東雲結子:石井先生、見てください、このチョコの山! 事務所のみなさんに配る分を張り切って買ったら、配る人数より箱のほうが多くなりました。
税理士石井:これはすごい。うちの職員名簿より、チョコの箱のほうが分厚いですね。
東雲結子:余った分は、私が責任をもっていただきます。それより先生、東京エレクトロンの決算を見ていたら、売上の42%が中国向けなんです。チョコの山の4割を、一人に渡しているようなものですよね?
税理士石井:うーん、そのたとえは鋭いですね。2025年3月期、つまり2024年4月から2025年3月までの1年間で、連結売上高の42%です。その2年前は24%でしたから、配り先がぐっと偏りました。
東雲結子:えっ、その方、急にそんなにチョコ好きに……。お返しがすごそうです!
税理士石井:ははは、お返しより先に包み紙を見てください。この比率は液晶パネル向けの装置も含めた会社全体の比率で、2023年3月期までの説明会資料にある、半導体の装置だけで数えた比率とは物差しが違うんです。
東雲結子:あっ、同じチョコでも、箱で数えるか粒で数えるかで、山の形が変わる……。
税理士石井:そうなんです。しかも会社自身は、中国の比率が将来30%以下になることも想定していると話しています。大家業でいえば、家賃収入の4割を同じ地域のテナントたちに頼っている状態。ありがたいけれど、契約の行方は毎年気になりますよね。
東雲結子:なるほど……。山の大きさだけじゃなく、誰にどれだけ配っているかまで見るんですね。
税理士石井:ええ。今日は5年分の売上と利益率、中国向けの比率、それに配当と自社株買いまで、東京エレクトロンの決算書を一箱ずつ開けていきましょう。
連載の第2回は、東京エレクトロン(東証プライム、証券コード8035、3月決算)です。ウェーハの上に回路をつくる「前工程」の装置を幅広く手がけ、東京エレクトロンの決算は、2025年3月期に売上高2兆4,316億円、営業利益6,973億円、営業利益率28.7%でした。
2021年3月期(2020年4月〜2021年3月)の売上高1兆3,991億円からは、4年で約1.7倍です(当ブログの計算)。この回では、5年分の損益と研究開発費、2026年3月期(2025年4月〜2026年3月)の会社予想が「いったん下げて、少し戻した」経緯、そして中国向けの売上比率を、定義を確かめながら読みます。後半は、前受金と在庫が並ぶ貸借対照表、キャッシュフロー、配当と自社株買いです。
材料は、有価証券報告書(第62期)、統合報告書2025、2025年10月31日に発表された2026年3月期 中間期(2025年4〜9月)の決算短信と決算説明会資料、11月に公表された半期報告書と質疑応答集です。会計は日本基準の連結で、数字は液晶パネル(FPD)向けの装置も含む会社全体の値。金額は百万円の開示を億円に四捨五入しています。
決算書を読み終えたら最後に、その数字を株式投資の銘柄選びにどうつなげるかも、アナリストの目線で整理します。
| この記事の要点 | 根拠となる数字 |
| 4年で売上は約1.7倍、営業利益率は20%台を保った | 売上高1兆3,991億円→2兆4,316億円、営業利益率22.9%→28.7% |
| 中国向けは4割前後。ただし比率の定義に注意 | 中国比率24%→44%→42%(連結・FPD含む)、2025年4〜9月は39.5% |
| 稼いだお金の多くを株主に戻している | 配当性向50.1%、2025年3月期の総還元額4,227億円 |
| 銘柄選びの目線:株価は今期の減益より、その先を見ている | 2025年の株価+41.9%、今期の純利益予想−10.3%、予想PER38.8倍 |
東京エレクトロンは前工程の装置をそろえ、エッチングと塗布・現像で新規装置売上の6割
東京エレクトロンの主力は、ウェーハに感光材を塗って現像するコータ/デベロッパ(塗布・現像装置)、回路の形に削るエッチング装置、薄い膜を積む成膜装置、洗浄装置、チップの電気的な検査に使うウェーハプローバです。統合報告書によると、2025年3月期の新規装置売上に占める割合は、エッチング35%、塗布・現像27%の順でした。
| 製品別の構成比(%) | 21/3期 | 22/3期 | 23/3期 | 24/3期 | 25/3期 |
| エッチング | 38 | 39 | 34 | 32 | 35 |
| 塗布・現像(コータ/デベロッパ) | 25 | 23 | 26 | 30 | 27 |
| 成膜 | 21 | 21 | 22 | 21 | 19 |
| 洗浄 | 8 | 11 | 12 | 12 | 13 |
| ウェーハプローバ | 7 | 5 | 5 | 3 | 4 |
| その他(ウェーハボンダなど) | 1 | 1 | 1 | 2 | 2 |
※統合報告書2025のデータセクションによる、半導体製造装置の新規装置売上の製品別構成比。東京エレクトロン自身の売上の内訳で、市場シェアではありません。21/3期は2021年3月期(2020年4月〜2021年3月)、以下同じ。
会社は、拡散炉、バッチ成膜、塗布・現像、ガスケミカルエッチング、ウェーハプローバで1位、メタル成膜、プラズマエッチング、洗浄、ボンダーで2位と推定しています。EUV(極端紫外線)露光向けの塗布・現像装置は、シェアを100%としています。いずれも統合報告書に「当社推定」とある数字で、対象の年は書かれていません。
用途で見ると、2025年3月期の新規装置売上は、ロジックやファウンドリ(受託製造)などの非メモリが62%、DRAMが31%、不揮発性メモリが7%でした(決算説明会資料)。DRAMは2023年3月期(2022年4月〜2023年3月)の20%から31%に上がりました。会社は、2025年3月期のDRAM向け売上が前期比59%増えたことを、HBM向けの装置の採用と結びつけて説明しています。
用語メモ:前工程=ウェーハの上に回路をつくる工程。後工程は、できたチップを切り分けて組み立て、検査する工程です。DRAM=コンピューターの作業用メモリ。HBM(広帯域メモリ)=DRAMを積み重ねて高速にした、AI向けのメモリ。EUV=極端紫外線を使う最先端の露光技術。不揮発性メモリ=電源を切っても記憶が消えないメモリ。
