東雲結子:先生、バレンタインの手作りチョコ、今年は薄い板チョコを8段に重ねて、溶かしたチョコで貼り合わせました。AIで話題のHBMをイメージしたんです!

税理士石井:おお、HBM(広帯域メモリー)も、薄いメモリーのチップを何段も積んで貼り合わせて作りますからね。……ただ、少し傾いていませんか。

東雲結子:えーっと、上から押さえようとアイロンを当てたら、すーっと斜めに滑りました。アイロンは今、ほんのりカカオの香りです。

税理士石井:ははは、熱と圧力で貼るのは、まさに韓国のハンミ半導体が作るTCボンダー(熱圧着の装置)の仕事です。調査会社の数字を伝えた報道では、HBM向けのシェアが71.2%。アイロンよりは、だいぶまっすぐ貼れます。

東雲結子:7割! じゃあ、貼る機械の会社は、AIのおかげで売上も8段重ねですね?

税理士石井:うーん、そこが落とし穴です。オランダのBesiは、2025年7〜9月期の売上が前年同期より約15%少なかったんです。一方で、10〜12月期の受注は速報で約2.5億ユーロ、前年同期の約2倍でした。

東雲結子:あっ、注文は積み上がっているのに、売上はまだ一段目……。手作りチョコも、作ってから渡すまでが長いんですよね。

税理士石井:大家業でいえば、工事の受注は増えたけれど、まだ着工待ちの状態です。それでも株価は先に動いていて、Besiの実績PER(株価が1株利益の何年分か)は88.4倍です。

東雲結子:88倍……。私のチョコより、株価のほうがずっと高く積み上がっています。

税理士石井:ふふ、うまいことを言いますね。この回は、受注と売上の時間差、2社の稼ぐ力と財務、そして株価が何を前提にしているかを、決算書から確かめていきましょう。

連載の第7回は、HBMの装置メーカーとして名前の挙がる後工程の2社、オランダのBEセミコンダクター・インダストリーズ(以下Besi)と、韓国のハンミ半導体(한미반도체)です。どちらも、HBMやAI向けの先端パッケージングでチップを貼り合わせる装置を作っています。BesiはEuronext Amsterdam、ハンミ半導体は韓国取引所のKOSPIに上場しています。

決算期はどちらも12月期(1〜12月)で、Besiは国際会計基準(IFRS)、ハンミ半導体は韓国の国際会計基準(K-IFRS)の連結です。2026年1月31日までに公表された最新の通期は、両社とも2024年12月期。四半期は2025年7〜9月期までで、Besiは2026年1月12日に10〜12月期の受注の速報値も出しました。2025年12月期の通期決算は両社とも1月31日より後の公表なので、この記事には含めていません。

材料は、Besiの決算発表と2026年1月12日のトレーディング・アップデート(業績の途中経過の発表)、ハンミ半導体の事業報告書と連結監査報告書(2024年12月期)などです。ハンミ半導体の2025年の四半期の数字は、S&P Globalのデータ(StockAnalysis経由)で、二次資料です。後半では、決算の数字を株式投資の銘柄選びの目線でも読みます。

この記事の要点 根拠となる数字
Besiの売上は細ったが、受注は10〜12月期に急増した(速報値) 売上高1.57億ユーロ(2024年7〜9月期)→1.33億ユーロ(2025年7〜9月期)、10〜12月期の受注は約2.5億ユーロ(前年同期比+105%)
ハンミ半導体はHBM向けTCボンダーで高いシェア、利益率は40%台 シェア71.2%(2025年1〜9月、TechInsightsの数字を伝えた報道で二次資料)、営業利益率45.7%(2024年)、40.8%(2025年7〜9月期、二次資料)
Besiは純利益を超える還元を続け、ネットキャッシュはわずかなマイナスに 総還元性向138.1%(2024年)、ネットキャッシュはマイナス0.08億ユーロ、自己資本比率33.8%(2025年9月30日)
銘柄選びの目線:2社とも、株価は今の利益より先の受注を見ている 実績PER Besi88.4倍・ハンミ半導体82.8倍(2026年1月30日)、10社の中央値52.0倍

HBMの装置メーカー2社は、チップを積み重ねて貼り合わせる後工程を担う

半導体づくりは、ウエハー(円盤状のシリコン)に回路を作り込む前工程と、チップを切り分けて組み立て、検査する後工程に分かれます。2社が手がけるのは後工程のうち、チップを基板や別のチップに貼り付けるボンディングの装置です。

ハンミ半導体の主力は、熱と圧力でチップを貼り合わせるTCボンダーです。TrendForceなどの報道によると、ハンミ半導体は2017年から2024年まで、SKハイニックスのHBM用TCボンダーを独占的に供給してきました。米国のマイクロンも2024年に数十台を導入し、2025年には約50台の大型受注があったと報じられています(いずれも二次資料による)。

市場の大きさは、調査会社Yole Groupの数字が目安になります。2025年8月18日の発表(転載による)では、後工程の装置の世界市場は2025年の69億ドルから2030年に92億ドルへ伸びる予測です。そのうちTCボンダーは5.42億ドルから9.36億ドルへ年率11.6%、ハイブリッドボンダーは1.52億ドルから3.97億ドルへ年率21.1%で伸びると見ています。

2025年の時点で、TCボンダーは後工程の装置全体の約7.9%、ハイブリッドボンダーは約2.2%です(当ブログの計算)。大家業でいえば、大きな街の中の、まだ区画の小さい新しい分譲地。伸び率は街全体の年率5.8%を上回りますが、市場そのものはまだ小さいことは覚えておきたい点です(当ブログの見方)。

Yoleは、ハイブリッドボンディングではBesiが首位、TCボンダーではハンミ半導体が首位、ASMPTはロジック半導体向けのTCボンダーで強いと評価しています。ただ、ハイブリッドボンディングの装置のシェアを数字で示した資料は見つからず、Besiの決算資料も製品別(ダイアタッチ、パッケージング、めっき)の売上を開示していません。Besiの手応えは、会社の言葉と受注の数字から読むことになります。

