東雲結子:石井先生、事務所の前の雪かき、終わりました! ついでに駐車場の車も、窓の雪を落としてピカピカに洗っておきました。
税理士石井:それは助かります。……ただ東雲さん、あの青い車、お隣さんの車ですね。
東雲結子:えっ(汗)。こ、これもご近所づきあいの「洗浄」です! それより今日はSCREENホールディングスですよね。ウエハーを洗う装置の会社なのに、2025年3月期の売上高は6,253億円。洗うだけでこんなに売れるなら、雪かきにも夢がありますね!
税理士石井:うーん、全部が洗浄装置というわけではないんです。洗浄装置が主力の半導体製造装置の事業が8割強で、残りは印刷やディスプレー、プリント基板の装置です。それより、SCREENの決算書でまず確かめたいのは、売上を「いつ」計上したか、なんですよ。
東雲結子:いつ、ですか? 装置を届けた日が売上の日じゃないんですか?
税理士石井:いい質問ですね。SCREENの半導体の装置は、お客さんの工場で据え付けが終わったときに売上にするのが原則です。ところが2024年3月期に、据え付け前に売上にしていた23件を、特別調査委員会が不適切と認定しました。売上が約60億円多く計上されていたんです。
東雲結子:雪かきでいえば、玄関の前しか終わっていないのに「全部終わりました!」と報告しちゃった感じですか……?
税理士石井:ははは、たとえが身近ですね。「終わった」と思ったら隣の車だった、というのもありましたし。
東雲結子:うっ……確認の大切さが、雪より冷たく身にしみます。
税理士石井:大家業でいえば、入居日がまだ来ていない部屋の家賃を、今月の収入に入れてしまうようなものです。この回は、半導体事業の比率と利益率の伸び、その売上計上の問題、そして期中に一度も変えていない今期の予想まで、雪を一枚ずつ払うように見ていきましょう。
連載の第4回は、SCREENホールディングス(証券コード7735、3月決算)です。SCREENの決算を、2021年3月期(2020年4月〜2021年3月)から2025年3月期(2024年4月〜2025年3月)までの5期分と、2026年1月30日に発表された2026年3月期第3四半期累計(2025年4〜12月)で読んでいきます。会計基準は日本基準で、数字は断りがなければ連結の全社の値です。
この会社の決算書は、半導体製造装置の事業が売上の8割を超えるところから読み始めるのが近道です。その主力が、ウエハーの汚れを取り除く洗浄装置。営業利益率は5期で7.6%から21.7%に上がりましたが、2024年3月期には売上の計上をめぐる特別調査があり、2026年3月期は減収減益のまま期初の通期予想を据え置いています。後半では、こうした数字を株式投資の銘柄選びにどうつなげるかも、アナリストの目線で整理します。
材料は、決算短信、決算説明会資料、ファクトブック、有価証券報告書と、特別調査委員会に関する会社の開示です。金額は百万円の値を四捨五入した億円で示します。業界全体の地図は工程と市場規模を取り上げる回で、10社の比較は利益率と株価指標を比べる回で扱います。
| この記事の要点 | 根拠となる数字 |
| 売上も利益も、洗浄装置が主力の半導体製造装置(SPE)事業が中心 | 2025年3月期のSPE売上比率83.1%、SPEの利益1,370億円 |
| 利益率は5期で大きく上がったが、今期は減収減益 | 営業利益率7.6%→21.7%、2025年4〜12月の営業利益は23.0%減 |
| 通期予想は据え置きで、届くには過去最高を超える四半期売上が要る | 2026年1〜3月に約1,956億円(これまでの最高は1,825億円) |
| 銘柄選びの目線:PERは9社の中で低めだが、減益予想と1〜3月の山が前提 | 予想PER21.1倍(9社の中央値38.8倍)、今期の純利益予想−11.5%、2025年の株価+60.6% |
※SPE売上比率は、セグメント間の取引を含むSPEの売上高を連結売上高で割った値(当ブログの計算)。
SCREENの売上の8割強は、洗浄装置が主力の半導体製造装置事業
SCREENの事業は、五つのセグメント(事業の区分)に分かれています。半導体製造装置のSPE、印刷関連のグラフィックアーツ機器(GA)、ディスプレー製造装置および成膜装置(FT)、プリント基板関連機器(PE)、そしてその他です。
用語メモ:SPE=SCREENが半導体製造装置事業に使う略称。セグメント=会社が開示する事業の区分で、大家業でいえば物件ごとの収支表にあたります。
主力は、前工程(ウエハーの上に回路をつくる工程)で使う洗浄装置です。何枚かをまとめて洗うバッチ式(FC-3100)、1枚ずつ洗う枚葉式(SUシリーズ)、そしてスピンスクラバー(SSシリーズ)の三つの系統があります。
会社は2025年3月期の決算説明会資料で、調査会社Gartnerの2024年の出荷ベースのデータを引用し、この3製品で世界シェア1位だとしています。有価証券報告書には、枚葉式洗浄装置のシェアが2023年の34%から2024年の42%に上がったとの記載もあります。いずれも会社の主張・記載によるものです。
業界の中での位置も見ておきます。調査会社CINNO IC Researchの2024年の装置メーカー売上ランキング(中国メディアの澎湃新闻の報道による二次資料)では、SCREENは世界7位で、日本企業では東京エレクトロンに次ぐ順位でした。各社の会計年度の売上をサービスも含めて並べたもので、市場規模の統計とは基準が違います。
顧客は国内外の半導体メーカーです。有価証券報告書は事業のリスクとして、売上が特定の顧客に集中する傾向があることを挙げています。顧客ごとの売上の内訳は、この回で参照した資料では確認できませんでした。
売上は5期で約2倍、営業利益率は7.6%から21.7%に上がった
| 億円 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
| 売上高 | 3,203 | 4,119 | 4,608 | 5,049 | 6,253 |
| 売上総利益率(%) | 27.5 | 32.6 | 33.6 | 36.1 | 37.6 |
