東雲結子:石井先生、テレビでスノーボードのハーフパイプを見ていて、ひらめきました! ビットコインより高く跳ぶアルトコインに乗り換えれば、もっと高いところまで行けますよね。

税理士石井:ふふ、ハーフパイプは、高く跳ぶほど着地までの落差も大きくなる競技ですからね。アルトコインの値動きも、だいたい同じ形をしてきました。

東雲結子:えっ、着地のことは考えていませんでした。空中で三回転して、そのまま表彰台でインタビューを受ける予定だったのですが……。

税理士石井:うーん、表彰台の前に、まず雪面があります。2021〜22年のサイクルでは、ビットコインが天井から−76.63%だったのに対して、ソラナは−96.27%でした(どちらも日足終値)。

東雲結子:−96.27%……。それはもう着地というより、パイプの底で雪だるまになって埋まっていませんか(汗)。

税理士石井:ははは、掘り出すのが大変な雪だるまです。そこから元の天井に戻るだけで、約26.8倍の上昇が要る計算なんです。実際にソラナは2022年の底から27.1倍になって、2025年1月にようやく前の天井を1.14%上回りました。

東雲結子:27倍跳んで、やっとパイプの縁に指がかかった……。じゃあ、高く跳ぶ選手ほど、落ちるときも深いんですね。

税理士石井:多くはそうでした。大家業でも、相場が崩れる局面では、ブームに乗って強気の家賃をつけていた物件ほど、空室も値下がりも大きくなりやすいと感じます。ただ、BNBのように2回ともビットコインより浅く済んだ例外もあるので、一括りにはできません。

東雲結子:なるほど……。跳ぶ高さより先に、着地の深さと、誰が例外なのかを見ておけということですね。

税理士石井:そのとおりです。今日は、イーサリアム、XRP、ソラナ、BNB、ドージコインの天井と底、天井をつける時期のずれ、そして市場の中でのビットコインの比率(ドミナンス)を、数字で確かめていきましょう。

この回は、ビットコイン(BTC)以外の仮想通貨(暗号資産)、いわゆるアルトコインの暴落を、過去の天井と底の数字で確かめます。取り上げるのは、イーサリアム(ETH)、XRP(エックスアールピー)、ソラナ(SOL)、BNB、ドージコイン(DOGE)の5つです。価格は、データ提供サイトのYahoo Finance(CoinMarketCapのデータ)とCoinMarketCapの、ドル建て・日足終値(協定世界時)。日中の高値・安値を使うときは、そう書きます。

数字を並べると、見えてくる形はシンプルです。アルトコインの暴落は多くの場合ビットコインより深く、天井や底をつける時期もずれていました。2025年には、イーサリアムとソラナが前回の最高値を終値でわずかに超えただけで、ドージコインは届いていません。数字は2026年1月31日までのもので、ビットコインの最高値(2025年10月6日の終値124,752.53ドル)は暫定、その後の底はまだ確定していません。

大家として相場を見てきて思うのは、上がるときの勢いより、下がるときの深さと戻るまでの時間のほうが、持ち続けられるかどうかを決めるということです。この回では、アルトコインや暗号資産関連株を持っている人、眺めている人の目線で、数字の読み方も考えます。

この記事の要点 根拠となる数字
天井から底までの下落は、多くのアルトコインでビットコインより深かった(BNBは例外) 2021〜22年:BTC −76.63%、ETH −79.35%、XRP −83.25%、SOL −96.27%、DOGE −92.26%、BNB −70.84%(日足終値)
2025年、イーサリアムとソラナの最高値更新は僅差で、ドージコインは届かなかった ETH +0.40%、SOL +1.14%(前回の天井の終値比)。DOGEは2021年の天井の−31.76%にとどまった
市場の中でのビットコインの比率(ドミナンス)は、天井ごとに上がった 33.39%→43.57%→58.14%(暗号資産全体の時価総額の天井の日、CoinMarketCap)、2026年1月31日は59.07%
投資の目線:アルトコインは振れ幅が大きく、天井と底の時期もビットコインとずれる。最高値までの距離と、ドミナンス・ETH/BTCを合わせて見たい 2026年1月31日の終値で、最高値に戻るにはBTC +58.68%、ETH +97.59%、SOL +148.36%

