買った人が、ドル建ての終値で元の値段に戻るまで2年4か月〜3年1か月ほど待ったことになります。
いちばん早く戻ったのは2021〜22年のサイクルで、底から469日でした。米国で現物ビットコインETF(上場投資信託)の取引が始まった2024年1月11日の、2か月足らずのちに前回の天井を取り戻しています。時期が重なったことは事実ですが、それがどれだけ効いたのかは、ETFと企業の大量保有を取り上げる回で数字から考えます。
回復と半減期の順番にも、変化がありました。2013年の天井を取り戻したのは2016年7月9日の半減期の179日後、2017年の天井を取り戻したのは2020年5月11日の半減期の203日後でした。ところが2021年の天井は、2024年4月20日の半減期より47日早く取り戻しています(いずれも当ブログの計算)。
強気相場の途中にも、−20%を超える下げが何度もあった
天井と底だけを見ていると見落としがちですが、上昇の途中でも、ビットコインは大きく下げています。各サイクルの上昇局面の中で、終値で最も大きかった下げを並べます。
| 局面 | 直前の高値(終値) | 安値(終値) | 下落率 | 日数 | 日中ベース |
| 2013年4月 | 228.20ドル(4月10日) | 68.19ドル(4月16日) | −70.12% | 6日 | −77.28% |
| 2017年9月 | 4,892.01ドル(9月1日) | 3,154.95ドル(9月14日) | −35.51% | 13日 | −40.77% |
| 2021年4〜7月 | 63,503.46ドル(4月13日) | 29,807.35ドル(7月20日) | −53.06% | 98日 | −55.45% |
| 2025年1〜4月 | 106,146.27ドル(1月21日) | 76,271.95ドル(4月8日) | −28.14% | 77日 | −31.78% |
※各年の1月1日から天井までの終値で、直近の高値からの下落を数えたもの。2013年はStatMuse(二次情報)、2017年以降はYahoo Finance(CoinMarketCapのデータ)。日足のない年(2015〜16年、2019年、2022〜23年)は数えていない。
日足のある年で数えると、終値で−20%を超える下げは、2017年に5回、2021年に3回ありました。2013年4月には、わずか6日で−70.12%という下げもあります。どの回も、そのあと高値を更新して天井に向かっていきました。
大家業でいえば、上り調子の街でも、近くに大型の新築が建てば一時的に家賃が下がることがある、というくらいの感覚でしょうか。ただ、ビットコインのその「一時的」は、数日で7割ということもある揺れ方です。上昇の途中の下げが小さくなってきたことの意味は、ETFと企業の大量保有を取り上げる回で、ボラティリティ(価格の変動の大きさ)と合わせて考えます。
ビットコインのチャートの推移を、対数目盛りで見る
ここまでの数字を、一枚のチャートにまとめたのが下の図です。

図の線は、2014年1月から2026年1月までのビットコインの月末の終値です。縦軸は対数目盛りで、100ドル、1,000ドル、1万ドル、10万ドルが等間隔に並んでいます。対数目盛りでは、同じ高さの上下が同じ倍率の変化を表すので、価格の桁が違う時代どうしでも、上がり方や下がり方を見比べやすくなります。
黒い点が各サイクルの天井、白い丸が底で、どちらも月末値ではなく日足の終値です。2013年の天井(1,151.17ドル、2013年12月4日)は、線が始まるより前なので左端に点だけを置きました。縦の点線は半減期で、2016年7月9日(報酬25→12.5BTC)、2020年5月11日(12.5→6.25BTC)、2024年4月20日(6.25→3.125BTC)です。
図を眺めると、半減期の点線のあとに天井の黒い点が来て、そのおよそ1年後に白い丸が来る、という並びが、図の中では2回くり返されています(2013〜15年のサイクルは、半減期が図の左の外です)。右端のオレンジの点が2026年1月31日の終値78,621.12ドルで、暫定の天井から−36.98%(117日)の位置です。
対数目盛りで見ると、天井から底への落ち方は、回を追うごとに落差が小さくなっているのも分かります。一方で、最初の半減期(2012年11月28日)は図の左の外にあり、線の始まりの2014年1〜8月の月末値はStatMuse、2014年9月以降はYahoo Financeと、データ提供元が途中で替わっている点には注意が必要です。
ビットコインの半減期から天井までは371〜546日、天井と天井の間隔は約4年
