東雲結子:石井先生、旧正月の連休に台湾旅行を計画中です! 夜市で小籠包を食べ歩いて、お土産に台湾の株も一つ買ってこようかと思って。

税理士石井:お土産に株、ですか。パイナップルケーキより日持ちはしますけど、値札の揺れ方はだいぶ激しいですよ。

東雲結子:目をつけたのは南亜科技です。ガイドブックの代わりに株価のチャートを開いたら、2025年の1年で559.8%も上がっていました。

税理士石井:約6.6倍ですね。ただ、その少し前まではかなりの赤字でした。2023年の営業利益率はマイナス48.4%です。

東雲結子:えっ、売上の半分近くが赤字に消えていたんですか。夜市なら、屋台ごと静かに店じまいしています(汗)。

税理士石井:ははは。ところが2025年10〜12月には、粗利益率が49.0%まで上がりました。会社は、DRAMの平均販売価格が前年同期より80%台も上がったと説明しています。

東雲結子:利益が戻ったなら、株価の急上昇も納得です。PERは……153.3倍!? 小籠包一つのために、153年分の食事代を前払いするようなものです。

税理士石井:そこが落とし穴なんです。153.3倍は、赤字だった1〜6月を含む1年間の利益で割った値。利益が大きく膨らんだ10〜12月の3か月分を4倍して割ると、22.8倍になります。

東雲結子:同じ株なのに、物差しで6倍以上も違うんですね。大家さんでいえば、空室だらけだった年の家賃で利回りを出すか、満室になった直近の家賃で出すか、みたいな?

税理士石井:まさにそれです。今の株価は、満室の家賃がしばらく続くことを前提にしています。この回は、赤字から黒字への道のりと、その前提を、決算の数字で一つずつ確かめていきましょう。

連載「海外のメモリーメーカーの企業分析」の第6回は、台湾の南亜科技(ナンヤ・テクノロジー)です。台湾証券取引所(TWSE)に上場する証券コード2408の会社で、台塑(台湾プラスチック、Formosa Plastics)グループに属するDRAMの専業メーカーです。決算は12月期(1〜12月)、会計は台湾で採用されている国際会計基準(TIFRS)の連結です。

南亜科技の決算は、2023年と2024年に大きな営業赤字を出し、2025年1〜6月も赤字でした。そこから7〜9月に黒字へ戻り、10〜12月には粗利益率が49.0%に達しました。2025年12月期の売上高は665.9億台湾ドルで、約3,249億円にあたります(2026年1月30日の為替レート1台湾ドル=4.88円で当ブログが換算)。

ひとつ注意があります。2025年12月期と2025年10〜12月期の数字は、会社が自ら集計した「自行結算」の値で、会計士の監査を受ける前の数字です(2026年1月19日公表)。材料は、この日の決算説明会資料と、台湾の開示システム(MOPS)に提出された財務諸表、会社が毎月公表する売上、2024年の年次報告書です。金額は百万台湾ドルの開示を億台湾ドルに四捨五入しました。後半では、決算の数字を株式投資の銘柄選びにどうつなげるかも、アナリストの目線で整理します。

この記事の要点 根拠となる数字
赤字の2年を経て、2025年10〜12月は粗利益率49.0%に 粗利益率−15.0%(2023年)→22.5%(2025年)、四半期では−10.6%(2024年10〜12月)→49.0%(2025年10〜12月)
売上の急増は、販売価格と出荷量の両方による(会社の説明) 10〜12月の平均販売価格は前期比30%台・前年同期比80%台の上昇、12月の月次売上は前年同月比444.9%増
手元はネットキャッシュ、2026年は設備投資を大きく増やす計画 2025年末のネットキャッシュ385億台湾ドル、設備投資は2025年の134.5億台湾ドル→2026年は最大500億台湾ドル(取締役会の承認前)
銘柄選びの目線:株価は高い利益の水準が続く前提で、PERは物差しで6倍以上違う 実績PER153.3倍、直近四半期×4で22.8倍、PBR5.94倍、2025年の株価+559.8%

