東雲結子:石井先生、動物園のクマ舎に「冬眠中のため、春まで展示を休止しています」と貼り紙がありました。ビットコインも今はベア相場、クマの季節ですよね。起きる日がわかれば、カレンダーに花丸をつけて待ちます!
税理士石井:花丸の用意が早いですね。ただ、ベテランの飼育員さんでも、クマが目を覚ます日を一日単位で当てるのは難しいと思いますよ。
東雲結子:えっ、でも過去の記録がありますよね。天井から底までは364日、378日、406日。2025年10月6日の天井に足すと、2026年の10月から11月です。もう花丸の位置まで決まりました!
税理士石井:うーん、その足し算は、この回でもそのまま使います。ただ、記録はたった3回分なんです。3回分の寝起きの記録だけで目覚まし時計をセットするのは、なかなか勇気がいります。
東雲結子:3回分……。私の寝坊の記録のほうが、よっぽどデータが豊富です(汗)。
税理士石井:ははは、そこは胸を張るところではありませんね。深さも見てみましょう。2026年1月31日の終値は78,621ドルで、天井から117日で−36.98%。2021年のサイクルも、同じくらいの日数では−36%でしたが、底は天井から−77%まで沈みました。
東雲結子:ええっ、今とそっくりな位置から、まだそんなに……。クマはまだ、冬眠用の布団を敷いている途中かもしれないんですね。
税理士石井:そうかもしれないし、もう寝返りを打って起きかけているのかもしれません。大家業でいえば、空室が出たときに「前回は3か月で埋まった」と決めつけるようなものです。近くに新築が3棟建てば、前回の記録は当てになりません。
東雲結子:じゃあ、起きる日を一つに決めないで、「過去どおり深く眠る」「浅い眠りで済む」「そもそも冬眠しない」に分けて考えるんですね。
税理士石井:そうです。過去並みに深く落ちる道、4年のリズムは続くけれど浅く済む道、サイクルそのものが崩れる道。3つのシナリオを当ブログの仮定として並べ、それぞれが崩れる条件まで確かめていきましょう。
連載の第7回は、いちばんよく聞かれる問い、「ビットコイン(BTC)の次の底は、いつ、どこまで下がるのか」を考えます。ビットコインの今後を予想する声は、年末年始にかけて数多く出ました。ただ、この回で示すのは予想ではありません。過去3回のサイクルの日数と下落率を、2025年10月6日の天井に当てはめた、当ブログの仮定と試算です。
価格は断りがない限り、Yahoo Finance(CoinMarketCapのデータ)による協定世界時(UTC)の日足終値で、ドル建てです。使うのは2026年1月31日の終値までで、天井は暫定、底は未確定として扱います。3つのシナリオと、それぞれを崩す条件を確かめたうえで、最後に仮想通貨(暗号資産)や関連株を持つ人・眺める人の、投資の目線でも数字を読み直します。
| この記事の要点 | 根拠となる数字 |
| 2026年1月末は天井から117日で−36.98%。同じくらいの日数での下げは、2021年のサイクル(−36.07%)に近い | 1月31日の終値78,621.12ドル。2013年は−60.30%、2017年は−52.61〜−64.23%(いずれも月末終値での近似) |
| 過去3回を当てはめたS-Aでは、底は2026年10月5日〜11月16日、価格は約1万9,300〜2万9,200ドル | 天井→底は364〜406日、下落率は−76.63〜−84.53%(終値) |
| 浅い底のS-Bは6.5万〜7.5万ドル。サイクルが崩れるS-Cでは、天井を取り戻すのに+58.68%が要る | S-Bはフィデリティのティマー氏「Support is at $65-75k.」(2025年12月18日)で、天井比−39.88〜−47.90% |
| 投資の目線:1月末の終値から見たシナリオの幅は、下に−75.45%、上に+58.68%。過去の日数は約束ではない | S-A −62.92〜−75.45%、S-B −4.61〜−17.33%、S-C +58.68%(1月31日の終値比、当ブログの試算) |
2026年1月末のビットコインは、天井から117日で−36.98%の位置にいる
まず、出発点を確かめます。
| 項目 | 値(ドル) | 日付・計算 |
| 天井の終値(暫定) | 124,752.53 | 2025年10月6日 |
| 天井の日中高値 | 126,198.07 | 2025年10月6日 |
| 2025年12月31日の終値 | 87,508.83 | ― |
| 1月の最高値(終値) | 96,929.33 | 2026年1月14日 |
| 1月31日の終値(1月の最安終値) | 78,621.12 | 1月の騰落率は−10.16% |
| 1月31日の日中安値 | 75,815.88 | 日中高値からは−39.92% |
| 天井の終値からの下落率 | −36.98% | 78,621.12÷124,752.53−1(117日) |
※数値はYahoo Finance(CoinMarketCapのデータ)の日足で、協定世界時。日中高値(126,198.07ドル)と比べた1月31日の終値は−37.70%。
2025年10月6日の終値124,752.53ドルが、2026年1月31日時点での史上最高値(ATH)です。その後の終値の最安は2025年11月22日の84,648.36ドルでしたが、1月31日の78,621.12ドルがこれを下回りました。天井から117日で36.98%の下落です。
1月だけを見ても、14日の終値96,929.33ドルから月末まで18.89%下げています(当ブログの計算)。1月31日には、ビットコインが2025年4月以来初めて8万ドルを割り込んだと報じられました(The Block、2026年1月31日)。