| 営業利益 | 245 | 613 | 765 | 942 | 1,357 |
| 営業利益率(%) | 7.6 | 14.9 | 16.6 | 18.6 | 21.7 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 152 | 455 | 575 | 706 | 995 |
| ROE(%) | 7.9 | 19.9 | 21.0 | 21.0 | 25.1 |
| EPS(円) | 162.60 | 488.27 | 608.16 | 742.10 | 1,023.54 |
| 研究開発費 | 215 | 240 | 248 | 270 | 317 |
| 研究開発費の売上高比(%) | 6.7 | 5.8 | 5.4 | 5.4 | 5.1 |
※日本基準・連結。2024年3月期は特別調査の対象になった期ですが、決算書の訂正はなく、当初の数字のままです(後の見出しで説明します)。ROEは会社公表値。EPSは2023年10月1日の1株→2株の分割を調整した値で、2026年4月1日に効力が生じる分割は反映していません。
用語メモ:ROE(自己資本利益率)=純利益÷自己資本。株主のお金でどれだけ利益を出したかを示します。EPS=1株あたり当期純利益。
売上高は2021年3月期の3,203億円から2025年3月期の6,253億円へ、4年で約1.95倍になりました(当ブログの計算)。営業利益は245億円から1,357億円へ約5.5倍、純利益は152億円から995億円に増えています。ROEは7.9%から25.1%です。
利益率が上がった中身を分けてみます。売上総利益率は27.5%から37.6%へ10.2ポイント上昇しました。一方、売上総利益から営業利益を引いた販売費及び一般管理費の売上高に対する割合は、19.8%から15.9%へ3.9ポイント下がっています(当ブログの計算)。
つまり、営業利益率の上昇14.1ポイントのうち、7割強は粗利の改善によるもので、残りが経費率の低下です(当ブログの計算)。粗利率が上がった理由を製品構成や価格に分けて示した数字は、この回で参照した資料にはありませんでした。ただ、次の見出しで見るように、利益率の高いSPEの比率が上がった時期と重なっています(当ブログの見方)。
大家業でいえば、家賃収入が2倍になる間に、管理費や人件費はそこまで増えなかった物件のような姿です。売上が伸びる局面では費用の割合が下がって利益率が上がりやすく、売上が落ちる局面では同じ理屈が逆向きに働きます(当ブログの見方)。
利益の大半はSPEが稼ぎ、SPEの利益だけで全社の営業利益を上回る
| 億円 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2025年4〜12月 |
| SPEの売上高 | 2,356 | 3,194 | 3,709 | 4,177 | 5,195 | 3,387 |
| SPEの利益 | 260 | 628 | 770 | 970 | 1,370 | 783 |
| SPEの利益率(%) | 11.0 | 19.7 | 20.7 | 23.2 | 26.4 | 23.1 |
| SPE売上比率(%) | 73.5 | 77.5 | 80.5 | 82.7 | 83.1 | 79.6 |
| GAの利益 | 5 | 16 | 34 | 43 | 43 | 19 |
| FTの利益 | 4 | 6 | −18 | −4 | 31 | 73 |
| PEの利益 | 8 | 21 | 34 | 19 | 11 | −5 |
| 全社の営業利益 | 245 | 613 | 765 | 942 | 1,357 | 774 |
※セグメントの売上高はセグメント間の取引を含む。利益はセグメント利益。その他の事業と調整額の行は省略。SPEの利益率とSPE売上比率は当ブログの計算。

図は、2021年3月期から2025年3月期までの5期と、2026年3月期の4〜12月の売上高を、セグメントごとに積み上げた棒で示したものです。いちばん下の緑がSPEで、2,356億円から5,195億円へ伸び、4〜12月は3,387億円です。
その上に灰色でGA、FT、PE、その他・消去等が重なり、棒の上の数字が連結売上高(3,203億円→6,253億円、4〜12月は4,254億円)です。上の段のSPE比率は73.5%から83.1%へ毎期上がり、4〜12月は79.6%でした。
SPEの利益率も11.0%から26.4%に上がりました。全社の営業利益率の上昇は、このSPEの変化とほぼ重なって見えます。2025年3月期のSPEの利益1,370億円は、全社の営業利益1,357億円を上回っています。
なぜそうなるのか。GA・FT・PEの利益を足しても、その他の事業の損失と調整額(2025年3月期はそれぞれ−18億円と−79億円)で打ち消され、SPE以外は差し引き約13億円のマイナスだったからです(当ブログの計算)。
2025年4〜12月は、FTの利益が73億円と前年同期の14億円から大きく伸びました。会社は2025年10月31日に、FTの通期予想を売上高455億円から460億円へ、営業利益を50億円から80億円へ引き上げ、2026年1月30日も据え置いています。その分、その他・調整の予想を引き下げ、連結の予想は変えていません。
SPEの中で注目したいのが、会社が「ポストセールス」と呼ぶ、装置を売った後のビジネスです。2025年3月期は859億円で、SPEの売上の約16.5%にあたります(当ブログの計算)。
2025年4〜12月のポストセールスは700億円で、前年同期の628億円から約11.5%増えました(当ブログの計算)。同じ期間に、SPE全体の売上は11.8%減っています。
大家業にたとえるなら、物件の売買が一服しても、管理を任された物件からは毎月の手数料が入ってくる、という関係です。装置の販売が落ち着く局面で、売った後のビジネスがどこまで下支えになるか。SCREENを読むうえで、見逃したくない数字です(当ブログの見方)。
研究開発費は4年で約1.5倍、売上高に対する割合は5%台に下がった
