東雲結子:石井先生、今年は事務所のベランダで家庭菜園を始めます! ミニトマトの種の袋の裏に、まく時期と収穫の時期が書いてあったので、カレンダーに収穫祭の日まで書き込みました。
税理士石井:もう収穫祭まで決めたんですか。その段取りのよさは見習いたいですね。ビットコインにも、種の袋の裏のような「時期の目安」がありますよ。
東雲結子:あっ、半減期ですね! 次はいつですか? 収穫祭と一緒に、ビットコインのお祝いもしたいです。
税理士石井:次の半減期は、ブロックの生成ペースから計算すると2028年4月ごろです。過去は、半減期から天井まで371〜546日でした。当てはめると、次の天井の目安は2029年の4月から10月になります(当ブログの試算)。
東雲結子:2029年! ミニトマトなら何回収穫できるんでしょう……。ビットコインの収穫祭を待つあいだに、プランターのほうが先に定年を迎えそうです。
税理士石井:ははは。しかも天井の前には底があって、前の天井を取り戻すまでにも、過去は底から469〜721日かかっています。2025年10月の天井を終値で取り戻すのは、過去の日数どおりなら2028年の1月から11月ごろ。芽が出るまでが長いんです。
東雲結子:芽が出るまで2年……。水やりを忘れて枯らす自信なら、誰にも負けません(汗)。
税理士石井:大事なのは、まさにそこなんです。種の袋の日数は、日当たりと水やりが平年並みなら、という前提つき。ビットコインでも、ETFや企業の買い、金利、規制が変われば、日数は当てになりません。そもそも「4年のリズムは崩れる」という見方も、グレースケールなどから出ています。
東雲結子:じゃあ、収穫祭の日付を太いペンで書くより、天気予報と水やりの記録を毎日見るほうが大事なんですね。
税理士石井:そのとおりです。過去の日数を当てはめた時期の目安と、それが崩れる条件を、3つのシナリオごとに並べてみましょう。
連載の第8回は、ビットコイン(BTC)の次の底のさらに先、「その次の上昇はいつ来るのか」を考えます。手がかりは、2028年に来る次の半減期と、過去のサイクルで繰り返されてきた日数です。前提は、次の底の時期と水準を3つのシナリオで考える回と同じで、2025年10月6日の天井(終値124,752.53ドル、暫定)を出発点にします。
ここで示す日付は、過去3回の日数を当てはめた当ブログの試算で、予想ではありません。半減期の日付も、ブロックの生成ペースからの計算です。価格は断りがない限り、Yahoo Finance(CoinMarketCapのデータ)による協定世界時(UTC)の日足終値(ドル建て)で、2026年1月31日までのデータを使います。最後に、半減期を待つ時間の長さを、仮想通貨(暗号資産)や関連株を持つ人の投資の目線でも考えます。
| この記事の要点 | 根拠となる数字 |
| ビットコインの次の半減期は2028年4月ごろ。1ブロックの報酬は3.125BTCから1.5625BTCになる | ブロック1,050,000。2025年12月29日のブロック930,000から、10分ペースなら2028年4月10日、直近の平均9.895分なら2028年4月2日(当ブログの計算) |
| 過去の日数を当てはめると、天井の回復は2028年1〜11月、次の天井は2029年4〜10月(S-A・S-B、当ブログの試算) | 底→天井の回復469〜721日、半減期→天井371〜546日。天井の間隔1,423〜1,473日で照合すると2029年8月29日〜10月18日 |
| 今回の半減期→天井は534日(暫定)で過去の範囲内。ただし「サイクルが崩れる」S-Cでは、日数の目安は意味を失う | 過去は371日、525日、546日。グレースケールは2026年上半期の最高値更新の見方(2025年12月15日) |
| 投資の目線:過去は、天井を取り戻すまでに天井から847〜1,127日。底が深いほど、必要な上昇率も大きい | 2021〜22年は底から+327.98%、2013〜15年は+546.36%で天井を回復(当ブログの計算) |
次の半減期は2028年4月ごろ、1ブロックの報酬は1.5625BTCになる
半減期は、ビットコインのしくみに組み込まれた「発行ペースの切り替え」です。ビットコインは、取引の記録をまとめたブロックが一つ作られるたびに、新しいビットコインが報酬として発行されます。その報酬が、21万ブロックごとに半分になります。
これまでの4回と、次の5回目を並べます。
| 回 | 日時(協定世界時) | ブロック高 | 1ブロックの報酬 | 前回からの日数 |
| 1回目 | 2012年11月28日15時24分 | 210,000 | 50→25BTC | ― |
| 2回目 | 2016年7月9日16時46分 | 420,000 | 25→12.5BTC | 1,319日 |
| 3回目 | 2020年5月11日19時23分 | 630,000 | 12.5→6.25BTC | 1,402日 |
| 4回目 | 2024年4月20日0時9分 | 840,000 | 6.25→3.125BTC | 1,440日 |
| 5回目(推計) | 2028年4月2日〜10日ごろ | 1,050,000 | 3.125→1.5625BTC | 約1,443〜1,451日 |