用語メモ:HBM(広帯域メモリー)=DRAM(計算用のメモリー)のチップを何段も積み重ねて高速にしたメモリーで、AI向けの半導体と組み合わせて使う。TCボンダー(熱圧着ボンダー)=熱と圧力でチップを貼り合わせる装置。ハイブリッドボンディング=はんだの小さな突起(バンプ)を使わず、チップ同士の電極を直接つないで貼り合わせる技術。先端パッケージング=複数のチップを積んだり並べたりして、1つの部品にまとめる技術。ダイアタッチ=切り分けたチップ(ダイ)を基板などに載せて固定する工程。

Besiのハイブリッドボンディングは、2024年に売上が約3倍・受注が2倍超と会社は説明

Besiは2025年2月20日の2024年通期の決算発表で、ハイブリッドボンディングの売上が「2023年に比べておよそ3倍になり、受注は2倍を超えた」と説明しました(会社資料の英文を当ブログが訳出)。採用した顧客は9社から15社に増え、2024年10〜12月期には日本の2nm(ナノメートル)ロジック半導体メーカーと、韓国のIDMから初めての受注を得たとしています。

同じ発表でCEOは、「ハイブリッドボンディングのプロセス技術の商業的な実用性は、いまや確認された」と述べています(会社資料の英文を当ブログが訳出)。ただし、ハイブリッドボンディングの売上や受注の金額そのものは開示されていません。

2025年は、受注の時期がずれました。7〜9月期について会社は、見込んでいたハイブリッドボンディングの受注の一部が「10〜12月期にずれた」と説明(会社資料の英文を当ブログが訳出)。2026年1月12日のトレーディング・アップデートでは、10〜12月期の受注の増加は「見込んでいたハイブリッドボンディングの受注を得たことも反映した」としています(同)。

もう一つの出来事が、アプライド マテリアルズ(以下アプライド)の出資です。アプライドは2025年4月14日、米国の開示書類(Form 8-K)で、市場での取引を通じてBesiの発行済株式の9%を取得したと開示しました。

Besiは翌15日、アプライドがこの出資を「戦略的で長期の投資」と位置づけ、取締役の派遣は求めず、追加取得の予定もないと説明しています(会社資料の英文を当ブログが訳出)。両社はハイブリッドボンディングの統合システムを共同開発しました。物件にたとえるなら、取引先の大手が共同オーナーとして持分を1割近く持った形です(当ブログの見方)。

用語メモ:IDM=設計から製造まで自社で手がける半導体メーカー。nm(ナノメートル)=10億分の1メートルで、数字が小さいほど微細な回路の世代を指す。CEO=最高経営責任者。

Besiの売上は2021年の7.49億ユーロが山、粗利率は65.2%まで上がった

億ユーロ(%) FY2021 FY2022 FY2023 FY2024
受注高 9.39 6.64 5.48 5.87
売上高 7.49 7.23 5.79 6.08
粗利率(%) 59.6 61.3 64.9 65.2
研究開発費 — — 0.56 0.74
研究開発費比率(%) — — 9.7 12.2
営業利益 3.18 2.94 2.13 1.96
営業利益率(%) 42.4 40.7 36.9 32.2
純利益 2.82 2.41 1.77 1.82
希薄化後EPS(ユーロ) 3.39 2.90 2.23 2.30
ROE(%) 45.6 38.6 33.7 39.5

※IFRS・連結。FY2021は2021年12月期(2021年1〜12月)で、以下同じ。百万ユーロの開示を億ユーロに四捨五入。研究開発費の2021・2022年は、この回で参照した資料から取れていない。ROEは純利益÷期首・期末の平均の自己資本で当ブログの計算(FY2021は期末の自己資本で近似)。

4年の山は2021年12月期で、受注高9.39億ユーロ、売上高7.49億ユーロでした。2023年12月期は売上高が5.79億ユーロで2021年比22.7%減、受注高は5.48億ユーロで41.6%減です(当ブログの計算)。2024年12月期の売上高は6.08億ユーロで、前期比4.9%の増収でした。

目を引くのは粗利率です。売上が減った局面でも59.6%から65.2%へ上がりました。一方で営業利益率は42.4%から32.2%へ下がり、粗利率との差、つまり売上に対する営業費用の重さは17.2ポイントから33.0ポイントに広がっています(当ブログの計算)。研究開発費も2023年の0.56億ユーロから2024年は0.74億ユーロへ、31.7%増えました。

賃貸経営に置き換えると、1部屋あたりの家賃の手取りは上がったのに、部屋数が減り、次の新築に向けた設計費は増やしている状態です。下り坂でも開発費を減らさない会社は、上り坂に戻ったときの伸びしろを残していますが、その間の利益率は下がります(当ブログの見方)。

用語メモ:受注高=その期間に受けた注文の金額で、装置が出荷・検収されると売上になる。粗利率(売上総利益率)=(売上高−売上原価)÷売上高。EPS=1株あたり純利益で、希薄化後EPSは将来増えうる株式も含めて計算した値。ROE(自己資本利益率)=純利益÷自己資本。

Besiの四半期は売上が細る一方、10〜12月期の受注は約2.5億ユーロ(速報値)

四半期 受注高 売上高 受注÷売上(倍) 粗利率(%) 営業利益 営業利益率(%) 純利益 中国比率(%)
2024年1〜3月期 1.28 1.46 0.87 67.2 0.41 27.8 0.34 40
2024年4〜6月期 1.85 1.51 1.22 65.0 0.49 32.6 0.42 38
2024年7〜9月期 1.52 1.57 0.97 64.7 0.55 35.2 0.47 29
2024年10〜12月期 1.22 1.53 0.79 64.0 0.51 33.0 0.59 28
2025年1〜3月期 1.32 1.44 0.92 63.6 0.39 27.3 0.32 28
2025年4〜6月期 1.28 1.48 0.86 63.3 0.44 29.4 0.32 25
2025年7〜9月期 1.75 1.33 1.32 62.2 0.34 25.7 0.25 41
2025年10〜12月期(速報値) 約2.5 — — — — — — —

※金額は億ユーロ(百万ユーロの開示を四捨五入)。IFRS・連結。受注÷売上は当ブログの計算。中国比率は会社の地域別売上の区分による。10〜12月期は2026年1月12日のトレーディング・アップデートの受注の速報値(未監査)で、売上などは未公表。