研究開発費は2021年3月期の215億円から2025年3月期の317億円へ、約1.47倍に増えました(当ブログの計算)。売上の伸びのほうが大きかったため、売上高に対する割合は6.7%から5.1%に下がっています。
会社は2026年3月期の計画として、研究開発費380億円、設備投資280億円、減価償却費150億円を示しています(2026年1月30日の決算説明会資料。2025年3月期の実績は317億円、297億円、128億円)。研究開発費の計画は5期のどの年よりも大きく、売上高の予想6,210億円に対して約6.1%です(当ブログの計算)。
なお、説明会資料の設備投資297億円は発生ベースの金額で、キャッシュフロー計算書の有形固定資産の取得218億円とは基準が違います。この回のフリー・キャッシュ・フローは後者で計算しています。
2024年3月期は、据付前に売上にした23件で約60億円が多く計上されていた
SCREENのSPEでは、装置を顧客の工場に据え付け、その作業が完了した時点で売上を計上するのが原則です(据付基準)。例外として、据え付けは不要とするサイドレター(契約書とは別の覚書)がある案件は、サイドレターの合意日(その時点で未納入なら貿易条件で決まる日)に売上にしていました。特別調査委員会の報告で「SL処理」と呼ばれている扱いです。
用語メモ:据付基準=装置を顧客の工場に据え付け、作業が完了した時点で売上を計上する方法。収益認識会計基準では、商品やサービスの支配が顧客に移った時点で売上を計上し、その目安の一つに「顧客が資産を検収したこと」が挙げられています(企業会計基準委員会の解説資料による)。
経緯は次のとおりです。2024年9月25日に監査法人から指摘があり、会社は11月14日に、半期報告書の提出期限の延長申請と特別調査委員会の設置を公表しました。2025年1月10日に報告書を受け取り、1月14日に公表し、延長後の期限だった同じ日に半期報告書を提出しています。対象は子会社のSCREENセミコンダクターソリューションズと米国の子会社でした。
委員会は、2024年3月期(2023年4月〜2024年3月)にSL処理で売上にした23件のすべてに、後で無償で据え付けを行うという別の合意(報告書でいうSSL)があったとして、23件を不適切と認定し、連結売上高が5,967百万円(約60億円)過大に計上されていたとしました。2024年3月期の売上高5,049億円の約1.2%にあたります(当ブログの計算)。
一方、過去の決算書は訂正されていません。2025年5月9日の2025年3月期決算短信では、前期(2024年3月期)の売上高は当初と同じ504,916百万円で、修正再表示は「無」とされています。この5,967百万円がその後どのように会計上整理されたのかは、この回で参照した資料では確認できませんでした。
税理士として、ここはぜひ立ち止まってほしいところです。装置メーカーの売上は、顧客に渡ったと判断する時点で決まります。その判断を据付で行うのか、検収や納品で行うのかによって、同じ取引でも売上が載る期が変わります。
金額は年間売上の約1.2%でも、期ごと・四半期ごとの数字の並びは、計上の時期で変わりえます(当ブログの見方)。大家業でいえば、契約は結んだものの入居日がまだ来ていない部屋の家賃を、今月の収入に入れてしまうようなものです。年間の合計は同じでも、どの月の収入かがずれれば成績表は読み違えます。
2026年1月30日の第3四半期決算短信では、修正再表示も会計方針の変更も「無」とされています。それでも、売上の計上時期は、この会社の決算書を読むときにいつも頭の片隅に置いておきたい論点です。
自己資本比率は62.7%で借入はほぼなく、前受金にあたる契約負債は2024年3月期が山
| 億円 | 2021年3月末 | 2022年3月末 | 2023年3月末 | 2024年3月末 | 2025年3月末 | 2025年12月末 |
| 自己資本比率(%) | 54.5 | 53.9 | 53.3 | 54.9 | 62.7 | 65.4 |
| 現金及び現金同等物 | 607 | 1,310 | 1,737 | 1,954 | 1,985 | — |
| 有利子負債 | 438 | 442 | 289 | 72 | 46 | 41 |
| ネットキャッシュ | 170 | 868 | 1,448 | 1,882 | 1,939 | — |
| 棚卸資産 | 957 | 1,037 | 1,239 | 1,636 | 1,687 | 1,717 |
| 棚卸資産回転日数(日) | 150.3 | 136.4 | 147.9 | 185.2 | 157.9 | — |
| 契約負債 | 168 | 329 | 747 | 1,366 | 1,004 | 1,101 |
| 契約負債÷売上高(%) | 5.2 | 8.0 | 16.2 | 27.1 | 16.1 | — |
※有利子負債は長短の借入金・社債・リース債務の合計(ファクトブックの定義。2025年12月末は短信の明細の合計)。ネットキャッシュ=現金及び現金同等物−有利子負債。四半期末の現金及び現金同等物は第3四半期の短信に記載がないため「—」。棚卸資産回転日数=期末の棚卸資産÷売上原価×365。2021年3月期の契約負債は収益認識会計基準を適用する前の年の値。比率は当ブログの計算。
2025年3月末の自己資本比率は62.7%、2025年12月末は65.4%です。有利子負債は2022年3月末の442億円から2025年3月末の46億円まで減り、借入はほとんどありません。2025年3月末のネットキャッシュは1,939億円でした。
2025年12月末は、現金及び預金1,343億円と有価証券500億円を合わせて、有利子負債41億円を引くと約1,802億円です(当ブログの計算。上の表のネットキャッシュとは、含めている現金の範囲が違います)。
目を引くのは契約負債です。2022年3月末の329億円から2024年3月末の1,366億円へ約4倍に増え、売上高に対する割合は27.1%に達しました。売上の約3.2か月分のお金を、装置を引き渡す前に受け取っていた計算です(当ブログの計算)。