※数値は、1〜4回目がBlockchain.comのブロックエクスプローラーによる(一次資料)。5回目と、その前回からの日数は、ブロック930,000を起点にした当ブログの計算。
「4年サイクル」と呼ばれますが、半減期の間隔は、1,319日(約3.6年)、1,402日(約3.8年)、1,440日(約3.9年)と、回を追って4年に近づいてきました(年への換算は当ブログの計算)。次の5回目までは、計算では約1,443〜1,451日です。
次の5回目は、ブロック1,050,000で起きます。日付は、ブロックが作られるペースから逆算するしかありません。2025年12月29日11時14分44秒(協定世界時)に作られたブロック930,000から、残りは12万ブロックです。
1ブロックちょうど10分で計算すると2028年4月10日、2024年4月の半減期以降の実際の平均(1ブロック9.895分)で計算すると2028年4月2日になります(当ブログの計算)。実際のブロックの生成が10分より少し速いペースで進んできたため、実際のペースでの計算は、10分ペースより8日早くなっています。この回では、まとめて2028年4月ごろ(ブロックの生成ペースからの計算)と書きます。
報酬が半分になると、新しく出てくるビットコインの量も半分になります。1ブロック10分なら1日144ブロックで、新規発行は1日450BTCから225BTCへ(当ブログの計算)。大家業でいえば、あるエリアで毎年建っていた新築の戸数が、ある年から突然半分になるようなものです。
ただ、供給が細れば家賃が上がるとは限りません。借り手がいなくなれば、新築が減っても空室は埋まらない。半減期は供給の側の話で、価格は買い手の側の事情とあわせて決まる、という点は押さえておきたいところです(当ブログの見方)。
買い手の大きさを、発行の量と並べてみると、その意味がよくわかります。ストラテジー(旧マイクロストラテジー)が2026年1月に買った40,147BTCは、今の新規発行(1日450BTC、10分ペース)の約89日分にあたります(当ブログの計算)。次の半減期のあとなら、同じ量は約178日分です。新しい買い手の動き一つで、発行の何か月分もの需要が動く。半減期の重みは、こうした買い手の大きさと比べて測る必要があります(当ブログの見方)。
用語メモ:ブロック=ビットコインの取引記録をまとめた単位。ブロック高=最初のブロックから数えた番号。ブロックエクスプローラー=ブロックの記録を誰でも見られるようにしたサイト。半減期=ブロックごとの新規発行の報酬が半分になるしくみ。
過去の半減期のあと、天井までは371〜546日、天井と天井の間隔は約4年だった
次に、半減期のあとの値動きの日数を、サイクルごとに並べます。
| サイクル | 半減期→天井 | 天井→底 | 底→前の天井を終値で回復 | 天井→回復 | 天井の間隔 | 底→次の半減期 |
| 2013〜15年 | 371日 | 406日 | 721日(2017年1月4日) | 1,127日 | ― | 542日 |
| 2017〜18年 | 525日 | 364日 | 716日(2020年11月30日) | 1,080日 | 1,473日 | 513日 |
| 2021〜22年 | 546日 | 378日 | 469日(2024年3月4日) | 847日 | 1,423日 | 516日 |
| 2025年〜(暫定) | 534日 | 117日経過 | ― | ― | 1,428日 | ― |
※日足終値(協定世界時)、暦日の差。天井の間隔は一つ前のサイクルの天井から。2013〜15年の回復日は、2013年の終値(StatMuse)と2017年の終値(Yahoo Finance)という提供元の違う値の比較で、差は0.3%(終値で上回り続けたのは2017年2月23日から、底から771日)。2011年のサイクルは半減期より前のため除いた。
半減期から天井までは371〜546日で、平均は494日(今回の暫定534日を含む)。今回の534日は過去の範囲の内側で、ここまではリズムどおりに見えます。天井と天井の間隔も、1,473日、1,423日、そして今回の暫定1,428日と、約4年でそろっています。
目を引くのは、底から前の天井を取り戻すまでの日数です。2013〜15年と2017〜18年は721日と716日でしたが、2021〜22年は469日と、247〜252日早く回復しました(当ブログの計算)。
回復した2024年3月4日は、米国で現物のビットコインETF(上場投資信託)の取引が始まった2024年1月11日の53日後でした。時期が重なったのは事実ですが、ETFが回復を早めたと言い切れるデータはありません。ただ、買い手の顔ぶれが変わると日数も変わりうる、という一つの例にはなると考えています(当ブログの見方)。
底から次の半減期までは513〜542日でした。過去3回は、天井から1年ほどで底、底から1年半ほどで半減期、半減期から1年〜1年半で天井、という順番が、よく似た間隔で繰り返されてきたわけです。