ここで、但し書きを二つつけておきます。一つは、天井はあくまで暫定だということ。これを上回る終値が出れば、この回の計算の出発点そのものが変わります。もう一つは、底がまだ確認されていないことです。1月31日の終値は1月の最安値でもあり、ここが底かどうかは、この時点では誰にもわかりません。
終値と日中の値の違いにも注意が要ります。日中の高値126,198.07ドルから1月31日の日中安値75,815.88ドルまでで測ると、下げ幅は39.92%まで広がります。どちらの物差しの数字かをそろえないと、同じ相場の話で「−37%」と「−40%」が混ざってしまいます。
円建てでは、景色が少し違います。CoinMarketCapのデータを円に換算したYahoo Financeの系列(日本の取引所の価格ではありません)では、天井は2025年10月8日の終値18,838,562円、1月31日の終値は12,166,224円で、円建ての下落率は35.42%にとどまりました。1月31日の終値から逆算したドル円は約154.7円で、円安の分だけ、円建ての下げはドル建てより小さく見えています。
用語メモ:ATH=史上最高値(All-Time High)。終値=その日の最後の価格。ビットコインは24時間取引のため、データ提供サイトは協定世界時(UTC)の一日の終わりの価格を終値としています。日中高値・安値=その日のうちについた最も高い・安い価格。
天井から同じ日数で比べると、今回の下げ方は2021年のサイクルに近い
過去のサイクルで、天井から同じくらいの日数がたった時点の下落率を並べてみます。古い時期は日足のデータがそろわないため、月末の終値で近似しています。
| サイクル | 天井(終値) | 観測した月末の終値 | 天井からの日数 | 下落率 |
| 2013年 | 1,151.17ドル(2013年12月4日) | 457.00ドル(2014年3月31日) | 117日 | −60.30% |
| 2017年 | 19,497.40ドル(2017年12月16日) | 6,973.53ドル(2018年3月31日) | 105日 | −64.23% |
| 2017年 | 同上 | 9,240.55ドル(2018年4月30日) | 135日 | −52.61% |
| 2021年 | 67,566.83ドル(2021年11月8日) | 43,193.23ドル(2022年2月28日) | 112日 | −36.07% |
| 2025年〜(暫定) | 124,752.53ドル(2025年10月6日) | 78,621.12ドル(2026年1月31日) | 117日 | −36.98% |
※月末終値による近似で、日数はそろっていない。2013年の天井と2014年3月の値はStatMuse(二次資料)、それ以外はYahoo Finance(CoinMarketCapのデータ)。下落率=観測した終値÷天井の終値−1。
2013年と2017年のサイクルは、天井から105〜135日の時点で、すでに−52.61〜−64.23%まで落ちていました。それに比べると、今回の−36.98%は浅く、2021年のサイクルの−36.07%とほぼ同じ位置です。
ここで早合点しやすいのが、「今回は下げが緩やかだから、底も浅く済むだろう」という読み方です。2021年のサイクルを思い出してください。天井から112日の−36.07%は今回とそっくりですが、その後も下げは続き、2022年11月21日に天井比76.63%安の15,787.28ドルで底をつけました。
つまり、117日目の位置だけでは、どの道に進むかは決まりません。下げ始めの速さが似ていても、その先の深さまで似るとは限らない、というのが当ブログの見方です。だからこそ、一本の予想線ではなく、いくつかの道を並べておく意味があります。
今回の下げは、強気相場の途中の調整より、すでに深い
強気相場の途中にも、大きな下げはありました。天井に向かう年の中で、終値の直近の高値から20%以上下げた局面のうち、それぞれ最も大きかったものは、2013年が−70.12%、2017年が−35.51%、2021年が−53.06%、2024〜25年が−28.14%です(いずれも終値)。
今回の天井に向かう途中で最も大きかったのは、2025年1月21日の106,146.27ドルから4月8日の76,271.95ドルまでの−28.14%で、5月18日には高値を更新しました。1月31日の−36.98%は、この調整の深さをすでに超えています。
強気相場の途中の下げは、どれも、のちに高値を取り戻した「途中の谷」でした。今回の下げが、今回の強気相場の途中で最も大きかった下げ(−28.14%)を上回ったことは、相場の性格が変わった一つの目安になる、と当ブログは見ています。
ただし、2021年には、4月13日から7月20日までに−53.06%下げたあと、10月19日に高値を更新した例もあります。下げの深さだけで天井を確定することはできない、という点も忘れないでおきたいところです。
過去3回の底は、天井から364〜406日後、天井比で−76.63〜−84.53%だった
次に、底そのものを並べます。2012年に最初の半減期を迎えてから、天井から底までを一巡したサイクルは3回あります。
| サイクル | 直前の半減期 | 天井(終値) | 底(終値) | 下落率(終値) | 天井→底 |
| 2013〜15年 | 2012年11月28日 | 1,151.17ドル(2013年12月4日) | 178.10ドル(2015年1月14日) | −84.53% | 406日 |
