東雲結子:先生、退去の立ち会いに行ってきました! スマホのライトを壁に斜めに当てたら、髪の毛みたいに細い傷まで浮かび上がって、管理会社さんに「鑑識の方ですか」と聞かれました。
税理士石井:ははは、それは頼もしい。光を斜めに当てると、小さな凹凸が影になって見えるんですよね。
東雲結子:ただ、いちばん新しい傷は、立ち会いの最中に私のバッグの金具が付けたものでした……。
税理士石井:検査のたびに傷を増やしていたら、検査装置としては致命的ですね。半導体の工場にも、ウェーハに光を当てて小さな欠陥を探す装置があって、その分野で過半のシェアを持つのがKLAです。会社の決算資料は、調査会社ガートナーの数字として、2024年の検査・計測の市場で56%超と示しています。
東雲結子:見つける側の会社なんですね。しかもROE(自己資本利益率)が100.8%! 元手が1年で倍になる会社ですか?
税理士石井:うーん、そこが今日の落とし穴です。KLAは自社株買いを続けてきたので、帳簿上の自己資本が小さいんです。分母が小さいと、割り算の答えは大きく出ます。
東雲結子:えっ、出資金をどんどん払い戻した共同オーナーの物件みたいな……? 家賃は同じでも、利回りだけ立派に見えるという。
税理士石井:そのとおりです。ただ、稼ぐ力も本物で、2025年1〜12月の営業利益率は42.0%でした。気になるのは中国で、売上に占める比率は2024年4〜6月期の44.6%から、2025年10〜12月期は30.2%まで下がっています。
東雲結子:壁の傷を見つける目と、数字の見かけにだまされない目、両方要るんですね。
税理士石井:いいまとめです。この回は、高い利益率の中身、中国比率の道のり、受注残、そして株価が何を前提にしているかを、立ち会いのつもりで一部屋ずつ見ていきましょう。
連載の第5回は、米国のKLA(ケーエルエー)です。Nasdaq(米国の株式市場)に上場し、ウェーハの欠陥を見つける検査装置や、工程の出来ばえを測る計測装置を手がけています。KLAの決算は米国会計基準(US GAAP)の連結で、決算期は6月30日。2025年6月期(FY2025)は2024年7月1日〜2025年6月30日で、四半期の区切りは暦月どおりです。
2026年1月31日までに公表された最新の決算は、2026年1月29日発表の2026年6月期第2四半期(2025年10〜12月)です。会社は同時に、次の2026年1〜3月期の売上高を33.5億ドル±1.5億ドルと見込みました。KLAの損益計算書には営業利益の行がないため、この回の営業利益は、売上高から売上原価、研究開発費、販売費及び一般管理費、減損を引いて当ブログが計算した値です。
材料は決算発表、株主への手紙、決算説明会の資料、年次報告書(10-K)、四半期報告書(10-Q)、第三者による説明会の書き起こしです。金額は千ドル単位の開示を億ドルに四捨五入しています。後半では、決算の数字を株式投資の銘柄選びにどうつなげるかも、アナリストの目線で整理します。
| この記事の要点 | 根拠となる数字 |
| 検査・計測で過半のシェア、利益率は4割を超える | プロセス制御のシェア56%超(2024年、ガートナーの数字としてKLA資料)、2025年1〜12月の営業利益率42.0% |
| 中国比率は大きく下がり、会社は2026年を20%台半ば〜後半と見る | 44.6%(2024年4〜6月期)→25.9%(2025年1〜3月期)→39.5%(7〜9月期)→30.2%(10〜12月期) |
| 受注残は減ったが、サービスは16年連続の増収 | 受注残98.3億ドル(2024年6月30日)→78.6億ドル(2025年6月30日)、2025年のサービス売上15%増 |
| 銘柄選びの目線:ROE100%超は自己資本の薄さの表れ、株価は利益より速く上がった | ROE100.8%(FY2025)、自己資本比率29.2%、2025年の株価+92.8%、2025年1〜12月のEPS+44.5%、実績PER41.5倍 |
KLAは検査・計測の大手、会社資料はシェアを56%超と示す
KLAの事業の中心は、製造の途中でウェーハを検査・計測し、工程の出来ばえを管理するプロセス制御です。FY2025の売上高121.6億ドルを製品別に見ると、ウェーハ検査が62.0億ドルで売上の51.0%を占め、サービスが26.8億ドル(22.1%)、パターニングが22.0億ドル(18.1%)と続きます。
| 億ドル(%) | FY2023 | FY2024 | FY2025 |
| ウェーハ検査 | 43.4(41.3) | 43.3(44.2) | 62.0(51.0) |
| パターニング | 27.9(26.6) | 20.5(20.9) | 22.0(18.1) |
| 特殊半導体プロセス | 4.9(4.7) | 4.7(4.8) | 5.2(4.3) |
| PCB・部品検査 | 3.8(3.6) | 2.9(3.0) | 3.6(2.9) |
| サービス | 21.2(20.2) | 23.3(23.7) | 26.8(22.1) |
| その他 | 3.8(3.6) | 3.3(3.4) | 2.0(1.7) |
※10-Kの製品別売上。区分名は会社の表示(Wafer Inspection、Patterning、Specialty Semiconductor Process、PCB and Component Inspection、Services、Other)を当ブログが訳したもの。カッコ内は売上高に占める割合。FY2023は2023年6月期(2022年7月1日〜2023年6月30日)、FY2024は2024年6月期(2023年7月1日〜2024年6月30日)。
伸びが大きかったのはウェーハ検査で、FY2025は43.3億ドルから62.0億ドルへ43.1%増えました(当ブログの計算)。パターニングは6.9%増、サービスは15.2%増です(同)。売上の半分を一つの製品群が占めるようになったわけです。
市場での位置を示す数字は、KLA自身の資料にあります。2025年4月30日の決算資料(2025年6月期第3四半期)は、調査会社ガートナー(Gartner)の2025年4月の数字として、2024年のプロセス制御の市場でKLAのシェアを56%超とし、5年で約2.5ポイント上がったと示しています。光学式の検査では85%超としていますが、こちらには出典の記載がありません。