2025年3月末は1,004億円(売上の約1.9か月分)に減り、2025年12月末は1,101億円でした。
用語メモ:契約負債=企業会計基準では「財又はサービスを顧客に移転する企業の義務に対して、企業が顧客から対価を受け取ったもの又は対価を受け取る期限が到来しているもの」。身近な言葉でいえば前受金で、大家業なら入居前に受け取る前家賃のようなお金です。
契約負債が山になった2024年3月期は、棚卸資産も1,636億円に増え、回転日数が185.2日と5期で最も長くなった年でもあります。出荷から売上の計上までの時間差は、棚卸資産や前受金として貸借対照表に表れることがあります。据え付けを待つ装置が積み上がり、そのお金を先に受け取っていた形に見えます(当ブログの見方)。
前受金は資金繰りを楽にしてくれますが、売上になるのは据え付けが終わってからです。前家賃をたくさん受け取っても、入居が始まらなければその月の家賃収入にはならないのと同じですね。
営業CFは5期とも黒字、2025年3月期からは配当に自社株買いが加わった
| 億円 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2025年4〜9月 |
| 営業CF | 572 | 818 | 739 | 963 | 712 | 308 |
| 投資CF | −62 | −100 | −125 | −435 | −218 | −123 |
| 設備投資(有形固定資産の取得) | — | — | 188 | 381 | 218 | 102 |
| FCF(営業CF−設備投資) | — | — | 551 | 582 | 494 | 206 |
| 配当金の支払額 | — | 42 | 137 | 253 | 253 | 180 |
| 自己株式の取得 | — | 0 | 0 | 0 | 189 | 111 |
| 総還元性向(CF、%) | — | 9.3 | 23.8 | 35.8 | 44.5 | — |
| 1株配当(円) | 45 | 146.50 | 182.50 | 223.50 | 308 | 280(予想) |
※CF=キャッシュフロー、FCF=フリー・キャッシュ・フロー。2021・2022年3月期の設備投資と、2021年3月期の配当金の支払額・自己株式の取得は、この連載のデータでそろわないため「—」。自己株式の取得は2022〜2024年3月期とも1億円未満。総還元性向(CF)=(配当金の支払額+自己株式の取得)÷純利益。1株配当は2023年10月の分割を調整した値で、2026年3月期の予想280円(中間123円+期末157円)は2026年4月の分割前の基準。第3四半期の短信にはキャッシュフロー計算書がないため、最新は中間期(2025年4〜9月)。
営業CF(本業で入ってきたお金)は5期とも黒字で、2024年3月期の963億円が最大でした。2025年3月期は712億円に減っています。この年は契約負債が減った年で、前の期に受け取っていた前受金が売上に変わった分、お金はすでに前の期に入っていたことになります(当ブログの見方)。
設備投資を引いたFCFは、2023年3月期から2025年3月期まで年500億円前後で推移しました(551億円、582億円、494億円)。大家業でいえば、修繕や新しい設備に払ったあとに手元に残るお金です。
用語メモ:FCF(フリー・キャッシュ・フロー)=営業CF−設備投資。この連載ではキャッシュフロー計算書の有形固定資産の取得を設備投資として計算しています。
株主還元の方針は、中期経営計画で連結配当性向30%以上とし、成長投資の進み具合に応じて機動的に自社株買いを行うというものです。2025年3月期に189億円、2025年4〜9月に1,242,500株・111億円の自己株式を取得し、総還元性向(CF)は2025年3月期に44.5%まで上がりました。
発行済株式数は、2025年3月末の101,589,732株から2025年12月末の95,379,986株へ減っています(2025年8月29日に自己株式6,209,746株を消却)。自社株買いは、大家業でいえば共有している物件の持分を買い戻すようなもの。持ち主の数が減れば、残った一人ひとりの持分は大きくなります。
1株配当は、2023年10月の分割を調整した値で45円から308円へ増えました。2026年3月期の予想は280円で、予想EPS930.90円に対しては約30.1%です(当ブログの計算)。利益が減る予想に合わせて、配当も方針の30%に沿った水準になっています。
中国向けは2025年3月期に42.4%、2025年4〜12月は中国と米国向けが減った
| 億円 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
| 中国 | 982 | 1,078 | 944 | 1,988 | 2,653 |
| 中国比率(%) | 30.7 | 26.2 | 20.5 | 39.4 | 42.4 |
| 台湾 | 578 | 965 | 1,329 | 579 | 1,134 |
| 韓国 | 248 | 303 | 340 | 274 | 318 |
| 日本 | 720 | 775 | 848 | 877 | 901 |
| 北米 | 350 | 489 | 480 | 821 | 644 |
| 欧州 | 165 | 363 | 450 | 335 | 334 |
※全社の地域別売上高。中国・台湾・韓国の2021〜2023年3月期は二次資料(有価証券報告書を出所とするthe-shashiの集計)、2024・2025年3月期はファクトブックの一次資料。日本・北米・欧州はファクトブック。中国比率=中国向け売上÷連結売上高(当ブログの計算)。SPEだけの地域別の数字は、この回で参照した資料からは読み取れませんでした。
中国向けの売上は、2023年3月期の944億円から2024年3月期に1,988億円、2025年3月期に2,653億円へ増え、中国比率は42.4%になりました。2023年3月期の20.5%から、2年で2倍を超える水準です。