| 2017〜18年 | 2016年7月9日 | 19,497.40ドル(2017年12月16日) | 3,236.76ドル(2018年12月15日) | −83.40% | 364日 |
| 2021〜22年 | 2020年5月11日 | 67,566.83ドル(2021年11月8日) | 15,787.28ドル(2022年11月21日) | −76.63% | 378日 |
| 2025年〜(暫定) | 2024年4月20日 | 124,752.53ドル(2025年10月6日) | 未確定 | −36.98%(1月31日) | 117日経過 |
| (参考)2011年 | なし | 30.06ドル(2011年6月9日) | 2.05ドル(2011年11月18日) | −93.18% | 162日 |
※日足終値、協定世界時。2011年と2013年の天井はStatMuseなどの二次資料で、取引所によって値が違う(2011年はマウントゴックスの日中高値31.91ドル、2013年はマウントゴックスの1,242ドルという記録もある)。下落率=底÷天井−1、日数は暦日の差。
3回の下げ幅は、84.53%、83.40%、76.63%と少しずつ縮み、平均は81.52%でした。天井から底までの日数は364〜406日で、平均は382.67日です。日中の値で測ると、下落率は−85.17%、−84.11%、−77.32%と、少し深くなります。シナリオでは、天井も底も終値で測った数字を使います。
2011年のサイクルは、天井から162日で−93.18%という、もっと激しい下げでした。ただ、これは半減期より前で、市場の規模もごく小さく、価格も二次資料に頼るしかありません。そのため、シナリオの根拠からは外しています(含めると下落率の平均は−84.44%)。
大家業の感覚でいえば、半減期は「新築の供給が半分になる」ようなものです。供給が細れば、家賃は上がりやすくなります。けれど、借り手が去れば話は別です。過去3回は、天井から1年ほどのあいだに、家賃相場の急落と空室がまとめてやってくる形でした。4年サイクルの仕組みそのものは、連載でサイクルの全体像を取り上げる回で詳しく扱います。
用語メモ:半減期=ビットコインを新しく発行するペース(ブロックごとの報酬)が半分になるしくみ。21万ブロックごとに起き、過去は2012年、2016年、2020年、2024年でした。ベア相場=下落が続く相場のこと。上昇相場はブル相場と呼びます。
名前のある見方は、「4年サイクルは続く」と「崩れる」に割れている
2026年に向けて、運用会社や銀行、調査会社から見通しが出そろいました。2026年1月31日までに公表されたものを、サイクルについての立場で分けると、次のようになります(立場の分け方は当ブログによる)。
| 機関・人物 | 公表日 | サイクルについて | 原文(抜粋) |
| グレースケール | 2025年12月15日 | 崩れる | ‘2026 will mark the end of the apparent four-year cycle.’ |
| ビットワイズ(ホーガン氏) | 2025年12月16日 | 崩れる | 2026年に最高値を更新し、4年サイクルに従わないとの見方(The Blockの要約) |
| スタンダードチャータード | 2025年12月9日 | 崩れる | ‘With the advent of ETF buying, we think the BTC halving cycle is no longer a relevant price driver.’ |
| ヴァンエック | 2026年1月のノート(Decryptの1月13日の報道) | 崩れた(Decryptの要約) | ‘more cautious near-term outlook over the next three to six months’ |
| フィデリティ(ティマー氏) | 2025年12月18日 | 続く | ‘2026 could be a “year off”’ / ‘Support is at $65-75k.’ |
| ギャラクシー・リサーチ | 2025年12月18日 | 明言なし | ‘2026 could be a boring year for Bitcoin, …’ |
※グレースケールとギャラクシー・リサーチは会社の公表資料(一次資料)。ほかは報道などによる二次資料(ビットワイズとスタンダードチャータードはThe Block、ヴァンエックはDecrypt、ティマー氏はX(旧ツイッター)への投稿をCointelegraphが報道)。
「崩れる」側の理由は機関ごとに違い、ETF(上場投資信託)による買いを前面に出したのはスタンダードチャータードです(グレースケールは価値の保存先を求める需要と規制の明確化、ビットワイズは半減期の影響の低下や利下げの見通しなどを挙げています)。スタンダードチャータードは「ETFによる買いが登場したことで、BTCの半減期サイクルはもはや価格を動かす要因ではないと考える」(英文を当ブログが訳出)と書きました。グレースケールも「2026年は、見かけ上の4年サイクルが終わる年になる」(同)としています。
「続く」側のフィデリティのティマー氏は、2025年12月18日の投稿で、2026年は「休みの年」になりうると書き、「支持線は6万5,000〜7万5,000ドル」(いずれも英文を当ブログが訳出、Cointelegraphの報道による)と示しました。ギャラクシー・リサーチは立場を明言していませんが、「BTCが10万〜10万5,000ドルの上にしっかり戻るまでは、目先のリスクは下向きに残ると感じている」(同)と慎重です。