ただし、直近のサイクルでは順番が一つ入れ替わっています。前の天井を終値で取り戻した日は、2013〜15年が半減期の179日後、2017〜18年が203日後でしたが、2021〜22年は半減期の47日前でした(当ブログの計算)。2024年は、半減期(4月20日)を待たずに、3月4日に前の天井を超えていたのです。
その後、2024年3月13日の終値73,083.50ドルから9月6日の53,948.75ドルまで、強気相場の中で26.18%の下げをはさみ、2024年11月6日に高値を更新しています。順番が入れ替わったことは、「サイクルが崩れる」という見方を考えるときの材料の一つになると考えています(当ブログの見方)。
暦年で並べると、天井の翌年は3回とも大きく下げ、半減期の年は3回とも上げた
日数とは別の角度から、年ごとの値動きも並べておきます。年末の終値を前年末と比べた騰落率を、サイクルの中の位置ごとにそろえたものです。
| サイクルの中の年 | 2013〜15年のサイクル | 2017〜18年のサイクル | 2021〜22年のサイクル | 今回 |
| 天井の翌年 | 2014年 −57.54% | 2018年 −73.56% | 2022年 −64.27% | 2026年(1月だけで−10.16%) |
| その次の年 | 2015年 +34.47% | 2019年 +92.20% | 2023年 +155.42% | 2027年 |
| 次の半減期の年 | 2016年 +123.83% | 2020年 +303.16% | 2024年 +121.05% | 2028年(4月ごろ) |
| 次の天井の年 | 2017年 +1,368.90% | 2021年 +59.67% | 2025年 −6.34% | 2029年(S-A・S-Bの目安) |
※年末終値の前年末比。2013年末はStatMuse、2014年以降はYahoo Finance(CoinMarketCapのデータ)。2026年は2025年12月31日から1月31日まで。3回だけの記述で、法則ではない。
天井の翌年は3回とも大きく下げ、その次の年と半減期の年は、3回とも上げていました。S-A・S-Bの時期の目安を暦年に置きかえると、2026年が天井の翌年、2027年がその次の年、2028年が次の半減期の年、2029年が次の天井の年にあたります。
目を引くのは、天井の年の騰落率です。+1,368.90%、+59.67%、そして2025年は−6.34%。並べた3回のうち、年間で下げて終わった天井の年は2025年だけでした。10月6日に天井をつけたあと、年末の87,508.83ドルまで下げたためです。
天井の年の上昇率が回を追って小さくなっていることは、上昇の勢いそのものが弱まってきた表れかもしれません(当ブログの見方)。暦年のリズムがこの先も続くかどうかは、日数の目安と同じく、約束されたものではありません。
3つのシナリオに当てはめると、天井の回復は2028年、次の天井は2029年
ここから、当ブログのシナリオに当てはめます。シナリオは、次の底を考える回と同じ3つです。S-A「4年サイクルどおり、過去並みの下落」は、底の時期を天井+364〜406日、深さを過去3回の−76.63〜−84.53%に置いた道です。
S-B「4年のリズムは続くが、下落は浅い」は、底の時期はS-Aと同じで、深さをフィデリティのティマー氏が示した支持線の6.5万〜7.5万ドルに置いた道。S-C「サイクルが崩れる」は、深い下落がないまま、2026年に最高値を更新する道です。
| 項目(S-A・S-B) | 当てはめた日数 | 時期の目安(当ブログの試算) |
| 底 | 天井(2025年10月6日)+364〜406日 | 2026年10月5日〜11月16日 |
| 天井の終値を取り戻す | 底+469〜721日 | 2028年1月17日〜11月6日 |
| 同(同じサイクルの組で) | 天井+847〜1,127日 | 2028年1月31日〜11月6日 |
| 次の半減期 | ブロックの生成ペースからの計算 | 2028年4月2日〜10日(2028年4月ごろ) |
| 次の天井 | 半減期+371〜546日 | 2029年4月8日〜10月8日 |
| 次の天井(天井の間隔で照合) | 天井+1,423〜1,473日 | 2029年8月29日〜10月18日 |
| 底→次の半減期 | 半減期の推計日−底の時期 | 503〜553日(過去は513〜542日) |
※当ブログの試算で、予想ではない。天井の回復は、早い底(10月5日)に最も短い469日(2021〜22年)を、遅い底(11月16日)に最も長い721日(2013〜15年)を足した幅。次の天井は、実際のペースの半減期(4月2日)+371日から、10分ペースの半減期(4月10日)+546日までの幅。天井(124,752.53ドル)は暫定。
S-AとS-Bは底の時期の目安が同じなので、その先の時期の目安も同じになります。天井の終値124,752.53ドルを取り戻すのは2028年1月17日〜11月6日、次の天井は2029年4月8日〜10月8日。半減期を起点にした目安と、天井の間隔を起点にした目安が重なるのは、2029年8月29日〜10月8日です。
