東雲結子:先生、駐車場で車にワックスをかけてきました! 寒さで指の感覚はありませんが、ボンネットに私の顔が映ります。

税理士石井:ははは、指と引き換えのピカピカですね。ちょうどいいです。今日は「磨く」を商売にしている会社、荏原製作所の決算を読みます。半導体のウェーハを平らに磨くCMP装置を作っているんです。

東雲結子:知ってます! その精密・電子事業が、2024年12月期に会社全体の営業利益の51.2%を稼いだんですよね。荏原はもう磨きの会社です。社名も「荏原ワックス」でいきましょう。

税理士石井:うーん、そうすると株主総会の受付で、洗車のコースを聞かれそうですね。売上で見ると精密・電子は32.1%で、残りの7割近くは建築・産業やエネルギーなど4つの事業なんです。

東雲結子:えっ、売上は3分の1なのに、利益は半分……。じゃあ、精密・電子だけ見ていれば十分ですね!

税理士石井:そこが落とし穴なんです。精密・電子の受注残は、2022年末の2,308億円から2025年9月末の1,651億円まで減っています。2025年1〜9月は売上が16.6%増えたのに、セグメント利益は2.2%減りました。

東雲結子:あっ……。ワックスと同じで、表面がピカピカでも、塗り直さないとだんだん曇っていくんですね(汗)。

税理士石井:いい例えです。大家業でいえば、受注残は入居の順番待ちリストです。今月の家賃が満額でも、待っている人の列が短くなっていれば、半年先の空室が気になりますよね。

東雲結子:今の光り具合と、先の曇り具合。両方を見る決算なんですね。

税理士石井:ええ。会社全体の5年分を手短に確かめてから、精密・電子の受注、売上、利益率、受注残を四半期ごとに磨き直していきましょう。

連載「日本の半導体製造装置メーカー10社の財務分析」の第8回は、荏原製作所(証券コード6361)です。12月決算で、2021年12月期から国際会計基準(IFRS)で決算書を作っています。荏原製作所の決算は、2026年1月31日までに公表された最新が2025年12月期の第3四半期累計(2025年1〜9月、2025年11月13日公表)なので、この記事もそこまでの数字で読みます。

荏原は5つの事業を持つ会社で、半導体に関係するのはそのうちの「精密・電子」です。ですから数字には、会社全体の数字と、精密・電子だけの数字の2種類があります。この記事ではどちらの数字かを毎回はっきりさせながら、全社の5年分を手短に確かめ、そのあと精密・電子を四半期ごとに読んでいきます。

なお、2026年1月31日の時点では、2025年12月期の通期決算はまだ公表されていません。2023〜2025年の中期経営計画「E-Plan2025」の後を継ぐ計画も、2026年1月31日までには公表されていませんでした。どちらも、最後に次の決算で確かめたいこととして整理します。

後半では、決算の数字を株式投資の銘柄選びにどうつなげるかも、アナリストの目線で整理します。荏原の株価は精密・電子だけでなく会社全体の値段なので、その中で半導体がどれだけの重さかも確かめます。

この記事の要点 根拠となる数字
精密・電子は売上の3分の1で、利益の半分を稼ぐ 2024年12月期:全社売上の32.1%、全社営業利益の51.2%
足元は増収減益で、受注残は2022年末から減った 2025年1〜9月:売上16.6%増・利益2.2%減/受注残2,308億円→1,651億円
設備投資がかさみ、現金の流れは一時マイナス 2025年1〜9月のFCF(フリー・キャッシュ・フロー)マイナス153億円、9月末は約332億円のネットデット
銘柄選びの目線:株価は2025年12月期の利益の伸びより先を見ている 2025年の株価+49.7%、2025年12月期の当期利益予想+3.6%、予想PER29.1倍

※精密・電子の数字はセグメント(事業部門)の値、FCFと有利子負債は会社全体の値です。

荏原製作所の決算は、5つの事業のうち「精密・電子」が利益の半分を担う

荏原は2023年12月期から、事業を市場ごとの5つの区分(セグメント)に分けて開示しています。建築・産業、エネルギー、インフラ、環境、そして精密・電子です。2022年の数字も新しい区分に組み替えて示されており、精密・電子の範囲は区分を変える前後で変わっていません。

精密・電子の主力は、半導体の前工程でウェーハの表面を平らにするCMP装置です。ほかに、ドライ真空ポンプや排ガス処理装置、精密チラーといった「コンポーネント」、先端パッケージ向けのめっき装置などがあります。開示されている内訳は、CMP、コンポーネント、その他の3つだけです。

用語メモ:CMP=Chemical Mechanical Polishing(化学機械研磨)。化学的な作用と機械的な研磨を組み合わせて、ウェーハの表面を平らにする工程・装置です。前工程=ウェーハの上に回路を作り込む工程。セグメント=会社が事業を分けて業績を開示する単位。

では、この精密・電子は会社の中でどれだけ重いのか。2024年12月期(2024年1〜12月)は、全社売上の32.1%に対して、全社営業利益の51.2%を稼ぎました。2025年1〜9月でも、売上の33.7%、営業利益の47.3%です(いずれも当ブログの計算。全社の調整額があるため、各セグメントを足しても100%ちょうどにはなりません)。