1月31日までの値動きは、「続く」側の想定に近く見えます。ただ、これは結果論で、どちらの見方が当たったかを判断するものではありません(当ブログの見方)。ギャラクシー・リサーチのように、サイクルについて明言しない見方もあります。見方は、一本の線できれいに分けられるものでもないのです。
見通しは、出した側でも書き換えられます。スタンダードチャータードは2025年12月9日のノートで、2025年末の目標を20万ドルから10万ドルへ引き下げ、「これまでの短期の目標は誤りだった」(英文を当ブログが訳出、The Blockの報道による)と書いています。名前のある見方を引くときは、いつ出された見方かとあわせて読む必要があります。
ビットコインの今後を3つのシナリオで置く:過去並み、浅い底、サイクルの崩れ
ここからが、当ブログのシナリオです。出発点は天井の終値124,752.53ドル(2025年10月6日、暫定)。どれかを本命と考えているわけではなく、確率もつけていません。
| 当ブログの仮定 | S-A「4年サイクルどおり、過去並みの下落」 | S-B「4年のリズムは続くが、下落は浅い」 | S-C「サイクルが崩れる」 |
| 底の時期 | 天井+364〜406日=2026年10月5日〜11月16日(2021年型の378日なら10月19日) | S-Aと同じ | 深い下落はない |
| 底の深さ(天井比) | −76.63〜−84.53% | −39.88〜−47.90% | ― |
| 価格 | 19,299.22〜29,154.67ドル(2017年型の−83.40%なら20,708.92ドル) | 65,000〜75,000ドル | 天井の回復に+58.68%、15万ドルまで+90.79% |
| 1月31日の終値から | −62.92〜−75.45% | −4.61〜−17.33% | 天井の日中高値までなら+60.51% |
| 根拠 | 過去3回の天井→底(終値) | フィデリティのティマー氏「Support is at $65-75k.」(2025年12月18日、二次資料) | グレースケール、ビットワイズ、スタンダードチャータードの見方(2025年12月) |
※当ブログの試算で、予想ではない。S-Aの価格=124,752.53×(1+下落率)。S-Bの深さ=65,000÷124,752.53−1、75,000÷124,752.53−1。S-Cの上昇率=124,752.53÷78,621.12−1、150,000÷78,621.12−1。15万ドルはスタンダードチャータードの2026年末の目標で、当ブログの目標価格ではない。

図は、各サイクルの月末の終値を、天井の日の終値で割って100倍し、天井の月から24か月後まで重ねたものです。薄い灰色が2013年、中くらいの灰色が2017年、濃い灰色が2021年のサイクルで、オレンジの太い線が今回です。今回の線は3か月目、つまり1月31日に天井の63.0%の水準まで下がり、2021年の線(63.93)とほぼ重なっています。
過去の3本の線は、どれも天井の月から13か月目の月末がいちばん低く、天井の17.73〜24.49%でした。灰色の帯は、S-AとS-Bに共通する底の時期の目安です。帯の中の下の枠がS-A、上の枠がS-B。枠は日足の終値で測った底の深さなので、月末の線より少し低めに描かれています。3か月目から上へ伸びる点線の矢印がS-Cで、天井を終値で取り戻すには+58.7%の上昇が要ることを示しています。
S-Aは、過去3回の天井から底までの日数と下落率を、そのまま今回に当てはめた道です。底の時期は2026年10月5日〜11月16日、価格は約1万9,300〜2万9,200ドル。1月31日の終値から、さらに62.92〜75.45%下がる計算です。最も浅かった2021〜22年の−76.63%を当てはめても、29,154.67ドルになります。
S-Bは、4年のリズム、つまり底の時期は続くものの、下げは浅く済む道です。深さは、ティマー氏が示した支持線の6.5万〜7.5万ドルに置きました。名前のある見方に置いた仮定で、当ブログの目標価格ではありません。天井比では−39.88〜−47.90%です。
S-Bの範囲には、すでに手が届きかけています。1月31日の日中安値75,815.88ドルは、7.5万ドルをわずか1.09%上回る水準で、終値でも4.83%上にすぎません。S-Bが正しいなら、残りの下げは1月31日の終値から4.61〜17.33%という計算になります。
S-Cは、深い下落がないまま、2026年のうちに最高値を更新する道です。グレースケールは「ビットコインの価格は、上半期に史上最高値を更新する可能性が高い」(英文を当ブログが訳出)と書き、スタンダードチャータードは2026年末の目標を15万ドルとしています(2025年12月9日、The Blockの報道による)。そのためには、1月31日の終値から58.68%の上昇で天井を取り戻す必要があり、15万ドルなら90.79%の上昇です。
3つの道を1月31日の終値から眺めると、下は−75.45%、上は+90.79%(15万ドルの場合)。大家業でいえば、来年の家賃相場が「今の4分の1」から「2倍近く」までの幅で読める物件のようなものです。一つの数字を置いて安心できる相場ではない、というのが正直なところです(当ブログの見方)。
シナリオを崩すのは、ETFの資金、企業の買い、金利、そして信用の事故
3つのシナリオは、どれも崩れうる前提の上に立っています。2026年1月31日までに確かめられた事実をもとに、崩れる条件を並べます。
| シナリオ | 崩れる条件 | 2026年1月31日までの事実 |
