東雲結子:石井先生、初詣のおみくじ、大吉でした! 「商売 利益あり」ですって。これはもう、今年はビットコイン大吉ということですよね?

税理士石井:ははは。神様も、まさか暗号資産の相場まで占わされるとは思っていなかったでしょうね。

東雲結子:だって、去年の10月には1ビットコインが12万ドルを超えたんですよ。今年はもっと上がるに決まってます!

税理士石井:うーん、その「決まってます」がいちばん怖いんです。2025年の終値の最高値は10月6日の124,753ドルでしたが、年末は87,509ドル。高値から約3割下がって年を越しました。

東雲結子:えっ……。おみくじを引く前に、もう境内で転んでいたんですか?

税理士石井:しかも過去3回の周期では、山をつけてから約1年で、77〜85%も下がっています。

東雲結子:8割引き!? 初売りの福袋でも、そこまでの値引きは見たことがありません(汗)。

税理士石井:ただ、それは3回分の記録で、法則ではありません。大家業でいえば家賃相場の「波」のようなもので、波があることは分かっても、次の波の高さまでは誰にも決められないんです。

東雲結子:なるほど……。じゃあ、ビットコインそのものより、関連する会社の株のほうが安心ですか?

税理士石井:そこが今日の本題です。同じ仮想通貨関連株でも、ビットコインを持つ会社、取引所や証券、決済、マイニングと稼ぎ方はばらばらで、2025年の株価の騰落も、1年通して比べられる7社だけで+218.1%から−47.5%まで分かれました。稼ぎ方の違いと「4年周期」という物差しを、一緒に確かめていきましょう。

新しい連載のテーマは、米国の仮想通貨関連株です。ストラテジー(MSTR)、ビットマイン・イマージョン・テクノロジーズ(BMNR)、コインベース・グローバル(COIN)、ロビンフッド・マーケッツ(HOOD)、ブロック(XYZ、旧スクエア)、マラ・ホールディングス(MARA)、ライオット・プラットフォームズ(RIOT)、サイファー・マイニング(CIFR)の8社を、決算書から1社ずつ読み、最後に同じ物差しで並べます。社名とティッカーは2025年12月31日時点のもの、株価と暗号資産の価格は同じ日の終値です。なお、この連載では、検索でよく使われる「仮想通貨」と、制度上の呼び方である「暗号資産」を同じ意味で使います。

第1回は、全体の地図づくりです。「仮想通貨関連株」とひとくくりにされがちな8社ですが、決算書を開くと、お金の稼ぎ方は大きく4つに分かれます。そのうえで、ビットコインの供給の仕組みである「半減期」と、過去3回の山と谷、2025年の位置、そしてこの連載で使う2026年のシナリオの置き方までを確かめます。

大家業を長く続けていると、同じ「不動産」でも、区分マンション、一棟アパート、駐車場、民泊とでは、景気への反応がまるで違うことを肌で感じます。仮想通貨関連株も同じです。どの物件を持っているのかを知らないまま相場の波だけを眺めても、手元に何が残るのかは見えてきません。

仮想通貨関連株の稼ぎ方は、大きく分けて4つある

稼ぎ方の型 会社(ティッカー) 何で稼ぐか 暗号資産とのつながりを示す数字 時価総額(2025年12月31日)
保有(トレジャリー) ストラテジー(MSTR) 普通株・優先株・転換社債で調達してBTCを買い、持ち続ける 保有672,497BTC(12月28日) 472億ドル
保有(トレジャリー) ビットマイン(BMNR) 主に増資で調達してETHを買い、持ち続ける 保有4,110,525ETH(12月28日) 116億ドル
取引所・証券 コインベース(COIN) 暗号資産の取引手数料、USDC関連の収入、ステーキング報酬など 取引収益が総収益の60.3% 610億ドル
取引所・証券 ロビンフッド(HOOD) オプション・暗号資産・株式の取引収益と純金利収益 暗号資産の取引収益が総純収益の24.7% 1,017億ドル
決済 ブロック(XYZ) 加盟店向け決済のSquareと、個人向け金融アプリのCash App BTCの売上が売上の36.9%、粗利では3.0% 396億ドル
マイニング マラ(MARA) BTCの採掘。掘ったBTCをため込んできた 60.4EH/s(9月30日)、保有52,850BTC(同) 34億ドル
マイニング ライオット(RIOT) BTCの採掘。2025年4月から毎月の生産のほぼ全量を売却 36.6EH/s(11月30日)、売上の89.6%が採掘 47億ドル
マイニング サイファー(CIFR) BTCの採掘から、AI向けデータセンターの賃貸へ 23.6EH/s(9月30日)、売上は全額が採掘 58億ドル