大家業でいえば、5棟の物件のうち1棟が、家賃収入では3分の1なのに、手取りの半分を生んでいるような状態です。こういう1棟があると、「この物件さえ見ていればいい」と思いたくなります。でも、稼ぎ頭の物件ほど、空室の兆しは早めにつかんでおきたいものです。

精密・電子の内訳(億円) 2023年12月期 2024年12月期 2024年1〜9月 2025年1〜9月 2025年の会社計画
CMP 受注 1,179 1,430 973 1,128 1,770
CMP 売上 1,447 1,573 1,085 1,302 1,950
コンポーネント 受注 899 1,029 771 796 1,100
コンポーネント 売上 974 1,100 782 820 1,110
その他 受注 98 140 95 85 130
その他 売上 47 109 48 109 140

※会社の決算説明資料の億円表示。コンポーネントはドライ真空ポンプ・排ガス処理装置など、その他はめっき装置など。2025年の会社計画は2025年11月13日時点。

内訳では、CMPが2024年12月期の精密・電子の売上の約56.5%を占めます(当ブログの計算)。2025年1〜9月は、CMPの売上が前年同期より20.0%、受注が15.9%増えた一方、コンポーネントの売上は4.9%増にとどまりました(同)。

シェアについては、会社のIR・広報部長が2024年8月27日の決算説明会で、CMP装置とドライ真空ポンプはともに世界2位のシェアだと話しています(説明会の書き起こし記事による。調査会社の名前は示されていません)。「ポンプの会社」というイメージの荏原ですが、半導体事業の中にも、ちゃんとポンプがあるわけです。

同じ説明会では、HBMに関わるめっき装置についても、「インターポーザ上でHBMをつなぐ配線には、弊社のめっき装置が使用されており、2023年下期からすでに受注が増加しています。」と述べています。CMPだけでなく、先端パッケージ向けのめっき装置にも、新しい注文が入ってきているということです。

用語メモ:HBM=High Bandwidth Memory(広帯域メモリ)の略で、データの受け渡しが速いメモリの一種です。インターポーザ=複数の半導体チップを並べてつなぐための中継の基板。

全社の5年:売上は約1.7倍、営業利益率は7.2%から11.3%へ上がった

全社(億円・%) 2020年12月期 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期
受注高 5,112 7,715 8,152 8,206 8,606
売上収益 5,225 6,032 6,809 7,593 8,667
売上総利益率 28.0% 29.6% 31.0% 32.0% 33.1%
営業利益 376 614 706 860 980
営業利益率 7.2% 10.2% 10.4% 11.3% 11.3%
親会社の所有者に帰属する当期利益 242 436 505 603 714
ROE 8.6% 14.5% 15.0% 15.7% 16.2%
研究開発費 ― ― ― 182 205

※各年1〜12月、IFRS(2020年12月期はIFRSの比較数値)。売上総利益率・営業利益率は当ブログの計算。ROEは2020年12月期が会社公表値、2021年12月期以降は当ブログの計算(会社公表値と一致)。研究開発費は決算説明会資料の億円表示で、2020〜2022年は当ブログで確認できていません。2024年12月期の営業利益には、建築・産業セグメントのトルコ子会社ののれん減損71億円を含みます。

5年で売上収益は5,225億円から8,667億円へ、約1.7倍になりました(当ブログの計算)。年平均では13.5%の伸びです(同)。営業利益率は2020年12月期の7.2%から2023・2024年12月期の11.3%まで上がり、売上総利益率も28.0%から33.1%へ、5.1ポイント改善しています。

2024年12月期の営業利益には、トルコ子会社Vansanの「のれん」71億円を全額減損した損失が含まれています。仮にこの減損を足し戻すと、営業利益は1,050億円、営業利益率は12.1%になる計算です(当ブログの単純計算。税金などの影響は考えていません)。

ROEは2024年12月期に16.2%まで上がりました。E-Plan2025は全社の目標に、営業利益率10%以上、ROE15%以上などを掲げていましたが、2024年12月期の実績はどちらも上回っています。研究開発費は2024年12月期で205億円、売上の2.4%で(当ブログの計算)、会社は2025年に260億円を計画しています。

用語メモ:IFRS=国際会計基準。ROE=Return On Equity(自己資本利益率)。株主の持分に対して、1年でどれだけの利益を上げたかを示します。のれんの減損=買収した会社の価値が当初の見込みより下がったとして、買収時に計上した「のれん」を減らし、その分を損失にすること。

全社(億円) 2024年1〜9月 2025年1〜9月 増減
受注高 6,436 6,802 +5.7%
売上収益 6,043 6,636 +9.8%
営業利益 598 695 +16.2%
営業利益率 9.9% 10.5% +0.6ポイント
親会社の所有者に帰属する四半期利益 410 447 +8.9%

※2025年11月13日公表の第3四半期決算短信。増減と営業利益率は百万円の値から当ブログが計算。

2025年1〜9月の全社は、売上収益が9.8%増、営業利益が16.2%増えました。会社は2025年11月13日に、通期の予想を売上収益9,270億円、営業利益1,100億円、親会社の所有者に帰属する当期利益740億円へ引き上げています。