| S-A | 底が−76.63%より浅い | 米国の現物ビットコインETFの累積純流入は、2024年末の352.4億ドルから2025年末の約566.1億ドルへ。ストラテジー(旧マイクロストラテジー)は1月に40,147BTCを購入 |
| S-A | 底が−84.53%より深い | 上場企業の上位100社の保有の63.2%がストラテジー。FTXの破綻時は2日で−22.92%。2025年10月10〜11日は24時間で190億ドル超の清算 |
| S-A | 底の時期がずれる | 根拠は3回だけ(364日、378日、406日)。2011年は162日 |
| S-B | 終値で6.5万ドルを割る | 1月のETFは約16億ドルの純流出(月間で過去3番目)。1月31日の終値は、ストラテジーの平均取得単価を3.40%上回るだけ |
| S-A・S-B | 2026年に最高値を更新する(S-Cへ) | グレースケール、ビットワイズ、スタンダードチャータードの見方 |
| S-C | 2026年に天井の終値を超えない | ギャラクシー・リサーチは10万〜10.5万ドルの回復まで下振れを警戒。ヴァンエックは3〜6か月は慎重。ティマー氏は「year off」 |
| S-C | ETFの流出が続く | 累積純流入は約566.1億ドル(12月31日)から555.16億ドル(1月29日)へ。1月29日は1日で8.18億ドルの流出 |
| S-C | 金利が支えにならない | 1月28日のFOMCは3.50〜3.75%で据え置き。2025年8月末から2026年1月末まで、利下げの局面で−27.36%(月末終値) |
| S-C | 企業の買いが細る | スタンダードチャータード「Bitcoin buying by DATs has run its course.」。MSCIは非事業会社の扱いを広く協議する予定 |
※ETFの数字はSoSoValueの集計を報じた二次資料による(2024年末はCryptoSlate、12月31日はThe Coin Republicの記事から当ブログが計算した値、1月29日はPANews、1月の月間はThe Block)。上位100社の保有はBitcoinTreasuriesのデータ(二次資料)。
いちばん気になるのは、新しい買い手が売る側に回る展開です。ストラテジー(旧マイクロストラテジー)は、2026年1月25日時点で712,647BTCを持ち、平均取得単価は76,037ドルでした(1月26日の8-K=米国の臨時報告書)。1月31日の終値は、これを3.40%上回るだけで、日中の安値75,815.88ドルは平均取得単価を下回りました。
平均取得単価を割ったからといって、会社が売るとは限りません。それでも、上場企業の上位100社の保有1,127,981BTC(2026年1月26日)の63.2%を1社が持つという買い手の集中は、S-Aより深い底を考えるときの材料になります。同じエリアの大口のオーナーの持ち分のうち6割を一人が占め、その人の資金繰りが相場に響きやすい状態に近い、と私は感じます。
レバレッジの清算も、底を深くしうる要因です。2025年10月10〜11日には、24時間で190億ドル超、160万人超が強制的に清算されました(CoinGlassのデータ、報道による)。レバレッジの清算は、ローンの返済が回らない物件の投げ売りに似ています。相場に関係なく売りが出て、それがまた次の売りを呼ぶので、過去の平均より深い谷ができやすい(当ブログの見方)。
用語メモ:ETF=上場投資信託。米国では2024年1月11日に、現物のビットコインを持つETFの取引が始まりました。レバレッジ=証拠金を担保に、手元の資金より大きな金額を取引すること。清算(ロスカット)=損失で証拠金が足りなくなったとき、取引所が強制的に持ち高を決済すること。DAT=デジタル資産トレジャリー企業(ビットコインなどを財務の柱として大量に持つ会社)。MSCI=世界の株価指数をつくる米国の会社。
金利も、一方向の支えにはなっていません。FRB(米連邦準備制度理事会)は2025年9月から12月に3回の利下げを行いましたが、2025年8月末から2026年1月末まで、ビットコインの月末終値は27.36%下がりました。1月28日のFOMC(米連邦公開市場委員会)は、政策金利であるFF金利の誘導目標を3.50〜3.75%で据え置き、声明はインフレが「やや高い水準にある」(英文を当ブログが訳出)としています。
取引所や発行体の信用の事故も、過去の深い下げのたびに顔を出してきました。過去の暴落を取り上げる回で詳しく見ますが、FTXトレーディングの破綻(2022年11月)では、ビットコインは11月7日から9日の2日間で22.92%下がっています。こうした出来事は、日数の目安をずらしたり、底を深くしたりする方向に働きえます。
投資の目線で読む:1月末の終値から、下は−75%、上は+59%という幅
ここからは、仮想通貨やその関連株を持っている人、これから眺めていく人にとって、この試算が何を意味するかを考えます。売り買いの判断ではなく、値動きの性格と、確かめておきたい点の整理です。
まず、値動きの幅です。1月31日の終値から見ると、S-Aならさらに62.92〜75.45%の下落、S-Bでも4.61〜17.33%の下落、S-Cなら天井の回復までに58.68%の上昇。これだけ幅のある道が、どれも過去のデータか名前のある見方で説明できてしまうのが、ビットコインの現在地です。
持つのであれば、その幅の下の端に来ても、生活や事業が揺らがない金額かどうか。これが最初の物差しになると思います。過去3回の底は、どれも天井から364日以上あとで、そこに至るまでの道のりにも大きな上下がありました。