※割合は2024年10月〜2025年9月の12か月(ライオットの採掘の割合も同じ期間)で、当ブログの計算。保有量・ハッシュレートは会社の発表による。時価総額は12月31日の終値×各社の直近の株数(ストラテジーは12月28日時点の当ブログの推計、ビットマインは12月8日、ほかは10月下旬の四半期報告書の表紙の株数)で、当ブログの計算。

用語メモ:トレジャリー企業=暗号資産を会社の財産の中心に置き、増資や借入れで買い増していく会社。USDC=米ドルに連動するステーブルコイン。ステーキング=保有する暗号資産をブロックチェーンの運営に預けて報酬を得ること。EH/s(エクサハッシュ毎秒)=マイニングの計算力の単位で、1EH/sは1秒間に100京回の計算。ETF=上場投資信託。

1つ目は「持つ」会社です。ストラテジーは2025年12月28日時点で672,497BTCを保有し、取得原価の合計は504.4億ドル、1BTCあたりの平均は74,997ドルでした(会社の発表による)。お金の出どころは、普通株の継続的な売り出し(ATM=市場で少しずつ新株を売る仕組み)、5種類の優先株、そして元本合計82.1億ドルの転換社債です。ビットマインは、主に新株の売り出しで集めた資金でイーサリアム(ETH)を買い集めていて、12月28日の保有は4,110,525ETH。会社は「ETHの供給量の5%」を目標に掲げ、この時点で3.41%に達したと発表しています。大家業にたとえるなら、物件そのものは「保有する暗号資産」で、会社の仕事は、増資や借入れで資金を集めて物件を買い増すことです。家賃にあたる本業の稼ぎは、会社の大きさに比べるとごくわずかです。ストラテジーのソフトウェア事業の売上は2024年10月〜2025年9月で約4.7億ドル、ビットマインの2025年8月期(2024年9月〜2025年8月)の売上は約610万ドルでした。

2つ目は「場を貸す」会社です。コインベースは、2024年10月〜2025年9月の総収益のうち60.3%が、売買のたびに入る取引収益でした。2021年12月期(FY2021)は87.2%、2023年12月期は48.9%と、相場の熱さで比率そのものが大きく動きます。ロビンフッドは株式やオプションの取引、信用取引や預かり資金から得る金利(純金利収益)でも稼いでいて、暗号資産の比率は同じ期間で24.7%です。どちらも、暗号資産の部分の収入は、価格そのものより「どれだけ売買されたか」に左右されます。物件でいえば、売買が活発な年ほど仲介手数料が増える不動産仲介会社に近い立ち位置でしょうか。

3つ目は「決済」のブロックです。ここは数字の読み方に注意が要ります。Cash Appで利用者がビットコインを買うと、その売買代金がまるごと売上に入るため、売上の36.9%がビットコインに見えます。ところが、粗利(売上総利益)に占める割合は3.0%にすぎません。売上の大きさと、稼ぎの大きさは別物なのです。

4つ目が「掘る」会社、マイナーです。世界中で計算競争をして、勝つとビットコインを受け取る。その量に価格を掛けたものが売上になります。後で見る半減期は、このマイナーの「家賃」を4年に一度、半分にする仕組みです。掘ったビットコインを売るか持つかは会社ごとに違い、サイファーのように、電力と建物をAI向けのデータセンターとして貸す方向へ舵を切った会社もあります。マイニングの損得は、マイニングの採算を取り上げる回で詳しく見ます。

稼ぎ方が違えば、下げ相場での傷み方も違う

稼ぎ方の違いは、決算書の数字にそのまま表れます。ビットコインが2021年末の46,306.45ドルから2022年末の16,547.50ドルへ64.3%下がった2022年、コインベースの取引収益は前年から65.5%減り、総収益も59.3%減りました。一方、ロビンフッドは暗号資産の収益が51.9%減ったものの、総純収益の減少は25.2%にとどまっています。金利の上昇で純金利収益が65.6%増え、下支えになったためです。