第三者の数字では、モルガン・スタンレーのデータを湯之上隆氏がEE Times Japan(2025年8月25日)で紹介しています。2024年の外観検査装置(市場規模143億ドル)は、KLAとアプライド マテリアルズ(以下アプライド)の合計で69.6%でした(二次資料による)。10-Kは競合として、アプライド、ASML(エーエスエムエル)、日立ハイテク、Onto Innovation、レーザーテックの名前を挙げています。
顧客では、FY2025とFY2024に売上の10%を超えたのはTSMCの1社だけで、FY2023はTSMCとサムスン電子の2社でした。従業員は約15,000人(2025年6月30日時点)です。10-Kは「経営陣は、業界をリードする製品とサービスの品ぞろえにより、当社が市場で良い位置にあると考えている」(会社資料の英文を当ブログが訳出)と書いています。
用語メモ:プロセス制御=製造の途中でウェーハを検査・計測し、工程の出来ばえを管理すること。検査=欠陥やごみを見つけること。計測=膜の厚さや回路の寸法などを測ること。光学式=光を当てて調べる方式。US GAAP=米国の会計基準。
KLAの決算は5年で売上1.76倍、営業利益率は34.1〜39.7%
| 億ドル(%) | FY2021 | FY2022 | FY2023 | FY2024 | FY2025 |
| 売上高 | 69.2 | 92.1 | 105.0 | 98.1 | 121.6 |
| うちサービス | 16.8 | 19.1 | 21.2 | 23.3 | 26.8 |
| 粗利率(%) | 59.9 | 61.0 | 59.8 | 60.0 | 60.9 |
| 研究開発費 | 9.3 | 11.1 | 13.0 | 12.8 | 13.6 |
| 研究開発費比率(%) | 13.4 | 12.0 | 12.4 | 13.0 | 11.2 |
| 減損 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 2.9 | 2.4 |
| 営業利益(計算) | 24.9 | 36.5 | 39.9 | 33.5 | 47.8 |
| 営業利益率(%) | 36.0 | 39.7 | 38.1 | 34.1 | 39.3 |
| 純利益 | 20.8 | 33.2 | 33.9 | 27.6 | 40.6 |
| 希薄化EPS(ドル) | 13.37 | 21.92 | 24.15 | 20.28 | 30.37 |
| ROE(%) | 61.5 | 139.0 | 156.8 | 87.8 | 100.8 |
※US GAAP・連結。FY2021は2021年6月期(2020年7月1日〜2021年6月30日)、FY2022は2022年6月期(2021年7月1日〜2022年6月30日)、FY2025は2025年6月期(2024年7月1日〜2025年6月30日)。営業利益=売上高−売上原価−研究開発費−販売費及び一般管理費−減損で、当ブログの計算。ROEは純利益÷期首・期末の自己資本の平均(FY2021は期末の自己資本で近似、当ブログの計算)。
5年で売上は69.2億ドルから121.6億ドルへ、約1.76倍になりました(当ブログの計算)。営業利益率は5期とも34%を超え、粗利率も59.8〜61.0%の幅に収まっています。売上の6割前後が粗利として残る事業です。
下り坂の年も確かめます。FY2024(2024年6月期)は売上が6.5%減り、営業利益は16.2%減りました(当ブログの計算)。この年には、のれん・無形資産の減損2.9億ドルが入っています。減損を除いて計算すると、営業利益の減少は9.0%で、営業利益率は37.1%を保っていた計算です(当ブログの計算)。
FY2025は売上が23.9%増え、営業利益は42.7%増の47.8億ドル、純利益は47.1%増の40.6億ドルでした(当ブログの計算)。この年も減損2.4億ドルを含み、除くと営業利益率は41.2%です。研究開発費は13.6億ドルで、売上に対する比率11.2%は5期で最も低い値でした。
大家業でいえば、家賃が少し下がった年でも、管理費や修繕費を差し引いた手取りの割合が大きくは崩れない物件に近い姿です(当ブログの見方)。FY2024とFY2025の利益には、買収で上乗せして払った分(のれん等)の切り下げにあたる減損の損失が含まれている点も、読み落としたくないところです。
用語メモ:粗利率=(売上高−売上原価)÷売上高。減損=買収などで計上した資産(のれん等)の価値が下がったとき、帳簿の金額を切り下げて損失にすること。EPS=1株あたり純利益で、希薄化EPSは将来増えうる株式も含めて計算した値。ROE(自己資本利益率)=純利益÷自己資本。
四半期の売上は24.0億ドルから33.0億ドルへ、営業利益率は41%台
| 四半期 | 売上高(億ドル) | うちサービス | 粗利率(%) | 営業利益率(%) | 希薄化EPS(ドル) | non-GAAP EPS(ドル) | 中国比率(%) |
| 2023年7〜9月期 | 24.0 | 5.6 | 60.5 | 37.5 | 5.41 | 5.74 | 42.8 |
| 2023年10〜12月期 | 24.9 | 5.6 | 60.7 | 29.5 | 4.28 | 6.16 | 41.3 |
| 2024年1〜3月期 | 23.6 | 5.9 | 57.9 | 31.2 | 4.43 | 5.26 | 42.2 |
| 2024年4〜6月期 | 25.7 | 6.1 | 60.7 | 38.0 | 6.18 | 6.60 | 44.6 |
| 2024年7〜9月期 | 28.4 | 6.4 | 59.6 | 39.4 | 7.01 | 7.33 | 42.2 |
| 2024年10〜12月期 | 30.8 | 6.7 | 60.3 | 32.6 | 6.16 | 8.20 | 35.5 |
| 2025年1〜3月期 | 30.6 | 6.7 | 61.6 | 42.5 | 8.16 | 8.41 | 25.9 |
| 2025年4〜6月期 | 31.7 | 7.0 | 62.0 | 42.6 | 9.06 | 9.38 | 30.2 |
| 2025年7〜9月期 | 32.1 | 7.4 | 61.3 | 41.7 | 8.47 | 8.81 | 39.5 |
| 2025年10〜12月期 | 33.0 | 7.9 | 61.4 | 41.3 | 8.68 | 8.85 | 30.2 |
※US GAAP・連結。2023年7〜9月期は2024年6月期の第1四半期で、以下順に続く。営業利益率は当ブログの計算。non-GAAP EPSは会社定義。中国比率は顧客の所在地による地域別売上から計算した値(一部の四半期は累計の差から計算)。