一つ注意があります。底から次の半減期までの日数は、このシナリオでは503〜553日と、過去の513〜542日より幅が広がります。遅い底と実際のペースの半減期を組み合わせると503日で過去のどれより短く、早い底と10分ペースの半減期では553日で過去のどれより長い。リズムをそのまま当てはめても、端の組み合わせは過去の範囲を少しはみ出します。

図は、2024年から2030年までを横に並べ、3つのシナリオの時期の目安を描いたものです。左の縦線が2024年4月20日の半減期、三角の印が2025年10月6日の天井(終値、暫定)、丸い印がデータの最終日の2026年1月31日。点線の縦線が、計算で求めた次の半減期(2028年4月ごろ)です。
S-AとS-Bの段には、左から順に、底(2026年10月5日〜11月16日)、前回の最高値の回復(2028年1月17日〜11月6日)、次の天井(2029年4月8日〜10月8日)の三つの枠が並びます。2段の枠の位置は同じで、違うのは底の深さだけです。S-Cの段には枠がありません。深い下落がなく、2026年に最高値を更新するという見方では、時期の目安そのものが当てはまらないからです。
底が深いほど、前の天井を取り戻すのに必要な上昇率は大きくなる
時期と並んで見ておきたいのが、上昇の大きさです。下落率と、そこから元に戻るのに必要な上昇率は、対称ではありません。
| 出発点 | 天井の終値(124,752.53ドル)を取り戻すのに必要な上昇率 |
| S-Aの深い底(19,299.22ドル、天井比−84.53%) | +546.41% |
| S-Aの浅い底(29,154.67ドル、天井比−76.63%) | +327.90% |
| S-Bの深い底(65,000ドル) | +91.93% |
| S-Bの浅い底(75,000ドル) | +66.34% |
| 2026年1月31日の終値(78,621.12ドル) | +58.68% |
| (参考)過去の実績:2013〜15年/2017〜18年/2021〜22年 | +546.36%/+502.37%/+327.98% |
※当ブログの計算。必要な上昇率=124,752.53÷出発点−1。過去の実績=前の天井の終値÷底の終値−1(1,151.17÷178.10−1、19,497.40÷3,236.76−1、67,566.83÷15,787.28−1)。
−76.63%の底から天井に戻るには、価格が4.28倍にならなければなりません(1÷(1−0.7663)、当ブログの計算)。過去3回、ビットコインは実際にそれをやってのけ、そこに469〜721日をかけました。S-Bの浅い底なら、必要な上昇は66.34〜91.93%で、上り坂はずっと短くなります。
ただ、底が浅い場合に回復の日数まで短くなるのかは、過去に例がありません。この回ではS-Bにも過去3回と同じ日数を当てはめていますが、浅い底から短い日数で天井を取り戻す道もありうる、と考えておくのが自然だと思います(当ブログの見方)。
大家業でいえば、家賃相場が4分の1を下回ったエリアで、元の家賃に戻すには4倍を超える値上げが要る、という話です。下げは一気に来ても、戻るには時間がかかる。シナリオの時期の目安が「年」の単位になるのは、このためでもあります(当ブログの見方)。
名前のある機関の中には、もっと先の価格を示しているところもあります。スタンダードチャータードは2028年に30万ドル、2030年に50万ドルという目標を示し(2025年12月9日、The Blockの報道による)、ギャラクシー・リサーチは「BTCは2027年末までに25万ドルに達する」(2025年12月18日、英文を当ブログが訳出)としています。どちらも各社の見方で、当ブログはこれらの価格を採用していません。
2029年までのシナリオを崩すのは、買い手の変化、金利、規制、信用の事故
時期の目安は、過去の日数をそのまま当てはめたものです。どこで崩れうるかを確かめておきます。
| シナリオ | 崩れる条件 | 2026年1月31日までの事実 |
| S-A・S-B | 日数の当てはめそのものが外れる | 根拠は3回のサイクルだけ。底→回復は469〜721日と幅が大きい |
| S-A・S-B | 2026年に最高値を更新する(S-Cへ) | グレースケール、ビットワイズ、スタンダードチャータードは2026年の最高値更新を見込む |
| S-A・S-B | 回復が遅れる(買い手が売る側に回る) | 米国の現物ビットコインETFは1月に約16億ドルの純流出。上場企業の上位100社の保有の63.2%がストラテジー |
| S-A・S-B | 規制・信用の事故 | 日本の金商法改正案は2026年の国会に提出予定と報道のみ。過去にはマウントゴックス、FTXトレーディングの破綻 |
| S-C | 2026年に天井の終値を超えない | ギャラクシー・リサーチ「2026 could be a boring year for Bitcoin, …」。ヴァンエックは3〜6か月は慎重 |
| S-C | 企業の買いが細る | スタンダードチャータード「Bitcoin buying by DATs has run its course.」。MSCIは非事業会社の扱いを広く協議する予定 |