装置を売ったあとも稼ぎは続きます。会社が「フィールドソリューション」と呼ぶ、中古装置・改造や部品・サービスの売上は、2025年3月期に5,383億円でした。2021年3月期の3,623億円の約1.5倍で、連結売上高の約22%にあたります(いずれも当ブログの計算)。内訳は中古・改造が1,491億円、部品・サービスが3,891億円です。
大家業にたとえるなら、新規装置は物件の売買、フィールドソリューションは建てたあとの修繕や設備の入れ替えで入ってくる管理の収入です。会社は装置の累計出荷台数を約96,000台(2025年3月末、業界最大、当社推定)としていて、この台数が稼ぎの土台になると私は見ています(当ブログの見方)。ただし2024年3月期は4,740億円から4,285億円に減っており、景気と無縁ではありません。
東京エレクトロンの決算は4年で売上1.7倍、営業利益率は22.9%から28.7%へ
| 億円(%) | 21/3期 | 22/3期 | 23/3期 | 24/3期 | 25/3期 |
| 売上高 | 1兆3,991 | 2兆38 | 2兆2,090 | 1兆8,305 | 2兆4,316 |
| 売上総利益率(%) | 40.4 | 45.5 | 44.6 | 45.4 | 47.1 |
| 研究開発費 | 1,366 | 1,583 | 1,912 | 2,029 | 2,500 |
| 営業利益 | 3,207 | 5,993 | 6,177 | 4,563 | 6,973 |
| 営業利益率(%) | 22.9 | 29.9 | 28.0 | 24.9 | 28.7 |
| 純利益(親会社株主に帰属) | 2,429 | 4,371 | 4,716 | 3,640 | 5,441 |
| ROE(%) | 26.5 | 37.2 | 32.3 | 21.8 | 30.3 |
※日本基準・連結(FPDを含む全社)。22/3期は2021年4月〜2022年3月、24/3期は2023年4月〜2024年3月。ROEは有価証券報告書の会社公表値。売上総利益率は統合報告書の億円表示から計算。
売上高は2022年3月期に43.2%増、2023年3月期に10.2%増と伸びたあと、2024年3月期に17.1%減と落ち込みました。2025年3月期は32.8%増の2兆4,316億円で、5期の中でいちばん大きな売上です。装置メーカーの売上は、顧客の設備投資の波をそのまま映します(当ブログの見方)。
注目したいのは利益率です。営業利益率は22.9%から28.7%へ上昇し、売上が17.1%減った2024年3月期でも24.9%を保ちました。売上総利益率も40.4%から47.1%へ、4年で6.7ポイント上がっています(当ブログの計算)。研究開発費を毎年増やしながら利益率を保てたのは、売上総利益率の上昇が大きいと読めます(当ブログの見方)。
2025年3月期のROE(自己資本利益率)は30.3%に達し、中期経営計画で中計期間を通じて30%以上としている目標に届いています。大家業でいえば、自分で出した元手100万円に対して、税引き後で年30万円ほどの利益が出ている物件。しかも借入なしでその率を出しているような姿です。
用語メモ:営業利益率=営業利益÷売上高。売上総利益率=売上から売上原価を引いた粗利の割合。ROE=親会社株主に帰属する当期純利益÷自己資本。FPD=液晶や有機ELなどの薄型パネル。
研究開発費は4年で1.8倍の2,500億円、売上の約1割を使い続ける
研究開発費は、2021年3月期の1,366億円から2025年3月期の2,500億円へ、約1.8倍になりました(当ブログの計算)。売上高に対する比率は7.9〜11.1%の間で動いています。売上が減った2024年3月期も、研究開発費は1,912億円から2,029億円に増えました。売上が落ちた年にも開発を削らない姿勢が、数字に出ています(当ブログの見方)。
2025年3月期の研究開発費は、営業利益6,973億円の約36%にあたります(当ブログの計算)。2026年3月期の計画は2,900億円で、修正後の売上高予想2兆3,800億円に対して約12.2%です(当ブログの計算)。中間期(2025年4〜9月)の実績は1,348億円で、前年同期比16.7%増でした。
統合報告書は、2025年3月期からの5年間で、研究開発に1.5兆円以上、設備投資に7,000億円以上を投じ、累計10,000名を採用する計画を掲げています。ただ、同じ報告書の別の表では研究開発が「5年間で1兆円以上」となっていて、数字がそろっていません。
税理士として一つ付け加えます。研究開発費の大きい会社に関係が深いのが、研究開発税制(試験研究費の税額控除)です。令和6年度の改正で、2025年4月1日以後に始まる事業年度からは、国外事業所等を通じて行う事業の費用が試験研究費の範囲から除かれることになりました(経済産業省の資料による)。3月決算の東京エレクトロンでは、2026年3月期が最初の年にあたります。
2025年12月26日に閣議決定された令和8年度税制改正大綱は、半導体・通信などの分野の研究開発に40%(特別重点は50%)の税額控除を設ける方向を示しました。控除は当期の法人税額の10%が上限です。ただし大綱は方向性で、2026年1月31日時点ではまだ法律ではありません。東京エレクトロンが実際に受けている控除の額は、この回で参照した資料では確認できませんでした。
2026年3月期は7月に下方修正、10月に上方修正。中間期の営業利益率は25.7%
最新の中間期(2025年4〜9月)は、売上高が前年同期比5.2%増の1兆1,797億円、営業利益は3.4%減の3,032億円でした。売上は伸びたのに利益は減り、営業利益率は28.0%から25.7%へ2.3ポイント下がっています。
| 億円(%) | 2025年4〜9月 | 2024年4〜9月 | 増減 |
| 売上高 | 1兆1,797 | 1兆1,216 | +5.2% |