2025年12月期の会社予想(億円) 売上収益 営業利益 当期利益 EPS(円) 年間配当(円)
2025年2月14日(期初) 9,000 1,015 724 156.74 56
2025年8月14日 9,000 1,025 724 156.72 56
2025年11月13日(最新) 9,270 1,100 740 160.25 56

※当期利益は親会社の所有者に帰属する当期利益。EPS(1株あたり利益)は2024年7月1日の株式分割(1株→5株)後の基準。

1〜9月の営業利益695億円は、最新予想1,100億円の63.2%にあたります(当ブログの計算)。予想どおりなら、10〜12月の3か月で営業利益405億円が必要で、2024年10〜12月の381億円を上回る水準です(同)。

もっとも、2024年12月期も10〜12月の営業利益381億円は、1〜9月の3か月あたり平均(約199億円)の倍近くありました(当ブログの計算)。10〜12月に利益が厚くなる形は、前の年にも見られたわけです。それでも、前年の10〜12月を超えられるかは、次の決算でまず確かめたい点です。

精密・電子の5年:利益率は8.3%から18.0%へ、受注は年ごとに大きく振れた

精密・電子(億円・%) 2020年12月期 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年1〜9月
受注高 1,467 2,854 3,016 2,178 2,601 2,009
外部売上収益 1,404 1,928 2,223 2,470 2,784 2,233
セグメント利益 116 280 362 383 501 329
利益率 8.3% 14.5% 16.3% 15.5% 18.0% 14.7%
B/Bレシオ 1.04 1.48 1.36 0.88 0.93 0.90
期末受注残 ― ― 2,308 2,054 1,879 1,651

※各年1〜12月、2025年は1〜9月(受注残は9月末)。2020〜2021年は旧区分の値ですが、精密・電子の範囲は同じです。2025年1〜9月の受注高は四半期の値(億円)の合計。利益率とB/Bレシオは当ブログの計算。2020〜2021年末の受注残は当ブログで確認できていません。

用語メモ:B/Bレシオ(ブック・トゥ・ビル・レシオ)=受注高÷売上高。1を上回れば、売上として出ていく以上に新しい注文が入り、受注残が積み上がる方向です。受注残=注文は受けたが、まだ売上になっていない金額。

精密・電子の利益率は、2020年12月期の8.3%から2024年12月期の18.0%まで上がりました。E-Plan2025が精密・電子に掲げた目標は、売上の年平均成長率15%以上と営業利益率17%以上で、利益率は2024年に目標を超えています。

一方で、受注は年ごとに大きく振れます。2021年12月期は前年のほぼ2倍に増え、B/Bレシオは1.48でした。ところが2023年12月期は2,178億円に減り、B/Bレシオは0.88と1を下回ります。2023年以降は、3期続けて1を下回りました(2025年は1〜9月)。

売上の目標のほうはどうか。会社の2025年の計画どおりに精密・電子の売上が3,200億円になると、基準の2022年(会社資料では2,222億円)からの年平均成長率は約12.9%で、目標の15%には届かない計算です(当ブログの計算)。ただし、これは計画の数字で、実績は次の決算で確かめる必要があります。

2025年1〜9月の精密・電子は増収減益、7〜9月期の利益率は12.9%に下がった

精密・電子を四半期ごとに並べると、足元の変化がはっきりします。

図の上段は、2024年1〜3月期から2025年7〜9月期までの7四半期について、精密・電子の受注(灰色の棒)と売上(青の棒)、四半期末の受注残(線)を億円で並べたものです。受注残は2024年3月末の2,094億円から2025年9月末の1,651億円まで、1年半で443億円減りました。2025年3月末に1,955億円へいったん増えたあと、2四半期続けて減っています。

下段は、セグメント利益を売上で割った利益率です。2024年4〜6月期から10〜12月期は19.0〜20.8%でしたが、2025年1〜3月期に13.1%へ下がり、4〜6月期に17.3%まで戻したあと、7〜9月期は12.9%でした。1〜9月の累計では、2024年の17.5%から2025年は14.7%に下がっています。

精密・電子の四半期(億円・%) 2024年1〜3月 4〜6月 7〜9月 10〜12月 2025年1〜3月 4〜6月 7〜9月
受注 543 615 681 760 739 673 597
売上 553 669 693 867 624 881 727
セグメント利益 54 138 144 165 82 152 94
利益率 9.8% 20.6% 20.8% 19.0% 13.1% 17.3% 12.9%
期末受注残 2,094 2,013 1,926 1,879 1,955 1,775 1,651

※決算説明資料(2025年11月13日)の億円表示。四半期のセグメント利益は累計値の差、利益率は当ブログの計算。受注残は資料の四半期末の値です(2025年8月14日の資料とも一致)。前の四半期末に受注を足し売上を引いた値と一致しない四半期があり、理由は資料に示されていません。

2025年1〜9月の累計では、外部売上収益が2,233億円と前年同期より16.6%増えたのに、セグメント利益は329億円と2.2%減りました。売上が増えて利益が減る「増収減益」です。

7〜9月期だけを前年同期と比べると、売上は727億円で約5%増えたのに、利益は144億円から94億円へ、約35%減っています(当ブログの計算)。

利益率が下がった理由を、会社が数字で示した説明は、この記事で参照した資料には見当たりませんでした。売上が増えて利益が減った以上、原価か費用のどこかが重くなったはずですが、それがどこかは開示からは分かりません(当ブログの見方)。次の決算での説明を待ちたいところです。