※ETFの数字はSoSoValueの集計を報じた二次資料(The Block、2026年1月31日)。上位100社の保有はBitcoinTreasuriesのデータ(二次資料、2026年1月26日)。
いちばん大きいのは、買い手の顔ぶれの変化です。2021〜22年のサイクルの回復は、米国の現物ETFの取引開始と時期が重なりました。次の上昇の時期を左右するのも、ETFの資金と、ストラテジー(旧マイクロストラテジー)のような企業の買いかもしれません(当ブログの見方)。ストラテジーは2026年1月だけで40,147BTCを購入し、1月25日時点で712,647BTCを持っています(2026年1月26日の8-K)。
裏を返せば、その買い手が止まったり、売る側に回ったりすれば、回復は過去の日数より遅れうるということです。1月の米国の現物ETFは約16億ドルの純流出で、月間では過去3番目の大きさでした(The Blockによる、SoSoValueの集計)。
用語メモ:8-K=米国の上場企業が重要な出来事を開示する臨時報告書。DAT=デジタル資産トレジャリー企業(ビットコインなどを財務の柱として大量に持つ会社)。MSCI=世界の株価指数をつくる米国の会社で、2026年1月6日に、DATを指数から除外する案を見送りました。
金利は、一方向の追い風とは限りません。2023年7月末から2024年8月末、米国の政策金利が5.25〜5.50%と高いまま据え置かれた期間に、ビットコインの月末終値は101.74%上がりました。逆に2025年8月末から2026年1月末は、利下げの局面で27.36%下がっています。1月28日のFOMC(米連邦公開市場委員会)は、政策金利を3.50〜3.75%で据え置きました。
日本の規制も、時期の目安と重なってきます。金融審議会のワーキング・グループは2025年12月10日、暗号資産を「有価証券とは別の規制対象として金商法に位置付けることが適当」とする報告をまとめました。改正案は「2026年の通常国会に提出予定」と報じられていますが(日本経済新聞の報道をCoinPostが紹介、2025年11月17日)、提出時期を示した政府の一次資料は、2026年1月31日までに見つかっていません。
S-Cの側の根拠も確かめておきます。グレースケール(2025年12月15日更新)は、2026年上半期に最高値を更新する可能性が高いという見方の背景に、価値の保存先としての需要と、規制がはっきりしてきたことを挙げています。ビットワイズは、半減期の影響が小さくなっていること、2018年や2022年と違って金利の低下が見込まれること、レバレッジの破綻が減ったことを理由にしています(The Blockの要約による)。
S-Cでは、日数の目安は意味を失います。その場合に見ておきたいのは、米国の現物ETFの資金フロー、企業の購入・売却と平均取得単価、FOMCの決定、先物の建玉と清算の規模、MSCIの非事業会社に関する協議、そして大手取引所や発行体の信用の事故です。カレンダーの代わりに、こうした数字を天気予報のように見ていくことになります(当ブログの見方)。
半減期を待つ時間の長さを、投資の目線で考える
ここからは、仮想通貨やその関連株を持つ人、眺めている人にとっての意味を考えます。どの道を選ぶべきかではなく、値動きの性格と、確かめておきたい点の整理です。
まず、時間の長さです。過去3回、天井から前の天井を終値で取り戻すまでには、天井から847〜1,127日かかりました。約2年4か月から3年1か月です。今回にS-A・S-Bを当てはめても、天井の回復は2028年1月〜11月。天井の近くで買った人にとっては、それだけの期間、含み損と付き合う前提に立つということです。
上り坂に入ってからも、平らな道ではありません。天井に向かう年の中で、終値の直近の高値から20%以上下げた局面は、2017年に5回、2021年に3回、2024〜25年に2回ありました。最も大きいものは、2017年が−35.51%、2021年が−53.06%、2024〜25年が−28.14%です。上昇の局面でも、2〜5割の下げを何度か通る前提で、値動きの大きさを見ておきたいところです。
日本から見るときは、為替も時間の長さに効いてきます。円建て(CoinMarketCapのデータを円に換算した値)の下落率は、1月31日時点で−35.42%と、ドル建ての−36.98%より小さく、終値から逆算したドル円は、2025年10月6日の150.36円から1月31日の約154.7円へ動いていました。待つ期間が年の単位になれば、その間の円安・円高が、円建ての回復の時期を前後させます(当ブログの見方)。
次に、関連株の性格です。半減期は、ビットコインを掘るマイニング会社にとって、収入の柱である報酬が半分になる出来事です。2028年4月ごろの次の半減期では、1ブロックの報酬が1.5625BTCになります。マイニング会社の採算は、米国の暗号資産関連株を読む別の連載で詳しく扱っています。
ストラテジーやメタプラネットのように、ビットコインを大量に持つ会社の株は、待つ期間の長さが、会社の資金調達や借入の返済の時期とどう重なるかでも性格が変わります。メタプラネットの決算を読む別の連載もあわせて見ておくと、ビットコインの時期の目安と、会社のお金の流れを並べて考えやすくなると思います。