アルトコインの暴落は、過去2回とも多くがビットコインより深かった

まず、過去2回のサイクルで、各銘柄が天井から底までどれだけ落ちたかを並べます。

銘柄 サイクル 天井(終値) 底(終値) 下落率(終値) 下落率(日中) 天井→底
BTC 2017〜18年 19,497.40(2017年12月16日) 3,236.76(2018年12月15日) −83.40% −84.11% 364日
ETH 2017〜18年 1,396.42(2018年1月13日) 84.31(2018年12月14日) −93.96% −94.22% 335日
XRP 2017〜18年 3.3778(2018年1月7日) 0.1396(2020年3月12日) −95.87% −97.00% 795日
BNB 2017〜18年 22.7598(2018年1月6日) 4.5286(2018年12月7日) −80.10% −83.18% 335日
DOGE 2017〜18年 0.017088(2018年1月7日) 0.001537(2020年3月12日) −91.01% −93.36% 795日
BTC 2021〜22年 67,566.83(2021年11月8日) 15,787.28(2022年11月21日) −76.63% −77.32% 378日
ETH 2021〜22年 4,812.09(2021年11月8日) 993.64(2022年6月18日) −79.35% −81.68% 222日
XRP 2021〜22年 1.8392(2021年4月14日) 0.3081(2022年6月18日) −83.25% −85.21% 430日
SOL 2021〜22年 258.93(2021年11月6日) 9.65(2022年12月29日) −96.27% −96.87% 418日
BNB 2021〜22年 675.68(2021年5月3日) 197.04(2022年6月18日) −70.84% −73.29% 411日
DOGE 2021〜22年 0.68478(2021年5月7日) 0.05301(2022年6月18日) −92.26% −93.26% 407日

※ドル建て。データ提供サイト(Yahoo Finance・CoinMarketCap)の日足終値(協定世界時)を当ブログが集計。下落率=底÷天井−1、日数は暦日の差。日中の下落率は日中の高値と安値どうしで計算したもので、日付が終値と違う場合がある(ETHの2021年の日中高値4,891.70ドルは11月16日の一時的な値)。XRPとDOGEの2017〜18年のサイクルの底は、2018年の天井のあとの最安値で、2020年3月12日。SOLは2017〜18年のデータなし。

2017〜18年のサイクルでは、ビットコインが−83.40%だったのに対し、イーサリアムは−93.96%、XRPは−95.87%、ドージコインは−91.01%まで落ちました。イーサリアムはビットコインより10.56ポイント深い下落です(当ブログの計算)。XRPとドージコインの底は、2020年3月12日のコロナ・ショックの日まで待つことになりました。

2021〜22年のサイクルでも、形は同じです。ビットコインの−76.63%に対し、イーサリアムは−79.35%、XRPは−83.25%、ドージコインは−92.26%。いちばん深かったのはソラナの96.27%の下落で、ビットコインより19.64ポイント深いところまで落ちています(当ブログの計算)。

例外はBNBです。2017〜18年は−80.10%、2021〜22年は−70.84%で、2回ともビットコインより浅い下落でした。なぜ浅かったのかを、この連載で使った資料は説明していません。ですからここでは、事実として記しておくにとどめます。「アルトコインはどれもビットコインより深く落ちる」という言い方は、正確ではないわけです。

では、なぜ多くのアルトコインは深く落ちたのか。資料がはっきり示しているわけではないので、ここからは当ブログの見方です。暗号資産全体の時価総額に占めるビットコインの割合は、過去3回の天井の日で3割強から6割弱でした(後で見るドミナンス)。残りを数多くの銘柄が分け合うので、1銘柄あたりの市場は小さく、お金が逃げ出すときの値崩れも大きくなりやすいと考えられます。

不動産でいえば、買い手の多い都心の物件より、買い手の限られる地方の物件のほうが、売りたい人が一斉に増えたときの値下がりが大きくなりやすいのに似ています。逆に上がる局面では、少ないお金でも値段が大きく動きます。高く跳ぶことと深く落ちることは、同じ性質の表と裏なのだと思います。

図は、天井から底までの下落率を、2017〜18年(左)、2021〜22年(中)、2026年1月31日時点(右)の3つの枠に分け、銘柄ごとの横棒で並べたものです。ビットコインの棒には色を付け、各枠の点線がビットコインの下落率の位置です。左と中の枠では、BNBを除く銘柄の棒が点線より長く、ビットコインより深いところまで伸びています。

右の枠は、各銘柄の最高値(終値)から2026年1月31日の終値までの途中経過です。底はまだ確定していないので、薄い色の点線の棒にしてあります。ここではBNBも含めた5銘柄すべてがビットコインより深い位置にあり、ドージコインは2021年の天井から−84.80%です。

用語メモ:アルトコイン=ビットコイン以外の暗号資産をまとめて呼ぶ言葉。この回では、イーサリアム、XRP、ソラナ、BNB、ドージコインの5つを指します。日足終値=1日(協定世界時の0時から24時)の最後の価格。

