東雲結子:ポラリスの売上が122%増です。これは文句なしの急成長ですね!

税理士石井:えーっと、文句はありませんが、質問は山ほどあります。

東雲結子:まず何を聞きます?

税理士石井:自力で増えたのか、会社を買って増えたのか。次に、買った後で一室当たり利益が増えたのか。

東雲結子:大きくなったことと、強くなったことは別。

税理士石井:その通りです。M&Aは客室数を一晩で増やせますが、利益率は統合してから作ります。

東雲結子:のれん償却も、毎年利益から引かれるんですよね。

税理士石井:はい。だから買収前利益、のれん前利益、1株当たり利益を分けて見ます。

 

売上高229億円。急拡大の主因はミナシアの連結

ポラリス・ホールディングスの中間期売上高は229億8,800万円、法定開示ベースで前年同期比122.7%増でした。会社の比較調整資料では、一時要因を除く前年同期比で134%増としています。最大の要因は、2024年12月に完全子会社化したミナシアの業績を取り込んだことです。

2025年11月時点で、運営予定を含む国内ホテルは94施設・1万3,450室。KOKO HOTEL、ホテルウィングインターナショナル、ベストウェスタンなどを一つの運営基盤へ統合しています。

売上2倍に対し、営業利益は1.6倍。利益率は薄まった

法定開示の営業利益は19億4,000万円で55.8%増、営業利益率は約8.4%です。買収前の前年同期は売上規模が小さく、単純比較には注意が必要ですが、売上の伸びほど利益は伸びていません。

会社はミナシア買収に伴う年間のれん償却を約13億円と説明しています。上半期の営業利益は、のれん償却前25億9,200万円、償却後19億4,000万円。償却前利益率は約11.3%、償却後は約8.4%です。買収価格を回収できるかを判断するには、償却前だけでなく、償却後とキャッシュフローの両方を見なければなりません。

既存ホテルの中身は悪くない。RevPARは15.4%増

比較可能な国内66ホテルでは、稼働率90.1%、ADR1万2,617円、RevPAR1万1,363円。RevPARは前年同期比15.4%増でした。インバウンド比率も45.1%から50.7%へ上昇しています。

つまり、売上増のすべてが買収だけではありません。既存ホテルでも単価と稼働率が改善しており、国内運営の基礎体力は上がっています。ポラリスを見る際は「M&Aで増えた客室」と「既存店のRevPAR改善」を分けることが大切です。

統合の本番は、ブランドと本部費を一つにすること

ポラリスはKOKO HOTELへのブランド統合、ロイヤリティプログラム刷新、本社オフィス統合を進めています。ここから先の評価軸は、ホテル数の増加ではなく、予約システム、広告、購買、人事、本部機能を統合し、1室当たりの本部費を下げられるかです。

複数法人を合併した大家業でも、口座と会計事務所が増えただけなら規模の利益は出ません。管理、修繕発注、募集、資金調達を一つにして初めてスケールメリットが生まれます。

ポラリスの成長を確認する四つの数字

今後は、比較可能ホテルのRevPAR、のれん償却前後の営業利益率、1株当たり利益、運営受託・賃借・所有の構成を追います。運営受託型が増えれば資本負担を抑えて客室数を増やせますが、賃借型は固定賃料リスクを抱えます。

売上が大きくなったこと自体は成功です。次に問われるのは、統合後に利益率と1株当たり利益を上げられるか。M&A企業の決算は、買った瞬間ではなく、買った後の2年から3年で本当の成否が見えます。

主な参考資料