図の上段は、2023年7〜9月期から2025年10〜12月期までの四半期の売上高の棒です。24.0億ドルから33.0億ドルまで、2年余りで約1.38倍になりました(当ブログの計算)。右端の斜線の棒は、2026年1〜3月期の会社予想33.5億ドル±1.5億ドル(2026年1月29日時点)です。
下段はGAAPの営業利益率の線です。29.5%、31.2%、32.6%と落ち込んだ3つの四半期には、図の注記のとおり、それぞれ2.2億ドル、0.7億ドル、2.4億ドルの減損が入っています。減損を除いて計算すると、この3四半期の営業利益率は38.3%、34.2%、40.4%です(当ブログの計算)。
2025年1〜3月期からは41〜42%台が続き、2025年1〜12月の4四半期の合計では、営業利益53.5億ドル÷売上高127.4億ドルで42.0%でした(当ブログの計算)。会社予想には営業利益率の数字がないため、図の右端の下段には「会社予想に営業利益率はない」と記しています。
2025年10〜12月期の売上高は33.0億ドルで、前年同期比7.2%増、前の四半期比2.7%増でした(当ブログの計算)。GAAPの希薄化EPSは8.68ドル、会社定義のnon-GAAPでは8.85ドルです。製品別では、パターニングが前年同期比31.2%増の7.0億ドル、ウェーハ検査は0.7%増の15.7億ドルでした(10-Qの金額から当ブログの計算)。
決算資料によると、暦年の2025年(1〜12月)の売上は前年比17%増で、ウェーハ検査が25%増、パターニングが12%増、サービスが15%増でした。ウォレスCEO(最高経営責任者)は「KLAはAIのエコシステムを支える重要な存在であり、AIインフラの構築から独自の恩恵を受け続けている」(会社資料の英文を当ブログが訳出)と述べています。
用語メモ:non-GAAP=株式報酬などを除いて会社が独自に計算した利益。会社ごとに定義が違うため、本稿の主な数字はGAAPで示す。
会社予想は売上33.5億ドル、5四半期続けて中央値を上回った
次の2026年1〜3月期について、会社は2026年1月29日に、売上高33.5億ドル±1.5億ドル、GAAPの粗利率60.62%±1ポイント、GAAPのEPS8.85ドル±0.78ドル(non-GAAPでは9.08ドル±0.78ドル)と見込みました。売上高の中央値は、2025年10〜12月期の実績より1.6%、前年同期より9.4%多い水準です(当ブログの計算)。
| 対象の四半期(公表日) | 売上高の会社予想の中央値(百万ドル) | 売上高の実績(百万ドル) | non-GAAP EPSの会社予想の中央値(ドル) | non-GAAP EPSの実績(ドル) |
| 2024年10〜12月期(2024年10月30日) | 2,950 | 3,076.9 | 7.75 | 8.20 |
| 2025年1〜3月期(2025年1月30日) | 3,000 | 3,063.0 | 8.05 | 8.41 |
| 2025年4〜6月期(2025年4月30日) | 3,075 | 3,174.7 | 8.53 | 9.38 |
| 2025年7〜9月期(2025年7月31日) | 3,150 | 3,209.7 | 8.53 | 8.81 |
| 2025年10〜12月期(2025年10月29日) | 3,225 | 3,297.1 | 8.70 | 8.85 |
| 2026年1〜3月期(2026年1月29日) | 3,350(±150) | 次の決算で公表 | 9.08(±0.78) | — |
※会社予想は各四半期の決算発表による。過去の予想との比較は、当ブログが集めた会社定義のnon-GAAP EPSで示す。2026年1月31日時点で、2026年1〜3月期の予想が最新。
当ブログが確かめた5四半期は、売上もnon-GAAPのEPSもすべて中央値を上回りました。会社は2026年(暦年)のnon-GAAPの粗利率を約62%±0.5ポイントと見込み、DRAM向けの比率が高まることによる0.75〜1ポイントの押し下げを含むとしています。2026年1〜6月の売上は、2025年7〜12月より1桁台半ばの伸びを見込みます(株主への手紙)。
用途では、半導体向けプロセス制御のシステム売上のうち、2025年10〜12月期はファウンドリー・ロジック向けが約60%、メモリー向けが約40%で、メモリーの中ではDRAMが75%、NANDが25%でした。1〜3月期の見込みは60%と40%のまま、メモリーの中のDRAMが85%に上がります(会社の概数)。
業界の見通しも、会社は数字で示しています。株主への手紙(2026年1月29日)は、先端パッケージングを除く「コアWFE市場は1桁台後半から2桁台前半の伸びとなり、1,200億ドル台前半に達すると見込む」(会社資料の英文を当ブログが訳出)としました。同じ手紙は、2025年のコアWFEを約1,100億ドルとし、約120億ドルの先端パッケージングを加えた2026年の市場を1,300億ドル台半ばと見ています。
ヒギンズCFO(最高財務責任者)は説明会で、ファウンドリー・ロジックのWFEを「年間で10〜15%」の伸びと見て、「当社製品の顧客のリードタイムは、供給の制約で長くなっている」と述べました(いずれも第三者の書き起こしを当ブログが訳出)。業界団体SEMIの予測(2025年12月16日)から当ブログが計算した2026年のWFE約1,261億ドルとは定義が違い、直接は比べられません。
用語メモ:WFE=ウェーハに回路をつくる前工程の装置の市場。KLAの「コアWFE」は先端パッケージング(チップを高密度に組み合わせる後工程の技術)向けを含まない。DRAM=計算中のデータを一時的に置くメモリー。NAND=電源を切っても記憶が残るメモリー。リードタイム=発注から納品までの期間。
サービス売上は16年連続の増収、2025年10〜12月期は売上の23.8%
KLAの売上の2割強はサービスです。FY2021の16.8億ドルからFY2025の26.8億ドルへ約1.60倍になり(当ブログの計算)、株主への手紙によると、暦年の2025年は15%増えて16年連続の増収でした。会社が掲げる長期の成長目標12〜14%を上回っています。
2025年10〜12月期のサービス売上は7.9億ドルで、前年同期比17.8%増、売上の23.8%を占めました(当ブログの計算)。大家業でいえば、建てた物件の管理受託の手数料が、新築の波とは別に入ってくる形です。据え付けた装置が増えるほど、この収入の土台も厚くなると私は見ています(当ブログの見方)。