−96%から戻るには約27倍が要る。2025年の最高値更新は僅差だった

下落の深さが本当に効いてくるのは、戻るときです。−50%なら2倍で元に戻りますが、−90%なら10倍が必要です。2021〜22年のビットコインの−76.63%は約4.28倍、2017〜18年のイーサリアムの−93.96%は約16.56倍、ソラナの−96.27%は約26.8倍の上昇で、やっと元の天井です(いずれも当ブログの計算)。

大家業でいえば、家賃相場が崩れて空室が増えた物件を、元の家賃と入居率まで戻す作業に近いと思います。下げ幅が小さいうちは少しの手直しで戻りますが、9割下がった相場を元に戻すには、街そのものの評価が変わるほどの出来事が要ります。では、2025年に向けた上昇で、各銘柄はどこまで戻ったのでしょうか。

銘柄 最新の天井(終値) 前回の天井の終値との比較 2022年の底→最新の天井 2026年1月31日の終値 最高値(終値)からの位置
BTC 124,752.53(2025年10月6日) +84.64% 7.90倍 78,621.12 −36.98%
ETH 4,831.35(2025年8月22日) +0.40%(日中は+1.27%) 4.86倍 2,445.09 −49.39%
XRP 3.5558(2025年7月21日) 2021年比+93.33%、2018年比+5.27%(日中は2018年比−4.99%) 11.54倍 1.6455 −53.72%
SOL 261.87(2025年1月18日) +1.14%(日中は+13.18%) 27.1倍 105.44 −59.74%
BNB 1,310.21(2025年10月7日) +93.91% 6.65倍 780.48 −40.43%
DOGE 0.4673(2024年12月8日) −31.76%(2021年の天井に届かず) 8.82倍 0.1041 2021年の天井比−84.80%(2024年の天井比−77.72%)

※数値はドル建て、日足終値(協定世界時)。「2022年の底→最新の天井」は最新の天井の終値÷2022年の底の終値で、SOL以外は当ブログの計算。DOGEは最高値が2021年5月7日の0.68478ドルのまま。日中の比較は日中の高値どうし。

ソラナは、2022年12月29日の9.65ドルから2025年1月18日の261.87ドルまで27.1倍になりました。それでも、2021年11月6日の終値258.93ドルとの差は、わずか1.14%の上回りでした。日中の高値どうしで比べると+13.18%(294.33ドルと260.06ドル)になり、どの物差しを使うかで印象がずいぶん変わります。

イーサリアムも同じです。2025年8月22日の終値4,831.35ドルは、2021年11月8日の4,812.09ドルを0.40%上回っただけでした(日中の高値どうしでは+1.27%)。2022年の底からの上昇は4.86倍で、ビットコインの7.90倍に届いていません。

XRPは、物差しによって答えが変わる例です。2025年7月21日の終値3.5558ドルは、2018年1月7日の終値3.3778ドルを5.27%上回りました。ところが日中の高値で比べると、2025年7月18日の3.6502ドルは、2018年1月4日の3.8419ドルに4.99%届いていません。「XRPが史上最高値を更新した」という言い方は、終値で測った場合に限って成り立ちます。

ドージコインは、2024年12月8日の0.4673ドルが2021年の天井0.68478ドルの−31.76%にとどまり、前の天井を取り戻せませんでした。2021年の天井をはっきり上回ったのは、ビットコインの+84.64%、BNBの+93.91%、XRPの+93.33%です(XRPは2018年の天井との比較では先ほどのとおり僅差)。

イーサリアムとソラナの数字が教えてくれるのは、その前の下落が深いと、大きく上がっても元の天井を少し超えるのがやっとだということです。ソラナの27.1倍も、イーサリアムの4.86倍も、まず穴を埋めるために使われました。

天井をつける時期は銘柄ごとにずれ、2025年は多くがビットコインより先だった

次に、天井の日付を並べます。

サイクル ビットコインの天井(終値) アルトコインの天井(終値)
2017〜18年 2017年12月16日 BNB 2018年1月6日、XRP・DOGE 1月7日、ETH 1月13日(ビットコインの21〜28日後)
2021年 2021年11月8日 XRP 4月14日、BNB 5月3日、DOGE 5月7日(ビットコインの185〜208日前)、SOL 11月6日、ETH 11月8日
2024〜25年 2025年10月6日(暫定) DOGE 2024年12月8日、SOL 2025年1月18日、XRP 7月21日、ETH 8月22日(ビットコインの45〜302日前)、BNB 10月7日(1日後)

※日足終値(協定世界時)。日数は暦日の差で当ブログの計算。

2017〜18年は、アルトコインがビットコインより3〜4週間遅れて天井をつけました。2021年は、XRP・BNB・ドージコインが春に先に天井をつけ、イーサリアムとソラナはビットコインとほぼ同じ時期です。そして2024〜25年は、BNBを除く4銘柄がビットコインより先に天井をつけています。