次に、関連株の価格に織り込まれているものです。ストラテジーやメタプラネットのように、ビットコインを大量に持つ会社の株は、ビットコインの値動きに、会社の資金調達や借入の重さが上乗せされて動きます。ストラテジーの平均取得単価は76,037ドル、メタプラネットは1BTCあたり15,945,691円(2025年12月30日の開示)です。
メタプラネットの平均取得単価に対して、1月31日の円建ての終値(CoinMarketCapの換算)は23.70%低い水準でした。S-Aの価格帯なら、2社とも平均取得単価を大きく下回る計算です。こうした会社の決算や資金調達は、メタプラネットの決算を読む別の連載や、米国の暗号資産関連株を読む別の連載で詳しく扱っています。
アルトコインを持つ人は、さらに深い谷を想定しておく必要があります。1月31日の終値は、それぞれの終値の最高値(2025年)から、イーサリアム(ETH)が−49.39%、XRP(エックスアールピー)が−53.72%、ソラナ(SOL)が−59.74%と、ビットコインの−36.98%より深く下がっていました。
2021〜22年のサイクルでも、天井から底までの下落はイーサリアムが−79.35%、ソラナが−96.27%と、ビットコインの−76.63%より深かったのです。アルトコインの天井と底は、アルトコインを取り上げる回で詳しく見ます。
| 確かめる点 | 2026年1月時点の数字 | 当ブログの見方 |
| 米国の現物ビットコインETFの資金 | 1月は約16億ドルの純流出。累積は555.16億ドル(1月29日) | 流出が続けば、S-Cの前提が崩れやすい |
| ストラテジーの買いと平均取得単価 | 712,647BTC、平均76,037ドル(1月25日時点) | 終値が平均取得単価を下回り続けるかは、S-Aより深い底を考える材料 |
| FOMCの決定 | 3.50〜3.75%で据え置き(1月28日) | 利下げ中にも下がった。金利だけでは底の時期は読めない |
| レバレッジと清算 | 2025年10月10〜11日に24時間で190億ドル超 | 清算が重なると、過去の平均より深い谷になりうる |
| 底の時期の目安 | 2026年10月5日〜11月16日(S-A・S-B) | 3回のデータの当てはめで、約束ではない |
そして、借入の扱いです。−37%の下げは、現物だけで持っていれば値下がりにとどまりますが、証拠金取引や借入で持っていれば、途中で強制的に決済されて損が確定しかねません。期間と借入の重さを、シナリオの幅と並べて見ておきたいところです。
税金の面では、今の日本のルールでは、原則として雑所得になる仮想通貨の損失は、給与所得など他の所得と差し引きできません(国税庁のFAQ)。下げの年に売って損が出たときの扱いは、仮想通貨の税金を取り上げる回で詳しく見ます。
次の底の「日付」を当てるより、シナリオが崩れる合図を見張る
2026年1月31日、ビットコインは天井から117日で−36.98%の位置にいました。過去3回の日数と下落率を当てはめると、底は2026年10月5日〜11月16日、約1万9,300〜2万9,200ドル(S-A)。名前のある見方に置いた浅い底なら6.5万〜7.5万ドル(S-B)。サイクルが崩れて最高値を更新する道なら、まず58.68%の上昇が要ります(S-C)。いずれも当ブログの仮定と試算です。
過去から持ち帰れるのは、日付そのものより、「どんな条件がそろったときに、どれくらい深く、長く落ちたか」です。2021年のサイクルが教えてくれるとおり、下げ始めの速さが似ていても、行き着く先まで似るとは限りません。
これから見ていきたいのは、米国の現物ETFの資金の出入り、ストラテジーなど企業の買いと平均取得単価、FOMCの決定、清算の規模、そして日本の金商法(金融商品取引法)の改正案の行方です。数字が動いたとき、3つのうちどのシナリオの前提が崩れたのかを確かめていけば、相場の上下に振り回されにくくなるはずです(当ブログの見方)。
大家として何度か相場の波をくぐってきて思うのは、谷の深さを言い当てることより、谷の底でも手放さずに済む持ち方をしておくことのほうが、ずっと効くということです。2028年の半減期から、その次の上昇の時期を考える回、4年サイクルの仕組みを取り上げる回、ETFと企業の大量保有を取り上げる回、仮想通貨の税金を取り上げる回もあわせてどうぞ。
※本記事は公表資料をもとにした情報提供を目的としたもので、暗号資産(仮想通貨)や特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。価格の時期やシナリオは、過去のデータに当ブログが置いた前提を当てはめた試算で、将来の価格を予想・保証するものではありません。暗号資産は価格の変動が大きく、投資した金額を大きく下回ることがあります。
※価格は暗号資産のデータ提供サイトの日足終値(協定世界時)などの公表資料をもとに当ブログが集計・計算したもので、四捨五入の関係で合計が合わない場合があります。数値は2026年1月31日までに公表・観測されたもので、時点は本文・表に記載しています。税制は2026年1月31日時点の法令にもとづき、令和8年度税制改正大綱の内容は今後の法改正で決まります。
出典・参考
- ビットコイン価格(日足、2026年1月):Yahoo Finance「BTC-USD」履歴データ(CoinMarketCapのデータ、2026年1月31日の終値まで)https://finance.yahoo.com/quote/BTC-USD/history/?frequency=1d&period1=1767225600&period2=1769904000