| 確かめる点 | 2026年1月時点の数字 | 当ブログの見方 |
| 次の半減期の日付 | ブロック1,050,000、2028年4月2日〜10日ごろ(計算) | ブロックの生成ペースで前後する。近づいたら計算し直したい |
| 米国の現物ETFの資金 | 1月は約16億ドルの純流出 | 回復の時期を左右しうる新しい買い手 |
| ストラテジーの保有と平均取得単価 | 712,647BTC、平均76,037ドル(1月25日時点) | 1社への集中は、回復を早めも遅らせもしうる |
| FOMCの決定 | 3.50〜3.75%で据え置き(1月28日) | 金利の向きと価格の向きは、一致してこなかった |
| 日本の分離課税の適用開始日 | 未定(金商法の改正法の施行日の属する年の翌年1月1日以後) | 税の変わり目と相場の時期の目安が近づきうる |
税金の時期にも触れておきます。令和8年度税制改正大綱(2025年12月26日閣議決定)は、登録された暗号資産を申告分離課税20%とする方向を示しましたが、適用開始日は「金融商品取引法の改正法の施行の日の属する年の翌年の1月1日」以後で、2026年1月31日の時点では決まっていません。
仮に改正法の施行が2027年中なら、適用開始は2028年1月1日からになる、という計算例はあります。予測ではありませんが、S-A・S-Bの天井の回復の目安(2028年1月〜11月)と近い時期です。税の扱いが変わる時期と相場の時期の目安が近づきうる、ということは頭の片隅に置いておきたいところです(税の判断は個別に)。詳しくは、仮想通貨の税金を取り上げる回で整理します。
最後に、借入の重さです。時期の目安が「年」の単位である以上、借入や証拠金で持てば、その間の金利の負担と、途中の下げでの強制的な決済が重くのしかかります。待てる人と待てない人の差は、値段の読みより、資金の持ち方で決まると私は考えています。
半減期のカレンダーは目安、収穫を決めるのは買い手と資金の流れ
次の半減期は2028年4月ごろ(ブロックの生成ペースからの計算)。過去の日数をS-A・S-Bに当てはめると、天井の終値の回復は2028年1月17日〜11月6日、次の天井は2029年4月8日〜10月8日でした。今回の半減期→天井は534日(暫定)で、ここまでは過去の範囲の内側です。いずれも当ブログの試算で、予想ではありません。
一方で、2021〜22年のサイクルの回復は、それまでより247〜252日早く、買い手の顔ぶれが変われば日数も変わりうることを示しています。S-Cの「サイクルが崩れる」道に進めば、カレンダーそのものが使えなくなります。
これから見ていきたいのは、ブロックの生成ペースと次の半減期の計算、米国の現物ETFの資金、企業の買いと平均取得単価、FOMCの決定、そして日本の金商法の改正案と分離課税の適用開始日です。
大家業でも、新築の供給計画より、その街に住みたい人が増えるかどうかのほうが、最後は家賃を決めてきたように感じます。ビットコインの次の上昇も、半減期のカレンダー以上に、買い手と資金の流れが決めるのだと思います(当ブログの見方)。次の底の時期と水準を3つのシナリオで考える回、4年サイクルの仕組みを取り上げる回、ETFと企業の大量保有を取り上げる回、仮想通貨の税金を取り上げる回もあわせてどうぞ。
※本記事は公表資料をもとにした情報提供を目的としたもので、暗号資産(仮想通貨)や特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。価格の時期やシナリオは、過去のデータに当ブログが置いた前提を当てはめた試算で、将来の価格を予想・保証するものではありません。暗号資産は価格の変動が大きく、投資した金額を大きく下回ることがあります。
※価格は暗号資産のデータ提供サイトの日足終値(協定世界時)などの公表資料をもとに当ブログが集計・計算したもので、四捨五入の関係で合計が合わない場合があります。数値は2026年1月31日までに公表・観測されたもので、時点は本文・表に記載しています。税制は2026年1月31日時点の法令にもとづき、令和8年度税制改正大綱の内容は今後の法改正で決まります。
出典・参考
- 半減期のブロック:com Explorer「Bitcoin block 210,000」https://www.blockchain.com/explorer/blocks/btc/210000 、「Bitcoin block 420,000」https://www.blockchain.com/explorer/blocks/btc/420000 、「Bitcoin block 630,000」https://www.blockchain.com/explorer/blocks/btc/630000 、「Bitcoin block 840,000」https://www.blockchain.com/explorer/blocks/btc/840000
- 次の半減期の計算の起点:com Explorer「Bitcoin block 930,000」(2025年12月29日のブロック)https://www.blockchain.com/explorer/blocks/btc/930000