図の左側は、Besiの四半期の受注高(濃い色の棒)と売上高(灰色の棒)で、単位は億ユーロです。売上高は2024年7〜9月期の1.57億ユーロを山に、2025年7〜9月期は1.33億ユーロまで下がりました。右端の斜線の棒が、10〜12月期の受注の速報値約2.5億ユーロです。図の右側はハンミ半導体の数字で、こちらは後半で読みます。

2025年7〜9月期の売上高は前年同期比15.3%減、営業利益率は25.7%で、2024年7〜9月期の35.2%から9.5ポイント下がりました(当ブログの計算)。会社は既存の市場について、「とくにモバイルと自動車向けで、主流の組み立て市場の弱さが続いた」と説明しています(会社資料の英文を当ブログが訳出)。

一方、受注高は7〜9月期に1.75億ユーロと、前期比36.5%増えました(当ブログの計算)。会社は増加の主な理由を、「2.5Dのデータセンター向けと光通信(フォトニクス)向けで、アジアの後工程受託会社からの受注が大きく増えた」ことだと説明しています(会社資料の英文を当ブログが訳出)。受注に占めるファウンドリー・OSATの比率は60%でした。

10〜12月期の受注は約2.5億ユーロで、会社の発表では前期比43%増、前年同期比105%増です。7〜12月の受注は約4.25億ユーロで、1〜6月より63%多いとしています。四半期の受注を足すと、2025年の受注は約6.85億ユーロで、2024年の5.87億ユーロを約17%上回ります(速報値を足した当ブログの計算)。

10〜12月期の売上は、会社が2025年10月23日に`7〜9月期比15〜25%増(会社資料の英文を当ブログが訳出)` with the 「」 removed, or drop the 「」、つまり1.53億〜1.66億ユーロ(当ブログの計算)と見込みました。粗利率は61〜63%、営業費用は研究開発費の増加で0.485億ユーロから5〜10%増える予想です。2026年1月12日には、売上・粗利率・営業費用が予想の良い側になる見込みだと更新しています。

この予想どおりなら、2025年の売上高は5.78億〜5.91億ユーロで、2024年を2.7〜4.9%下回る計算になります(2025年1〜9月の実績4.25億ユーロに予想を足した当ブログの計算で、会社の予想値ではありません)。受注は増えても、売上に表れるのは装置を出荷してから。着工待ちの工事が増えた段階だと私は読んでいます(当ブログの見方)。

中国比率は四半期で25〜41%と振れ、2024年通期は33.6%でした(四半期の和から当ブログが計算)。会社が述べた輸出規制の影響の数字は、この回で参照した資料にはありませんでした。

用語メモ:2.5D=複数のチップを土台の上に横に並べてつなぐ実装の方式。ファウンドリー=他社が設計した半導体の製造を請け負う会社。OSAT=チップの組み立てや検査を請け負う後工程の受託会社。速報値=決算の確定前に会社が公表した概算の値。

Besiは純利益を超える還元を続け、ネットキャッシュはマイナス0.08億ユーロに

億ユーロ(%) 2021年末 2022年末 2023年末 2024年末 2025年9月30日
現金・預金 6.72 6.72 4.13 6.72 5.19
有利子負債(リースを除く) 3.02 3.25 3.00 5.29 5.26
ネットキャッシュ 3.70 3.47 1.13 1.44 −0.08
自己資本 6.19 6.29 4.21 5.01 3.61
自己資本比率(%) 54.1 55.4 47.0 40.6 33.8
在庫日数(日) 114 120 166 178 181

※IFRS・連結。ネットキャッシュ=現金・預金−有利子負債(リースを除く)。2023年以降の有利子負債は現金・預金とネットキャッシュの差から計算。在庫日数=期末の棚卸資産÷売上原価×365(2021〜2023年は粗利率から逆算した近似、2025年9月30日は1〜9月の売上原価から計算)。いずれも当ブログの計算。

億ユーロ(%) 2021年 2022年 2023年 2024年 2025年1〜9月
営業CF 2.78 2.72 2.09 2.01 1.30
設備投資(開発費の資産計上を含む) 0.28 0.28 0.28 0.31 0.35
FCF(営業CF−設備投資) 2.50 2.43 1.81 1.70 0.95
配当の支払 1.29 2.69 2.22 1.72 1.73
自社株買い 0.50 1.47 2.13 0.80 0.66
総還元性向(%) 63.5 173.0 245.9 138.1 268.7

※総還元性向=(配当の支払+自社株買い)÷純利益で、当ブログの計算。FCFはこの連載の全社で同じ定義。

Besiの特徴は、稼いだ以上に株主へ戻してきたことです。2021〜2024年のFCFの合計8.43億ユーロに対し、配当と自社株買いの合計は12.83億ユーロでした(当ブログの計算)。2025年1〜9月も、配当と自社株買いの2.39億ユーロは、同じ期間の純利益0.89億ユーロの約2.7倍です。

1株配当は2024年分が2.18ユーロ(2025年5月2日支払い)で、会社の示す配当性向は95%、2022年分は93%でした。ただ、配当性向の範囲を示した還元方針の文言は、この回で参照した資料には書かれていません。自社株買いは1億ユーロの枠を2025年10月21日に終え(870,825株、平均114.83ユーロ)、10月24日から0.6億ユーロの新しい枠を2026年10月までに終える予定です。

こうした還元が続くなかで、ネットキャッシュは2021年末の3.70億ユーロから、2025年9月30日にマイナス0.08億ユーロへ縮みました。借入の中心は、2024年7月10日に条件を決めた3.5億ユーロの社債(利率4.500%、2031年償還)と、1.75億ユーロの転換社債(利率1.875%、2029年償還)です。

自己資本比率は54.1%から33.8%に下がっています。大家業でいえば、家賃の手取りより多くを出資者に分配し続け、預金とローン残高がほぼ同じになった状態です。分配の厚さは魅力ですが、同じペースを続ける余地は、純利益と受注の回復しだいだと私は見ています(当ブログの見方)。

設備投資(開発費の資産計上を含む)は2024年に0.31億ユーロで、営業CFの約16%にとどまります(当ブログの計算)。残りの多くは株主還元に回ってきました。在庫日数は2024年に178日、2025年1〜9月の売上原価で見ると181日で、売上原価の約半年分の在庫を抱えています。