半減期を起点にした日数も、並べておきます。
| サイクル | 直前の半減期 | 半減期→天井 | 前回の天井からの間隔 | 底→次の半減期 |
| 2011年 | なし | ― | ― | 376日 |
| 2013〜15年 | 2012年11月28日 | 371日 | 909日 | 542日 |
| 2017〜18年 | 2016年7月9日 | 525日 | 1,473日 | 513日 |
| 2021〜22年 | 2020年5月11日 | 546日 | 1,423日 | 516日 |
| 2025年〜(暫定) | 2024年4月20日 | 534日(暫定) | 1,428日(暫定) | ― |
※半減期の日付はブロックエクスプローラー(Blockchain.com)の記録(協定世界時)。日数は暦日の差。2011年の「底→次の半減期」は、1回目の半減期(2012年11月28日)まで。
半減期から天井までは、371日、525日、546日、そして2025年の534日(暫定)。4回とも半減期から1年〜1年半のうちに天井をつけています。天井と天井の間隔は、2013年の天井から2017年の天井までが1,473日、そこから2021年までが1,423日、さらに2025年(暫定)までが1,428日と、4年前後でそろっていました。
底から次の半減期までも、2011年(376日)を除く3回では513〜542日と幅は狭めです。次の半減期は、ブロックの生成ペースからの計算で2028年4月ごろ。過去と同じ並びがくり返されるかどうかは分かりませんが、日数の物差しとしては最もそろっている部分です。その物差しを今回に当てはめたらどうなるかは、次の底のシナリオを考える回と、その次の上昇を考える回で扱います。
日数はそろってきた一方で、半減期の日から天井までの値上がりの倍率は、回を追うごとに小さくなっています。基準のそろわない参考値ですが、並べておきます。
| 半減期 | 半減期の日の価格 | 次の天井(終値) | 倍率(目安) |
| 2012年11月28日 | 約12.2ドル | 1,151.17ドル(2013年12月4日) | 約94倍 |
| 2016年7月9日 | 640.56ドル | 19,497.40ドル(2017年12月16日) | 約30倍 |
| 2020年5月11日 | 8,605ドル | 67,566.83ドル(2021年11月8日) | 約7.9倍 |
| 2024年4月20日 | 64,994.44ドル | 124,752.53ドル(2025年10月6日、暫定) | 約1.9倍 |
※2012〜2020年の半減期の日の価格はCoinMarketCapの半減期のページの表示(二次情報)、2024年はYahoo Finance(CoinMarketCapのデータ)の日足終値で、基準はそろっていない。倍率は当ブログの計算による目安。
半減期のあと1年〜1年半で天井、という時間の並びは保たれたまま、値上がりの幅は約94倍から約1.9倍まで縮んできました。新築の供給が半分になるという出来事が、相場全体の大きさに比べて、だんだん小さな出来事になってきた、と読むこともできそうです(当ブログの見方)。
年末の終値で見ると、天井の翌年は3回とも大きく下げた
1年ごとの成績表も見ておきます。年末の終値を、半減期との位置関係で並べ替えました。
| 半減期との位置 | 2014〜17年 | 2018〜21年 | 2022〜25年 |
| 半減期の2年前(天井の翌年) | 2014年 −57.54% | 2018年 −73.56% | 2022年 −64.27% |
| 半減期の前年 | 2015年 +34.47% | 2019年 +92.20% | 2023年 +155.42% |
| 半減期の年 | 2016年 +123.83% | 2020年 +303.16% | 2024年 +121.05% |
| 半減期の翌年(天井の年) | 2017年 +1,368.90% | 2021年 +59.67% | 2025年 −6.34% |
※年末の終値の前年末比(当ブログの集計)。2013年末(754.01ドル)はStatMuse、2014年末以降はYahoo Finance(CoinMarketCapのデータ)。2025年の天井は暫定。2026年は1月31日の終値78,621.12ドルで、2025年末(87,508.83ドル)から−10.16%。
並べてみると、天井の翌年は3回とも大きく下げ、半減期の前年と半減期の年は6回とも上がっていました。きれいすぎるくらいの並びです。