2026年1月31日の時点で、それぞれの直近の天井(終値)から何日たったかを数えると、ドージコイン419日(2024年12月の天井から)、ソラナ378日、XRP194日、イーサリアム162日、ビットコイン117日、BNB116日です(当ブログの計算)。アルトコインの多くは、ビットコインより早く下落局面に入っていたことになります。

底の時期も、そろっていません。2022年の底(終値)は、イーサリアム、XRP、BNB、ドージコインが同じ6月18日でした。ビットコインはそれから156日後の11月21日、ソラナはさらに38日後の12月29日です(当ブログの計算)。

6月18日の直前には、Celsius(セルシウス)が6月12日にプラットフォームを事実上止めています(米証券取引委員会=SECの発表)。ソラナの底は、FTXトレーディングとその関係会社が11月11日と14日に米国の連邦破産法11条の適用を申請した後でした。ただし、こうした出来事は同じ時期に起きたというだけで、底の日付がずれた理由を資料が示しているわけではありません。暴落と出来事の関係は、暴落の歴史を取り上げる回で詳しく見ます。

ここから当ブログが読み取るのは、ビットコインの底の時期をそのままアルトコインに当てはめることはできない、ということです。ビットコインのサイクルの日数を使ったシナリオは連載の中で何度か出てきますが、アルトコインの底はビットコインより早くも遅くもなりうると考えておくほうが、現実に近いと思います。

ETH/BTCで見ると、イーサリアムはビットコインに対して2021年の半分以下になった

アルトコインがビットコインに対して強いか弱いかを見る物差しに、ETH/BTC(イーサリアムの価格÷ビットコインの価格)があります。

日付 ETH/BTC 内訳(ドル)
2018年1月の月末 0.10941 1,118.31÷10,221.10(月末値の最大)
2018年12月15日 0.02609 84.44÷3,236.76(ビットコインの底の日)
2019年8月の月末 0.01791 172.47÷9,630.66(月末値の最小)
2021年11月8日 0.07122 4,812.09÷67,566.83(両者の天井の日)
2022年11月の月末 0.07547 1,295.69÷17,168.57
2025年4月8日 0.01931 1,472.55÷76,271.95(両者の2025年の安値の日)
2025年8月22日 0.04134 4,831.35÷116,874.09(イーサリアムの最高値の日)
2025年10月6日 0.03758 4,687.77÷124,752.53(ビットコインの最高値の日)
2026年1月31日 0.03110 2,445.09÷78,621.12

※同じ協定世界時の日の終値どうしの比率(月末は月末の終値どうし)。2025年4月の月末値0.01904は、2019年8月に次ぐ低さ。

2021年11月8日、両者がそろって天井をつけた日のETH/BTCは0.07122でした。2025年8月22日、イーサリアムがドル建てで最高値をつけた日でも0.04134で、2021年の水準には遠く及びません。2026年1月31日は0.03110で、2021年11月8日の半分以下です(当ブログの計算で−56.33%)。

つまり、イーサリアムをビットコインで測ると、2025年はドル建ての「最高値更新」とはまったく違う姿でした。2025年4月の月末には0.01904と、2019年8月に次ぐ低さまで下がっています。ドル建ての値段だけを見ていると、この相対的な弱さは見えてきません。

用語メモ:ETH/BTC=イーサリアム1枚がビットコイン何枚分にあたるかを示す比率。上がればイーサリアムがビットコインより強く、下がれば弱かったことを表します。

ドミナンスは天井ごとに上がり、2026年1月末は59.07%

市場全体で見ると、どうなっていたのでしょうか。

局面 終値の日 暗号資産全体の時価総額 ビットコインのドミナンス
2018年1月 天井 2018年1月7日 8,285億ドル 33.39%
2018年12月 底 2018年12月15日 1,021億ドル 55.24%
2021年11月 天井 2021年11月8日 2兆9,197億ドル 43.57%
2022年11月 底 2022年11月21日 7,881億ドル 38.48%
2025年10月 天井 2025年10月6日 4兆2,761億ドル 58.14%
2026年1月31日 2026年1月31日 2兆6,605億ドル 59.07%(イーサリアムは11.1%)

※CoinMarketCapのグローバル指標(日次、その日の終値の時点)。CoinGeckoなど他の提供元とは値が違う。天井は暗号資産全体の時価総額の天井の日(2018年はビットコインの天井の2017年12月16日ではなく1月7日)。2018年1月のドミナンスは前日から1日で2.7ポイント動いており、算出方法の変更の可能性がある(未確認)。