株価も同じ年に、ビットコインの−64.3%に対して、ロビンフッド−54.2%、ブロック(当時のティッカーはSQ)−61.1%、ストラテジー−74.0%、ライオット−84.8%、コインベース−86.0%、サイファー−87.9%、マラ−89.6%でした。7社すべてが下がり、5社はビットコインより大きく下げています。

ここで、ぜひ一度立ち止まってほしいのです。「関連株なら、ビットコインそのものより穏やかだろう」と考えたくなりますが、少なくとも2022年は逆でした。関連株は、ビットコインの値動きに、会社ごとの借入れ、設備、固定費が上乗せされて動きます。大家業でいえば、家賃相場が下がったときに、ローンの比率が高い物件ほど手取りが大きく減るのと同じ理屈です。どれだけビットコインに連動してきたかを月ごとの値動きで測った数字(ベータ)は、8社を比較する回でまとめて並べます。

ビットコインの半減期は、4年に一度「報酬」が半分になる仕組み

半減期(日付は協定世界時) ブロックの番号 1ブロックあたりの新規発行(採掘報酬)
2012年11月28日 210,000 50BTC→25BTC
2016年7月9日 420,000 25BTC→12.5BTC
2020年5月11日 630,000 12.5BTC→6.25BTC
2024年4月20日 840,000 6.25BTC→3.125BTC
次の半減期(推計) 1,050,000 3.125BTC→1.5625BTC(2028年4月頃)

※2024年の半減期は、米国時間では4月19日の夜。次の半減期の時期は、2025年12月29日に掘られたブロック930,000から、1ブロック10分として計算すると2028年4月10日頃、2024年の半減期以降の実際のペース(1ブロック約9.895分)で計算すると2028年4月2日頃(当ブログの計算)。

用語メモ:ブロック=ビットコインの取引記録をまとめた単位。マイナーが計算競争に勝つとブロックを追加でき、その報酬として新しいビットコインと取引手数料を受け取る。半減期=21万ブロックごとに、この新規発行の量が半分になること。

ビットコインは、新しく生まれる量があらかじめ決められています。21万ブロックごとに、1ブロックあたりの新規発行が半分になる。これが「半減期」です。1ブロックはおおむね10分ごとに作られるので、21万ブロックはおよそ4年。2024年4月20日の4回目の半減期で、報酬は6.25BTCから3.125BTCになりました。

マイナーにとって、半減期は「家賃が契約ごと半分に書き換えられる大規模改定」です。同じ設備、同じ電気代で、新しく発行されて受け取れるビットコインの量(取引手数料は別)がある日を境に半分になる。だからこそマイナーは、半減期のあとにビットコインの価格が上がらなければ、採算が一気に苦しくなります。

一方、ビットコインを持つ側から見ると、半減期は「新しく市場に出てくる量が減る日」です。需要が変わらなければ、供給が細ることで価格は上がりやすくなる、という説明がよく聞かれます。ただ、それが本当に価格の山と谷を作ってきたのかは、たった3回の経験からは言い切れません。ここから先は、事実として何が起きたのかを、まず数字で確かめておきます。

ビットコインの4年サイクル:過去3回は、半減期から1年〜1年半で山、山から約1年で谷

周期 半減期 山(終値) 半減期→山 谷(終値) 山→谷の下落率 山→谷
1回目 2012年11月28日 1,151.17ドル(2013年12月4日) 371日 178.10ドル(2015年1月14日) −84.53% 406日
2回目 2016年7月9日 19,497.40ドル(2017年12月16日) 525日 3,236.76ドル(2018年12月15日) −83.40% 364日
3回目 2020年5月11日 67,566.83ドル(2021年11月8日) 546日 15,787.28ドル(2022年11月21日) −76.63% 378日
今回 2024年4月20日 124,752.53ドル(2025年10月6日、暫定) 534日 未確定(12月31日は87,508.83ドル) −29.85%(12月31日時点) 86日経過