ところが、2025年は天井の年なのに年間ではマイナス(−6.34%)で終わりました。10月6日に天井をつけたあと、年末までに下げたためです。2017年と2021年も天井のあと年末までに下げましたが、年間ではプラスで終わっていて、そこが違う形でした。
2026年は、2025年10月の天井が本当の天井なら「天井の翌年」にあたります。過去3回の天井の翌年は−57.54%、−73.56%、−64.27%でしたが、これは3回分の並びで、2026年が同じになるという意味ではありません(当ブログの見方)。1月だけで−10.16%という出だしでした。
円建てで見ると、2025年の天井は10月8日の18,838,562円
日本で円で考える人のために、円建ての数字も並べます。ここでの円建ては、Yahoo Finance(BTC-JPY)によるCoinMarketCapの円換算で、日本の取引所の価格ではありません。
| 項目 | 円建て(終値) | 円建て(日中) | ドル建て(終値)との関係 |
| 2017年の天井 | 2,194,822円(12月16日) | 2,261,419円(12月17日) | ドルの天井と同じ日 |
| 2021年の天井 | 7,652,282円(11月8日) | 7,799,884円(11月10日) | ドルの天井と同じ日 |
| 2025年の天井 | 18,838,562円(10月8日) | 18,982,126円(10月8日) | ドルの天井(10月6日)の2日後。10月6日は18,758,248円 |
| 2026年1月31日 | 12,166,224円 | ― | 円建ての天井から−35.42%(ドル建ては−36.98%) |
※Yahoo Finance(BTC-JPY)。暗黙のドル円(円の終値÷ドルの終値)は2025年10月6日150.36円、10月8日152.72円、2026年1月31日154.74円(当ブログの計算)。
2025年の円建ての天井は、ドル建てより2日遅い10月8日でした。この2日のあいだに円安が進み、ドル建てでは下げていても、円建てでは高値を更新したためです。国内の取引所のビットバンクも、10月8日に1,895万円まで上がり史上最高値を更新したと伝えていて、同社の同じ日の終値18,828,001円と、Yahoo Financeの円換算の終値との差は0.06%でした。
天井の高さを円で比べると、2021年の天井は2017年の約3.5倍、2025年の天井は2021年の約2.5倍です(当ブログの計算)。ドル建ての約1.8倍より大きいのは、円安が上乗せされたからです。2021年11月8日の暗黙のドル円は約113円で、2025年10月8日の152.72円とは大きく違います(当ブログの計算)。
底の時期も、円建てでは少しずれます。月ごとの日中の安値で見ると、円建ての底の月は2018年12月(362,008円)と2022年12月(2,162,036円)で、ドル建ての2022年の底(11月21日)とは月が違いました。為替が動くと、円で持つ人の天井と底は、ドルで報じられる天井と底とずれることがあるわけです。
数字を読むときの注意:終値か日中か、どのデータ提供元か
ビットコインの「過去の最高値」や「下落率」は、記事やサイトによって数字が少しずつ違います。どこで違いが出るのかを、表にまとめておきます。
| 注意点 | この回での例 |
| 終値か日中か | 2025年の天井は、終値124,752.53ドル、日中126,198.07ドル(どちらも10月6日) |
| データ提供元・取引所 | 2013年の天井は、終値1,151.17ドル(12月4日、StatMuseなど)、Mt.Goxでは1,242ドル(11月29日) |
| 初期の価格 | 2011年の天井は、終値30.06ドル(StatMuse)、Mt.Goxの31.91ドル(Bitcoin Wiki)、Blockchain.comの平均33.80ドル(6月11日) |
| ドル建てか円建てか | 2025年の天井の日は、ドル建てが10月6日、円建てが10月8日 |
| 日付の区切り | 日足は協定世界時の0時で区切るため、日本時間では午前9時が1日の境目になる |
| 月末値か日足か | 天井から同じ日数での比較などは、月末値で近似している |
※2011年の底も、StatMuseの終値2.05ドル(11月18日)とBlockchain.comの2.30ドル(11月22日)で違う。
そもそも、CoinMarketCapのデータは2013年4月28日から、Yahoo FinanceのBTC-USDは2014年9月17日から始まっていて、それより前の値は、Mt.Goxなど個別の取引所の記録や、Blockchain.comの平均値に頼ることになります。