ドミナンスは、暗号資産全体の時価総額に占めるビットコインの割合です。暗号資産全体の時価総額が天井をつけた日の値は、2018年1月の33.39%から、2021年11月の43.57%、2025年10月の58.14%へと上がってきました。ただし2018年1月7日はビットコイン自身の天井(2017年12月16日)の22日後で、ビットコインの天井の日のドミナンスは56.28%でした(CoinMarketCap)。どの日を天井とするかで、比べた印象は変わります(ドミナンスの差はポイントで表します)。

時価総額全体の下落は、2018年が−87.68%、2021〜22年が−73.01%でした。2025年10月6日の天井から2026年1月31日までは−37.78%で、ビットコインの価格の−36.98%より少し大きい下げです。

ドミナンスから逆算すると、ビットコイン以外の部分の時価総額は、天井の日の約1兆7,900億ドルから1月31日の約1兆890億ドルへ、約39%減った計算です(当ブログの計算。総時価総額×(1−ドミナンス))。

この「ビットコイン以外」には、価格がほとんど動かないステーブルコインも含まれています。ステーブルコインの供給は、2025年9月末ごろに3,000億ドルを超え(報道)、2025年末は3,110億ドル(CoinGeckoの年次レポート)と、ほぼ横ばいでした。ですから、アルトコインだけで見た下落は、この39%より大きかったと考えられます(当ブログの見方)。

逆に、2022年11月の底のドミナンス38.48%は、2021年11月の天井の43.57%より低くなっています。多くのアルトコインのほうが深く落ちたのに、ビットコインの割合が下がったように見えるのです。理由として考えられるのは二つです(当ブログの見方)。

一つは時期のずれです。多くのアルトコインは6月18日に底をつけたあとで、ビットコインが底をつけた11月21日には、ETH/BTCが約0.0702(CoinMarketCapの終値で当ブログが計算)と、2021年11月8日の0.07122とほぼ同じ水準まで戻っていました。もう一つは、値動きの小さいステーブルコインが分母に入っていることです(2022年11月のステーブルコインの供給額は、この連載の資料にはありません)。ドミナンスは、いつ測ったか、何が分母に入っているかを意識して読む必要があります。

提供元による違いにも注意が要ります。2025年末のドミナンスは、CoinMarketCapでは58.99%(12月31日の終値の時点)、CoinGeckoの年次レポートでは57.4%でした。2025年の時価総額の天井も、CoinMarketCapの4兆2,761億ドルに対して、CoinGeckoは「$4.4T」としています。数字を引用するときは、提供元の名前を添えるのが鉄則です。

用語メモ:ドミナンス=暗号資産全体の時価総額に占める、ある銘柄(ふつうはビットコイン)の割合。時価総額=価格×流通している枚数。ステーブルコイン=米ドルなどの法定通貨と同じ値段を保つように設計された暗号資産で、USDT(テザー)やUSDCが代表例。

2025年の天井からの下落局面に当てはめると、アルトコインはすでにビットコインより深い

2026年1月31日の終値で、各銘柄の直近の天井(終値)からの位置を並べ直すと、ビットコイン−36.98%、BNB−40.43%、イーサリアム−49.39%、XRP−53.72%、ソラナ−59.74%、ドージコイン−77.72%(2024年の天井比。2021年の最高値比では−84.80%)です。底はまだ確定していませんが、途中経過の段階で、すでに5銘柄ともビットコインより深いところにいます。

では、この下落局面はどこまで続くのか。当ブログは、ビットコインについてだけ、3つのシナリオを置いています。どれも過去のデータや名前のある見方に当ブログが置いた仮定で、予想ではありません。

当ブログのシナリオ(BTC) 前提 底の時期・水準(ドル、終値) 崩れる条件
S-A「4年サイクルどおり、過去並みの下落」 過去3回の天井→底の日数(364〜406日)と下落率(−76.63%〜−84.53%) 2026年10月5日〜11月16日、約1万9,300〜2万9,200ドル 下落が−76.63%より浅い(買いが続く)か−84.53%より深い、底の時期がずれる、2026年に最高値を更新する
S-B「4年のリズムは続くが、下落は浅い」 フィデリティのティマー氏の「Support is at $65-75k.」(2025年12月18日のX投稿、Cointelegraph経由) 時期はS-Aと同じ、6万5,000〜7万5,000ドル(天井比−39.88%〜−47.90%) 終値で6.5万ドルを割る、規制や取引所の信用の事故、早い底入れと最高値の更新
S-C「サイクルが崩れる」 Grayscale(2025年12月15日)、Bitwise(12月16日、報道の要約)、Standard Chartered(12月9日、報道)の見方 深い下落なし。天井(124,752.53ドル)の回復には1月31日の終値から+58.68% 2026年に終値で天井を超えない、ETF(上場投資信託)からの流出が続く、金利が支えにならない、企業の買いが細る