南亜科技(ナンヤ)は台塑グループのDRAM専業、2024年の売上の約63%は民生用

南亜科技が作っているのは、DRAMです。DRAMは、パソコンやスマホ、家電の中で、計算中のデータを一時的に置いておくメモリーです。製品は、DDR5やDDR4といった標準的な規格のDRAMと、スマホなどに使う低消費電力のLPDDRです(会社の説明の報道、2024年の年次報告書)。

2024年の年次報告書の株主への手紙によると、用途別の売上は民生用電子機器が約63%、低消費電力品(LPDDR)が約21%、PCメーカー向けが約13%でした。2025年の用途別の構成や、製品別・地域別の売上の金額は、この回で参照した資料には載っていません。中国向けの比率も確かめられませんでした。

規模は、世界の大手とかなり違います。調査会社TrendForceによると、2025年7〜9月の南亜科技のDRAM売上は6.27億ドルで、前期比84%増。業界全体の414億ドルに対しては約1.5%です(当ブログの計算)。

同じ四半期のSKハイニックスは137.5億ドル、サムスン電子は135.0億ドル、マイクロン・テクノロジー(以下マイクロン)は106.5億ドルでした。上位3社の売上は、いずれも南亜科技の10倍を超えます(当ブログの計算)。

マイクロンとは古い縁があります。マイクロンの米国証券取引委員会(SEC)への提出書類によると、両社はDRAMの合弁会社Inotera(華亞科)を共同で持ち、2016年12月にマイクロンが完全子会社にする直前の持分は、マイクロン33%、南亜科技と関係会社32%でした。マイクロンはこの買収の資金の一部として、自社株57,780,138株を約10億ドルで南亜科技に売却しています。

技術の面では、会社は10ナノ級の第2世代にあたる「1B」と、その次の「1C」「1D」という世代の開発を進めています。報道された会社の説明によると、2025年10月13日の時点で、1Bの16GビットDDR5が出荷数量の約1割に達し、1Cと1Dは予定どおり試作中。TSVを使う製品や、カスタムHBMの開発も進んでいるとしていました。

2026年1月19日には、サーバー向けの128GB DDR5 RDIMM(メモリーモジュール)が機能試験に合格し、カスタムAI向けの案件も計画どおりと説明しています(報道)。ただ、HBMの売上の開示は、この回で参照した資料にはありません。南亜科技の稼ぎは、今のところ汎用のDRAMが中心と読むのが自然です(当ブログの見方)。

株主の顔ぶれも、この会社の特徴です。筆頭株主は同じグループの南亞塑膠(Nan Ya Plastics)で、持株比率は29.28%です(2024年の年次報告書)。台塑・台化・台塑化のグループ3社も大株主で、2025年10〜12月に保有株の一部を売りました。この売却は、後の節で詳しく見ます。

用語メモ:DRAM=電源を切るとデータが消える、計算中のデータを一時的に置くメモリー。汎用DRAM=HBMのような特別な品ではない、規格品のDRAM(当ブログの呼び方)。DDR5・DDR4・DDR3=パソコンやサーバーなどで使う、標準的なDRAMの規格。LPDDR=スマホなどに使う低消費電力のDRAM。HBM(広帯域メモリー)=DRAMを積み重ねて高速にしたメモリーで、AI向けの計算に使われる。TSV(シリコン貫通電極)=チップを貫く電極で、チップを積み重ねる技術。TIFRS=台湾で採用されている国際会計基準(IFRS)。自行結算=会社が自ら集計した、監査前の決算の数字。

南亜科技の5年の決算は、営業利益率31.8%から−48.4%まで振れた

億台湾ドル(%) 2021年 2022年 2023年 2024年 2025年
売上高 856.0 569.5 298.9 341.3 665.9
粗利益率(%) 43.3 37.5 −15.0 −1.2 22.5
研究開発費 75.0 78.4 75.8 76.9 70.4
研究開発費比率(%) 8.8 13.8 25.3 22.5 10.6
営業利益 271.9 110.0 −144.6 −105.6 52.4
営業利益率(%) 31.8 19.3 −48.4 −30.9 7.9
純利益 228.5 146.2 −74.4 −50.8 66.0
EPS(台湾ドル) 7.40 4.72 −2.40 −1.64 2.13
ROE(%) ― 8.3 −4.3 −3.1 3.9