業界全体でも、2024年の世界の半導体製造装置の販売額に占める中国の割合は42.3%でした(SEMIの集計をSEAJが公表した資料から当ブログが計算。暦年で、SCREENの会計年度とは期間が違います)。
2025年4〜12月について、会社はSPEの概況で「地域別では、台湾向けの売上が増加しましたが、中国や米国向けの売上が減少しました。」と書いています。中国については、決算説明会資料で「既存ファウンドリー中心に堅調に投資継続」との見方を示しました。ファウンドリーは、半導体の製造を請け負う会社のことです。
輸出規制について、有価証券報告書は事業のリスクとして、米中摩擦の影響はまだ大きくないとしつつ、規制が強化されれば中国向けの出荷が制限される可能性があると書いています。米国向けの一部製品に追加関税がかかっていることにも触れています。
日本でも、2023年7月23日施行の省令改正で、洗浄装置3品目を含む先端半導体製造装置など23品目が輸出管理の対象に加わりました(経済産業省の概要)。2025年5月28日施行の改正では、超臨界CO2洗浄装置なども加わっています。SCREENのどの製品がこれらに当たるのかは、この回で参照した資料では確認できませんでした。
大家業でいえば、家賃収入の4割強を一つの地域の入居者に頼っている状態です。その地域の条例が変われば、空室の心配が一気に現実味を帯びます。中国比率は、数字の大きさより、その動きを毎期追いかけたい指標です(当ブログの見方)。
2026年3月期は減収減益、通期予想に届くには過去最高を超える四半期売上が要る
| 億円 | 2025年4〜12月 | 2024年4〜12月 | 増減 |
| 売上高 | 4,254 | 4,600 | −7.5% |
| 営業利益 | 774 | 1,006 | −23.0% |
| 営業利益率(%) | 18.2 | 21.9 | −3.7ポイント |
| 親会社株主に帰属する四半期純利益 | 549 | 695 | −21.0% |
| SPEの売上高 | 3,387 | 3,840 | −11.8% |
| SPEの利益 | 783 | 1,009 | −22.4% |
| 海外売上高比率(%) | 85.2 | 86.9 | −1.7ポイント |
※2026年1月30日公表の第3四半期決算短信。増減率は百万円の値で計算。SPEの売上高はセグメント間の取引を含む。
2026年3月期の4〜12月は、売上高が4,254億円で前年同期比7.5%減、営業利益は774億円で23.0%減でした。SPEは売上高が11.8%減、利益が22.4%減です。
四半期ごとに並べると、流れがよく見えます。
| 億円 | 2024年4〜6月 | 7〜9月 | 10〜12月 | 2025年1〜3月 | 2025年4〜6月 | 7〜9月 | 10〜12月 | 2026年1〜3月(予想の残り) |
| 売上高 | 1,342 | 1,431 | 1,825 | 1,653 | 1,357 | 1,385 | 1,510 | 1,956 |
| 営業利益 | 277 | 304 | 423 | 350 | 243 | 220 | 309 | 396 |
※決算説明会資料の億円表示。最後の列は、通期予想から4〜12月の実績を引いた当ブログの計算(会社資料の億円表示では1,958億円・397億円)。
会社が2025年5月9日に示した2026年3月期(2025年4月〜2026年3月)の通期予想は、売上高6,210億円、営業利益1,170億円、純利益880億円です。7月25日、10月31日、2026年1月30日の各決算でも、一度も修正されていません。予想EPSは930.90円(2026年1月30日の短信、分割前の基準)で、期初の932.09円からの小さな動きは株式数の変化によるものです。
その間、実績は予想を下回るペースで進みました。4〜9月は、期初に示した中間期の予想(売上高2,995億円、営業利益545億円)を、売上高で8.4%、営業利益で14.8%下回っています(当ブログの計算)。4〜12月の進捗率は、売上高68.5%、営業利益66.2%です(当ブログの計算)。
予想どおりなら、2026年1〜3月だけで売上高約1,956億円、営業利益約396億円が必要です(当ブログの計算)。これは、過去最高の四半期売上だった1,825億円(2025年3月期第3四半期、2024年10〜12月)を上回る水準です。
会社は2026年1月30日の決算説明会資料で、前工程の装置の市場の動向として「引き合いは旺盛」とし、「CY2026は、地域/アプリケーションでバラつきあるも、全体で2桁%前半の成長を見込む」と書いています(CYは暦年のこと)。10〜12月の売上高1,510億円は、7〜9月の1,385億円から増えています。
会社が予想を据え置いた以上、1〜3月に売上の山が来ると見ていることになります。ただ、届かなかった場合の差は、通期の数字に大きく出ます。どちらに転んだかは、次の決算で確かめるほかありません(当ブログの見方)。
2026年1月30日の株価では予想PER21.1倍、1株あたりの数字はすべて分割前
| 項目 | 値 | 前提 |
| 株価 | 19,660円 | 2026年1月30日の終値。分割前の実際の株価(分割後の基準では9,830円、二次資料) |
| 時価総額 | 1兆8,587億円 | 自己株式を除く94,544,053株(2025年12月末)×株価 |
| 予想PER | 21.1倍 | 会社の2026年3月期予想EPS 930.90円(分割前) |
| PBR | 4.19倍 | BPS 4,687.06円(2025年12月末、会社記載) |
| 予想配当利回り | 1.42% | 年間配当予想280円(分割前) |
| 2025年の株価騰落率 | +60.6% | 2024年12月30日9,490円→2025年12月30日15,240円 |
※株価は株探などの二次資料。PER・PBR・利回りは当ブログの計算で、投資判断を示すものではありません。
用語メモ:PER(株価収益率)=株価÷1株あたり純利益。PBR(株価純資産倍率)=株価÷1株あたり純資産(BPS)。予想配当利回り=年間配当予想÷株価。