用語メモ:FCF(フリー・キャッシュ・フロー)=営業CFから設備投資を引いた、会社が自由に使えるお金の目安。営業CF=本業で稼いだ現金。転換社債=あらかじめ決めた価格で株式に換えられる社債。ネットキャッシュ=手元資金から借入金を引いた額。

ハンミ半導体はHBM向けTCボンダーでシェア71.2%(二次資料)、2024年の売上は約3.5倍

韓国のアジア経済は2025年12月22日、ハンミ半導体が調査会社TechInsightsの「2025 TC Bonder Market Report」を引用し、2025年1〜9月のHBM向けTCボンダーの売上シェアが71.2%だったと報じました。SEMESが13.1%、ASMPTとヤマハロボティクスが各5.6%で続きます(いずれも二次資料による)。

億ウォン(%) FY2021 FY2022 FY2023 FY2024
売上高 3,732 3,276 1,590 5,589
粗利率(%) 48.3 56.4 49.9 56.3
営業利益 1,224 1,119 346 2,554
営業利益率(%) 32.8 34.1 21.7 45.7
純利益 1,044 923 2,672 1,526
希薄化後EPS(ウォン) 1,057 939 2,753 1,584
ROE(%) 30.1 25.0 55.5 27.4

※K-IFRS・連結。FY2021は2021年12月期(2021年1〜12月)で、以下同じ。2023・2024年は事業報告書・連結監査報告書(一次資料)、2021・2022年と2023年のEPS・ROEはS&P Global(StockAnalysis経由)の二次資料。ROEは当ブログの計算。

2024年12月期の売上高は5,589億ウォンで、前期の約3.5倍です(当ブログの計算)。営業利益率は45.7%と、4年で最も高くなりました。2023年12月期は売上高が1,590億ウォン、営業利益率21.7%で、2021年からの4年で谷の年でした。

純利益の動きには注意が要ります。2023年は営業利益346億ウォンに対して純利益が2,672億ウォンで、連結監査報告書にある「その他の営業外収益」3,003億ウォンが差の主な理由です。2024年は逆に「その他の営業外費用」884億ウォンがあり、純利益が営業利益を下回りました。どちらも中身は確認できていません。

2024年の売上の内訳(事業報告書)は、輸出が2,306億ウォン(41.3%)、国内が3,283億ウォン(58.7%)。装置が5,218億ウォン、コンバージョンキット(装置の部品交換用のキット)が371億ウォンで、TCボンダーなど機種別の売上は載っていません(比率は当ブログの計算)。

会社は2024年7月5日、売上の目標を2024年6,500億ウォン、2025年1.2兆ウォン、2026年2兆ウォンと示したと報じられました(二次資料による)。2024年の実績は目標を14.0%下回りました(当ブログの計算)。2025年1〜9月の売上(二次資料)4,937億ウォンは、2025年の目標の約41%にあたり、目標の修正は2026年1月31日までに確認できていません。

同じ報道では、2025年下期にマイルド・ハイブリッドボンダー、2026年下期にハイブリッドボンダーを出すロードマップも示されました。2025年6月20日にはハイブリッドボンダー専用の第7工場に285億ウォンを投じると公表し(工期は2026年11月30日まで)、採用の時期は「顧客が決めることになる」としています(韓国語の報道を当ブログが訳出)。

ハンミ半導体の2025年7〜9月期は減収減益、受注の遅れと報じられた

四半期 売上高 粗利率(%) 営業利益 営業利益率(%) 純利益
2024年1〜3月期 773 50.3 287 37.1 696
2024年4〜6月期 1,235 55.0 554 44.9 −118
2024年7〜9月期 2,085 57.7 993 47.6 384
2024年10〜12月期 1,496 58.2 719 48.1 564
2025年1〜3月期 1,474 62.6 696 47.2 547
2025年4〜6月期 1,800 59.1 861 47.8 647
2025年7〜9月期 1,662 52.1 678 40.8 657

※金額は億ウォン。K-IFRS・連結。四半期はすべてS&P Global(StockAnalysis経由)の二次資料。2024年の4四半期の売上高と営業利益の合計は、連結監査報告書(一次資料)の通期と一致。2025年の四半期は一次資料で確認できていない。比率は当ブログの計算。

先ほどの図の右側が、この売上高の棒と営業利益率の折れ線です。売上高は2024年7〜9月期の2,085億ウォンが山で、営業利益率は2024年4〜6月期から2025年4〜6月期まで44.9〜48.1%の範囲に並び、2025年7〜9月期に40.8%へ下がりました。

2025年7〜9月期は、前年同期比で売上高が20.3%減、営業利益が31.7%減です。韓国のディールサイトは2025年10月31日、理由を受注の先送りと伝えました。SKハイニックスとマイクロンの新しいTCボンダーの発注が遅れ、エヌビディアのHBM4の最終認証が年末にずれたという説明です(二次資料による)。

それでも、2025年1〜9月の累計は売上高4,937億ウォン(前年同期比+20.6%)、営業利益2,236億ウォン(+21.9%)、営業利益率45.3%でした(二次資料の四半期を足した当ブログの計算)。会社は2025年3月31日に1〜3月期の見通しを売上高1,400億ウォン、営業利益686億ウォンと公表し、実績は1,474億ウォン、696億ウォンでした。

その公表で会社は、「2025年1〜3月期は海外顧客の比率が90%になり、営業利益率は49%に上がる」と説明しています(報道に載った会社の見通しを当ブログが訳出)。粗利率は2025年1〜3月期の62.6%から7〜9月期には52.1%まで下がり、1〜9月の売上原価には棚卸資産の評価損290億ウォンが含まれていました(決算の要約サイトによる二次資料)。