会社が足元の環境として示しているのは、需要についての言葉です。2025年11月13日の説明資料には、「生成AI向けの需要の増加が継続し、顧客の工場稼働率も回復傾向だが、増産投資の本格的な再開は当初の想定より遅れている」とあります。2025年2月14日の資料では、同じところが「増産投資の本格的な再開は顧客ごとに濃淡あり」でした。

大家業にたとえると、「問い合わせは増えているが、大口の法人契約はまだ様子見」と管理会社から言われているような状況です。需要の話は明るいのに、実際の申込書はなかなか増えない。受注の数字は、その温度差をそのまま映しています。

中国については、精密・電子について「中国市場は従来の勢いが落ち着くも、一定の規模を維持」と説明しています。米国の関税政策による業績への影響は「2Q時点から大きく変わらず限定的」としています。輸出規制についての記述は、2025年2月14日と11月13日の説明資料にはありませんでした。

地域別の売上は全社の値しかありません。当ブログの計算では、全社の売上に占める中国の比率は、2024年12月期が21.9%、2025年1〜9月が17.3%です。精密・電子だけの地域別は開示されていません。

受注残は2,308億円から1,651億円へ、荏原のCMP事業は「次の注文」が鍵になる

精密・電子の受注残は、2022年末の2,308億円から、2023年末2,054億円、2024年末1,879億円、2025年9月末の1,651億円へと減りました。2022年末からの減少は約28%です(当ブログの計算)。四半期の受注も、2025年1〜3月期739億円、4〜6月期673億円、7〜9月期597億円と、3四半期続けて減っています。

受注残の厚みを、売上の何年分あるかで見てみます。2022年末の受注残は、その年の精密・電子の売上のほぼ1年分ありました。2024年末は約0.67年分、2025年9月末は直近4四半期の売上(3,099億円)の約0.53年分です(いずれも当ブログの計算)。半年分ほどに短くなった、ということです。

大家業でいえば、受注残は入居の順番待ちリストです。リストが1年分あれば、多少の退去があっても先の家賃は読めます。半年分になると、新しい申込がどれだけ入るかで、半年先の稼働率が決まってきます。精密・電子は、その段階に来ていると私は見ています(当ブログの見方)。

会社は2025年11月13日、精密・電子の2025年の計画を見直しました。受注を3,200億円から3,000億円に下げ、売上を3,000億円から3,200億円に、セグメント利益を510億円から545億円に上げています。

精密・電子の2025年計画(億円) 受注 売上 セグメント利益
2025年2月14日 3,200 3,000 510
2025年8月14日 3,200 3,000 510
2025年11月13日 3,000 3,200 545
1〜9月の実績 2,009 2,233 329
10〜12月に必要な額(当ブログの計算) 991 967 216

※1〜9月の受注は四半期の値の合計。「10〜12月に必要な額」は、2025年11月13日の計画から1〜9月の実績を引いた単純計算です。

計画どおりなら、10〜12月の3か月で売上967億円、セグメント利益216億円(利益率約22.4%)、受注991億円が必要になる計算です(当ブログの計算)。どれも、図の7四半期の最高値を上回る水準です。

売上を上げて受注を下げた修正からは、受注残を取り崩しながら売上を立てる見通しと読めます(当ブログの見方)。10〜12月にその売上と利益が本当に出るのか、そして受注がどこまで戻るのか。荏原のCMP事業を中心とした精密・電子の次の一歩は、ここにかかっています。

財務の安全性:契約負債は4年で約2.7倍、2025年9月末は有利子負債が現金を上回った

全社(億円・%) 2020年末 2021年末 2022年末 2023年末 2024年末 2025年9月末
総資産 6,448 7,197 8,280 9,139 1兆51 1兆483
現金及び現金同等物 1,205 1,365 1,161 1,481 1,710 1,740
有利子負債(リース負債を含む) 984 1,120 1,193 1,452 1,504 2,071
ネットキャッシュ 222 244 −32 28 206 −332
棚卸資産 1,017 1,214 1,813 2,006 2,060 2,202
棚卸資産回転日数 98.7日 104.4日 140.9日 141.7日 129.7日 ―
契約資産 ― ― ― 999 1,168 957
契約負債 401 498 632 929 1,088 1,038(流動)
親会社所有者帰属持分比率 44.9% 43.4% 43.5% 44.8% 47.1% 45.8%

※ネットキャッシュ=現金及び現金同等物−有利子負債(当ブログの計算。リース負債を分けて取れないため含めています)。棚卸資産回転日数=期末棚卸資産÷売上原価×365(当ブログの計算)。契約資産は2020〜2022年末を当ブログで確認できていません。2025年9月末の契約負債は流動分の表示で、年末の値とは単純に比べられません。

用語メモ:親会社所有者帰属持分比率=IFRSでの自己資本比率にあたる指標。ネットデット=有利子負債が現金を上回っている状態。契約負債=商品やサービスを引き渡す前に、顧客から受け取った対価など(前受金に近いもの)。契約資産=引き渡しは進んでいるが、まだ請求できる状態になっていない対価を受け取る権利。