| 営業利益 | 3,032 | 3,139 | −3.4% |
| 営業利益率(%) | 25.7 | 28.0 | −2.3ポイント |
| 中間純利益(親会社株主に帰属) | 2,416 | 2,439 | −0.9% |
| 営業CF | 2,508 | 3,324 | −24.5% |
| 有形固定資産の取得(CF) | 1,354 | 780 | +73.7% |
| 中国比率(%) | 39.5 | 45.6 | −6.0ポイント |
※日本基準・連結。中国比率は半期報告書の地域別の金額から当ブログが計算。
四半期で見ると、4〜6月期が売上高5,495億円・営業利益率26.3%、7〜9月期が6,300億円・25.1%です。売上総利益率は46.2%、45.2%で、2025年3月期の10〜12月期47.6%、1〜3月期47.4%より低めでした(決算説明会資料)。研究開発費は16.7%増えていて、粗利の率の低下と費用の増加が重なったと読めます(当ブログの見方)。
通期の会社予想は、この1年で2回動きました。
| 公表日 | 区分 | 売上高 | 営業利益(率) | 純利益 | EPS(円) | 年間配当(円) |
| 2025年4月30日 | 期初予想 | 2兆6,000 | 7,270(28.0%) | 5,660 | 1,235.51 | 618 |
| 2025年7月31日 | 下方修正 | 2兆3,500 | 5,700(24.3%) | 4,440 | 969.12 | 485 |
| 2025年10月31日 | 上方修正(2026年1月31日時点の最新) | 2兆3,800 | 5,860(24.6%) | 4,880 | 1,064.77 | 533 |
※億円。2026年3月期(2025年4月〜2026年3月)の通期予想。純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。1株あたりの数字は2023年4月1日の1株→3株の分割後の基準。
7月31日の下方修正で、会社は「一部先端ロジック顧客の設備投資の見直し」「中国新興半導体メーカーによるレガシー投資の縮小」など5つの理由を挙げました。残りの3つは、NAND(データ保存用のフラッシュメモリ)の投資計画の変更、HBMの歩留まり向上などによる投資計画の見直し、DRAMの旧規格DDR4から新規格DDR5への切り替え投資の遅れです。上期の予想は据え置き、下期だけを引き下げています。
10月31日の上方修正後も、売上高は2025年3月期比で2.1%減、営業利益は16.0%減の水準です(当ブログの計算)。通期予想から中間期の実績を引くと、下期は売上高1兆2,003億円、営業利益2,828億円で、営業利益率は約23.6%(いずれも当ブログの計算)になります。会社の予想は、下期の利益率が上期の25.7%より低くなる前提です。
予想の中身で見落としやすい点もあります。税引前利益の予想6,350億円には、2025年10月29日に上場株式を売った特別利益372億円が入っています。目的は「政策保有株式の縮減及び資本効率の向上」と説明されています。本業とは別の利益なので、純利益の予想4,880億円を見るときは、この372億円を頭の片隅に置いておきたいところです。
会社は前工程の装置市場(WFE)について、2025年(暦年)は4月に約1,100億ドル、7月に1,150億ドルと見通しを引き上げ、10月も据え置きました。2026年については、4月の時点で二桁の成長を期待するとしていました。
7月には、暦年ではなく2026年3月期ベース(FY2026、2025年4月〜2026年3月)のWFEを「マイナス5%成長」と予測を修正しています。10月の資料に2026年(暦年)の数値はなく、質疑応答では2026年のWFEを「現在精査中だが、過去最高になるだろうと見ている」と答えています。
用語メモ:WFE=ウェーハ処理装置(前工程の装置)の市場。レガシー(成熟世代)=最先端より前の世代の製造技術。特別利益=本業以外で臨時に生じた利益。EPS=1株あたり当期純利益。
東京エレクトロンの中国比率は24%から44%に跳ね、2025年4〜9月は39.5%

図の上段は、2021年3月期から2025年3月期までの売上高の棒と、2026年3月期の会社予想2兆3,800億円(斜線の棒、2026年1月31日時点の最新)です。下段の灰色の線が営業利益率で、22.9%から29.9%に上がったあと2024年3月期に24.9%へ下がり、28.7%に戻りました。2026年3月期の予想は24.6%です。
青の線が中国比率です。29%、28%、24%と下がったあと、2024年3月期に44%へ跳ね、2025年3月期は42%でした。右端の菱形の印は、通期予想ではなく、2025年4〜9月の実績39.5%です。会社は中国比率の予想を出していません。
| 地域(%) | 21/3期 | 22/3期 | 23/3期 | 24/3期 | 25/3期 | 2025年4〜9月 |
| 中国 | 29 | 28 | 24 | 44 | 42 | 39.5 |
| 台湾 | 18 | 18 | 20 | 11 | 17 | 19.6 |
| 韓国 | 20 | 19 | 16 | 16 | 17 | 18.7 |
| 日本 | 14 | 12 | 11 | 10 | 8 | 9.9 |
| 北米 | 11 | 13 | 16 | 9 | 10 | 6.9 |
| 欧州 | 4 | 5 | 8 | 7 | 3 | 2.1 |
| 東南アジア他 | 4 | 5 | 5 | 3 | 3 | 3.1 |
※FPDを含む連結売上高に占める割合。21/3期〜25/3期は統合報告書の整数の%、2025年4〜9月は半期報告書の地域別の金額から当ブログが計算。
中国向けの売上高は、2024年3月期の8,133億円から2025年3月期は1兆150億円に増えました(決算説明会資料)。前期比24.8%の増加です(当ブログの計算)。2023年3月期に24%だった中国比率は、翌年に44%へ一気に上がっています。