まず、株価の基準に注意してください。SCREENは2026年1月30日の取締役会で、2026年4月1日に効力が生じる1株→2株の分割を決めました。2026年1月末の時点の株価、EPS、BPS、配当は、すべて分割前の基準です。19,660円はこの日の実際の終値です。2026年4月1日の分割後の基準に直すと、半分の9,830円にあたります。
2026年1月30日の終値で見ると、会社の2026年3月期予想にもとづく予想PERは21.1倍です。逆数をとると約4.7%で(当ブログの計算)、予想利益が株価の何%にあたるかという意味では、物件の利回りに近い見方ができます。PBRは4.19倍、予想配当利回りは1.42%。株価は2025年の1年間で60.6%上がりました。
これらの倍率は、会社の予想どおりの利益が出ることを前提にした数字です。1〜3月に予想どおりの売上が立たなければ、分母のEPSが変わります。そのことも含めて、倍率は「今の株価が、どの前提を置いた値段か」を示す物差しとして読んでください。
中期経営計画「Value Up Further 2026」(2025年3月期〜2027年3月期、2024年5月9日公表)は、3年累計の売上高1.8兆円以上、通算の営業利益率19%以上、ROIC(投下資本利益率)15%以上、配当性向30%以上を掲げています。2025年3月期のROICは24.7%でした(有価証券報告書の本文を転載した二次資料による)。
2025年3月期の実績6,253億円と2026年3月期の予想6,210億円を足すと、累計1.8兆円には最終年度に5,537億円以上の売上が必要です(当ブログの計算)。2026年3月期の予想の営業利益率は約18.8%です(当ブログの計算)。さらに長期では、2033年3月期に売上高1兆円以上・営業利益率20%以上を目標にしています。
株式投資の目線では、SCREENの株価は減益の今期より、その先の回復を映している
ここからは、決算の数字を株式投資の銘柄選びにつなげます。SCREENの株価が主に映しているのは、洗浄装置を軸にした半導体の投資の波と、その中での中国向けの行方だと私は見ています(当ブログの見方)。2025年3月期(2024年4月〜2025年3月)に、SPEが売上の8割強、中国向けが42.4%を占めた会社だからです。
業界の波で利益が大きく動く景気敏感株の性格を持ちながら、手元のお金が厚いのも特徴です。2025年3月末のネットキャッシュ1,939億円は、2026年1月30日の時価総額1兆8,587億円の10.4%にあたり、この連載で比べる上場9社(日立ハイテクを除く)の中で最も高い割合です(当ブログの計算)。大家業でいえば、物件の値段の1割ほどが、手元の預金で裏づけられている状態です。
株価と利益の向きは、逆になっています。株価は2025年の1年間で60.6%、2026年1月の1か月でも29.0%上がりました(どちらも分割前の実際の株価)。一方、会社が2025年5月9日に示し、その後も変えていない2026年3月期(2025年4月〜2026年3月)の純利益予想880億円は、2025年3月期の995億円より11.5%少ない水準です(当ブログの計算)。
減益の予想の中で株価が上がったのは、株価が今期の利益より先を見ているからだと読めます(当ブログの見方)。会社も、前工程の装置の市場について、2026年(暦年)は「全体で2桁%前半の成長を見込む」と書いています。ただし株価の騰落率は暦年、利益の予想は4月〜3月の会計年度で、期間がずれている点は割り引いてください。
今の株価の前提を見ます。予想PER21.1倍は、9社の中央値38.8倍を大きく下回り、逆数の益回りは4.73%と、中央値2.58%を上回ります(当ブログの計算)。PERは今期の予想利益の何年分の値段かを示すので、利益に対しては、9社の中で低めの値段がついていることになります。
ただ、ここには低PERの罠もあります。PERが低いのは、利益が減る予想や、景気の波で利益が振れやすいことを、株価が映している場合もあるからです。SCREENの21.1倍は減益の今期予想をもとにした数字ですが、その予想に届くにも、1〜3月に過去最高を超える売上が要ります(当ブログの見方)。
PBRは4.19倍で、中央値7.17倍を下回ります。PBRをPERで割った予想EPS÷BPSは19.9%で、今期予想の利益で見たROEの目安です(当ブログの計算)。2025年3月期のROE25.1%より低く、4倍余りのPBRは、ROEが20%前後を保つことを前提にした値段と読めます(当ブログの見方)。
お金の面では、2025年3月期のFCF494億円が時価総額の2.66%、配当と自己株式の取得の合計443億円(百万円の値で合計)が2.38%にあたります(当ブログの計算)。どちらも9社の中央値(2.22%、1.69%)を上回り、予想配当利回り1.42%も、予想が出ている8社の中央値1.25%より高めです。
用語メモ:景気敏感株=景気や業界の投資の波で利益が大きく動き、株価もそれに連れて動きやすい株。益回り=予想EPS÷株価で、PERの逆数。FCF利回り=FCF÷時価総額。株主還元利回り=配当と自社株買いの合計÷時価総額。中央値=値を小さい順に並べたときの真ん中の値。低PERの罠=PERが低く見えても、その理由が利益の減少や振れの大きさにある場合のこと。
銘柄選びの目線では、PERの低さの裏に減益予想と1〜3月の売上の山がある
景気の波への強さを確かめます。2021年3月期から2025年3月期まで、SCREENの営業利益は毎年増えました。伸びが最も小さかった2024年3月期(2023年4月〜2024年3月)でも、売上9.6%増に対して営業利益は23.2%増です。増収の4回とも、増えた売上の31.0〜40.2%が営業利益の増加になっています(当ブログの計算)。
つまり5期の表には、業界の下り坂で利益がどれだけ減るかの実例がありません。手がかりは2025年4〜12月で、売上が7.5%減った期間に、営業利益は23.0%減りました。上りと同じく、下りでも売上の変化より大きく利益が動く形です(当ブログの見方)。
株価が動くきっかけになりそうなのは、まず通期予想の答え合わせです。会社は今期の予想を一度も修正していません。次の決算で、1〜3月に約1,956億円の売上が立ったかどうかが最初の材料で、あわせて次の年度の予想が示されれば、それも材料になります(当ブログの見方)。