ハンミ半導体の大口顧客との関係は、2025年に発注先の分散と特許の争いが報じられた

時点 報じられた内容(いずれも二次資料) 資料
2024年12月 ハンミ半導体がハンファセミテック(한화세미텍)を特許侵害で提訴 TrendForce(2025年12月12日)
2025年3月14日・26日 SKハイニックスがハンファセミテックにTCボンダーを各210億ウォン(付加価値税別)で発注 スマートトゥデイ(2025年5月16日)
2025年4月 ハンミ半導体がSKハイニックスに派遣していた約60人の顧客サポートの技術者を引き揚げ。対SKハイニックスの価格を25〜28%引き上げたとThe Elecが報道 TrendForce(2025年4月23日・12月12日)
2025年5月16日 SKハイニックスが同じ日に、ハンミ半導体に428億ウォン(付加価値税込み、前年の売上の7.7%)、ハンファセミテックに385億ウォン(付加価値税別。税込みでは同じ規模と報道)を発注 スマートトゥデイ(2025年5月16日)、DARTの公示一覧
2025年5月 ハンファセミテックが特許の無効を請求 TrendForce(2025年12月12日)
2025年10月ごろ ハンファセミテックが反訴 同上
2025年11月 SKハイニックスがASMPTにHBM4用のTCボンダー7台(約300億ウォン)を発注し、2026年3月に約100台の発注が見込まれると報道 同上(The Elecの報道を引用)

※DART=韓国の電子公示システム。裁判所の名前は報道に記載がない。

長く独占的に供給してきた大口顧客が、2025年は別の会社にも発注を始めたと報じられました。そのうえ装置メーカー同士が、特許をめぐって提訴と反訴の関係にあります。大家の感覚でいえば、長年の大口テナントが同じ工事を別の業者にも頼み始め、業者同士が裁判で争っている状態です。

数字で見ると、2024年の売上の58.7%が国内向けで、2025年1〜3月期は会社の見通しで海外顧客が90%でした。ただし、顧客ごとの売上は、この回で参照した資料では確認できていません。韓国のLS証券は、SKハイニックスのTCボンダーの調達に占めるハンミ半導体の比率を2025年50%、2026年60%、マイクロンでは90%を保つと推定しています(証券会社の推定で、二次資料による)。

2026年1月14日には、DARTに単一販売・供給契約の自律公示がありましたが、相手先と金額は確認できていません。こうした受注の公示は、ハンミ半導体の株価を読むうえで、決算と並ぶ手がかりになると私は見ています(当ブログの見方)。

ハンミ半導体の財務は厚く、2024年は純利益の約1.5倍を株主に戻した

億ウォン(%) 2023年末 2024年末 2025年6月30日 2025年9月30日
現金・短期投資 1,800 1,045 378 1,992
有利子負債 11 29 283 30
ネットキャッシュ 1,789 1,016 95 1,962
棚卸資産 954 1,534 1,833 1,500
自己資本比率(%) 79.0 76.1 78.9 83.7

※K-IFRS・連結。現金・短期投資、2023年末の有利子負債、2025年の値はS&P Global(StockAnalysis経由)の二次資料(連結監査報告書の現金及び現金同等物は2024年末1,040億ウォンで、短期投資を含まない)。2024年末の有利子負債はリース負債のみ(一次資料)。2023・2024年末の棚卸資産と2024年末の自己資本比率は一次資料。比率は当ブログの計算。

2025年9月30日のネットキャッシュは1,962億ウォン、自己資本比率は83.7%です(二次資料)。6月30日には手元資金が378億ウォンまで減っていましたが、7〜9月期の営業CFは1,474億ウォンで、売上債権は6月末の2,110億ウォンから9月末の1,369億ウォンへ減りました(いずれも二次資料)。売掛金の回収が進んだ形です(当ブログの見方)。

在庫は、大家にとっての修繕資材の在庫にあたります。在庫日数は2023年末に438日と売上原価の1年分を超え、2024年末は229日、2025年9月30日は約197日でした(2025年は1〜9月の売上原価から当ブログが計算、二次資料)。

億ウォン(%) FY2021 FY2022 FY2023 FY2024
営業CF 523 1,095 450 1,414
設備投資 253 91 276 538
FCF(営業CF−設備投資) 270 1,004 174 876
配当の支払 197 297 195 405
自社株買い — 200 505 1,899
総還元性向(%) — 53.8 26.2 151.0

※2023・2024年は一次資料、2021・2022年は二次資料。2021年の自社株買いは、この回で参照した資料から取れていない。総還元性向=(配当の支払+自社株買い)÷純利益で、当ブログの計算。

2024年は信託を通じて自社株2,000億ウォン分を取得しました。キャッシュフロー計算書の自社株買い1,899億ウォンと配当の支払405億ウォンを合わせた還元は2,304億ウォンで、純利益の151.0%にあたります。取得した株のうち1,302,059株(約1,300億ウォン)は2025年に消却し、発行済株式数は96,614,259株から95,312,200株に減っています。

1株配当は2023年分の420ウォンから2024年分は720ウォンへ、2025年分は800ウォンの計画(2026年1月2日の公示を伝えた報道、総額758.8億ウォン)です。2024年分の配当性向は44.7%でした(2025年に支払った配当÷2024年の純利益で、当ブログの計算)。還元方針を示した会社の文言は、この回で参照した資料にはありません。

設備投資は2024年に538億ウォンで、営業CFの38.0%(当ブログの計算)。研究開発費は2025年1〜9月で176億ウォン、売上の3.7%と報じられており(二次資料)、Besiの研究開発費比率(2025年1〜9月で13.9%、当ブログの計算)とは開発への使い方がかなり違います。なお、会長が2025年10月29日時点で33.47%を持つ大株主です(報道による)。

2社の株価は、実績PERでそろって80倍台

指標 Besi ハンミ半導体 10社の中央値
株価(2026年1月30日の終値) 164.50ユーロ 211,000ウォン —
時価総額 130.0億ユーロ(約2.38兆円) 20.01兆ウォン(約2.15兆円) —
PER(直近4四半期の実績) 88.4倍 82.8倍 52.0倍
PER(直近四半期×4、参考) 128.5倍 76.1倍 44.0倍
益回り 1.13% 1.21% 1.93%
PBR 36.0倍 30.5倍 18.9倍
EPS÷BPS 40.7% 36.8% —
最新通期のROE(2024年) 39.5% 27.4% 31.5%
配当利回り 1.33% 0.38% 0.43%
FCF利回り(2024年) 1.30% 0.44% 1.74%
株主還元利回り(2024年) 1.93% 1.15% 1.36%
2025年の株価騰落率 +1.1% +54.4% +54.1%
2026年1月の株価騰落率 +23.0% +65.6% +26.5%