ここが一つ目の落とし穴です。2021〜2023年3月期の決算説明会資料は、半導体製造装置(SPE)の売上だけで地域を分けていて、中国比率は25%、26%、23%でした。統合報告書の29%、28%、24%は、FPDを含む連結売上高が分母です。どちらの定義の数字かを確かめずに年をまたいで並べると、変化を読み違えます。この回の表は、5期すべてがそろう連結の定義で統一しました。
2025年4〜9月は、中国向けが4,663億円で前年同期比8.8%減った一方、台湾向けは2,313億円で48.9%増、韓国向けは2,210億円で49.9%増と大きく伸びました(半期報告書の金額から当ブログの計算)。中国比率が45.6%から39.5%に下がったのは、中国向けの減少に加えて、台湾・韓国の伸びも効いています。北米向けは819億円で、41.1%減でした。
会社自身の見方も確かめておきます。半期報告書は「中国における成熟世代向け設備投資は前年同期と比べ一服感がみられた」と書いています。2025年10月31日の説明会の質疑応答では、「今後、付加価値の高い先端半導体向けの装置売上が増加することにより、相対的に中国売上比率は減少し、将来的には30%以下の水準になることも想定している。」と答えました。
輸出規制については、同じ質疑応答で「現時点においては、当社の業績に影響する追加規制は発生していない。」としています。2025年4月30日の質疑応答では、「中国への輸出規制について、緩和されるとは見ていない。」「中国地場装置メーカーは、国策の恩恵もあり、中国国内で大きくシェアを伸ばしている。」とも答えていました。
規制そのものは段階的に広がってきました。米国商務省の産業安全保障局(BIS)は2022年10月7日、中国の先端工場向けの装置輸出に許可を求める規制を導入しました。日本も2023年7月23日から、洗浄3、成膜11、熱処理1、露光4、エッチング3、検査1の計23品目を輸出管理の対象に加え、2025年5月28日にも半導体製造装置関連の品目を追加しています。
米国では、エンティティ・リスト(輸出規制の対象企業の一覧)などの掲載企業が合計50%以上を持つ会社にも同じ規制をかける、いわゆる50%ルールが2025年9月29日に発効しました。ただし2025年11月10日から2026年11月9日まで停止されています。東京エレクトロンの決算説明会資料に輸出規制の記載はなく、有価証券報告書も規制の動向を注視すると書くにとどまり、影響額は示していません。
大家業でいえば、家賃の4割を同じ地域のテナントたちが払っていて、その地域との取引に行政の規制がかかり始めている状況です。会社が中国比率の低下を「想定」として語っているのは、テナントの構成が変わることを先に見込んでいるようなもの。比率が下がること自体は、ほかの地域が伸びた結果なら悪い話とは限りません(当ブログの見方)。
用語メモ:SPE=半導体製造装置。BIS=米国商務省の産業安全保障局で、輸出管理を担当する役所。中国地場=中国に本社を置くメーカー。
前受金2,564億円と在庫7,491億円、貸借対照表に表れる装置ビジネスの時間差
次は貸借対照表です。2025年9月末の自己資本比率は、3月末の70.1%から74.4%に上がりました。貸借対照表に借入金や社債の科目はなく(リース債務は確認できていません)、会社の説明資料による手元資金(現金及び預金と有価証券の合計)は、3月末の4,962億円から9月末に4,552億円となりました。
| 億円(%) | 2025年3月末 | 2025年9月末 |
| 総資産 | 2兆6,260 | 2兆6,670 |
| 現金及び預金 | 4,162 | 3,953 |
| 有価証券 | 800 | 600 |
| 受取手形、売掛金及び契約資産 | 4,856 | 4,114 |
| 棚卸資産 | 7,491 | 7,204 |
| 有形固定資産 | 4,417 | 5,613 |
| 前受金 | 2,564 | 2,242 |
| 負債合計 | 7,708 | 6,624 |
| 純資産 | 1兆8,552 | 2兆46 |
| 自己資本比率(%) | 70.1 | 74.4 |
※日本基準・連結。百万円の開示を億円に四捨五入(当ブログの換算)。棚卸資産は商品及び製品、仕掛品、原材料及び貯蔵品の合計(当ブログの計算)。前受金は、収益認識会計基準でいう契約負債にあたります。
キャッシュフロー計算書の現金及び現金同等物は、2025年3月末で4,851億円です。貸借対照表に借入金や社債の科目がないため、この連載ではネットキャッシュ4,851億円として扱います。総資産の18.5%にあたります(当ブログの計算)。
目を引くのは、棚卸資産(在庫)の大きさです。2025年3月末で7,491億円、内訳は商品及び製品2,915億円、仕掛品1,900億円、原材料及び貯蔵品2,676億円でした。売上原価に対して約213日分(212.7日)にあたります(当ブログの計算)。据え付けや検収を経て売上になる装置では、出荷から売上の計上までの時間差が、在庫として貸借対照表に残りやすいのです。
その反対側にあるのが前受金です。2025年3月末で2,564億円、売上高の約1.3か月分にあたります(当ブログの計算)。顧客から先に受け取った代金で、装置を引き渡して売上が立つまでは負債として残ります。大家業でいえば、入居前に受け取る前家賃に近いお金です。手元にあっても、まだ自分の稼ぎではありません。
収益認識会計基準は、売上を計上する目安の一つに「顧客が資産を検収したこと」を挙げています。東京エレクトロンは2022年3月期からこの基準を適用していますが、装置ごとの計上時点の詳しい方針は、この回で参照した資料では確認できませんでした。受注高や受注残を2017年から開示していない会社なので、在庫と前受金が同じ方向に動いているかが、先行きを推し量る手がかりになります(当ブログの見方)。
2025年9月末には、在庫が7,204億円、前受金が2,242億円と、どちらも3月末より減りました。一方で、有形固定資産は4,417億円から5,613億円へ1,196億円増えています(当ブログの計算)。中間期の有形固定資産の取得は1,354億円で、工場や設備への投資が進んでいることが分かります。