株式の面では、期末配当157円(分割前の基準)と自社株買いの続き、そして2026年4月1日の1株→2株の分割です。分割で1株あたりの数字は半分になりますが、それだけで会社の稼ぐ力が変わるわけではありません。PERやPBRも、株価と1株あたりの数字を同じ基準にそろえれば、分割で変わる数字ではありません(当ブログの見方)。
下振れのリスクとして、記事の事実から言える主なものは三つです。一つ目は、1〜3月の売上の山が来なかった場合です。予想EPSが下がれば、PERの低さは見かけほどではなくなります。二つ目は中国で、2025年3月期の売上の42.4%を占め、有価証券報告書も、規制が強まれば中国向けの出荷が制限される可能性に触れています。
三つ目は、売上の計上をめぐる過去です。特別調査委員会が認定した2024年3月期の23件・約60億円の過大計上について、過去の決算書は訂正されていませんが、売上の計上時期は、四半期の数字の読み方にかかわる論点です。有価証券報告書が、売上が特定の顧客に集中する傾向をリスクに挙げている点も、頭に置いておきたいところです。
| 銘柄選びで確かめる点 | この会社の数字(時点) | 当ブログの見方 |
| 株価と今期の利益の向き | 2025年の株価+60.6%、2026年1月+29.0%/2026年3月期の純利益予想−11.5% | 株価は今期の減益より先を見ている |
| 利益に対する株価の水準 | 予想PER21.1倍、益回り4.73%(2026年1月30日。9社の中央値は38.8倍、2.58%) | 低めだが、減益予想の上での数字 |
| PBRとROE | PBR4.19倍、予想EPS÷BPS19.9%、2025年3月期のROE25.1% | ROEが20%前後を保つことが前提 |
| 稼ぐお金と株主に戻すお金 | FCF利回り2.66%、株主還元利回り2.38%(2025年3月期の実額÷時価総額)、予想配当利回り1.42% | いずれも中央値を上回る(配当利回りは8社の中央値) |
| 手元のお金 | ネットキャッシュ1,939億円、時価総額の10.4%(2025年3月末の残高÷2026年1月30日の時価総額) | 時価総額に対する割合は9社で最も高い |
| 予想の確かさ | 通期予想は修正なし。1〜3月に約1,956億円が必要(これまでの四半期の最高は1,825億円) | 次の決算が答え合わせになる |
この株の性格が合うかどうかは、投資の目的しだいです。配当と自社株買いを合わせた還元の利回りを重視するなら、2.38%は9社の中央値1.69%を上回り、手元のお金も厚い会社です。一方で、利益の多くをSPEに頼り、業界の波と中国の行方で数字が大きく動く点は変わりません(当ブログの見方)。
その振れを受け入れられるかが、この株を選ぶかどうかの分かれ目になります(当ブログの見方)。今の株価の水準が妥当かどうかは、1〜3月の売上の山が来るか、2026年の需要の伸びが利益に表れるか、中国の比率がどう動くかという前提を、どう判断するかで変わります。
次の決算では、1〜3月の売上の山と、契約負債・ポストセールスの動きを確かめたい
次の決算(2026年3月期の通期)で、まず確かめたいのは1〜3月の売上です。約1,956億円という過去最高を超える水準に届いたのか、通期予想の6,210億円・1,170億円に対してどうだったのか。会社が一度も変えなかった予想の答え合わせになります。
そのうえで、SPEの中身です。装置の販売が前年を下回るなかで、ポストセールスが4〜12月の約11.5%増のペースを保ったのか。FTの上方修正が実際の数字でどう表れたのかも見ておきたいところです。
貸借対照表では、契約負債と棚卸資産の向きを見ます。前受金が増えていれば、その先の売上の手がかりになります。逆に棚卸資産だけが積み上がるなら、据え付けや検収の遅れがないかを考える材料になります(当ブログの見方)。
地域では、2026年3月期の通期の中国比率が、42.4%からどう動いたか。株主還元では、期末配当157円(分割前の基準)と自社株買いの続きです。そして2026年4月1日の分割の後は、1株あたりの数字がおよそ半分になります。過去の数字と比べるときは、基準をそろえることを忘れないでください。
SCREENの決算書は「据え付けまで済んだか」を意識して読む
SCREENの決算書は、洗浄装置を主力とするSPEが売上の8割強を占め、そのSPEの利益が全社の営業利益を上回る構造でした。5期で売上は約2倍、営業利益率は7.6%から21.7%へ。前受金にあたる契約負債も、2024年3月期には売上の3か月分を超えていました。
その一方で、2024年3月期には、据え付け前に売上にした23件、約60億円の過大計上が特別調査で認定されています。過去の決算書は訂正されておらず、その整理の詳細は参照した資料では見えません。だからこそ、売上の数字を見るときは、その装置が本当に据え付けまで済んだのかという視点を持っておきたいのです。
大家業を長く続けていると、契約書にサインをもらった日より、入居者が鍵を受け取って暮らし始めた日のほうが、ずっと大事だと感じます。家賃が本当に始まるのはその日からだからです。SCREENの決算書も、「売れた日」ではなく据え付けが終わった日で読む。その意識ひとつで、四半期ごとの数字の見え方がずいぶん変わるはずです。
装置メーカー10社の工程と市場規模を取り上げる回、利益率と株価指標を比べる回もあわせてどうぞ。
※本記事は公表資料をもとにした情報提供を目的としたもので、特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。業績や株価に関する記述は当ブログの見方や試算で、将来の業績や株価を予想・保証するものではありません。
※数値は各社の決算短信・決算説明資料などの公表資料をもとに当ブログが集計・計算したもので、四捨五入の関係で合計が合わない場合があります。数値は2026年1月31日までに公表されたもので、時点は本文・表に記載しています。税制は2026年1月31日時点の法令にもとづき、令和8年度税制改正大綱の内容は今後の法改正で決まります。