※当ブログの仮定と試算で、予想ではない。天井(2025年10月6日の終値124,752.53ドル)は暫定。S-Aの水準=天井×(1+過去3回の下落率)。2011年の−93.18%は市場が小さく二次データのため除外。各シナリオの詳しい組み立ては、次の底のシナリオを取り上げる回で扱う。

アルトコインについて、当ブログは価格のシナリオを置いていません。言えるのは、過去2回のサイクルでは多くの銘柄がビットコインより深く落ち、底の時期もずれた、という事実までです。S-Aのように過去並みの下落になるなら、その形が繰り返される可能性は頭に置いておきたいところです。

一方、S-Cのようにビットコインが早く持ち直す場合でも、アルトコインがそろってついてくるとは限りません。2025年は、ドミナンスが58.14%まで上がる中で、イーサリアムとソラナは前の天井を僅差で超えただけでした(当ブログの見方)。

アルトコインを持つ人・眺める人の投資の目線:振れ幅、時期のずれ、比率を確かめる

ここからは、アルトコインやその関連の株を持っている人、これから眺める人にとって、数字が何を意味するかを考えます。売り買いの判断ではなく、性格とリスク、確かめる点の整理です。

まず振れ幅です。過去2回のサイクルで、イーサリアムは−93.96%と−79.35%、ドージコインは−91.01%と−92.26%、ソラナは−96.27%を経験しました。−90%を超える下落から戻るには、10倍を超える上昇が要ります。アルトコインを持つということは、資産の9割以上が消える局面を何年か耐える前提に立つことだと、私は考えています。生活資金や近いうちに使うお金を、この振れ幅にさらさないことが出発点です。

レバレッジにも触れておきます。借入や証拠金で取引の規模を膨らませていると、価格が底をつける前に清算(ロスカット)されて、相場が戻っても参加できなくなります。大家業でいえば、ローンの返済が回らなくなった物件が、相場の底で投げ売りされるのと同じ構図です。振れ幅の大きいアルトコインほど、この危うさは大きくなります。

次に、いまの価格が置かれている位置です。2026年1月31日の終値から最高値(終値)に戻るには、ビットコインが+58.68%、BNBが+67.87%、イーサリアムが+97.59%、XRPが+116.09%、ソラナが+148.36%の上昇を必要とします(当ブログの計算)。ドージコインは2021年の天井まで+557.81%です。同じ「暗号資産」でも、元の高さまでの距離はこれだけ違うということは、知っておいて損はありません。

確かめたい数字は、ドミナンスとETH/BTCです。2025年はこの二つが、アルトコインの上昇が限られていたことを示していました。ドミナンスは提供元で値が違うので、同じ提供元で続けて見ることが大切です。お金の流れでは、米国の現物ETFの資金の出入りがあります。The Blockは、2026年1月にビットコインの現物ETFから約16億ドル、イーサリアムの現物ETFから約3億5,300万ドルの純流出があったと報じました(SoSoValueの集計)。

日本のルールの動きも、確かめる点の一つです。金融審議会のワーキング・グループの報告(2025年12月10日)は、暗号資産を「有価証券とは別の規制対象として金商法に位置付けることが適当」とし、インサイダー取引の規制を新しく設ける方向を示しました。対象には、暗号資産の発行者の関係者、交換業者の関係者、大口の取引を行う者の関係者が挙げられています。法律になるのはこれからで、2026年1月31日の時点では方向性の段階です。

確かめる点 2026年1月時点の数字 当ブログの見方
ビットコインのドミナンス(CoinMarketCap) 59.07%(1月31日) 上がり続けるうちは、上昇がビットコインに集中しやすい
ETH/BTC 0.03110(1月31日) 2021年11月の0.07122の半分以下。イーサリアムの相対的な強さの物差し
米国の現物ETFの資金の出入り BTC約−16億ドル、ETH約−3億5,300万ドル(1月、報道) 流出が続くかどうかは、需給の大きな手がかり
ステーブルコインの供給 3,110億ドル(2025年末、CoinGecko) 暗号資産の中で待機しているお金の目安。減り始めるかに注意

税理士の立場から一つだけ。アルトコインからアルトコインへ、あるいはビットコインからアルトコインへ乗り換えるとき、日本の税金では暗号資産どうしの交換でも課税の対象になります。国税庁のFAQでは、手放した暗号資産でもう一方を買ったものとして、手放した側の利益を計算します。円に戻していないから税金はまだ、とはなりません。くわしくは、税金を取り上げる回で整理します。

暗号資産関連株を見ている人にとっても、アルトコインの振れ幅は他人事ではありません。持ち株の会社がどの暗号資産をどれだけ持ち、売上をどこに頼っているかを、ここで見た振れ幅と照らし合わせておくと安心です。会社ごとの中身は、米国や日本の暗号資産関連株を読む別の連載で取り上げています。