ただし、輸出規制の影がないわけではありません。株主への手紙は「一部の顧客とのサービス業務を制限する輸出規制の、継続的な悪影響」(会社資料の英文を当ブログが訳出)に触れています。管理を任されている物件のうち、一部には立ち入りが制限されているような状態です。
受注残は98.3億ドルから78.6億ドルへ、受注高は開示しない
KLAは受注高を開示していませんが、10-Kで年に1度、受注残を示しています。2024年6月30日の98.3億ドルから、2025年6月30日は78.6億ドルへ20.0%減りました(減少率は当ブログの計算)。会社は、このうち約71〜76%を12か月以内に売上にする見込みとしています。
78.6億ドルは、FY2025の売上121.6億ドルの約7.8か月分にあたります(当ブログの計算)。ただし会社は10-Kで、受注残は将来の売上の時期を示す情報として意味のあるものではない、という趣旨の注記を付けています。大家業でいえば、着工待ちの工事の一覧はあっても、着工日は施主の都合で動く、という但し書きつきの帳簿です。
前受金などの契約負債(流動の繰延収益)は、FY2021末の5.8億ドルからFY2024末に14.9億ドルまで増え、FY2025末は13.6億ドル、2025年12月31日は14.6億ドルでした。非流動を含む合計は、2025年12月31日で17.3億ドルです。10-Qには受注残の総額の記載がなく、四半期ごとの受注の勢いは外からは見えにくい会社です。
用語メモ:受注残=受注したが、まだ売上にしていない金額。契約負債(繰延収益)=代金を受け取ったり請求したりしたが、まだ売上にしていない金額。
KLAの中国比率は44.6%から30.2%へ、会社は2026年を「20%台半ばから後半」と見る
中国比率(顧客の所在地ベース)は、2024年4〜6月期の44.6%から、2025年1〜3月期に25.9%まで下がりました。7〜9月期は39.5%に戻り、10〜12月期は30.2%です。年度では、FY2023の27.3%、FY2024の42.8%、FY2025の33.3%でした(10-Kの金額から当ブログの計算)。
2025年10〜12月期の中国向けは9.9億ドルで、前年同期より8.9%少ない額です。台湾向けは8.4億ドル(25.6%)、韓国向けは4.8億ドル(14.5%)でした。FY2025の台湾向けは32.1億ドルで前期の約1.84倍となり、売上の10%を超える唯一の顧客TSMCのある地域が伸びています(当ブログの計算)。
会社の見通しは、決算説明会の書き起こし(第三者による)で確かめます。CFOは2026年1月29日、2026年の中国比率について「20%台半ばから後半のどこかになると考えている」と答えました(第三者の書き起こしを当ブログが訳出)。2025年10月29日の説明会では20%台半ばとしていたので、見通しの幅が少し上に広がった形です。
輸出規制の影響は、時点に注意が要ります。米国商務省の産業安全保障局(BIS)が2025年9月29日に発効させた50%ルール(Affiliates Rule)のあと、KLAは2025年10月29日の説明会で、中国の一部顧客に対する米国の輸出規制の拡大により、10〜12月期と2026年(暦年)の売上に約3億〜3.5億ドルの影響を見込むと話していました(第三者の書き起こしによる)。
これは、BISがこのルールを2025年11月10日から2026年11月9日まで停止する前の見積もりです。2026年1月29日の説明会でCFOは、3か月前は2026年の中国向けを小幅な減少と見ていたが、いまは増えると考えており、その事業は戻って会社の見通しに織り込んだと答えています(第三者の書き起こしを当ブログが要約)。
10-Kのリスク要因は、輸出規制について「これらの規則や規制は、当社の事業、経営成績、財政状態、キャッシュフローに重大な損害を与える可能性がある」(会社資料の英文を当ブログが訳出)と書いています。
大家業でいえば、家賃収入の3〜4割を占めた地域のテナントが、規制の網の中で少しずつ入れ替わっていく状況です。比率の低下が、中国向けが減った結果なのか、台湾などほかの地域が伸びた結果なのかを分けて見ることが大切だと思います(当ブログの見方)。
用語メモ:BIS=米国商務省の産業安全保障局で、輸出管理を担当する役所。50%ルール(Affiliates Rule)=エンティティ・リスト(輸出規制の対象企業の一覧)などの掲載企業が合計50%以上を持つ会社にも、同じ規制をかける規則。
自社株買いで自己資本が薄く、KLAのROEは100%を超える
| 億ドル(%、日) | FY2021末 | FY2022末 | FY2023末 | FY2024末 | FY2025末 | 2025年12月31日 |
| 現金・有価証券 | 24.9 | 27.1 | 32.4 | 45.0 | 44.9 | 52.1 |
| 有利子負債(簿価) | 34.4 | 66.6 | 58.9 | 66.3 | 58.8 | 58.9 |
| ネットキャッシュ | −9.5 | −39.5 | −26.5 | −21.3 | −13.9 | −6.8 |
| 棚卸資産 | 15.8 | 21.5 | 28.8 | 30.3 | 32.1 | 32.8 |
| 在庫日数(日) | 207 | 218 | 249 | 282 | 247 | — |
| 自己資本 | 33.8 | 14.0 | 29.2 | 33.7 | 46.9 | 54.7 |
| 自己資本比率(%) | 32.9 | 11.1 | 20.7 | 21.8 | 29.2 | 32.7 |
※US GAAP・連結。各年度末は6月30日。ネットキャッシュ=現金・有価証券−有利子負債。在庫日数=期末の棚卸資産÷売上原価×365。いずれも当ブログの計算。
ROE(自己資本利益率)は、純利益を期首と期末の自己資本の平均で割った値です。KLAはFY2025に100.8%、FY2023には156.8%でした。数字だけ見ると、元手が1年で倍以上になる会社に見えますが、ここは分母の小ささを確かめる必要があります。
KLAの自己資本は、FY2021末の33.8億ドルからFY2022末に14.0億ドルへ大きく減りました。FY2022の自社株買い39.7億ドルに、30億ドルのASRが含まれていたためです。自社株買いに使ったお金の分だけ自己資本が減り、FY2022のROEは139.0%に跳ねました。