※当ブログの計算。株価は株価サイトの終値で二次資料(ハンミ半導体の2025年末は12月30日)。円は2026年1月30日の三菱UFJ銀行の仲値(TTM)1ユーロ183.36円、100ウォン10.72円で当ブログが換算。株数はBesiが2025年7〜9月期の加重平均(近似)、ハンミ半導体が2026年1月2日の配当計画から逆算した94.853百万株。実績PERは2024年10月〜2025年9月の4四半期(ハンミ半導体は純利益2,416億ウォンで、2025年分は二次資料)。PBRは2025年9月30日の自己資本。配当利回りはBesiが2024年分、ハンミ半導体が2025年分の計画。中央値はこの連載の10社(FCF利回りは8社)で、PERの参考値は会社ごとに基準が違う。

同じ株価でも、物差しで見え方が変わります。Besiの実績PER88.4倍の分母1.86ユーロは、0.74、0.40、0.40、0.32ユーロの4四半期の合計です。直近の7〜9月期が4四半期で最も小さいため、×4の参考値は128.5倍と、さらに高く出ます。2024年通期のEPS2.30ユーロで割ると71.5倍です。

ハンミ半導体は実績PERが82.8倍、7〜9月期の純利益×4で76.1倍。2社とも、この連載の10社の中央値52.0倍を大きく上回っています。

用語メモ:PER(株価収益率)=株価÷1株あたり利益。益回り=1÷PERで、株価に対する利益の割合。PBR(株価純資産倍率)=株価÷1株あたり純資産(BPS)。EPS÷BPS=PBR÷PERと同じ値で、利益で見た資本の効率の目安。FCF利回り=最新通期のFCF÷時価総額。株主還元利回り=最新通期の配当の支払と自社株買いの合計÷時価総額。TTM(仲値)=銀行が外貨を売る相場と買う相場の中間の値。

株式投資の目線では、2社の株価はHBMと先端パッケージングの受注に賭けている

ここからは、決算の数字を株式投資の銘柄選びにつなげます。私はBesiを、ハイブリッドボンディングの普及に賭ける株だと見ています。会社が既存の組み立て市場の弱さを説明するなかで、株価は先の受注が売上に変わることを前提にしています(当ブログの見方)。

ハンミ半導体は、HBM向けTCボンダーの需要と、大口顧客の発注の配分に賭ける株です。シェア71.2%(二次資料)の強みと、発注先の分散や特許の争いという報道が、同じ株価の中に入っています(当ブログの見方)。

株価と利益の関係を見ると、Besiは2025年の株価が+1.1%で、直近4四半期の純利益1.48億ユーロは2024年通期の1.82億ユーロを18.6%下回りました(当ブログの計算)。直近の利益が減るなかで、2025年の株価は横ばい。そして受注の速報を出した2026年1月に23.0%上がっています。

ハンミ半導体は2025年に+54.4%、2026年1月に+65.6%。直近4四半期の純利益2,416億ウォン(二次資料)は2024年通期より58.3%多い一方、営業利益の伸びは15.7%でした(当ブログの計算)。ただ、2024年の純利益は営業外の費用で押し下げられていたので、本業の営業利益で比べると、利益の伸びより株価の上げが大きいと読めます(当ブログの見方)。なお、騰落率は暦年、利益は2025年9月までの4四半期で、期間がずれます。

今の株価が前提にしていることも確かめます。益回りはBesiが1.13%、ハンミ半導体が1.21%で、10社の中央値1.93%を下回ります。PBRはBesi36.0倍、ハンミ半導体30.5倍で、中央値18.9倍の1.6〜1.9倍です。PBR÷PER=EPS÷BPSは、Besiが40.7%、ハンミ半導体が36.8%です。

Besiの40.7%は2024年のROE39.5%に近い値で、高いPBRは、この資本の効率が続くことを前提にしています。ただBesiの場合、還元で自己資本が3.61億ユーロまで薄くなったことも、PBRを押し上げています(当ブログの見方)。ハンミ半導体の36.8%は、2024年のROE27.4%を上回ります。

お金の面では、Besiの配当利回り1.33%は10社で最も高く、株主還元利回り1.93%も中央値1.36%を上回ります。ただ、それを支えているのは純利益を超える還元です。ハンミ半導体はFCF利回り0.44%、株主還元利回り1.15%と、いずれも中央値を下回ります。

利益の振れも大きい2社です。Besiは営業利益が2022年から2023年に27.4%減り、四半期では2024年7〜9月期の0.55億ユーロから2025年7〜9月期の0.34億ユーロへ38.1%減りました(当ブログの計算)。ハンミ半導体は2022年から2023年に営業利益が69.1%減り、営業利益率は4年で21.7〜45.7%の幅で動いています。

株価が動くきっかけは、Besiなら次の決算での10〜12月期の売上(会社予想は1.53億〜1.66億ユーロの良い側)、2026年の受注、ハイブリッドボンディングの受注の続き方です。ハンミ半導体なら10〜12月期の決算と2025年の目標1.2兆ウォンとの差、DARTの受注の公示、SKハイニックスやマイクロンのHBM4向けの発注、特許の争いの行方が材料になります。

下振れのリスクは、Besiでは既存市場の弱さが続くこと、ハイブリッドボンディングの受注の時期がまたずれること、中国比率の振れ(25〜41%)です。ハンミ半導体では、大口顧客への売り先の偏り(顧客別の売上は未確認)、発注先の分散、在庫の評価損、売上目標と実績の差です。2社とも、利益が予想を下回ったときに、高いPERが縮む余地は大きいと私は考えます(当ブログの見方)。

銘柄選びで確かめる点 この会社の数字(時点) 当ブログの見方
株価と利益の向き Besi 2025年+1.1%・2026年1月+23.0%、直近4四半期の純利益は2024年比−18.6%/ハンミ半導体 2025年+54.4%・2026年1月+65.6%、直近4四半期の営業利益は2024年比+15.7%(二次資料) Besiは受注の速報に、ハンミ半導体は本業の利益の伸び以上に株価が反応
利益に対する株価の水準 実績PER Besi88.4倍・ハンミ半導体82.8倍、益回り1.13%・1.21%(10社の中央値52.0倍・1.93%、2026年1月30日) 今の利益ではなく、先の受注を前提にした水準
PBRとROE PBR Besi36.0倍・ハンミ半導体30.5倍、EPS÷BPS 40.7%・36.8%、2024年のROE 39.5%・27.4% Besiは自己資本の薄さもPBRを押し上げる
株主に戻すお金 配当利回り1.33%・0.38%、株主還元利回り1.93%・1.15%、Besiの総還元性向138.1%(2024年) Besiの厚い還元は純利益を超える水準
景気の波への強さ 営業利益の最大の減少 Besi−27.4%・ハンミ半導体−69.1%(2022年→2023年) どちらも受注の波がそのまま利益に出る
先行きの見え方 Besiの10〜12月期の受注約2.5億ユーロ(速報値)、ハンミ半導体の2025年の売上目標1.2兆ウォン(2024年7月) 受注が売上に変わる速さが物差し