※TIFRS・連結。各年とも12月期(1〜12月)。2025年は自行結算(監査前、2026年1月19日公表)。純利益は親会社株主に帰属する当期純利益(参照した財務諸表に非支配持分の記載はない)。EPSは基本EPS。比率とROEは当ブログの計算で、ROEは期首・期末の資本の平均。2025年末の資本は、会社が示した1株あたり純資産(BPS)×2025年9月末の株数による推計。2021年は2020年末の資本がないため計算していません。

売上高は、2021年の856.0億台湾ドルから2年後の2023年には298.9億台湾ドルへ、約65%減りました(当ブログの計算)。粗利益率は−15.0%で、売上総利益の段階から赤字です。製品を作るのにかかった原価が、売上を上回ったということ。営業利益率は−48.4%まで落ち込みました。

2024年は売上が14.2%増えたのに、粗利益率は−1.2%、営業利益は105.6億台湾ドルの赤字でした(増減率は当ブログの計算)。会社は2024年10〜12月について、平均販売価格が前期比で2桁%下がり、出荷量も1桁台後半%減ったと説明しています(報道)。売上が増えても、値段が戻らなければ利益は出ない。2024年はそういう1年でした(当ブログの見方)。

2025年は売上高が95.1%増の665.9億台湾ドルとなり、営業利益52.4億台湾ドル、純利益66.0億台湾ドルで、3年ぶりの黒字です。EPS(1株あたり利益)は2.13台湾ドルでした。

純利益が営業利益を上回っているのは、営業外の利益26.4億台湾ドルが加わったためです(税引前利益78.8億台湾ドル−営業利益52.4億台湾ドル、当ブログの計算)。その内訳は、この回で参照した資料では確かめられませんでした。本業の稼ぎを見るなら、営業利益の側で考えるのが安全です(当ブログの見方)。

研究開発費は毎年70〜78億台湾ドルほどで、景気に関係なくほぼ同じ額がかかっています。売上が縮んだ2023年には、売上に対する比率が25.3%まで上昇しました。大家業でいえば、ローンの返済や固定資産税のように、空室が増えても減らない費用です。家賃相場が下がった年ほど、手取りの率が大きく削られます。

用語メモ:粗利益率=売上総利益(売上−売上原価)÷売上。営業利益率=本業の利益÷売上。EPS=1株あたり純利益。ROE(自己資本利益率)=純利益÷自己資本。

四半期で見ると、2025年7〜9月に黒字へ戻り、10〜12月は粗利益率49.0%

図の上段は、2023年10〜12月期から2025年10〜12月期までの9四半期の売上高(億台湾ドル)の棒、下段は粗利益率の線です。売上高は2024年10〜12月期の65.8億台湾ドルを底に、2025年10〜12月期の300.9億台湾ドルまで伸びました。

粗利益率の線は、2025年4〜6月期の−20.6%(二次資料)を底に、7〜9月期は18.5%、10〜12月期は49.0%へ駆け上がっています。前年同期の2024年10〜12月期は−10.6%で、1年で59.6ポイントの改善です(当ブログの計算)。図で「*」のついた値は、集計サイト(StockAnalysis.com、S&P Globalのデータ)による二次資料です。

四半期 売上高(億台湾ドル) 粗利益率(%) 営業利益(億台湾ドル) 営業利益率(%) EPS(台湾ドル)
2023年10〜12月 87.0* −13.6* −40.5* −46.5* −0.80*
2024年1〜3月 95.0* −2.9* −29.2* −30.7* −0.39*
2024年4〜6月 99.2* 2.9* −23.2* −23.4* −0.26*
2024年7〜9月 81.3 3.2 −25.1 −30.8 −0.48
2024年10〜12月 65.8 −10.6 −28.1 −42.8 −0.51
2025年1〜3月 71.9 −15.0* −31.6* −43.9* −0.63
2025年4〜6月 105.3 −20.6* −45.0* −42.8* −1.32
2025年7〜9月 187.8 18.5 11.2 6.0 0.50
2025年10〜12月 300.9 49.0 117.8 39.1 3.58