出典・参考
- 2026年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)(SCREENホールディングス、2026年1月30日)https://hdjp-corporateweb-files.screen.co.jp/7217/6975/4930/FY2026Q3_Fr_J.pdf
- 2026年3月期 第3四半期 決算説明会資料(SCREENホールディングス、2026年1月30日)https://hdjp-corporateweb-files.screen.co.jp/8617/6975/4957/FY2026Q3_Mtg_J.pdf
- 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信(SCREENホールディングス、2025年10月31日)https://hdjp-corporateweb-files.screen.co.jp/9317/6189/2537/FY2026Q2_Fr_J.pdf
- 2026年3月期 第1四半期決算短信(SCREENホールディングス、2025年7月25日)https://hdjp-corporateweb-files.screen.co.jp/8917/5342/5938/FY2026Q1_Fr_J.pdf
- 2025年3月期 決算短信(SCREENホールディングス、2025年5月9日)https://hdjp-corporateweb-files.screen.co.jp/3817/4677/2569/FY2025Q4_Fr_J.pdf
- 2025年3月期 決算説明会資料(SCREENホールディングス、2025年5月9日)https://hdjp-corporateweb-files.screen.co.jp/1017/4677/2606/FY2025Q4_Mtg_J.pdf
- 有価証券報告書 第84期(2025年3月期)(SCREENホールディングス、2025年6月19日)https://hdjp-corporateweb-files.screen.co.jp/7217/5031/4632/YH84.pdf
- ファクトブック2025(SCREENホールディングス、2025年9月)https://hdjp-corporateweb-files.screen.co.jp/6017/5919/8734/SCREEN_FB_2025.pdf
- ファクトブック2024(SCREENホールディングス、2024年9月)https://hdjp-corporateweb-files.screen.co.jp/7717/2749/9822/SCREEN_FB_2024.pdf
- 特別調査委員会の調査報告書公表に関するお知らせ(SCREENホールディングス、2025年1月14日)https://hdjp-corporateweb-files.screen.co.jp/5617/3683/6555/20250114_Notice2_J.pdf
- 第84期 半期報告書の提出完了に関するお知らせ(SCREENホールディングス、2025年1月14日)https://hdjp-corporateweb-files.screen.co.jp/9117/3683/1835/20250114_Notice1_J.pdf
- 第84期(2025年3月期)半期報告書の提出期限延長に係る承認申請書提出および特別調査委員会設置のお知らせ(SCREENホールディングス、2024年11月14日)https://hdjp-corporateweb-files.screen.co.jp/1117/3154/6026/20241114_Notice_J.pdf
- 中期経営計画 Value Up Further 2026(IRページ)(SCREENホールディングス、計画の公表は2024年5月9日)https://www.screen.co.jp/ir/mplan
- EDINET DB SCREEN 有報テキスト(FY2025)(EDINET DB、2025年3月期の有価証券報告書の転載)https://edinetdb.jp/company/E02288/text?fy=2025
- the-shashi SCREEN 地域別売上高(the-shashi、2021〜2023年3月期の値を使用)https://the-shashi.com/tse/7735/financials/region/
- 株探 SCREEN 月足(株探、2026年1月30日までの終値)https://s.kabutan.jp/stocks/7735/historical_prices/monthly/
- 澎湃新闻/CINNO IC Research 2024年 上位10社(澎湃新闻、2025年3月5日)https://m.thepaper.cn/newsDetail_forward_30298973
- 2024 Worldwide Semiconductor Equipment Figures(SEAJ、2025年4月10日)https://seaj.or.jp/english/statistics/7837439569645.pdf
- 省令改正の概要(23品目)(経済産業省、2023年5月23日)https://www.meti.go.jp/policy/anpo/law_document/shourei/20230523_gaiyo.pdf
- 重要・新興品目等の改正概要(経済産業省、2025年4月)https://www.meti.go.jp/policy/anpo/law_document/seirei/20250403_gaiyo.pdf
- ASBJ Webセミナー資料 収益認識会計基準等の概要(企業会計基準委員会、2020年6月)https://www.magicalir.net/asb/20200603/all.pdf