一方、総資産に対する純利益の割合(ROA)を計算すると、FY2025は約25.8%で、ラムリサーチ(以下ラム)の約26.7%と大きくは違いません(いずれも純利益÷期首・期末の総資産の平均、当ブログの計算)。資産から稼ぐ力は近くても、自己資本比率が29.2%と低いぶん、KLAはROEが大きく出るのです(当ブログの見方)。
大家業でいえば、出資金を払い戻し続けて帳簿上の元手が小さくなり、借入は残っている物件です。手取りの家賃を元手で割った利回りは高く出ますが、それは借入の重みと表裏の関係にあります。KLAの有利子負債は簿価58.8億ドル(FY2025末)で、自己資本46.9億ドルの約1.25倍です(当ブログの計算)。
返済の力は数字で確かめられます。FY2025の支払利息3.0億ドルに対し、営業利益47.8億ドルは約15.8倍です(当ブログの計算)。ネットキャッシュはFY2022末の−39.5億ドルから、2025年12月31日にはマイナス6.8億ドルまで縮まり、借入と手元資金はほぼ見合う水準に近づいています。
在庫日数は、FY2024末の282日からFY2025末に247日へ下がりましたが、ラムの166日(FY2025)と比べると長めです。棚卸資産は2025年12月31日で32.8億ドルでした。在庫が長い理由についての会社の説明は、この回で参照した資料では確認できませんでした。
用語メモ:ASR=金融機関を通じて、まとまった株数を前倒しで買い戻す自社株買いの契約。ROA(総資産利益率)=純利益÷総資産。ネットキャッシュ=現金などから有利子負債を引いた額。
FCFは37.5億ドル、配当と自社株買いでFCFの81.5%を還元
| 億ドル(%) | FY2021 | FY2022 | FY2023 | FY2024 | FY2025 |
| 営業CF | 21.9 | 33.1 | 36.7 | 33.1 | 40.8 |
| 設備投資 | 2.3 | 3.1 | 3.4 | 2.8 | 3.4 |
| FCF | 19.5 | 30.1 | 33.3 | 30.3 | 37.5 |
| 配当の支払い | 5.6 | 6.4 | 7.3 | 7.7 | 9.0 |
| 自社株買い | 9.4 | 39.7 | 13.1 | 17.4 | 21.5 |
| 還元÷FCF(%) | 76.7 | 153.3 | 61.4 | 82.8 | 81.5 |
| 1株配当(ドル) | 3.60 | 4.20 | 5.20 | 5.65 | 6.75 |
※FCF=営業CF−設備投資(有形固定資産と無形資産の取得)で、この連載の全社で同じ定義。比率は当ブログの計算。1株配当は宣言ベース。
FY2025の営業CFは40.8億ドル、設備投資は3.4億ドルで、FCF(フリー・キャッシュ・フロー)は37.5億ドル、売上の30.8%でした。設備投資は営業CFの8.2%です(当ブログの計算)。5期とも、FCFは売上の28〜33%の幅にあり、利益が現金として残りやすい事業だと読めます(当ブログの見方)。
FY2025の配当の支払いは9.0億ドル、自社株買いは21.5億ドルで、合計30.5億ドルはFCFの81.5%、純利益の75.2%にあたります(当ブログの計算)。2025年1〜12月では、会社の集計で配当9.8億ドルと自社株買い20.3億ドル、合計30.1億ドルを還元しました(同じ期間のFCFは43.8億ドル)。
四半期配当は、2025年4月30日に1.70ドルから1.90ドルへ12%増やし、同じ日に50億ドルの自社株買い枠を追加しました。残り枠は2025年12月31日時点で39.4億ドルです。株数は2024年6月30日の134.43百万株から、2026年1月26日の131.08百万株へ2.5%減りました(当ブログの計算)。
FY2025の1株配当6.75ドルは、EPS30.37ドルの22.2%です(当ブログの計算)。大家業でいえば、FY2025は手取りの約8割を、出資者への分配と共有持分の買い戻しに回した大家です。その結果が、前の節で見た薄い自己資本にもつながっています(当ブログの見方)。
用語メモ:営業CF=本業で稼いだ現金。FCF=営業CFから設備投資を引いた、会社が自由に使えるお金の目安。自社株買い=会社が自社の株を買い戻すことで、1株あたりの利益の取り分が増える。
2026年1月30日の株価で見ると、実績PER41.5倍、PBR34.2倍
| 指標 | 値 | 前提 |
| 株価(終値) | 1,427.94ドル | 2026年1月30日、Nasdaq(二次資料:ts2.tech) |
| 時価総額 | 1,871.7億ドル(約28.76兆円) | 発行済株式数131,076,611株(2026年1月26日、10-Qの表紙) |
| 実績PER | 41.5倍 | 直近4四半期(2025年1〜12月)のGAAP希薄化EPSの合計34.37ドル |
| 会社予想×4のPER | 40.3倍 | 2026年1〜3月期のGAAP EPSの会社予想の中央値8.85ドル×4(参考値) |
| PBR | 34.2倍 | 2025年12月31日の自己資本÷株数(1株41.70ドル) |
| 配当利回り | 0.53% | 四半期配当1.90ドル×4 |
| FCF利回り | 2.00% | FY2025のFCF37.5億ドル÷時価総額 |
| 株主還元利回り | 1.63% | FY2025の配当と自社株買い30.5億ドル÷時価総額 |
| 2025年の騰落率 | +92.8% | 2024年12月31日約630.1ドル→2025年12月31日約1,215.1ドル |
| 2026年1月の騰落率 | +17.5% | 2025年12月31日→2026年1月30日 |
※当ブログの計算。株価は二次資料(株価サイトや報道)の終値で、年末の終値は概数。PERの倍率は株価の見通しを示すものではない。
時価総額1,871.7億ドルは、2026年1月30日の三菱UFJ銀行の仲値(TTM、売値と買値の中間の相場)153.66円で当ブログが換算すると、約28.76兆円です。ラムの2,915.4億ドルの約64%、アプライドの2,555.8億ドルの約73%の大きさです(当ブログの計算)。
決算の翌日の動きも記録しておきます。2026年1月30日の終値1,427.94ドルは、前日比15.2%の下落でした(二次資料による)。売上もnon-GAAPのEPSも会社予想の中央値を上回った決算の翌日です。下落の理由は会社資料にはありません。株価を伝えた記事は、見通しと中国をめぐる懸念に投資家の目が向いたと書いています(二次資料による)。
用語メモ:PER(株価収益率)=株価÷1株あたり利益。PBR(株価純資産倍率)=株価÷1株あたり純資産。時価総額=株価×発行済株式数。