※TIFRS・連結。*は集計サイトの値(二次資料。上半期の合計は会社資料と照合済み)、ほかは会社資料(MOPS提出の財務諸表・決算説明会資料)。2025年1〜3月期・4〜6月期の売上高とEPSは会社資料のグラフで確認。2025年10〜12月期は自行結算(監査前)。比率は当ブログの計算。

会社資料だけで計算できる半期で比べると、変化がよりはっきりします。2025年1〜6月は売上高177.1億台湾ドル、粗利益率−18.3%、営業利益は76.6億台湾ドルの赤字(営業利益率−43.2%)でした(通期から7〜9月期と10〜12月期を差し引いた当ブログの計算)。

7〜12月は売上高488.7億台湾ドル、粗利益率37.3%、営業利益129.0億台湾ドル(営業利益率26.4%)です(当ブログの計算)。この半年の売上高だけで、2024年1年間の341.3億台湾ドルの約1.4倍になります。7〜9月期の黒字で、11四半期続いた赤字が終わったと報じられました(科技新報、2025年10月13日)。

10〜12月期は、売上高300.9億台湾ドル(前期比60.3%増、前年同期比357.7%増)、営業利益117.8億台湾ドル、純利益110.8億台湾ドルでした(増減率は当ブログの計算)。この3か月のEPS3.58台湾ドルは、2025年通年のEPS2.13台湾ドルを上回ります。1〜9月の営業赤字65.4億台湾ドルを、3か月で取り返して余りある利益です(当ブログの計算と見方)。

月の単位でも、勢いは表れていました。会社は2025年10月の単月で、純利益20.4億台湾ドル、EPS0.66台湾ドルを公表しています。7〜9月期3か月分のEPS0.50台湾ドルを上回る水準です。株式の売買が台湾証券取引所の注意喚起の基準に当たったための開示と報じられています(科技新報、2025年12月2日)。

売上の急増は価格と出荷量の両方、10〜12月の平均販売価格は前年同期比80%台の上昇

会社は決算説明会資料で、売上の変化を平均販売価格(ASP)と出荷量(ビット)に分けて説明しています。2025年10〜12月期は、平均販売価格が前期比で30%台の上昇、前年同期比で80%台の上昇でした。出荷量は前期比で10%台前半の増加、為替も前期比で1桁台半ばの追い風です。

2025年通年では、平均販売価格が前年比30%台の上昇、出荷量は50%台の増加で、為替は1桁台半ばの逆風でした。1年を通すと出荷量の伸びが大きく、10〜12月の前期比では価格の伸びが大きい。後半ほど値上がりが効いた1年だったと読めます(当ブログの見方)。

7〜9月期についても、会社は平均販売価格が前期比40%台の上昇、出荷量が20%台半ばの増加と説明していました(報道)。反対に、2024年10〜12月期は価格が2桁%下がり、出荷量も1桁台後半%減っています。

粗利益率がここまで急に動くのは、値上がりの分が、原価の増加をあまり伴わずに利益に乗るからだと考えられます。工場の減価償却や人件費は、売値が上がっても下がっても大きくは変わりません(当ブログの見方)。大家業でいえば、部屋数も管理費も同じまま、家賃の改定だけで手取りが何倍にもなる局面です。

業界全体の値動きは、調査会社TrendForceの予測で追えます。汎用DRAMの契約価格の予測(前期比)は、2025年7〜9月期が10〜15%の上昇(2025年7月7日公表)。10〜12月期は9月24日に8〜13%の上昇とされたあと、11月26日には45〜50%の上昇へ引き上げられました。