用語メモ:棚卸資産回転日数=期末の棚卸資産÷売上原価×365。前受金(契約負債)=商品やサービスを引き渡す前に、顧客から受け取った代金。ネットキャッシュ=現金及び現金同等物から借入金などを引いた額。
営業CFは4年で約4倍、2025年3月期は配当と自社株買いで4,227億円を還元
| 億円 | 21/3期 | 22/3期 | 23/3期 | 24/3期 | 25/3期 | 2025年4〜9月 |
| 営業CF | 1,459 | 2,834 | 4,263 | 4,347 | 5,822 | 2,508 |
| 投資CF | −183 | −556 | −418 | −1,251 | −1,696 | −1,410 |
| 設備投資 | 539 | 573 | 744 | 1,218 | 1,622 | 1,354 |
| FCF(営業CF−設備投資) | 920 | 2,261 | 3,518 | 3,129 | 4,200 | 1,155 |
※営業CF・投資CFは有価証券報告書(2025年4〜9月は半期報告書)。年度の設備投資は統合報告書の設備投資額(発生ベース)、2025年4〜9月はキャッシュフロー計算書の有形固定資産の取得で、基準が違います。FCFは当ブログの計算。会社定義のFCF(統合報告書の営業CF+投資CF)は21/3期から順に826、2,177、3,494、3,196、4,124億円で、統合報告書の投資CFは21/3期〜24/3期で有価証券報告書と一致しません。
営業CFは、2021年3月期の1,459億円から2025年3月期の5,822億円へ、約4倍に増えました(当ブログの計算)。純利益5,441億円を上回る現金を本業で稼いでいます。設備投資も539億円から1,622億円に増え、それを引いたFCF(フリー・キャッシュ・フロー)は4,200億円でした。
株主還元の方針は、親会社株主に帰属する当期純利益に対して配当性向50%を目処とし、1株あたりの年間配当は50円を下回らないこと。2期連続で当期純利益が出ない場合は見直しを検討し、自己株式の取得は機動的に実施を検討する、としています。
| 21/3期 | 22/3期 | 23/3期 | 24/3期 | 25/3期 | 26/3期予想 | |
| 1株配当(円) | 260.33 | 467.67 | 570.33 | 393 | 592 | 533 |
| 配当性向(連結、%) | 50.0 | 50.0 | 56.6 | 50.1 | 50.1 | 50.1 |
※2023年4月1日の1株→3株の分割に合わせ、21/3期〜23/3期は公表値(781円、1,403円、1,711円)を3で割った値。23/3期は創立60周年の記念配当(分割前200円)を含み、除くと配当性向は50.0%。有価証券報告書の配当性向(25/3期64.1%)は単体ベース。26/3期は2025年10月31日時点の予想(中間264円+期末269円)。配当性向は1株配当÷EPSによる当ブログの計算。
2025年3月期の総還元額は4,227億円(年間配当総額2,727億円と自己株式の取得約1,500億円)、総還元性向は78%でした(統合報告書)。当ブログの定義のFCF4,200億円と、ほぼ同じ額を株主に戻した計算です(キャッシュフロー計算書の支払いベースでは、配当2,363億円と自己株式1,500億円の計3,863億円)。
自己株式の取得は、2023年5月11日に公表した上限1,200億円の枠(2024年3月期に約1,200億円で完了)、2024年5月10日に公表した上限800億円の枠、2024年11月12日に公表した上限700億円の枠と続き、2025年3月期の取得額は約1,500億円でした。一方、2025年4〜9月の取得は1百万円で、大きな自社株買いは行っていません。
2025年4〜9月の営業CFは2,508億円で、前年同期より24.5%減りました。有形固定資産の取得は1,354億円と73.7%増え、差し引きのFCFは1,155億円。配当の支払い1,503億円を下回っています(当ブログの計算)。手元資金が4,962億円から4,552億円に減ったのは、この差を手元のお金で埋めた形です(当ブログの見方)。
大家業でいえば、家賃収入から管理費や修繕費、設備の更新費を払ったあとに残るお金がFCFです。東京エレクトロンは、その残りの大半を出資者に分配しながら、工場や設備への再投資も増やしている大家に近い姿です。再投資が重い年は、分配の一部を貯金から出すことになります(当ブログの見方)。
2026年1月30日の株価で見ると、予想PER38.8倍、PBR9.54倍
最後に、2026年1月30日(1月の最終取引日)の終値で、株価の指標を並べます。評価の良し悪しを決めるためではなく、株価が何を前提にしているかを見るための材料です。
| 指標 | 値 | 前提 |
| 株価(終値) | 41,310円 | 2026年1月30日、二次資料(Yahoo!ファイナンス) |
| 時価総額 | 18兆9,366億円 | 自己株式を除く458,402,771株(2025年9月末)で計算 |
| 予想PER | 38.8倍 | 2026年3月期の会社予想EPS 1,064.77円(2025年10月31日公表) |
| PBR | 9.54倍 | 2025年9月末の自己資本÷自己株式を除く株数=1株4,328.87円 |
| 予想配当利回り | 1.29% | 年間配当予想533円 |
| 2025年の株価の騰落率 | +41.9% | 2024年12月30日24,185円→2025年12月30日34,320円 |
※当ブログの計算。1株あたりの数字は2023年4月1日の1株→3株の分割後の基準。
予想PER38.8倍の逆数をとると、利益÷株価は約2.6%(当ブログの計算)です。大家業の言葉に直せば、税引き後の手取りで見た利回りが2.6%ほどの物件、というイメージに近いと思います。利回りが低いぶん、将来の利益の伸びが株価に織り込まれている、という読み方ができます(当ブログの見方)。なお、この予想EPSのもとになる利益予想には、前に触れた上場株式の売却益(特別利益)が含まれています。