アルトコインは「高く跳ぶほど深く落ちる」を前提に、比率と時期のずれを見ておく

この回の数字を振り返ります。過去2回のサイクルで、アルトコインの多くはビットコインより深く落ちました。2021〜22年はソラナが−96.27%、ドージコインが−92.26%で、ビットコインは−76.63%。例外はBNBで、2回ともビットコインより浅い下落でした。2025年には、イーサリアムが+0.40%、ソラナが+1.14%と、前の天井を僅差で超えただけで、ドージコインは届いていません。

天井と底の時期は銘柄ごとにずれ、2024〜25年は多くのアルトコインがビットコインより先に天井をつけました。ドミナンスは市場全体の時価総額の天井ごとに33.39%、43.57%、58.14%と上がり、2026年1月31日は59.07%です。2025年の上昇がビットコインに集中していたこと、そしてアルトコインがすでにビットコインより深い位置にいることを、数字は示しています(当ブログの見方)。

これから見ていきたいのは、ドミナンスとETH/BTCの向き、米国の現物ETFの資金の出入り、ステーブルコインの供給、そしてビットコインの底がどこで、いつ固まるかです。ハーフパイプでも、高さだけでなく着地まで含めて演技が評価されます。大家業も同じで、相場の天井で物件を自慢した人より、空室の冬を越えられた人が最後に残ると感じます。

4年サイクルの全体像を取り上げる回、過去のサイクルを数字で読む回、暴落の歴史を取り上げる回、次の底のシナリオを取り上げる回、そして税金を取り上げる回もあわせてどうぞ。

 

※本記事は公表資料をもとにした情報提供を目的としたもので、暗号資産(仮想通貨)や特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。価格の時期やシナリオは、過去のデータに当ブログが置いた前提を当てはめた試算で、将来の価格を予想・保証するものではありません。暗号資産は価格の変動が大きく、投資した金額を大きく下回ることがあります。

※価格は暗号資産のデータ提供サイトの日足終値(協定世界時)などの公表資料をもとに当ブログが集計・計算したもので、四捨五入の関係で合計が合わない場合があります。数値は2026年1月31日までに公表・観測されたもので、時点は本文・表に記載しています。税制は2026年1月31日時点の法令にもとづき、令和8年度税制改正大綱の内容は今後の法改正で決まります。