※日々の終値ベース(協定世界時の1日の終わりの価格)。日数と下落率は当ブログの計算。2025年10月6日の高値が今回の周期の山かどうかは、2025年12月31日時点では確定していない。

図は、2013年12月から2025年12月までのビットコインの月末終値を、対数目盛で描いたものです。対数目盛では、同じ高さが同じ「倍率」を表します。100ドルから1,000ドルへの動きと、1万ドルから10万ドルへの動きが同じ幅で描かれるので、桁の違う時代を一枚で比べられます。縦の点線が半減期(2016年7月、2020年5月、2024年4月。2012年11月の1回目は図の左の外)、黒丸が山、白丸が谷です。山と谷は日々の終値なので、月末の終値を結んだ線から少し離れた位置に打たれています。右端の黒丸が2025年10月6日の高値124,753ドル、その右の丸が年末の87,509ドルです。

表を見ると、パターンは驚くほど似ています。半減期から山までは371日、525日、546日。直近の2回と今回(534日)は、どれも約1年半です。山から谷までは364〜406日、つまり約1年で、下落率は−76.63%から−84.53%、3回の平均は−81.52%でした。山と山の間隔も、2013年→2017年が1,473日、2017年→2021年が1,423日、2021年→2025年(暫定)が1,428日と、ほぼ4年ずつです。そして、谷から次の半減期までは542日、513日、516日でした。

正直に言うと、私もこの表を初めて並べたとき、少し背筋が寒くなりました。ここまで揃っていると、「次も同じだろう」と思いたくなるからです。ただ、統計の言葉でいえば、これはたった3回の観測です。3回続けてサイコロの目が揃っても、4回目を保証するものではありません。この連載では、4年周期を「法則」ではなく、過去の経験を並べた「物差し」として使います。

なお、過去の山から谷までの日数(364〜406日)を2025年10月6日に機械的に当てはめると、谷は2026年10〜11月になります。ただし、これは過去の並びをそのままなぞった計算で、予測ではありません。10月6日が本当に山だったのかも、まだ分からないのです。

2025年は10月6日に史上最高値、年末は高値から約3割下

2025年の月末終値(ドル) 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
ビットコイン(BTC) 102,405 84,373 82,549 94,207 104,638 107,135 115,758 108,237 114,056 109,556 90,394 87,509
イーサリアム(ETH) 3,298 2,238 1,823 1,794 2,529 2,486 3,697 4,390 4,146 3,847 2,992 2,967

2025年のビットコインは、2024年12月31日の93,429.20ドルから始まり、2025年12月31日に87,508.83ドルで終わりました。1年の騰落率は−6.34%です。数字だけ見ると「少し下げた年」ですが、中身は激しい1年でした。4月8日には終値で76,271.95ドルまで下げ、そこから持ち直して、10月6日に終値で124,752.53ドルの史上最高値をつけています(日中の高値は126,198.07ドル)。年末はそこから86日で−29.85%、つまり約3割下の位置です。

イーサリアムはさらに振れ幅が大きく、8月22日に終値で4,831.35ドルの高値をつけたあと、年末は2,967.04ドルでした。高値からは−38.6%、1年では−10.97%です。

4年周期の物差しを当てると、10月6日が今回の山だったとすれば、山は半減期から534日という「いつもの時期」に来たことになります。そして年末は、山から86日、高値から約3割下という位置で2026年を迎えました。過去3回は、山から約1年(364〜406日)かけて、山の水準から8割前後下げています。それをなぞるのか、なぞらないのか。2026年の関連株を考えるうえで、これがいちばん大きな問いになります。

ETFの登場で、周期の形は変わるのか(当ブログの見方)

今回の周期が過去と違う点として、まず挙げられるのが現物ビットコインETFです。米証券取引委員会(SEC)は2024年1月10日に米国での現物ビットコインETFの上場を承認し、翌1月11日に取引が始まりました。2025年12月26日時点の純資産総額は約1,135億ドル(二次資料による概数)で、同じ日のビットコイン価格で割ると、約130万BTCを保有している計算になります(当ブログの推計)。ストラテジー1社の保有量(672,497BTC)の約2倍です。