- ビットコイン価格(日足、2025年):Yahoo Finance「BTC-USD」履歴データ https://finance.yahoo.com/quote/BTC-USD/history/?frequency=1d&period1=1735689600&period2=1767225600
- ビットコイン価格(月足、2014年9月〜2025年12月):Yahoo Finance「BTC-USD」履歴データ https://finance.yahoo.com/quote/BTC-USD/history/?frequency=1mo&period1=1388534400&period2=1767225600
- ビットコイン価格(日足、2015年1月・2017年12月・2018年12月・2021年11月・2022年11月):Yahoo Finance「BTC-USD」履歴データ https://finance.yahoo.com/quote/BTC-USD/history/?frequency=1d&period1=1420070400&period2=1422748800 、https://finance.yahoo.com/quote/BTC-USD/history/?frequency=1d&period1=1512086400&period2=1514764800 、https://finance.yahoo.com/quote/BTC-USD/history/?frequency=1d&period1=1543622400&period2=1546300800 、https://finance.yahoo.com/quote/BTC-USD/history/?frequency=1d&period1=1635724800&period2=1638316800 、https://finance.yahoo.com/quote/BTC-USD/history/?frequency=1d&period1=1667260800&period2=1669852800
- Bitcoin highest closing price in 2013(StatMuse Money)https://www.statmuse.com/money/ask/bitcoin-highest-closing-price-in-2013
- Bitcoin monthly closing price 2014(StatMuse Money)https://www.statmuse.com/money/ask/bitcoin-monthly-closing-price-2014
- Bitcoin highest closing price in 2011(StatMuse Money)https://www.statmuse.com/money/ask/bitcoin-highest-closing-price-in-2011
- Bitcoin lowest closing price from June 10, 2011 to December 31, 2011(StatMuse Money)https://www.statmuse.com/money/ask/bitcoin-lowest-closing-price-from-june-10-2011-to-december-31-2011
- 円建てビットコイン価格(日足、2025年10月・2026年1月):Yahoo Finance「BTC-JPY」履歴データ(CoinMarketCapの円換算)https://finance.yahoo.com/quote/BTC-JPY/history/?frequency=1d&period1=1759276800&period2=1760572800 、https://finance.yahoo.com/quote/BTC-JPY/history/?frequency=1d&period1=1767225600&period2=1769904000
- 半減期のブロック:com Explorer「Bitcoin block 840,000」https://www.blockchain.com/explorer/blocks/btc/840000
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- Bitwise CIO says bitcoin will break 4-year cycle and set new all-time highs in 2026(The Block、2025年12月16日)https://www.theblock.co/post/382690/bitwise-cio-bitcoin-break-4-year-cycle-new-all-time-highs-2026
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- Bitcoin’s Four-Year Cycle Broken: VanEck(Decrypt、2026年1月13日)https://decrypt.co/354389/bitcoins-four-year-cycle-broken-vaneck
- Fidelity macro lead calls $65K Bitcoin bottom in 2026, end of bull cycle(Cointelegraph、2025年12月19日)https://cointelegraph.com/news/fidelity-macro-lead-65k-bitcoin-bottom-2026