- ビットコイン価格(日足、2026年1月):Yahoo Finance「BTC-USD」履歴データ(CoinMarketCapのデータ、2026年1月31日の終値まで)https://finance.yahoo.com/quote/BTC-USD/history/?frequency=1d&period1=1767225600&period2=1769904000
- ビットコイン価格(日足、2025年):Yahoo Finance「BTC-USD」履歴データ https://finance.yahoo.com/quote/BTC-USD/history/?frequency=1d&period1=1735689600&period2=1767225600
- ビットコイン価格(月足、2014年9月〜2025年12月):Yahoo Finance「BTC-USD」履歴データ https://finance.yahoo.com/quote/BTC-USD/history/?frequency=1mo&period1=1388534400&period2=1767225600
- ビットコイン価格(日足、2017年・2020年11〜12月・2024年):Yahoo Finance「BTC-USD」履歴データ https://finance.yahoo.com/quote/BTC-USD/history/?frequency=1d&period1=1483228800&period2=1514764800 、https://finance.yahoo.com/quote/BTC-USD/history/?frequency=1d&period1=1604188800&period2=1609459200 、https://finance.yahoo.com/quote/BTC-USD/history/?frequency=1d&period1=1704067200&period2=1735689600
- ビットコイン価格(日足、2015年1月・2017年12月・2018年12月・2021年11月・2022年11月):Yahoo Finance「BTC-USD」履歴データ https://finance.yahoo.com/quote/BTC-USD/history/?frequency=1d&period1=1420070400&period2=1422748800 、https://finance.yahoo.com/quote/BTC-USD/history/?frequency=1d&period1=1512086400&period2=1514764800 、https://finance.yahoo.com/quote/BTC-USD/history/?frequency=1d&period1=1543622400&period2=1546300800 、https://finance.yahoo.com/quote/BTC-USD/history/?frequency=1d&period1=1635724800&period2=1638316800 、https://finance.yahoo.com/quote/BTC-USD/history/?frequency=1d&period1=1667260800&period2=1669852800
- Bitcoin highest closing price in 2013(StatMuse Money)https://www.statmuse.com/money/ask/bitcoin-highest-closing-price-in-2013
- Spot Bitcoin ETFs One Year After US Launch: Here’s How Funds Have Fared So Far(NewsBTC、ch 転載、2025年1月12日)https://finanzen.ch/nachrichten/devisen/spot-bitcoin-etfs-one-year-after-us-launch-heres-how-funds-have-fared-so-far-14145029
- 2026 Digital Asset Outlook: Dawn of the Institutional Era(Grayscale Research、2025年12月15日更新)https://research.grayscale.com/reports/2026-digital-asset-outlook-dawn-of-the-institutional-era
- Bitwise CIO says bitcoin will break 4-year cycle and set new all-time highs in 2026(The Block、2025年12月16日)https://www.theblock.co/post/382690/bitwise-cio-bitcoin-break-4-year-cycle-new-all-time-highs-2026