ETFができたことで、米国では証券口座から、株と同じように、ビットコインの現物を裏付けとするETFを売買できるようになりました。お金の入口が広がった、ということです。ただ、入口が広がれば出口も広がります。2025年のクリスマスの週(12月22〜26日)には、現物ビットコインETFから7.82億ドルの資金が純流出したと報じられています(二次資料による)。

では、周期の形は変わるのでしょうか。当ブログの見方では、10月6日が山だとすれば、少なくとも山の「時期」は、今回も過去の範囲(半減期から371〜546日)に収まりました。一方で、下げの「深さ」が過去と同じになるかは、まだ誰にも分かりません。ETFを通じて長く持つ投資家が増えれば下げは浅くなるかもしれませんし、出口の広さが下げを速めるかもしれない。どちらの言い分も成り立つからこそ、この連載では一つのシナリオに賭けず、複数の水準を並べて考えます。

もう一つ、関連株にとっての意味もあります。ETFがなかった頃、ビットコインを持つ上場企業の株は、株式市場からビットコインの値動きに乗る手段の一つとして買われてきた面があると私は見ています。ビットコインそのものに近い「器」ができた今、関連株には、ビットコインを持つこと以上の何か、つまり本業で稼ぐ力や、1株あたりの保有量を増やす力が問われている。私はそう考えています(当ブログの見方)。

仮想通貨関連株8社の2025年の株価は、+218.1%から−47.5%まで分かれた

会社(ティッカー) 2025年12月31日終値 2025年の騰落率 年間の高値(終値) 年間の安値(終値) 参考:2022年の騰落率
サイファー(CIFR) 14.76ドル +218.1% 24.71ドル(11月5日) 2.10ドル(4月4日) −87.9%
ロビンフッド(HOOD) 113.10ドル +203.5% 152.46ドル(10月9日) 34.17ドル(4月8日) −54.2%
ライオット(RIOT) 12.67ドル +24.1% 23.00ドル(10月27日) 6.29ドル(4月21日) −84.8%
コインベース(COIN) 226.14ドル −8.9% 419.78ドル(7月18日) 151.47ドル(4月8日) −86.0%
ブロック(XYZ) 65.09ドル −23.4% 92.95ドル(1月30日) 46.53ドル(5月2日) −61.1%
マラ(MARA) 8.98ドル −46.5% 22.84ドル(10月15日) 8.98ドル(12月31日) −89.6%
ストラテジー(MSTR) 151.95ドル −47.5% 455.90ドル(7月16日) 151.95ドル(12月31日) −74.0%
ビットマイン(BMNR) 27.15ドル ―(上場初日の終値比+250.3%) 135.00ドル(7月3日) 4.26ドル(6月27日) ―
ビットコイン(BTC) 87,508.83ドル −6.3% 124,752.53ドル(10月6日) 76,271.95ドル(4月8日) −64.3%
イーサリアム(ETH) 2,967.04ドル −11.0% 4,831.35ドル(8月22日) 1,472.55ドル(4月8日) ―

※騰落率は前年12月31日の終値との比較で、配当を含まない。ストラテジーは株式分割(2024年8月の10対1)を調整済み。ビットマインは2025年6月5日にNYSE Americanで取引が始まった(それまでは店頭市場)ため暦年の騰落率はなく、高値・安値も同日以降のもの。ブロックの2022年はティッカーSQの時代。

2025年、米国株の代表的な指数であるS&P 500は+16.4%、ナスダック総合指数は+20.4%でした。ビットコインは−6.3%。そのなかで、仮想通貨関連株の成績は見事なまでにばらけています。

上位はサイファーの+218.1%とロビンフッドの+203.5%で、どちらも株価が約3倍になりました。サイファーは2025年9月以降、AI向けクラウド事業者のFluidstack(リース料の支払いをグーグルが最大17.3億ドルまで保証)や、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)とのデータセンターの長期リース契約を相次いで発表しています。ロビンフッドは9月22日にS&P 500に採用されました。下位はストラテジーの−47.5%とマラの−46.5%で、2社はともに、1年でいちばん安い終値を12月31日につけています。どちらも、ビットコインを大量に持つ会社です。

もう一つ、表の右端を見てください。2025年に株価が3倍になったサイファーも、2022年には−87.9%でした。上げの年の勝ち組が、下げの年に強いとは限りません。会社ごとの事情は各社の決算書を読む回で、8社を並べた比較は8社を比較する回で、それぞれ掘り下げます。