PBR9.54倍は、帳簿上の純資産の約9.5倍の値段がついているという意味です。ROEが30%前後の会社であることと、表裏の関係にある数字だと私は見ています(当ブログの見方)。2025年の1年間で株価は41.9%上がりました。どの数字も会社予想と2026年1月30日の株価を前提にした値で、将来を示すものではありません。
用語メモ:PER(株価収益率)=株価÷1株あたり利益。PBR(株価純資産倍率)=株価÷1株あたり純資産。配当利回り=1株配当÷株価。
株式投資の目線では、東京エレクトロンの株価は「業界の投資の波と中国」を映す
ここからは、同じ決算の数字を、株式投資の銘柄選びの目線で読み直します。東京エレクトロン株の性格をひと言でいえば、前工程の装置市場の波と中国向けの行方を映す株だと私は見ています(当ブログの見方)。前工程の装置を幅広く手がけ、2025年3月期(2024年4月〜2025年3月)は連結売上高の42%が中国向けだった会社だからです。
業界の投資の波で利益が大きく動く株を、景気敏感株と呼びます。大家業でいえば、空室率が景気で大きく上下する地域の物件です。いまの家賃の水準より、次の波がいつ来てどこまで続くかで、値段が動きやすい。時価総額18兆9,366億円の大型株でも、この性格は同じです(当ブログの見方)。
株価と利益の向きを並べると、その性格がよく見えます。株価は2025年の1年間で41.9%、2026年1月の1か月でも20.4%上がりました。一方、会社の2026年3月期(2025年4月〜2026年3月)の純利益予想4,880億円は、2025年3月期の5,441億円より10.3%少ない水準です(当ブログの計算)。
今期の予想は7月の下方修正で減益に転じ、2026年1月の上昇もその予想のもとで起きました。減益が見込まれる中で株価が上がったのは、株価が今期の利益より先を見ているからだと読めます(当ブログの見方)。しかも予想の純利益には、前に触れた特別利益372億円の効果が入っています。ただし株価の騰落率は暦年(1月〜12月)、利益の予想は4月〜3月の会計年度で、期間がずれている点は割り引いてください。
では、今の株価は何を前提にしているのか。予想PER38.8倍は、今期の予想利益の38.8年分の値段という意味で、逆数の益回りは2.58%です。この連載で比べる上場9社(日立ハイテクを除く)を予想PERの順に並べると、ちょうど真ん中が東京エレクトロンです(当ブログの計算)。
PBRは9.54倍で、9社の中央値7.17倍を上回ります。PBRをPERで割ると予想EPS÷BPS(1株あたり純資産)になり、東京エレクトロンは24.6%です(当ブログの計算)。今期予想の利益で見たROEの目安で、2025年3月期のROE30.3%より低めです。高いPBRは、ROEが高い水準を保つことを前提にした値段だと読めます(当ブログの見方)。
お金の面では、2025年3月期のFCF4,200億円(当ブログの定義)が時価総額の2.22%、会社が示す総還元額4,227億円が2.23%にあたります(当ブログの計算)。FCF利回りは9社のちょうど真ん中、株主還元利回りは中央値1.69%を上回ります(他社はどちらもキャッシュフロー計算書の額で、基準は少し違います)。稼いだFCFとほぼ同じ額を株主に戻した1年でした。
一方、2025年3月末のネットキャッシュ4,851億円は、時価総額の2.6%にすぎません(当ブログの計算)。大家業でいえば、物件の値段のほとんどが、手元の預金ではなく将来の家賃に払われている状態です。株価の大半は、これからの稼ぎへの値段だと考えておきたいところです(当ブログの見方)。
用語メモ:景気敏感株=景気や業界の投資の波で利益が大きく動き、株価もそれに連れて動きやすい株。益回り=予想EPS÷株価で、PERの逆数。FCF利回り=FCF÷時価総額。株主還元利回り=配当と自社株買いの合計÷時価総額。中央値=値を小さい順に並べたときの真ん中の値。
銘柄選びの目線では、売上が17.1%減った年に営業利益は26.1%減った
景気の波への強さも確かめておきます。5期で営業利益が最も落ちたのは2024年3月期(2023年4月〜2024年3月)で、売上が17.1%減った年に、営業利益は26.1%減りました。減った売上3,785億円のうち、42.7%にあたる1,615億円が営業利益から消えた計算です(当ブログの計算)。
反対に2025年3月期は、売上が32.8%増え、増えた売上の40.1%が営業利益の増加分になりました(当ブログの計算)。売上が43.2%増えた2022年3月期は46.1%です。売上が大きく動いた年は、上りでも下りでも、売上の変化の4割余りが営業利益に響く(売上が10.2%増えた2023年3月期は9.0%でした)。この株が業界の波に敏感な理由の一つです(当ブログの見方)。
株価が動くきっかけになりそうなのは、まず会社予想です。2026年3月期の予想は、7月の下方修正、10月の上方修正と、この1年で2回動きました。次の決算からは、逆算した下期の営業利益率約23.6%に対して実績がどう出るかが、最初の材料になります(当ブログの見方)。
配当も利益とともに動きます。配当性向50%を目処にしているため、年間配当の予想は618円、485円、533円と、修正のたびに変わりました。受注残を開示していない会社なので、中国比率の動き、輸出規制のニュース、2025年4〜9月はほぼ止まっていた自社株買いが再び動くかどうかも、株価の材料になりやすいと私は見ています(当ブログの見方)。
下振れのリスクとして、記事の数字から言えるのは三つです。一つ目は中国です。連結売上高の42%を占め、会社は2025年4月30日の質疑応答で、中国への輸出規制は「緩和されるとは見ていない」とし、中国地場の装置メーカーが中国国内で大きくシェアを伸ばしているとも答えています。