この2社の性格が合うかどうかは、投資の目的で分かれます。配当で手取りを積み上げたい人にとって、Besiの配当利回り1.33%は10社の中では目立ちますが、純利益を超える還元とマイナスのネットキャッシュという続き方の問いがついています。ハンミ半導体の配当利回りは0.38%で、配当より値動きの大きい株です。

HBMと先端パッケージングの伸びを長い目で追い、受注の速報や公示のたびに株価が大きく動くことを受け入れられるか。2社を選ぶかどうかの分かれ目は、そこにあると思います(当ブログの見方)。

日本の個人が持てるかも確かめておきます。BesiはEuronext Amsterdamの上場で、SBI証券の外国株の取扱いは9か国でオランダが入っていません(2026年1月版の説明書)。楽天証券とマネックス証券のページにもEuronextを扱う記載は見つからず、米国の店頭市場で取引されるADR(BESIY)を扱う日本の証券会社のページも見つかりませんでした。

ハンミ半導体はKRXの上場です。SBI証券は韓国株をインターネットの現物取引で扱いますが、対象は「韓国取引所(KRX)上場の KOSPI・KOSDAQ 市場の当社の選択した銘柄」(2026年1月版の説明書)で、ハンミ半導体が含まれるかは確認できていません。

配当にかかる現地の税金は、オランダが国内の税率15%で日蘭租税条約の限度税率が10%、韓国はSBI証券の説明で原則15%です。外国税額控除やNISAでの扱いは、10社を比べて外国株の配当の税金を取り上げる回で整理します。

用語メモ:ADR(米国預託証券)=外国の株式を裏付けに米国で発行・取引される証券。外国税額控除=外国で引かれた税金を、日本の税金から差し引ける制度。

HBMの装置メーカーは、受注が売上に変わる「時間差」を読む

HBMの装置メーカー2社の決算は、同じテーマでも形がかなり違いました。Besiは売上が細るなかで受注が急増し、純利益を超える還元でネットキャッシュはわずかなマイナス。ハンミ半導体は40%台の営業利益率を保ちながら、大口顧客の発注の分散が報じられています。

次の決算で確かめたいのは、Besiでは10〜12月期の売上が会社予想の良い側に届いたか、2026年1〜3月期の受注が約2.5億ユーロの勢いを保つか、ネットキャッシュと自己資本比率の行方です。ハンミ半導体では、10〜12月期と2025年通期の売上、受注の公示、ハイブリッドボンダーの工場(工期は2026年11月まで)の進み方です。

大家業を長く続けていると、満室の見込みで建てた物件ほど、入居が始まるまでの数か月が長く感じられます。装置メーカーの受注も同じで、契約と入居の間の時間差をどう見るかで、同じ数字の読み方が変わると私は思います。前工程の装置メーカー各社や、半導体のテスターを取り上げる回、10社を比べる回もあわせてどうぞ。

 

※本記事は公表資料をもとにした情報提供を目的としたもので、特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。業績や株価に関する記述は当ブログの見方や試算で、将来の業績や株価を予想・保証するものではありません。

※数値は各社の決算資料・年次報告書・米国証券取引委員会(SEC)への提出書類などの公表資料をもとに当ブログが集計・計算したもので、四捨五入の関係で合計が合わない場合があります。数値は2026年1月31日までに公表されたもので、時点は本文・表に記載しています。円換算は2026年1月30日の為替レートによる参考値です。税制は2026年1月31日時点の法令にもとづき、令和8年度税制改正大綱の内容は今後の法改正で決まります。