荏原の自己資本比率にあたる親会社所有者帰属持分比率は、5年間43〜47%台で推移し、2025年9月末は45.8%でした。

目を引くのは、2025年9月末に有利子負債が現金を上回ったことです。有利子負債(リース負債を含む)は2024年末の1,504億円から2,071億円に増え、現金は1,740億円。差し引き約332億円のネットデットです(当ブログの計算)。

棚卸資産は、2022年末に1,813億円へ大きく増え、回転日数は100日前後から140日台に延びました。2024年末は129.7日に縮みましたが、2025年9月末の残高は2,202億円と、さらに増えています。

税理士として注目したいのは、契約負債です。2020年末の401億円から2024年末の1,088億円へ、4年で約2.7倍になりました(当ブログの計算)。顧客から先に受け取った対価で、大家業でいえば前家賃や敷金に近いお金です。資金繰りを助けてくれる一方で、引き渡しが済むまで売上にはなりません。

反対側の契約資産は、2024年末で1,168億円ありました。売上は計上したものの、まだ請求できる状態になっていない取引も抱えている、ということです。どの事業のどの契約から生じているかは、この記事で参照した資料では確かめられませんでした。いずれも全社の数字で、精密・電子だけの姿ではありません。

キャッシュフロー:2025年1〜9月は設備投資が営業CFを上回り、FCFはマイナス153億円

全社(億円) 2020年12月期 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2024年1〜9月 2025年1〜9月
営業CF 688 729 371 700 1,009 927 441
投資CF −292 −314 −383 −356 −486 −308 −606
設備投資(有形・無形) 313 258 243 345 509 336 594
FCF 376 471 127 355 500 591 −153
配当金の支払額 57 105 182 189 228 228 277
自己株式の取得 0 201 0 0 0 0 54

※FCF=営業CF−有形・無形資産の取得(当ブログの計算)。配当金と自己株式の取得はキャッシュフロー計算書の支払額。2020年、2022〜2024年と2024年1〜9月の自己株式の取得は、いずれも1億円未満です。

用語メモ:営業CF=本業で実際に入ってきた現金の出入り。FCF=フリー・キャッシュ・フロー。営業CFから設備投資を引いた、会社が自由に使える現金の目安です。

2024年12月期までは、営業CFが毎年設備投資を上回り、FCFはプラスでした。2024年12月期のFCFは500億円で、売上の5.8%です(当ブログの計算)。

2025年1〜9月は様子が変わりました。営業CFは441億円と前年同期の927億円から52.4%減り、設備投資(有形・無形資産の取得)は594億円と77.0%増えました。その結果、FCFはマイナス153億円です。

営業CFが半分になった理由の内訳は、この記事で参照した資料からは特定できませんでした。設備投資のほうは、会社が説明資料で示す「資本的支出」(キャッシュフロー計算書とは定義が違います)が、2025年に1,220億円の計画で、1〜9月に772億円まで進んでいます。前年同期は420億円でした。

生産の面では、熊本工場の新しい生産棟(K3棟)が2024年12月に竣工し、会社は生産能力が1.5倍になると説明しています。半導体製造装置の開発棟も竣工しました。

大家業でいえば、大規模修繕や新築の代金を払った年は、家賃がしっかり入っていても通帳の残高は減ります。荏原の2025年1〜9月は、そんな年に見えます。問われるのは、その投資が数年後の家賃、つまり精密・電子の売上と利益に返ってくるかどうかです(当ブログの見方)。

2025年1〜9月の財務CFは181億円のプラスでした。有利子負債の増加で、設備投資と配当(277億円)、自己株式の取得(54億円)をまかなった形です(当ブログの見方)。

株主還元:配当性向35%以上を目標に、2025年は200億円の自社株買い

荏原の株主還元の方針は、「連結配当性向35%以上を目標に当該期の業績に連動して実施する方針」です。自己株式の取得は「適切な局面で機動的に実施」するとしています(E-Plan2025の説明資料)。

1株あたり配当など 2020年12月期 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期(予想)
年間配当(円) 18 32.6 38.6 45.8 55 56
配当性向(会社公表) 35.4% 35.2% 35.2% 35.0% 35.6% ―
総還元性向(キャッシュフロー計算書ベース) 23.6% 70.1% 36.1% 31.4% 31.9% ―

※1株あたり配当は2024年7月1日の株式分割(1株→5株)を調整した値で、2020〜2023年は公表値を5で割った値。2025年12月期は中間28円(実施済み)と期末28円(予想)。総還元性向=(配当金の支払額+自己株式の取得)÷当期利益で、当ブログの計算。

配当性向は毎年35%台で、方針どおり業績に連動して配当が増えてきました。1株あたり配当は2020年12月期の18円から2024年12月期の55円へ、約3倍になっています(分割調整後、当ブログの計算)。

2025年は、2021年(約200億円)以来の本格的な自社株買いも加わりました。2025年8月14日に上限200億円・9,090,909株の取得を決め、12月23日までに5,470,800株を約200億円で取得しています。金額では枠の100%を使い切りました。2026年1月31日までに、取得した株を消却するという発表は確認できませんでした。