- 26 Bold Predictions for Crypto in 2026: Bitcoin, DeFi, Stablecoins, and AI(Galaxy Research、2025年12月18日)https://www.galaxy.com/insights/research/predictions-2026-crypto-bitcoin-defi
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- Bitcoin ETF outflows hit $426M as 2024 ends with a market shake-up(CryptoSlate、2024年12月31日)https://cryptoslate.com/insights/bitcoin-etf-outflows-hit-426m-as-2024-ends-with-a-market-shake-up/
- Bitcoin ETFs post net outflows on New Year’s Eve, shed over $1B in December(The Coin Republic、2026年1月2日)https://www.thecoinrepublic.com/2026/01/02/bitcoin-etfs-post-net-outflows-on-new-years-eve-shed-over-1b-in-december/
- 米国の現物ビットコインETF 1月29日の資金フロー(PANews、MEXC News 転載、2026年1月30日)https://www.mexc.com/news/593386
- Strategy Form 8-K(Strategy、2026年1月26日)https://assets.contentstack.io/v3/assets/bltf8d808d9b8cebd37/blt38c73b77a3b1661a/6976b57244632962826a47eb/form-8-k_01-26-2026.pdf
- Bitcoin purchases(Strategy、2026年1月26日までの購入を参照)https://www.strategy.com/purchases
- Strategy Tops 40,000 Bitcoin in January Alone(BitcoinTreasuries、2026年1月26日)https://newsletter.bitcointreasuries.net/p/strategy-tops-40-000-bitcoin-in-january-alone-here-s-where-it-s-going
- ビットコインの追加購入に関するお知らせ (2025年度第4四半期・通期)(メタプラネット、2025年12月30日)https://www2.jpx.co.jp/disc/33500/140120251229527954.pdf
- Announces Results of the Consultation on the Treatment of Digital Asset Treasury Companies(MSCI、2026年1月6日)https://app2.msci.com/webapp/index_ann/DocGet?pub_key=DD3Olh5uInk%3D&lang=en&format=html
- FOMC statement(Federal Reserve、2026年1月28日)https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20260128a.htm
- Open Market Operations(Federal Reserve、2025年12月11日までの変更を参照)https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/openmarket.htm
- Crypto crash: $19 bn wiped out as Trump’s 100% China tariff sparks largest liquidation in history(Business Today、2025年10月11日)https://www.businesstoday.in/personal-finance/investment/story/crypto-crash-19-bn-wiped-out-as-trumps-100-china-tariff-sparks-largest-liquidation-in-history-497823-2025-10-11
- Crypto market sees historic $19B liquidation after Trump tariffs(Global Trade Magazine、2025年10月13日)https://www.globaltrademag.com/crypto-market-sees-historic-19b-liquidation-after-trump-tariffs/
- 暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)(国税庁、2025年12月26日)https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/virtual_currency_faq_03.pdf