株式投資の目線では、KLAの株価は「検査の取り分」と高い利益率が続くことに賭けている
ここからは、決算の数字を株式投資の銘柄選びにつなげます。KLA株の性格をひと言でいえば、装置投資の波に乗りながら、その中で取り分を広げることに賭ける株だと私は見ています(当ブログの見方)。会社自身も株主への手紙で、「今後数年にわたって、WFE市場における当社のシェアが伸び続ける」との見通しを示しています(会社資料の英文を当ブログが訳出)。
大家業でいえば、新築ラッシュの波の中で、建物の検査や点検を一手に引き受ける会社です。新築が減れば仕事は減りますが、検査の比重が高まれば取り分は増えます。いまの株価は、2026年のコアWFEの伸びに加え、40%を超える営業利益率が続くことを前提にしていると読めます(当ブログの見方)。
株価と利益の関係を並べます。株価は2025年に92.8%上がり、約1.93倍になりました(10社の中央値54.1%)。KLAは四半期が暦月どおりなので、利益も同じ1〜12月で比べられます。2025年1〜12月のGAAPのEPS34.37ドルは、2024年1〜12月の23.78ドルより44.5%多い水準です(当ブログの計算)。
ただし2024年1〜12月のEPSには、減損の0.7億ドルと2.4億ドルが含まれます。会社定義のnon-GAAPで比べると、35.45ドルと27.39ドルで29.4%増です(当ブログの計算)。どちらの物差しでも、株価の伸びが利益の伸びを上回り、利益に対する株価の倍率が上がりました。2026年1月も17.5%上がり、10社の中央値26.5%は下回っています。
では、今の株価は何を前提にしているのか。実績PER41.5倍は直近4四半期の利益の41.5年分の値段で、逆数の益回りは2.41%です。10社の中央値(52.0倍、1.93%)と比べると、PERは低いほうから2番目です。会社予想×4のPERは40.3倍で、中央値44.0倍を下回ります(いずれも当ブログの計算)。
PBRは34.2倍で、10社の中央値18.9倍を大きく上回り、高いほうから2番目です。PBRをPERで割ると実績EPS÷BPS(1株あたり純資産)になり、KLAは82.4%、FY2025のROEは100.8%です。KLAの場合、PBRとROEの高さは自己資本の薄さから来ている面が大きく、ROAやPERと合わせて読みたい数字です(当ブログの見方)。
お金の面では、FY2025のFCF利回りが2.00%、配当と自社株買いを合わせた株主還元利回りが1.63%、配当利回りが0.53%です。3つとも10社の中央値(1.74%、1.36%、0.43%)を上回ります。一方、ネットキャッシュは時価総額の−0.4%で、手元資金より借入が少し多い状態です。
用語メモ:益回り=1÷実績PER。EPS÷BPS=PBR÷PERと同じで、利益で見た資本の効率の目安。FCF利回り=最新通期のFCF÷時価総額。株主還元利回り=最新通期の配当と自社株買いの合計÷時価総額。中央値=値を小さい順に並べたときの真ん中の値。
銘柄選びでは、売上6.5%減の年の利益の落ち方と、中国比率の行方を確かめたい
利益の振れを、直近の下り坂で確かめます。FY2024は売上6.5%減に対して営業利益16.2%減、純利益18.5%減でした(当ブログの計算)。減損を除くと営業利益の減少は9.0%で、営業利益率は5期で34.1〜39.7%の幅に収まっています。下り坂でも利益率は3割台を保った会社です。
株価が動くきっかけは、まず四半期ごとの会社予想です。5四半期続けて中央値を上回りましたが、直近の決算の翌日には株価が15.2%下がりました。予想を上回っても株価が下がることがある、という一例です。期待がどこまで株価に入っているかを測る材料として覚えておきたい動きです(当ブログの見方)。
次の決算では、2026年1〜3月期の実績が売上33.5億ドル±1.5億ドル、GAAPのEPS8.85ドルの予想にどう着地するか、4〜6月期の予想がどこに置かれるかが材料になります。ほかに、2026年の粗利率約62%の見通し、中国比率、コアWFEの見通しの更新、自社株買いのペース、50%ルールの停止期限(2026年11月9日)のあとの扱いも、前提を動かしうる点です(当ブログの見方)。
下振れのリスクは四つあると考えます。一つ目は業界の波で、コアWFEの伸びが鈍れば受注残はさらに減りえます。二つ目は中国と規制で、サービス業務にも影響が出ていると会社自身が書いています。三つ目は、DRAM向けの比率が高まることによる粗利率の押し下げで、会社は2026年に0.75〜1ポイントと見込んでいます。
四つ目は財務の形です。ROEの高さは自己資本の薄さに支えられており、借入が自己資本を上回っています。返済の力は十分にあっても、利益が大きく落ちた年には、ROEの見え方も大きく変わることは知っておきたい点です(当ブログの見方)。
| 銘柄選びで確かめる点 | この会社の数字(時点) | 当ブログの見方 |
| 株価と利益の向き | 2025年の株価+92.8%/2025年1〜12月のGAAP EPS+44.5%(non-GAAP+29.4%) | 株価が利益より速く上がり、倍率が上がった |
| 利益に対する株価の水準 | 実績PER41.5倍・益回り2.41%(10社の中央値52.0倍・1.93%)、会社予想×4で40.3倍(2026年1月30日) | 10社では低いほうから2番目。高い利益率が続くことが前提 |
| PBRとROE | PBR34.2倍(中央値18.9倍)、実績EPS÷BPS82.4%、FY2025のROE100.8%、自己資本比率29.2% | PBRとROEは自己資本の薄さで大きく出る。ROAでも確かめたい |
| 株主に戻すお金 | FCF利回り2.00%、株主還元利回り1.63%、配当利回り0.53% | 3つとも10社の中央値を上回る |
| 景気の波への強さ | FY2024は売上−6.5%、営業利益−16.2%(減損を除くと−9.0%)。営業利益率は5期で34.1〜39.7% | 下り坂でも利益率は3割台を保った |
| 中国と受注残 | 中国比率30.2%(2025年10〜12月期)、会社見通しは2026年に20%台半ば〜後半。受注残78.6億ドル(2025年6月30日) | 中国の低下を他の地域が埋めるかを見たい |
この株の性格が合うかどうかは、投資の目的しだいです。配当利回り0.53%は10社の中では高いほうですが、水準としては小さな数字です。還元の中心は自社株買いで、1株あたりの取り分を増やす形です。高い利益率と、業界の波による株価の振れの両方を受け入れられるかが、分かれ目になると思います(当ブログの見方)。