出典・参考

  • Besi Q3-25 results press release(Besi、Euronext掲載のPDF、2025年10月23日)https://live.euronext.com/sites/default/files/company_press_releases/attachments/2025/10/23/Connect_q3-2025.pdf
  • BE Semiconductor Industries N.V. announces Q3-25 results(Besi、2025年10月23日)https://www.besi.com/events/events-shows/details/be-semiconductor-industries-nv-announces-q3-25-results/
  • Besi trading update Q4-25(Besi、Euronext掲載のPDF、2026年1月12日)https://live.euronext.com/sites/default/files/company_press_releases/attachments/2026/01/12/Connect_besi-trading-update-q4-25.pdf
  • Besi Q4-24 and full-year 2024 results(Besi、Euronext掲載のPDF、2025年2月20日)https://live.euronext.com/sites/default/files/company_press_releases/attachments/2025/02/20/Connect_q4-2024.pdf
  • Besi Q4-22 and full-year 2022 results(Besi、Euronext掲載のPDF、2023年2月22日)https://live.euronext.com/sites/default/files/company_press_releases/attachments/2023/02/22/Connect_q4-2022.pdf
  • BE Semiconductor Industries N.V. announces results of 2025 Annual General Meeting of Shareholders(Besi、2025年4月)https://www.besi.com/investor-relations/press-releases/2025/details/be-semiconductor-industries-nv-announces-results-of-2025-annual-general-meeting-of-shareholders/
  • Form 8-K(Applied Materials、2025年4月14日)https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/0000006951/000119312525080269/d939298d8k.htm
  • BE Semiconductor Industries N.V. announces that it has taken note of the press release from Applied Materials, Inc. of April 14, 2025(Besi、2025年4月15日)https://www.besi.com/investor-relations/press-releases/details/be-semiconductor-industries-nv-announces-that-it-has-taken-note-of-the-press-release-from-applied-materials-inc-of-april-14-2025/
  • BE Semiconductor Industries N.V. announces pricing of EUR350 million bond offering(Besi、2024年7月10日)https://www.besi.com/events/events-shows/details/be-semiconductor-industries-nv-announces-pricing-of-eur350-million-bond-offering/
  • Advanced packaging fuels transformation in back-end equipment: TCB and hybrid bonding to lead $1.3B market expansion by 2030(Yole Groupのリリースの転載、Edge AI and Vision Alliance、2025年8月18日)https://www.edge-ai-vision.com/2025/08/advanced-packaging-fuels-transformation-in-back-end-equipment-tcb-and-hybrid-bonding-to-lead-1-3-billion-market-expansion-by-2030/
  • Advanced packaging is the engine driving back-end equipment growth(Yole Group、日付の記載なし、2025年8月のリリースと同じ内容)https://www.yolegroup.com/strategy-insights/advanced-packaging-is-the-engine-driving-back%E2%80%91end-equipment-growth/
  • Hanmi Semiconductor Secures 71% Global Market Share in TC Bonders This Year(アジア経済、TechInsightsの数字を引用、2025年12月22日)https://view.asiae.co.kr/en/article/2025122209224722092
  • 한미반도체 제45기 사업보고서(ハンミ半導体、2025年3月13日)https://www.hanmisemi.com/upload_dir/board/173301502367d296c98abff.pdf
  • 한미반도체 제45기 연결감사보고서(ハンミ半導体、2025年3月13日)https://www.hanmisemi.com/upload_dir/board/24355299967d296c98e926.pdf
  • DART 공시검색 결과: 한미반도체(韓国金融監督院、2025年以降の公示一覧)https://dart.fss.or.kr/dsab007/detailSearch.ax?currentPage=1&maxResults=100&maxLinks=10&sort=date&series=desc&textCrpNm=%ED%95%9C%EB%AF%B8%EB%B0%98%EB%8F%84%EC%B2%B4&startDate=20250101&endDate=20260131
  • HANMI Semiconductor annual income statement(StockAnalysis、S&P Globalのデータ)https://stockanalysis.com/quote/krx/042700/financials/
  • HANMI quarterly income statement(StockAnalysis、S&P Globalのデータ)https://stockanalysis.com/quote/krx/042700/financials/?p=quarterly
  • HANMI quarterly balance sheet(StockAnalysis、S&P Globalのデータ)https://stockanalysis.com/quote/krx/042700/financials/balance-sheet/?p=quarterly
  • HANMI annual cash flow(StockAnalysis、S&P Globalのデータ)https://stockanalysis.com/quote/krx/042700/financials/cash-flow-statement/
  • HANMI quarterly cash flow(StockAnalysis、S&P Globalのデータ)https://stockanalysis.com/quote/krx/042700/financials/cash-flow-statement/?p=quarterly
  • HANMI Semiconductor Q3 2025 earnings summary(Quartr、2025年11月14日の四半期報告書の要約)https://quartr.com/events/hanmi-semiconductor-co-ltd-042700-q3-2025_FeSk4wvF
  • 한미반도체, 수주 이연에 3Q 영업익 31% 감소(딜사이트、2025年10月31日)https://dealsite.co.kr/articles/150642
  • The TC Bonder Drama(TrendForce、2025年4月23日)https://www.trendforce.com/news/2025/04/23/news-the-tc-bonder-drama-could-hanmis-supply-shift-the-hbm-race-between-micron-sk-hynix-and-samsung/
  • SK hynix Reportedly Places HBM4 TC Bonder Order with ASMPT as Hanmi-Hanwha Patent Clash Heats Up(TrendForce、2025年12月12日)https://www.trendforce.com/news/2025/12/12/news-sk-hynix-reportedly-places-hbm4-tc-bonder-order-with-asmpt-as-hanmi-hanwha-patent-clash-heats-up/
  • SK하이닉스, HBM용 TC 본더 주문..한미한화에 428억원씩 동일금액 발주(스마트투데이、2025年5月16日)https://www.smarttoday.co.kr/ko-kr/articles/80989
  • 한미반도체, 1분기 가이던스 깜짝 발표..주가는 신저가(스마트투데이、2025年3月31日)https://www.smarttoday.co.kr/ko-kr/articles/76630
  • 한미반도체, ‘차세대 HBM’ 겨냥…하이브리드 본더 전용 공장 짓는다(MTN、2025年6月20日)https://news.mtn.co.kr/news-detail/2025062011423976436
  • 한미반도체, 2026년 매출 2조원 목표…차세대 TC 본더 로드맵 공개(디지털데일리、2024年7月5日)https://www.ddaily.co.kr/page/view/2024070509345469786
  • 한미반도체, 1300억 자사주 소각 결정 ‘역대 최대’(딜사이트、2025年2月13日)https://dealsite.co.kr/articles/136609
  • 한미반도체, 자사주 1천300억 소각…창사 이래 최대(SBS Biz、2025年5月30日)https://biz.sbs.co.kr/amp/article/20000237888
  • 한미반도체, 보통주 1주당 800원 현금배당 결정(SBS Biz、2026年1月2日)https://biz.sbs.co.kr/amp/article/20000282127
  • 곽동신 한미반도체 회장, 50억 규모 자사주 취득(뉴스토마토、2025年10月29日)https://newstomato.com/ReadNews.aspx?no=1279530
  • 한미반도체 배당금(etfshopping)https://etfshopping.com/stock/042700/dividend
  • 株価:Yahoo Finance BESI.AS history(2024年12月31日の終値)https://finance.yahoo.com/quote/BESI.AS/history/?period1=1734912000&period2=1735948800
  • 株価:Yahoo Finance BESI.AS history(2025年12月31日・2026年1月30日の終値)https://finance.yahoo.com/quote/BESI.AS/history/?period1=1766361600&period2=1769817600
  • 株価:StockAnalysis chart data API: KRX 042700 daily history(2024年12月30日・2025年12月30日・2026年1月30日の終値)https://stockanalysis.com/api/symbol/a/KRX-042700/history?range=5Y&period=Daily
  • 外国為替相場 2026年1月30日(三菱UFJリサーチ&コンサルティング、2026年1月30日)https://www.murc-kawasesouba.jp/fx/past/index.php?id=260130
  • 外国株式取引に関する説明書(インターネット取引)(SBI証券、2026年1月)https://search.sbisec.co.jp/v2/popwin/info/home/bm/bm_260124_4_foint.pdf