用語メモ:S&P 500=米国の代表的な大型株500社で構成する株価指数。2025年にはコインベース(5月19日)、ブロック(7月23日)、ロビンフッド(9月22日)が採用された。

ビットコインを持つか、関連株を持つかで、税金の扱いも変わる

日本に住む個人の方にとって、もう一つ見落とせない違いが税金です。ビットコインなどの暗号資産を売って得た利益は、原則として雑所得になり、総合課税の対象です(2025年12月にまとめられた与党の税制改正大綱では、金融商品取引法の改正を前提に、株式などと同じ申告分離課税へ見直す方向が示されました。ただ、2025年12月31日時点では法律は改正されておらず、対象や適用時期は今後の法改正で決まります)。給与や不動産所得などとあわせて税額を計算する仕組みです。これに対して、米国株の売却益は申告分離課税で、ほかの所得とは分けて計算します。

家賃収入のある大家さんにとって、この違いは小さくありません。総合課税は、ほかの所得と合算したうえで税額が決まります。同じ「ビットコインの値上がりに乗る」投資でも、ビットコインそのものを持つのか、関連株を持つのかで、手元に残る金額の計算はまったく変わってきます。税金は、投資の成績表の最後の行を書き換えるものです。

米国株の税金の全体像は、当ブログの「エアビーの株を買う前に! 日本に住む私たちが払う「米国株の税金」完全ガイド【全8回・第8回】」(2025年12月8日)で、暗号資産を個人と法人のどちらで持つかは「仮想通貨は法人でやるべきか?個人でやるべきか?」(2025年7月25日)で整理しています。暗号資産の税金を取り上げる記事もあわせてどうぞ。また、関連株はドル建ての資産なので、円で見た値打ちは為替でも動きます。この連載の円換算は、三菱UFJ銀行の2025年最終公表日の仲値、1ドル156.56円による換算です。

この連載では、2026年末のビットコインを4つの水準で置いて考える

シナリオ(2026年末のBTC) 置き方 BTC価格 2025年12月31日比
S1 過去3回の周期をなぞる 2025年の終値の高値×(1−過去3回の下落率の平均81.52%) 23,053ドル(幅19,301〜29,149ドル) −73.7%(幅−77.9〜−66.7%)
S2 下げが過去より浅い 2025年の終値の高値の半値 62,376ドル −28.7%
S3 横ばい 2025年12月31日の終値のまま 87,509ドル 0.0%
S4 2025年の高値を回復 2025年の終値の高値 124,753ドル +42.6%

※当ブログの試算で、予想ではありません。S1の幅は、過去最大の下落率(−84.53%)と最小の下落率(−76.63%)を当てはめた値。

この連載では、各社の株価の見通しを、一つの目標値ではなく、この4つのビットコインの水準ごとの試算として示します。S1は、過去3回の山から谷までの下落率の平均を、2025年の終値の高値124,752.53ドルに当てはめたものです。S2は高値の半値、S3は年末と同じ、S4は高値を取り戻す水準です。イーサリアムは、2025年の月次の値動きでビットコインの約1.40倍動いた実績(ベータ)を使って換算します。

各シナリオは、それぞれ違う前提の上に立っています。S1は、4回目の周期でも過去と同じ深さの下げが来ることを前提にしています。下げが途中で止まれば、S1は外れてS2に近づきます。S3とS4は、2025年10月6日の高値が今回の山ではなかった、あるいは下げが短く終わることが前提です。過去3回のように1年かけて8割近く下げる展開になれば、2026年末の時点でこの2つは成り立ちません。どれが正しいかを当てることより、それぞれの水準で会社に何が起きるのかを先に知っておくこと。それがシナリオを置く目的です。

会社ごとの換算の仕方も、稼ぎ方に合わせて変えます。ストラテジーとビットマインは、保有する暗号資産の価値から借入れや優先株を差し引いて1株あたりの価値(NAV)を計算し、年末の株価が保有資産に対してどれだけの倍率だったか(当ブログの計算)を当てはめます。そのほかの6社は、2025年の株価がビットコインの何倍動いたか(ベータ)で換算します。ただ、S1のような大きな下げにベータをそのまま当てはめると、計算上は多くの会社が−95%(計算の下限)に張りついてしまいます。そこでS1については、ビットコインが−64.3%だった2022年に各社の株価が実際にどれだけ動いたかを、過去の実例として主に示します。