日本の個人が持つ方法も確かめておきます。KLAはNasdaq上場の米国株で、SBI証券の外国株式の説明書(2026年1月)では、米国株の取扱市場にNasdaqが入っています。銘柄ごとの取扱いは、各社の一覧で確かめてください。配当には米国で原則10%(日米租税条約の限度税率)がかかったうえで、日本の税金がかかります。外国税額控除などの扱いは、10社を比べて外国株の配当の税金を取り上げる回でまとめます。
KLAの決算は「見つける力」と「薄い自己資本」を分けて読む
KLAの決算を並べると、5年で売上は約1.76倍、営業利益率は5期とも34%を超え、2025年1〜12月は42.0%でした。会社資料は検査・計測のシェアを56%超と示し、サービスは16年連続で伸びています。一方でROEの100%超は、自社株買いで自己資本を薄くしてきた結果でもあります。
次の決算で確かめたいのは、まず2026年1〜3月期の売上が33.5億ドルの予想にどう着地するか、粗利率が会社の見通しに沿うかです。次に、中国比率が会社の言う20%台半ば〜後半に向かうのか、その分を台湾などが埋めるのか。10-Kが年に1度示す受注残が78.6億ドルから増えるかも、次の年次報告書で追いたい数字です。
大家業を長く続けていると、退去の立ち会いで見つけた小さな傷が、次の募集の条件を左右することがあると感じます。KLAの決算も同じで、利益率の高さという大きな数字と、自己資本の薄さという小さな但し書きを、分けて確かめることが大切だと思います。ラムリサーチやアプライドを取り上げる回、10社を比べる回もあわせてどうぞ。
※本記事は公表資料をもとにした情報提供を目的としたもので、特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。業績や株価に関する記述は当ブログの見方や試算で、将来の業績や株価を予想・保証するものではありません。
※数値は各社の決算資料・年次報告書・米国証券取引委員会(SEC)への提出書類などの公表資料をもとに当ブログが集計・計算したもので、四捨五入の関係で合計が合わない場合があります。数値は2026年1月31日までに公表されたもので、時点は本文・表に記載しています。円換算は2026年1月30日の為替レートによる参考値です。税制は2026年1月31日時点の法令にもとづき、令和8年度税制改正大綱の内容は今後の法改正で決まります。
出典・参考
- KLA Corporation Reports Fiscal 2026 Second Quarter Results(Form 8-K Exhibit 99.1)(KLA、2026年1月29日)https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/319201/000031920126000006/exhibit991earningsrelease1.htm
- KLA Letter to Shareholders Q2 FY26(KLA、2026年1月29日)https://d1io3yog0oux5.cloudfront.net/_3a034dffd9dd75e789bd5c0c859681ae/klatencor/db/1117/10612/letter_to_shareholders/KLA+Letter+to+Shareholders+-+Q2+FY26.pdf
- KLA Earnings Slides Q2 FY26(KLA、2026年1月29日)https://d1io3yog0oux5.cloudfront.net/_3a034dffd9dd75e789bd5c0c859681ae/klatencor/db/1117/10612/earnings_slide_presentation/KLA+Earnings+Slides+-+Q2+FY26.pdf
- Form 10-Q(quarter ended December 31, 2025)(KLA、2026年1月30日)https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/319201/000031920126000008/klac-20251231.htm
- Form 10-K(fiscal year ended June 30, 2025)(KLA、2025年8月8日)https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/319201/000031920125000024/klac-20250630.htm
- Form 10-K(fiscal year ended June 30, 2023)XBRL R5(KLA、2023年8月4日)https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/319201/000031920123000031/R5.htm
- Form 10-K(fiscal year ended June 30, 2022)XBRL R3(KLA、2022年8月5日)https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/319201/000031920122000023/R3.htm
- KLA 8-K Ex.99.1: FQ1 FY2026 results(KLA、2025年10月29日)https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/319201/000031920125000031/exhibit991earningsrelease0.htm
- KLA 8-K Ex.99.1: FQ4/FY2025 results(KLA、2025年7月31日)https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/319201/000031920125000020/exhibit991earningsrelease7.htm
- KLA 8-K Ex.99.1: FQ3 FY2025 results(KLA、2025年4月30日)https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/319201/000031920125000009/exhibit991earningsrelease0.htm