二つ目は、業界の投資が鈍ったときの利益の落ち方です。上で見た2024年3月期のように、売上の減少率を上回る率で営業利益が減りやすいのです。三つ目は予想の中身で、純利益の予想には本業以外の特別利益が含まれ、下期の利益率は上期より低い前提です。前提が崩れれば、PERの分母も変わります(当ブログの見方)。
| 銘柄選びで確かめる点 | この会社の数字(時点) | 当ブログの見方 |
| 株価と今期の利益の向き | 2025年の株価+41.9%、2026年1月+20.4%/2026年3月期の純利益予想−10.3% | 株価は今期の減益より先を見ている |
| 利益に対する株価の水準 | 予想PER38.8倍、益回り2.58%(2026年1月30日。どちらも9社の中央値) | 9社の中で中くらい。利益の回復が前提 |
| PBRとROE | PBR9.54倍、予想EPS÷BPS24.6%、2025年3月期のROE30.3% | 高いROEが続くことが前提 |
| 株主に戻すお金 | FCF利回り2.22%、株主還元利回り2.23%(2025年3月期の実額÷時価総額) | FCFとほぼ同額を還元。配当は利益に連動 |
| 景気の波への強さ | 2024年3月期は売上−17.1%、営業利益−26.1% | 売上の変化の4割余りが利益に響く |
| 中国と規制 | 中国比率42%(2025年3月期)、39.5%(2025年4〜9月) | 低下が他の地域の伸びによるものかを見分けたい |
この株の性格が合うかどうかは、投資の目的しだいです。配当の利回りを重視するなら、予想配当利回り1.29%は、予想が出ている8社の中央値1.25%とほぼ同じ水準です。ただし配当は利益に連動し、2026年3月期の予想533円は、前の期の592円を下回ります。毎年同じ額の配当を求める人ほど、この点は確かめておきたいところです。
業界の波に合わせて、利益も配当も株価も大きく動く。それを受け入れられるかが、この株を選ぶかどうかの分かれ目になります(当ブログの見方)。今の株価の水準が妥当かどうかは、減益の先に回復が来るか、高いROEが続くか、中国の比率がどう動くかという前提を、どう判断するかで変わります。
東京エレクトロンの決算は「誰に、何を、どれだけ売るか」で読む
東京エレクトロンの決算を5年分並べると、売上は設備投資の波で上下しながらも4年で約1.7倍になり、営業利益率は20%台を保ってきました。研究開発費を毎年増やし、稼いだ現金の多くを配当と自社株買いで株主に戻す。数字から見えるのは、規律のはっきりした会社の姿です(当ブログの見方)。
次の決算で確かめたいことを挙げておきます。まず、下期の営業利益率です。会社予想から逆算した下期の率は約23.6%(当ブログの計算)で、これを上回るか下回るか。次に、中国比率が39.5%からどう動くか、台湾・韓国向けの伸びが続くかです。会社の「30%以下」という想定に近づいていくのか、毎回の決算で追いかけたいところです。
3つ目は貸借対照表で、在庫と前受金がそろって増え始めるか、有形固定資産がどこまで膨らむかを見ます。2026年3月期の設備投資の計画は2,400億円です。最後に株主還元で、期末配当269円の予想と、2025年4〜9月はほとんど動かなかった自社株買いが再び動くかどうか。中期経営計画の2027年3月期の目標(売上高3兆円以上、営業利益率35%以上)との距離も、あわせて見ておきたい数字です。
大家業を長く続けていると、満室かどうかより、誰が借りていて、いつ契約が変わりそうかのほうが気になってきます。東京エレクトロンの決算書も同じで、売上の大きさだけでなく「誰に、何を、どれだけ」売っているかを一枚ずつめくると、ずいぶん見通しがよくなるはずです。アドバンテストを取り上げる回、10社を比べる回もあわせてどうぞ。
※本記事は公表資料をもとにした情報提供を目的としたもので、特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。業績や株価に関する記述は当ブログの見方や試算で、将来の業績や株価を予想・保証するものではありません。
※数値は各社の決算短信・決算説明資料などの公表資料をもとに当ブログが集計・計算したもので、四捨五入の関係で合計が合わない場合があります。数値は2026年1月31日までに公表されたもので、時点は本文・表に記載しています。税制は2026年1月31日時点の法令にもとづき、令和8年度税制改正大綱の内容は今後の法改正で決まります。
出典・参考
- 有価証券報告書 第62期(2024年4月1日〜2025年3月31日)(東京エレクトロン、2025年6月)https://www.tel.co.jp/ir/library/fs/qmu38m00000000ll-att/yuho62q4.pdf
- 統合報告書2025 データセクション(東京エレクトロン、2025年)https://www.tel.co.jp/ir/library/ar/qeguhq00000000i0-att/ir2025_data_section.pdf
- 統合報告書2025 第2章(東京エレクトロン、2025年)https://www.tel.co.jp/ir/library/ar/qeguhq00000000i0-att/ir2025_chapter2.pdf
- 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)(東京エレクトロン、2025年10月31日)https://www.tel.co.jp/ir/library/report/g81vm600000000gp-att/fy26q2tanshin-j.pdf
- 半期報告書 第63期(2025年4月1日〜2025年9月30日)(東京エレクトロン、2025年11月13日)https://www.tel.co.jp/ir/library/fs/arfnn500000000ni-att/yuho63q2.pdf
- 2026年3月期 第2四半期 決算説明会資料(東京エレクトロン、2025年10月31日)https://www.tel.co.jp/ir/library/report/g81vm600000000gp-att/fy26q2presentations-j.pdf
