東雲結子:ホテル会社なのに、共立メンテナンスは寮、リゾートトラストは医療。寄り道が多くないですか?
税理士石井:むしろ、その寄り道が本線を支えています。
東雲結子:ホテルが暇な日も、寮費や会費が入る?
税理士石井:そうです。毎晩ゼロから部屋を売る商売に、定期収入を足しています。
東雲結子:大家さんの家賃と、民泊の売上を組み合わせる感じですね。
税理士石井:近いですね。安定収入があるから、成長事業へ投資しやすくなります。
東雲結子:ホテル単体の利益率だけでは見えない強さがある。
税理士石井:ええ。ポートフォリオ全体で景気の波を小さくしているのです。
共立メンテナンスは、寮が土台でホテルが利益を伸ばす
共立メンテナンスの中間期売上高は1,195億円、営業利益112億円です。売上構成ではホテル事業が大きい一方、寮事業は536棟・4万6,266室、期初稼働率97.4%という非常に安定した基盤を持ちます。学生寮、社員寮、留学生寮は、ホテルのように毎日価格が変動せず、年度単位の契約が多い事業です。
ホテル需要が強い年はドーミーインとリゾートが利益を伸ばし、景気が鈍る局面では寮の定期収入が下支えする。この組み合わせが、単一の宿泊会社より収益変動を抑えます。
寮とホテルは、見えないところで運営資産を共有する
寮もホテルも、建物管理、食事、清掃、人材採用、施設開発、購買が必要です。共立メンテナンスは、異なる顧客を相手にしながら、運営ノウハウと仕入れ基盤を共有できます。
大家業でも、通常賃貸と家具付き賃貸を別事業に見えて、募集、修繕、清掃、管理会社との関係は共通します。共通費を複数事業で吸収できる会社は、新しい施設を増やすほど規模の利益が出やすくなります。
リゾートトラストは「会員権を売って終わり」ではない
リゾートトラストの上半期売上高は1,109億円、営業利益124億円。ホテル会員権の契約高は647億円で前年同期比約17%増となりました。さらに、年会費、ルームチャージ、飲食、メディカル会員、シニアレジデンスなど、会員との長期関係から継続収入が生まれます。
ホテル・レストラン事業は、年会費改定、室料・飲食価格の改定、稼働率上昇によって営業利益が前年同期比102.1%増となりました。新規客だけを追い続けるのではなく、既存会員へ複数サービスを提供する点が強みです。
会計上は減収でも、営業現場は成長している場合がある
リゾートトラストの会員権事業は、会計上の売上高が10.2%減、営業利益が12.2%減でした。しかし、新規物件の販売割合が高く、未開業物件の不動産収益が開業時まで繰り延べられたためです。会社が示す評価ベースでは、売上高16.0%増、営業利益10.4%増でした。
ここは決算分析で重要です。売上計上が遅れているだけなのか、実際に販売が弱いのかを分けなければなりません。契約高、受注残、前受金、開業予定を確認して、将来の売上へつながるかを読みます。

安定収入は、成長を遅くするのではなく、成長の資金になる
寮や年会費、メディカルの収益は派手ではありません。しかし、ホテルの新規開業には土地・建物、採用、広告、開業準備費が必要です。安定収入があれば、需要が一時的に落ちても投資を止めずに済みます。
大家さんも、すべてを高利回りの短期宿泊へ振るより、普通賃貸の安定家賃を土台に一部で民泊・家具付き賃貸を行う方が、全体の資金繰りは安定します。ホテル会社の多角化は、大家業のポートフォリオにも応用できる考え方です。
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