この連載では、2015年以降はYahoo Finance(CoinMarketCapのデータ)の日足終値にそろえ、それより前の値は二次情報だと明記しています。数字をほかの記事と比べるときは、終値か日中か、どこのデータかを一度確かめてみてください。下落率で0.6〜2.9%ポイントほど(この回の表の終値と日中の差)、日付で1〜2日ずれるのは、珍しいことではありません。
過去のサイクルの数字を投資の目線で読むと、「下がりうる幅」と「戻るまでの時間」が見えてくる
ここからは、ビットコインや仮想通貨に関連する株を持っている人、これから持つかどうかを考えている人の目線で整理します。値動きの性格と確かめる点の話で、売買を勧めるものではありません。
一つ目は、どこまで下がりうるかです。完結した3回の天井から底までは、終値で−76.63%〜−84.53%でした。いちばん浅い回でも、価格は天井の4分の1を下回りました。持っている額の8割近くが一時的に消える場面を、生活や事業に響かずにやり過ごせるか。まずそこを確かめることが、過去の数字のいちばん実用的な使い方だと思います。
二つ目は、戻るまでの時間です。天井をつけてから、その天井の値段を終値で取り戻すまでは847〜1,127日でした。仮に天井近くで買っていたら、ドル建ての終値で元の値段に戻るまで2年4か月〜3年1か月ほどかかった計算です。大家業でいえば、空室が2年以上続いても返済が回るかを確かめておくのと同じことです。
三つ目は、前回の天井がどんな意味を持つかです。2015年の底は2011年の天井を、2018年の底は2013年の天井を上回っていましたが、2022年の底(15,787.28ドル)は2017年の天井(19,497.40ドル)を19.03%下回りました(当ブログの計算)。
前回の天井が下値の支えになるとは限らない、ということです。2026年1月31日の終値は、2021年の天井(67,566.83ドル)の16.36%上にあります(当ブログの計算)。
仮に過去3回と同じ8割前後の下げになるなら、2021年の天井も大きく下回る計算です。1月31日の価格は、過去並みの深さの下げが来た場合の水準より、まだかなり上にあります。どこまでの深さを置くかで景色がどう変わるかは、次の底を考える回で、前提の違うシナリオとして並べます。
四つ目は、どこで持ったかで、同じ価格の意味がまったく違うことです。2022年の底の15,787.28ドルで持った人から見れば、1月31日の78,621.12ドルは約5倍の水準です。一方、2025年10月の天井近くで持った人には−36.98%、ストラテジー(旧マイクロストラテジー)の平均取得単価76,037ドル(2026年1月25日時点)から見れば+3.40%にすぎません(いずれも当ブログの計算)。過去のサイクルの数字は、自分の取得価格と並べて初めて意味を持ちます。
仮想通貨に関連する株では、こうした値動きに、会社ごとの借入れや資金調達の事情が上乗せされます。ビットコインを大量に持つストラテジーやメタプラネット、取引所のコインベースなどの株を詳しく読むのは、別の連載です。
最後に、円で考える人は為替も一緒に見てください。2026年1月末の下落率は、ドル建ての−36.98%に対して円建ては−35.42%でした。円高に振れれば、逆に円建ての下げのほうが大きくなります。
| 確かめる点 | 2026年1月時点の数字 | 当ブログの見方 |
| 天井からの日数と下落率 | 117日で−36.98%(過去の天井→底は364〜406日、−76.63%〜−84.53%) | 日数も深さも、3回分の記録にすぎない |
| 前回の天井との距離 | 1月31日の終値は2021年の天井の16.36%上 | 前回の天井が支えになるとは限らない(2022年は19.03%下回った) |
| 円建ての下落率 | −35.42%(ドル建ては−36.98%) | 為替で下げ幅が変わる |
| 次の半減期 | 2028年4月ごろ(ブロックの生成ペースからの計算) | 底→次の半減期は過去513〜542日で、最もそろった物差し |
※日数・下落率は日足終値(協定世界時)。円建てはCoinMarketCapの円換算。
過去の数字は「同じことが起きる」ではなく「どれだけ揺れうるか」を教えてくれる
5つのサイクルを並べると、ビットコインは天井から底まで8割前後下げ、およそ1年で底を打ち、底から469〜721日(2011年を除く3回)で前回の天井を取り戻す、という動きをくり返してきました。そして、下げ幅も上げ幅も、回を追うごとに小さくなってきています。