4年周期は「法則」ではなく「物差し」。稼ぎ方を知ってから値札を見る

8社の地図を描いてみて、改めて感じるのは、「仮想通貨関連株」という言葉の大雑把さです。ビットコインを持つ会社、売買の場を貸す会社、決済のついでにビットコインを売る会社、そして掘る会社。同じ相場の波を受けても、どこが傷み、どこが持ちこたえるかは稼ぎ方で決まります。

これから各社の回を読むとき、まず確かめてほしいのは、その会社の稼ぎのうち、どれだけが暗号資産の価格や売買の量に連動しているかです。次に、その会社がどうやって資金を集めているか。増資なのか、転換社債なのか、優先株なのか。ビットコインが下がった年に、固定の支払いがどれだけ残るのかを見ておくと、2022年のような年の傷み方が想像しやすくなります。

そして、ビットコインの周期のどこにいるか。2025年12月31日時点では、10月6日の高値から86日、約3割下という位置でした。過去3回の物差しを当てれば、ここから先は下げが続いた時期に当たります。ただ、それは過去の並びをなぞった場合の話です。一方で、ETFという新しい器が、その形を変える可能性もあります。私は、周期を信じ切ることも、無視することもせず、4つの水準を並べて会社ごとの耐久力を確かめる、という読み方をしたいと考えています。

物件を買うときも、家賃相場の波は避けられません。それでも、波が来たときに手放さずに済む物件と、借入れの返済に追われる物件があります。仮想通貨関連株も同じです。波の高さを当てるより、波をかぶったときに残るものを確かめておく。この連載が、そのための地図になればうれしく思います。ストラテジーの決算書を読む回、マイニングの採算を取り上げる回、8社を比較する回もあわせてどうぞ。

 

※本記事は公表資料をもとにした情報提供を目的としたもので、特定の銘柄や暗号資産の売買を勧めるものではありません。株価のシナリオは当ブログが置いた前提による試算で、将来の株価を予想・保証するものではありません。投資の判断はご自身の責任でお願いします。

※数値は各社の決算資料・開示資料をもとに当ブログが集計・計算したもので、四捨五入の関係で合計が合わない場合があります。株価・暗号資産の価格は2025年12月31日の終値、円換算は1ドル156.56円(三菱UFJ銀行の2025年最終公表日の仲値)です。