- KLA 8-K Ex.99.1: FQ2 FY2025 results(KLA、2025年1月30日)https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/319201/000031920125000004/exhibit991earningsrelease1.htm
- KLA 8-K Ex.99.1: FQ1 FY2025 results(KLA、2024年10月30日)https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/319201/000031920124000024/exhibit991earningsrelease0.htm
- Form 10-Q(quarter ended March 31, 2025)XBRL R85(KLA、2025年5月1日)https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/319201/000031920125000012/R85.htm
- Form 10-Q(quarter ended December 31, 2024)XBRL R84(KLA、2025年1月31日)https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/319201/000031920125000006/R84.htm
- SEC XBRL companyconcept API(KLA Corporation、CIK 319201、2026年1月31日以前の提出分)https://data.sec.gov/api/xbrl/companyconcept/CIK0000319201/us-gaap/RevenueFromContractWithCustomerExcludingAssessedTax.json
- KLA Q3 FY2025 earnings presentation(第三者サイトeulerpoolに掲載された写し)(KLA、2025年4月30日)https://media.eulerpool.com/presentation/3982.pdf
- KLA (KLAC) Q2 2026 Earnings Call Transcript(Motley Fool、第三者による書き起こし、2026年1月29日)https://www.fool.com/earnings/call-transcripts/2026/01/29/kla-klac-q2-2026-earnings-call-transcript/
- KLA (KLAC) Q1 2026 Earnings Call Transcript(Motley Fool、第三者による書き起こし、2025年10月29日の説明会)https://www.fool.com/earnings/call-transcripts/2025/10/30/kla-klac-q1-2026-earnings-call-transcript
- 前工程装置でシェア低下が続く日本勢、気を吐くキヤノンは希望となるか:湯之上隆のナノフォーカス(83)(EE Times Japan、2025年8月25日)https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/2508/26/news015.html
- Global Semiconductor Equipment Sales Projected to Reach a Record of $156 Billion in 2027, SEMI Reports(SEMI、2025年12月16日)https://semi.org/en/semi-press-release/global-semiconductor-equipment-sales-projected-to-reach-a-record-of-156-billion-dollars-in-2027-semi-reports
- Expansion of End-User Controls To Cover Affiliates of Certain Listed Entities(Federal Register、2025年9月30日)https://www.federalregister.gov/documents/2025/09/30/2025-19001/expansion-of-end-user-controls-to-cover-affiliates-of-certain-listed-entities
- One Year Suspension of Expansion of End-User Controls for Affiliates of Certain Listed Entities(Federal Register、2025年11月12日)https://www.federalregister.gov/documents/2025/11/12/2025-19846/one-year-suspension-of-expansion-of-end-user-controls-for-affiliates-of-certain-listed-entities
- 外国為替相場 2026年1月30日(三菱UFJリサーチ&コンサルティング、2026年1月30日)https://www.murc-kawasesouba.jp/fx/past/index.php?id=260130
- 外国株式取引に関する説明書(インターネット取引)(SBI証券、2026年1月)https://search.sbisec.co.jp/v2/popwin/info/home/bm/bm_260124_4_foint.pdf
- 株価:KLA stock price slides 15% after earnings beat(tech、2026年1月31日、2026年1月30日の終値)https://ts2.tech/?p=20765789
- 株価:Yahoo Finance KLAC historical data(2024年12月31日・2025年12月31日の終値)https://finance.yahoo.com/quote/KLAC/history/?period1=1735516800&period2=1767225600