出典・参考

  • ビットコイン価格:Yahoo Finance「BTC-USD」日足(CoinMarketCapのデータ、2017年12月・2018年12月・2021年11月・2022年11月・2025年・2026年1月の値を参照)https://finance.yahoo.com/quote/BTC-USD/history/?frequency=1d&period1=1767225600&period2=1769904000
  • イーサリアム価格:Yahoo Finance「ETH-USD」月足(2026年1月31日までの値を参照)https://finance.yahoo.com/quote/ETH-USD/history/?frequency=1mo&period1=1509494400&period2=1769904000
  • イーサリアム価格:Yahoo Finance「ETH-USD」日足(2018年1月)https://finance.yahoo.com/quote/ETH-USD/history/?frequency=1d&period1=1514764800&period2=1517443200
  • イーサリアム価格:Yahoo Finance「ETH-USD」日足(2018年12月)https://finance.yahoo.com/quote/ETH-USD/history/?frequency=1d&period1=1543622400&period2=1546300800
  • イーサリアム価格:Yahoo Finance「ETH-USD」日足(2021年11月)https://finance.yahoo.com/quote/ETH-USD/history/?frequency=1d&period1=1635724800&period2=1638316800
  • XRP価格:Yahoo Finance「XRP-USD」月足(2026年1月31日までの値を参照)https://finance.yahoo.com/quote/XRP-USD/history/?frequency=1mo&period1=1509494400&period2=1769904000
  • ソラナ価格:Yahoo Finance「SOL-USD」月足(2026年1月31日までの値を参照)https://finance.yahoo.com/quote/SOL-USD/history/?frequency=1mo&period1=1585699200&period2=1769904000
  • BNB価格:Yahoo Finance「BNB-USD」月足(2026年1月31日までの値を参照)https://finance.yahoo.com/quote/BNB-USD/history/?frequency=1mo&period1=1509494400&period2=1769904000
  • ドージコイン価格:Yahoo Finance「DOGE-USD」月足(2026年1月31日までの値を参照)https://finance.yahoo.com/quote/DOGE-USD/history/?frequency=1mo&period1=1509494400&period2=1769904000
  • CoinMarketCap 過去データ:Ethereum(日足、2022年6月ほか)https://api.coinmarketcap.com/data-api/v3/cryptocurrency/historical?id=1027&convertId=2781&timeStart=1654041600&timeEnd=1656633600&interval=daily
  • CoinMarketCap 過去データ:Solana(日足、2021年11月ほか)https://api.coinmarketcap.com/data-api/v3/cryptocurrency/historical?id=5426&convertId=2781&timeStart=1635724800&timeEnd=1638316800&interval=daily
  • CoinMarketCap 過去データ:XRP(日足、2018年1月ほか)https://api.coinmarketcap.com/data-api/v3/cryptocurrency/historical?id=52&convertId=2781&timeStart=1514764800&timeEnd=1517443200&interval=daily
  • CoinMarketCap 過去データ:BNB(日足、2018年1月ほか)https://api.coinmarketcap.com/data-api/v3/cryptocurrency/historical?id=1839&convertId=2781&timeStart=1514764800&timeEnd=1517443200&interval=daily
  • CoinMarketCap 過去データ:Dogecoin(日足、2018年1月ほか)https://api.coinmarketcap.com/data-api/v3/cryptocurrency/historical?id=74&convertId=2781&timeStart=1514764800&timeEnd=1517443200&interval=daily
  • CoinMarketCap グローバル指標(日次、2018年1月)https://api.coinmarketcap.com/data-api/v3/global-metrics/quotes/historical?format=chart&interval=1d&timeStart=1515110400&timeEnd=1515542400
  • CoinMarketCap グローバル指標(日次、2018年12月〜2019年2月)https://api.coinmarketcap.com/data-api/v3/global-metrics/quotes/historical?format=chart&interval=1d&timeStart=1543622400&timeEnd=1549756800
  • CoinMarketCap グローバル指標(日次、2021年11月)https://api.coinmarketcap.com/data-api/v3/global-metrics/quotes/historical?format=chart&interval=1d&timeStart=1635724800&timeEnd=1637020800
  • CoinMarketCap グローバル指標(日次、2022年11月〜2023年1月)https://api.coinmarketcap.com/data-api/v3/global-metrics/quotes/historical?format=chart&interval=1d&timeStart=1667606400&timeEnd=1672617600
  • CoinMarketCap グローバル指標(日次、2025年9月30日〜10月16日)https://api.coinmarketcap.com/data-api/v3/global-metrics/quotes/historical?format=chart&interval=1d&timeStart=1759190400&timeEnd=1760572800
  • CoinMarketCap グローバル指標(日次、2025年12月25日〜2026年1月31日の値を参照)https://api.coinmarketcap.com/data-api/v3/global-metrics/quotes/historical?format=chart&interval=1d&timeStart=1766620800&timeEnd=1770076800
  • CoinGecko 2025 Annual Crypto Industry Report(CoinGecko、2026年1月)https://assets.coingecko.com/reports/2025/CoinGecko-2025-Annual-Crypto-Industry-Report.pdf
  • SEC Charges Celsius Network Limited and Founder Alex Mashinsky(米国証券取引委員会、2023年7月13日)https://www.sec.gov/newsroom/press-releases/2023-133
  • FTX Trading Ltd. 事件ページ(Kroll、連邦破産法11条の手続)https://restructuring.ra.kroll.com/FTX/
  • BTC drops below $80,000 following $1.6 billion in monthly ETF outflows, third-worst month on record(The Block、2026年1月31日)https://www.theblock.co/post/387923/btc-drops-below-80000
  • 2026 Digital Asset Outlook: Dawn of the Institutional Era(Grayscale Research、2025年12月15日更新)https://research.grayscale.com/reports/2026-digital-asset-outlook-dawn-of-the-institutional-era
  • Bitwise CIO says bitcoin will break 4-year cycle and set new all-time highs in 2026(The Block、2025年12月16日)https://www.theblock.co/post/382690/bitwise-cio-bitcoin-break-4-year-cycle-new-all-time-highs-2026
  • ‘Not crypto winter’: Standard Chartered halves 2025 bitcoin target to $100K(The Block、2025年12月9日)https://www.theblock.co/post/381892/not-crypto-winter-standard-chartered-halves-2025-bitcoin-target-to-100k-keeps-long-term-bull-case
  • Fidelity macro lead sees $65K bitcoin bottom in 2026(Cointelegraph、2025年12月19日)https://cointelegraph.com/news/fidelity-macro-lead-65k-bitcoin-bottom-2026
  • 金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」報告(金融庁、2025年12月10日)https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20251210/01.pdf
  • 金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」報告 概要(金融庁、2025年12月10日)https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20251210/02.pdf
  • Stablecoin market capitalisation surpasses $300 billion(ForkLog、2025年9月29日)https://forklog.com/en/stablecoin-market-capitalisation-surpasses-300-billion/
  • 暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)(国税庁、2025年12月)https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/virtual_currency_faq_03.pdf