ただ、その記録は完結したものでたった3回、2011年を入れても4回です。オリンピックの記録表が次の大会の順位を約束しないように、過去のサイクルの表も、次の天井や底の日付を約束するものではありません。大家として長く物件を持っていると、過去の空室率の表は、未来を当てるためではなく、最悪の年に耐えられるかを確かめるために見るものだと感じます。
これから確かめたいのは、今回の下げが過去のどの回の形に近づいていくのか、それとも違う形になるのかです。その手がかりになる暴落の原因は、暴落を年表で読む回で、新しい買い手の影響は、ETFと企業の大量保有を取り上げる回で確かめます。
※本記事は公表資料をもとにした情報提供を目的としたもので、暗号資産(仮想通貨)や特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。価格の時期やシナリオは、過去のデータに当ブログが置いた前提を当てはめた試算で、将来の価格を予想・保証するものではありません。暗号資産は価格の変動が大きく、投資した金額を大きく下回ることがあります。
※価格は暗号資産のデータ提供サイトの日足終値(協定世界時)などの公表資料をもとに当ブログが集計・計算したもので、四捨五入の関係で合計が合わない場合があります。数値は2026年1月31日までに公表・観測されたもので、時点は本文・表に記載しています。税制は2026年1月31日時点の法令にもとづき、令和8年度税制改正大綱の内容は今後の法改正で決まります。
出典・参考
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- Bitcoin USD (BTC-USD) 日足の価格データ 2026年1月(Yahoo Finance、CoinMarketCapのデータ、2026年1月31日まで)https://finance.yahoo.com/quote/BTC-USD/history/?frequency=1d&period1=1767225600&period2=1769904000
- Bitcoin USD (BTC-USD) 日足の価格データ 2025年(Yahoo Finance、CoinMarketCapのデータ)https://finance.yahoo.com/quote/BTC-USD/history/?frequency=1d&period1=1735689600&period2=1767225600
- Bitcoin USD (BTC-USD) 日足の価格データ 2025年10月1〜14日(Yahoo Finance、CoinMarketCapのデータ)https://finance.yahoo.com/quote/BTC-USD/history/?frequency=1d&period1=1759276800&period2=1760400000
- Bitcoin USD (BTC-USD) 日足の価格データ 2024年(Yahoo Finance、CoinMarketCapのデータ)https://finance.yahoo.com/quote/BTC-USD/history/?frequency=1d&period1=1704067200&period2=1735689600
- Bitcoin USD (BTC-USD) 日足の価格データ 2022年11月(Yahoo Finance、CoinMarketCapのデータ)https://finance.yahoo.com/quote/BTC-USD/history/?frequency=1d&period1=1667260800&period2=1669852800
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- Bitcoin highest closing price in 2013(StatMuse Money)https://www.statmuse.com/money/ask/bitcoin-highest-closing-price-in-2013
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- Global cryptocurrency market cap 2018年1月・2021年11月・2025年10月(CoinMarketCap、日次のグローバル指標)https://api.coinmarketcap.com/data-api/v3/global-metrics/quotes/historical?format=chart&interval=1d&timeStart=1759190400&timeEnd=1760572800