自社株買いは、大家業でいえば共同で持つ物件の持分を買い戻すようなもので、残った持分の取り分が増えます。ただ荏原の場合、FCFがマイナスの期に、借入を増やしながら配当と自社株買いを続けている点は、意識しておきたいところです(当ブログの見方)。

2026年1月30日の株価指標:荏原製作所のPER29.1倍は、終わった年度の予想で計算している

荏原製作所(6361) 値 前提
株価(2026年1月30日終値) 4,656円 二次資料(Yahoo!ファイナンス)
時価総額 約2兆1,432億円 自己株式を除く株数(2025年9月末)で計算
予想PER 29.1倍 2025年12月期の会社予想EPS 160.25円(2025年11月13日)
PBR 4.47倍 1株あたり自己資本1,042.55円(2025年9月末、当ブログの計算)
予想配当利回り 1.20% 2025年12月期の年間配当予想56円
2025年の騰落率 +49.7% 2024年12月30日2,460.5円→2025年12月30日3,684円

※いずれも会社全体の値で、精密・電子だけの評価ではありません。時価総額・PER・PBR・利回り・騰落率は当ブログの計算。

用語メモ:PER=株価収益率(株価÷1株あたり利益)。PBR=株価純資産倍率(株価÷1株あたり純資産)。

予想PERの29.1倍には、注意が一つあります。分母のEPSは2025年12月期の予想で、この年度は2026年1月30日の時点ですでに終わっています。2026年1月31日の時点では実績が公表されていないので予想を使っていますが、3月決算の会社が、これから終わる年度の予想で計算するPERとは、年度の位置づけが違います。

次の決算では、2025年12月期の実績と、2026年12月期の新しい予想が出ます。そのとき、同じ株価でもPERの数字は入れ替わります。この29.1倍は、2025年の利益の見込みに対して株価が何倍かを示すもので、2026年以降の利益への期待は、まだ分母に入っていません(当ブログの見方)。

PERを大家業の利回りに置き換えると、29.1倍は利益で見た利回りが約3.4%になるということです(1÷29.1、当ブログの計算)。PBRの4.47倍は、帳簿上の純資産の4倍を超える値段がついているという意味です。株価は2025年に49.7%上がり、2026年1月も3,684円から4,656円へ26.4%上がりました(当ブログの計算)。

ちなみに、荏原が長期ビジョン「E-Vision2030」で掲げた目標には、売上収益1兆円規模と並んで、時価総額1兆円がありました。2026年1月30日の時価総額は、その2倍を超えています。市場の評価が、会社自身の長期目標の先を走っている状態です(当ブログの見方)。売買をすすめるものではありませんが、期待が大きいぶん、精密・電子の受注の変化には目を配っておきたいと私は考えています。

銘柄選びの目線では、荏原製作所株は「利益の半分が半導体」のグループを丸ごと買う株

ここからは、決算の数字を株式投資の銘柄選びにつなげてみます。最初に押さえたいのは、荏原製作所の株を買うことは、精密・電子だけでなく5つの事業を丸ごと買うことだという点です。株価は会社全体の値段で、半導体の部分だけを切り出して買うことはできません。

では、その中で半導体はどれくらいの重さか。2024年12月期(2024年1〜12月)の精密・電子は、全社売上の32.1%、営業利益の51.2%でした。荏原株は、利益の半分ほどを半導体の波に、残りを建築・産業やエネルギーなど4つの事業に預けた株と見ることができます(当ブログの見方)。

株価の動きと利益の予想を並べると、この株の性格が見えてきます。荏原の株価は2025年に49.7%上がり、2026年1月もさらに26.4%上がりました。この49.7%は、この連載で取り上げる上場9社の騰落率を並べたときの、ちょうど真ん中(中央値)にあたります(当ブログの計算)。

これに対して、会社が2025年11月13日に示した2025年12月期(2025年1〜12月)の当期利益(親会社の所有者に帰属)の予想は740億円です。前の期の714億円からの伸びは、3.6%にとどまります(当ブログの計算)。

12月決算の荏原では、2025年の株価の動きと2025年12月期の予想が、ほぼ同じ1年を指しています。その1年で、利益の伸びは予想で数%なのに、株価は5割近く上がりました。株価はその年の利益より先を見ている、と読めます(当ブログの見方)。ただ、株価の騰落率と決算期の予想は別の物差しなので、この並べ方はあくまで目安です。

銘柄選びの目線では、荏原製作所の株価はROEの高さが続く前提の水準

今の株価が何を前提にしているかを、9社の中央値と比べて確かめます(当ブログの計算)。予想PER29.1倍は中央値の38.8倍より低く、益回り(1÷PER)は3.44%と、中央値の2.58%を上回ります。大家業でいえば、利益の約29年分の値段で、実質利回りが3%台の物件です。

ただし、前の節で見たとおり、PERの分母はすでに終わった2025年12月期の予想です。9社と並べるときも、この年度のずれは割り引いて見てください。

PBR4.47倍も、9社の中央値7.17倍より低い水準です。PBRをPERで割ると予想EPS÷BPS(1株あたり純資産)になり、荏原は15.4%で、2024年12月期のROE16.2%に近い値です。今のPBRは、ROEが15%前後で続くことを前提にした値段と読めます(当ブログの見方)。ROEが下がれば、この値段を支える根拠は薄くなります。