- ‘Not a crypto winter, just a cold breeze’: Standard Chartered halves 2025 bitcoin target to $100K, but keeps long-term bull case(The Block、2025年12月9日)https://www.theblock.co/post/381892/not-crypto-winter-standard-chartered-halves-2025-bitcoin-target-to-100k-keeps-long-term-bull-case
- 26 Bold Predictions for Crypto in 2026: Bitcoin, DeFi, Stablecoins, and AI(Galaxy Research、2025年12月18日)https://www.galaxy.com/insights/research/predictions-2026-crypto-bitcoin-defi
- Bitcoin’s Four-Year Cycle Broken: VanEck(Decrypt、2026年1月13日)https://decrypt.co/354389/bitcoins-four-year-cycle-broken-vaneck
- Fidelity macro lead calls $65K Bitcoin bottom in 2026, end of bull cycle(Cointelegraph、2025年12月19日)https://cointelegraph.com/news/fidelity-macro-lead-65k-bitcoin-bottom-2026
- BTC drops below $80,000 following $1.6 billion in monthly ETF outflows, third-worst month on record(The Block、2026年1月31日)https://www.theblock.co/post/387923/btc-drops-below-80000
- Strategy Form 8-K(Strategy、2026年1月26日)https://assets.contentstack.io/v3/assets/bltf8d808d9b8cebd37/blt38c73b77a3b1661a/6976b57244632962826a47eb/form-8-k_01-26-2026.pdf
- Bitcoin purchases(Strategy、2026年1月26日までの購入を参照)https://www.strategy.com/purchases
- Strategy Tops 40,000 Bitcoin in January Alone(BitcoinTreasuries、2026年1月26日)https://newsletter.bitcointreasuries.net/p/strategy-tops-40-000-bitcoin-in-january-alone-here-s-where-it-s-going
- Announces Results of the Consultation on the Treatment of Digital Asset Treasury Companies(MSCI、2026年1月6日)https://app2.msci.com/webapp/index_ann/DocGet?pub_key=DD3Olh5uInk%3D&lang=en&format=html
- FOMC statement(Federal Reserve、2026年1月28日)https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20260128a.htm
- Open Market Operations(Federal Reserve、2025年12月11日までの変更を参照)https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/openmarket.htm
- 金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」報告(金融庁、2025年12月10日)https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20251210/01.pdf
- 金融庁、資金調達目的の暗号資産発行者への情報開示義務化へ=報道(CoinPost、2025年11月17日)https://coinpost.jp/?p=666837
- 令和8年度税制改正の大綱(閣議決定、財務省、2025年12月26日)https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/20251226taikou.pdf