出典・参考

  • Strategy Inc Form 8-K(Strategy、2025年12月29日)https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1050446/000119312525332296/mstr-20251117.htm
  • Strategy Form 8-K・投資家向け資料(Strategy、2025年12月1日)https://assets.contentstack.io/v3/assets/bltf8d808d9b8cebd37/blt8dc48db96aa45630/692d2084b48b45d7143fc17d/form-8-k_12-01-2025.pdf
  • BitMine Immersion Technologies プレスリリース(Form 8-K Exhibit 99.3)(BitMine、2025年12月29日)https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1829311/000149315225029227/ex99-3.htm
  • Coinbase Q3 2025 Shareholder Letter(Coinbase Global、2025年10月30日)https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1679788/000167978825000207/q325shareholderletter.htm
  • Coinbase Form 10-K(2024年12月期)収益の内訳(Coinbase Global、2025年2月13日)https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1679788/000167978825000022/R61.htm
  • Coinbase Form 10-K(2023年12月期)収益の内訳(Coinbase Global、2024年2月15日)https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1679788/000167978824000022/R77.htm
  • Robinhood Q3 2025 決算発表(Form 8-K Exhibit 99.1)(Robinhood Markets、2025年11月5日)https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1783879/000178387925000309/q32025robinhoodexhibit991.htm
  • Robinhood Form 10-K(2024年12月期)収益の内訳(Robinhood Markets、2025年2月18日)https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1783879/000178387925000049/R53.htm
  • Robinhood Form 10-K(2023年12月期)収益の内訳(Robinhood Markets、2024年2月27日)https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1783879/000178387924000054/R52.htm
  • Block Q3 2025 Shareholder Letter(Block、2025年11月6日)https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1512673/000119312525269715/d48712dex991.htm
  • Block Form 10-K(2024年12月期)(Block、2025年2月24日)https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1512673/000162828025007376/sq-20241231.htm
  • MARA Q3 2025 Shareholder Letter(MARA Holdings、2025年11月4日)https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1507605/000150760525000026/q325shareholderletter.htm
  • Riot Announces November 2025 Production and Operations Updates(Riot Platforms、2025年12月4日)https://www.globenewswire.com/news-release/2025/12/04/3199866/0/en/Riot-Announces-November-2025-Production-and-Operations-Updates.html
  • Riot Platforms Q3 2025 Financial Results and Strategic Highlights(Riot Platforms、2025年10月30日)https://www.riotplatforms.com/riot-platforms-reports-third-quarter-2025-financial-results-and-strategic-highlights/
  • Cipher Mining Q3 2025 Business Update(Form 8-K Exhibit 99.1)(Cipher Mining、2025年11月3日)https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819989/000181998925000110/nov3_earningspressreleasex.htm
  • Cipher Mining Announces September 2025 Operational Update(Cipher Mining、2025年10月7日)https://www.nasdaq.com/press-release/cipher-mining-announces-september-2025-operational-update-2025-10-07
  • com Explorer:Bitcoin block 210,000/420,000/630,000/840,000/930,000 https://www.blockchain.com/explorer/blocks/btc/840000
  • Statement on the Approval of Spot Bitcoin ETPs(米証券取引委員会 ゲンスラー委員長、2024年1月10日)https://www.sec.gov/newsroom/speeches-statements/gensler-statement-spot-bitcoin-011023
  • Spot Bitcoin ETFs one year after US launch(NewsBTC/ch、2025年1月12日)https://finanzen.ch/nachrichten/devisen/spot-bitcoin-etfs-one-year-after-us-launch-heres-how-funds-have-fared-so-far-14145029
  • Spot Bitcoin ETFs bleed $782M during Christmas week(Cointelegraph、2025年12月28日)https://cointelegraph.com/news/spot-bitcoin-etfs-bleed-782m-during-christmas-week-holiday-positioning
  • Coinbase Global Set to Join S&P 500(S&P Dow Jones Indices、2025年5月12日)https://press.spglobal.com/2025-05-12-Coinbase-Global-Set-to-Join-S-P-500
  • Block Set to Join S&P 500(S&P Dow Jones Indices、2025年7月18日)https://press.spglobal.com/2025-07-18-Block-Set-to-Join-S-P-500
  • AppLovin, Robinhood Markets and Emcor Group Set to Join S&P 500(S&P Dow Jones Indices、2025年9月5日)https://press.spglobal.com/2025-09-05-AppLovin,-Robinhood-Markets-and-Emcor-Group-Set-to-Join-S-P-500-Others-to-Join-S-P-100,-S-P-MidCap-400-and-S-P-SmallCap-600
  • StatMuse Money「Bitcoin monthly closing price 2014」 https://www.statmuse.com/money/ask/bitcoin-monthly-closing-price-2014
  • 暗号資産、株式と同様に分離課税へ(新日本法規出版 週刊T&Amaster、2025年12月19日)https://www.sn-hoki.co.jp/article/tamasters/tamaster4512342/
  • ビットコイン価格:Yahoo Finance「BTC-USD」月次・日次の価格データ(2025年12月31日まで)https://finance.yahoo.com/quote/BTC-USD/history/?frequency=1mo&period1=1388534400&period2=1767225600 、StatMuse Money「Bitcoin highest closing price in 2013」https://www.statmuse.com/money/ask/bitcoin-highest-closing-price-in-2013
  • イーサリアム価格:Yahoo Finance「ETH-USD」日次の価格データ(2025年)https://finance.yahoo.com/quote/ETH-USD/history/?frequency=1d&period1=1735689600&period2=1767225600
  • 株価・指数:Yahoo Finance 各銘柄・S&P 500・ナスダック総合指数の価格データ(2025年12月31日まで)https://finance.yahoo.com/quote/MSTR/history/?frequency=1mo&period1=1577836800&period2=1767225600