- 2026年3月期 第2四半期 決算説明会 質疑応答集(東京エレクトロン、2025年10月31日の説明会分)https://www.tel.co.jp/ir/library/report/g81vm600000000gp-att/FY26Q2_EarningCall_QA_J2.pdf
- 2026年3月期 第1四半期 決算説明会資料(東京エレクトロン、2025年7月31日)https://www.tel.co.jp/ir/library/report/asi1kh00000000j4-att/fy26q1presentations-j.pdf
- 2025年3月期 決算説明会資料(東京エレクトロン、2025年4月30日)https://www.tel.co.jp/ir/library/report/vguqj600000000j3-att/fy25q4presentations-j.pdf
- 2025年3月期 決算説明会 質疑応答集(東京エレクトロン、2025年4月30日の説明会分)https://www.tel.co.jp/ir/library/report/u8fnk300000000v4-att/FY25Q4_EarningCall_QA_J.pdf
- 2024年3月期 決算説明会資料(東京エレクトロン、2024年5月10日)https://www.tel.co.jp/ir/library/report/j8ht1m00000000pg-att/fy24q4presentations-j.pdf
- 2023年3月期 決算説明会資料(東京エレクトロン、2023年5月11日)https://www.tel.co.jp/ir/library/report/sjfrqq000000008t-att/fy23q4presentations-j.pdf
- 2022年3月期 決算説明会資料(東京エレクトロン、2022年5月12日)https://www.tel.co.jp/ir/library/report/hq95qj00000007nc-att/fy22q4presentations-j.pdf
- 研究開発税制の概要と令和5・6年度の税制改正について(令和6年4月現在)(経済産業省、2024年4月)https://www.meti.go.jp/policy/tech_promotion/tax/R6gaiyou_set.pdf
- 令和8年度税制改正の大綱(3/9)(財務省、2025年12月26日閣議決定)https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/08taikou_03.htm
- Commerce Implements New Export Controls on Advanced Computing and Semiconductor Manufacturing Items to the People’s Republic of China (PRC)(米国商務省産業安全保障局、2022年10月7日)https://www.bis.gov/press-release/commerce-implements-new-export-controls-advanced-computing-semiconductor-manufacturing-items-peoples
- 「輸出貿易管理令別表第一及び外国為替令別表の規定に基づき貨物又は技術を定める省令の一部を改正する省令」等の改正の概要について(経済産業省、2023年5月23日)https://www.meti.go.jp/policy/anpo/law_document/shourei/20230523_gaiyo.pdf
- 外国為替令及び輸出貿易管理令等(重要・新興品目等)の改正の概要について(経済産業省、2025年4月)https://www.meti.go.jp/policy/anpo/law_document/seirei/20250403_gaiyo.pdf
- Expansion of End-User Controls To Cover Affiliates of Certain Listed Entities(Federal Register、2025年9月30日)https://www.federalregister.gov/documents/2025/09/30/2025-19001/expansion-of-end-user-controls-to-cover-affiliates-of-certain-listed-entities
- One Year Suspension of Expansion of End-User Controls for Affiliates of Certain Listed Entities(Federal Register、2025年11月12日)https://www.federalregister.gov/documents/2025/11/12/2025-19846/one-year-suspension-of-expansion-of-end-user-controls-for-affiliates-of-certain-listed-entities
- 株価:Yahoo!ファイナンス 東京エレクトロン(8035)時系列(2026年1月30日の終値)https://finance.yahoo.co.jp/quote/8035.T/history?styl=stock&from=20260126&to=20260203&timeFrame=d
- 自己株券買付状況報告書(東京エレクトロン、2025年1月14日)https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100V2R1.pdf