現金の面では、2024年12月期のFCF500億円を2026年1月30日の時価総額2兆1,432億円で割ったFCF利回りが2.34%、配当228億円で計算した株主還元利回りが1.06%です(9社の中央値は2.22%と1.69%)。2024年12月期は自社株買いがほぼなく、2025年の約200億円はこの数字に入っていません。

注意したいのは、足元の現金の流れです。2025年1〜9月のFCFはマイナス153億円で、9月末には約332億円のネットデットになりました。利回りの計算に使った前の期の数字より、直近の現金の流れは弱い状態です。

景気の波への強さはどうか。この5期は全社の売上が毎年増えたので、売上が減る年の利益の動きは、この数字では確かめられません。営業利益も毎年増えています。伸びが最も小さかった2024年12月期でも、売上14.1%増に対して営業利益は13.9%増でした(のれん減損71億円を含む)。増えた売上のうち営業利益の増加になった割合は、2021年12月期が約3割、2022・2023年12月期は約1〜2割です(当ブログの計算)。

精密・電子では、受注が2,178億円に減った2023年12月期にも、セグメント利益は383億円に増えました。受注残が2,308億円から2,054億円に減る中で、売上を伸ばしています。受注残がクッションになったと読めますが(当ブログの見方)、そのクッションは今、売上の約0.53年分まで薄くなっています。

大家業でいえば、空室率が景気で動きやすい物件でも、入居の順番待ちリストが長いうちは家賃が守られます。リストが短くなった今の精密・電子は、受注の変化が売上に響くまでの時間が短くなった段階です。半導体の部分は、やはり景気敏感株の性格を持っています(当ブログの見方)。

用語メモ:益回り=1株あたり利益÷株価で、PERの逆数。株価に対して1年の利益が何%にあたるかを示します。FCF利回り=FCF÷時価総額。株主還元利回り=(配当金の支払額+自己株式の取得額)÷時価総額で、ここでは最新の通期の実額で計算しています。景気敏感株=業績が景気の波で大きく動きやすい株。

株価が動くきっかけになりそうなのは、まず次の決算です。2025年12月期の実績と2026年12月期の予想が出て、E-Plan2025の後を継ぐ中期経営計画が示されれば、PERの分母も前提も入れ替わります。会社は2025年12月期の全社の営業利益の予想を、8月と11月の2回引き上げてきました。一方で、精密・電子の受注の計画は11月に3,200億円から3,000億円へ下げています。

下振れのリスクとして、記事の数字から言えるのは主に三つです。一つ目は、精密・電子の受注と受注残の減少です。10〜12月に計画どおりの売上と利益が出なければ、利益の半分を担う柱が揺れます。二つ目は、2025年7〜9月期に精密・電子で12.9%まで下がった利益率で、その理由は、この記事で参照した資料からは分かりません。

三つ目は財務の向きで、FCFがマイナスだった2025年1〜9月に、借入を増やしながら配当と自社株買いを続けました。加えて、2024年12月期にトルコ子会社ののれん71億円を減損したように、半導体以外の事業にも損失の種はありえます(当ブログの見方)。

銘柄選びで確かめる点 この会社の数字(時点) 当ブログの見方
半導体の比重 精密・電子は全社売上の32.1%、営業利益の51.2%(2024年12月期) 利益の半分は半導体、残りはほかの4事業
株価と利益の関係 2025年の株価+49.7%、2025年12月期の当期利益予想+3.6% 株価は2025年12月期の利益より先を見ている
予想PER・益回り 29.1倍・3.44%(9社の中央値は38.8倍・2.58%、2026年1月30日) 分母は終わった年度の予想で、次の決算で入れ替わる
PBRとROE PBR4.47倍、予想EPS÷BPS15.4%、ROE16.2%(2024年12月期) ROE15%前後が続く前提の値段
現金と還元 FCF利回り2.34%、株主還元利回り1.06%(2024年12月期の実額)、2025年1〜9月のFCFはマイナス153億円 足元の現金の流れは利回りの計算より弱い
受注残 1,651億円(2025年9月末、直近4四半期の売上の約0.53年分) 次の決算で最初に見たい数字

この株の性格が合うかどうかは、何を求めるかで変わります。半導体装置の値動きをそのまま取りに行きたい人には、利益の半分がほかの事業という荏原株は半導体以外の事業も一緒についてくる株です。逆に、半導体の波をほかの事業と一緒に持ちたい人には、その混ざり方こそが性格になります(当ブログの見方)。

配当の面では、予想配当利回り1.20%は、予想のある8社の中央値1.25%とほぼ同じです。PER29.1倍、PBR4.47倍という今の株価の水準が妥当かどうかは、ROEの高さが続くか、精密・電子の受注が戻るかという前提をどう判断するかしだいです。

次の決算で確かめたい、精密・電子の受注と10〜12月の利益

次の決算(2025年12月期の通期)で確かめたい数字を、順番に挙げておきます。

まず精密・電子の10〜12月期です。会社計画どおりなら、受注991億円、売上967億円、セグメント利益216億円が必要な計算でした(当ブログの計算)。とくに、7〜9月期に597億円だった受注がどこまで戻るか、受注残が1,651億円からさらに減るのかを見たいと思います。

次に全社です。営業利益が最新予想の1,100億円に届くか。営業CFが年間でどこまで戻り、FCFのマイナスがどう着地するか。年末の有利子負債と現金の差も確かめます。

そして、新しい中期経営計画です。E-Plan2025の後を継ぐ計画は、2026年1月31日までには公表されていませんでした。精密・電子にどんな売上と利益率の目標を置くのか、設備投資と株主還元の配分をどう示すのかは、これからの荏原を読むうえで欠かせない材料です。新しい年度の予想が出れば、PERの前提も入れ替わります。

最後に、会社の言葉です。「増産投資の本格的な再開は当初の想定より遅れている」という表現が、次の資料でどう変わるか。数字より先に、言葉の変化が流れの変わり目を教えてくれることがあります(当ブログの見方)。

荏原製作所の決算は「今の光沢」と「受注残の厚み」を分けて読む

荏原製作所の精密・電子は、2024年12月期に全社売上の32.1%で、営業利益の51.2%を稼ぐ事業に育ちました。利益率は5年で8.3%から18.0%へ上がり、全社のROEも16.2%まで高まっています。ここまでは、よく磨かれたボディのような決算です。

ただ、2025年1〜9月は増収減益で、精密・電子の利益率は14.7%に下がり、受注残は2022年末の2,308億円から1,651億円まで減りました。設備投資が膨らんでFCFはマイナスになり、9月末には有利子負債が現金を上回っています。株価のPERは、終わった年度の予想で計算されています。

大家業を長く続けていると、満室の今月より、来年の更新と新しい申込のほうが気になるものです。荏原の決算も、今の利益率の光沢と、受注残という「先の売上」の厚みを、分けて眺めてみてください。それだけで、次の決算のどこを見ればいいかが、ずいぶんはっきりするはずです。

同じように大きなグループの一事業として半導体製造装置を手がけるキヤノンとニコンを取り上げる回、10社を並べて比べる回もあわせてどうぞ。

 

※本記事は公表資料をもとにした情報提供を目的としたもので、特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。業績や株価に関する記述は当ブログの見方や試算で、将来の業績や株価を予想・保証するものではありません。

※数値は各社の決算短信・決算説明資料などの公表資料をもとに当ブログが集計・計算したもので、四捨五入の関係で合計が合わない場合があります。数値は2026年1月31日までに公表されたもので、時点は本文・表に記載しています。税制は2026年1月31日時点の法令にもとづき、令和8年度税制改正大綱の内容は今後の法改正で決まります。

出典・参考

  • 2025年12月期 第3四半期決算短信〔IFRS〕(連結)(荏原製作所、2025年11月13日)https://www.ebara.com/content/dam/ebara/grand-masters/entities/ja/pdf/ir/library/earnings/earnings/161_q3_jp.pdf
  • 2025年12月期 第3四半期 決算説明資料(荏原製作所、2025年11月13日)https://www.ebara.com/content/dam/ebara/grand-masters/entities/ja/pdf/ir/library/earnings/briefings-documents/2025/161_q3_presentation_jp.pdf
  • 2025年12月期 中間期決算短信〔IFRS〕(連結)(荏原製作所、2025年8月14日)https://www.ebara.com/content/dam/ebara/grand-masters/entities/ja/pdf/ir/library/earnings/earnings/161_q2_jp.pdf
  • 2024年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(荏原製作所、2025年2月14日)https://www.ebara.com/content/dam/ebara/grand-masters/entities/ja/pdf/ir/library/earnings/earnings/160q4_jp.pdf
  • 2024年12月期 決算説明会資料(荏原製作所、2025年2月14日)https://www.ebara.com/content/dam/ebara/grand-masters/entities/ja/pdf/ir/library/earnings/briefings-documents/2025/20250214presentation_jp_1.pdf
  • 2023年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(荏原製作所、2024年2月14日)https://www.ebara.com/content/dam/ebara/grand-masters/entities/ja/pdf/ir/library/earnings/earnings/159q4_1.pdf
  • 2022年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(荏原製作所、2023年2月14日)https://www.ebara.com/content/dam/ebara/grand-masters/entities/ja/pdf/ir/library/earnings/earnings/158renketsu.pdf
  • 2021年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(荏原製作所、2022年2月14日)https://www2.jpx.co.jp/disc/63610/140120220210587966.pdf
  • 中期経営計画 E-Plan2025 説明資料(荏原製作所、2023年2月14日)https://www.ebara.com/content/dam/ebara/grand-masters/entities/ja/pdf/ir/business/vision/E-Plan2025_J.pdf
  • 自己株券買付状況報告書(報告期間 2025年12月)(荏原製作所、2026年1月15日)https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100XFLZ.pdf
  • 荏原製作所 2024年12月期第2四半期決算説明会の書き起こし(ログミーファイナンス、2024年9月11日。説明会は2024年8月27日)https://finance.logmi.jp/articles/380261
  • 株価:Yahoo!ファイナンス 荏原製作所(6361)時系列(2026年1月30日までの終値)https://finance.yahoo.co.jp/quote/6361.T/history?from=20260126&to=20260130&timeFrame=d&page=1