2026年1〜3月期の予測は55〜60%の上昇です(2026年1月5日公表)。スポット価格でも、DDR4 8Gビット品は2025年10月15日に報告された週の7.059ドルから、2026年1月14日の報告で27.857ドルへ、約3.95倍になりました(倍率は当ブログの計算)。いずれも業界全体の値で、南亜科技の販売価格そのものではありません。

会社自身の見方はどうか。報道(科技新報、TrendForce News、いずれも2026年1月19日)によると、会社は2026年から2027年前半にかけて新たな供給能力は限られ、DDR5・LPDDR5・DDR4・LPDDR4・DDR3の逼迫が続くと見ており、2026年1〜3月期にも値上げを見込んでいます。2026年の出荷量(ビット)の目標は、前年比で10%台の増加です(決算説明会資料)。

用語メモ:ASP(平均販売価格)=製品1単位あたりの平均の売値。ビット出荷=記憶容量(ビット)で数えた出荷量。契約価格=メーカーと大口の顧客が、四半期などの期間ごとに決める取引価格。スポット価格=その時々の市場で売り買いされる現物の価格。

月次売上は2025年6月から前年を上回り、12月は前年同月比444.9%増

南亜科技は、毎月の連結売上を翌月の上旬に自社のサイトで公表しています(監査前の数字)。四半期の決算を待たずに、DRAMの値動きが売上にどう表れているかを確かめられる、便利な数字です。

月 2025年(億台湾ドル) 2024年(億台湾ドル) 前年同月比
1月 21.6 30.6 −29.3%
6月 40.7 33.6 +21.1%
7月 53.5 27.5 +95.0%
8月 67.6 28.0 +141.3%
9月 66.6 25.8 +157.8%
10月 79.1 21.8 +262.4%
11月 101.7 21.9 +364.9%
12月 120.2 22.1 +444.9%
年間 665.9 341.3 +95.1%

※会社が公表した月次の連結売上(千台湾ドル)を億台湾ドルに四捨五入。前年同月比は当ブログの計算。2〜5月は省略(前年同月比は−25.5%〜−0.5%)。10〜12月の合計300.9億台湾ドルは四半期の売上高と一致。

2025年の月次売上は、1月の21.6億台湾ドルから12月の120.2億台湾ドルへ、約5.6倍になりました(当ブログの計算)。前年同月を上回ったのは2025年では6月が最初で、そこから12月まで伸び率は毎月広がり、12月は前年同月比444.9%増。前年同月の約5.4倍です。

ただ、伸び率の大きさは割り引いて見る必要があります。比べる相手の2024年10〜12月は、月21.8〜22.1億台湾ドルと、2024年の中で最も低い水準でした。低い土台との比較であることは、頭に入れておきたいところです(当ブログの見方)。

大家業でいえば、月次売上は毎月の家賃の入金表です。四半期ごとの決算を待たずに、入金のペースから物件の調子をつかめる。南亜科技の株を見るなら、毎月の売上の公表は欠かせない材料だと私は考えています(当ブログの見方)。

2025年末のネットキャッシュは385億台湾ドル、赤字の2年で手元は細った

億台湾ドル(%) 2022年末 2023年末 2024年末 2025年9月末 2025年12月末
現金及び同等物 735.9 588.1 619.0 523.1 577.4
借入金(リース負債を除く) 0 111.8 252.7 約281 約193
ネットキャッシュ 735.9 476.3 366.4 242 385
棚卸資産 233.8 276.3 353.2 320.6 ―
在庫日数(日) 240 293 373 191 ―
自己資本比率(%) 89.5 86.8 79.8 77.7 ―
BPS(台湾ドル) 58.41 ― 53.27 50.78 54.99

※TIFRS・連結。ネットキャッシュ=現金及び同等物−借入金(社債・短期票券を含み、リース負債を除く)で、2022〜2024年末は当ブログの計算、2025年9月末・12月末は会社資料の表示。2025年9月末の借入金は会社表示のネットキャッシュから逆算した概数。在庫日数=棚卸資産÷売上原価×365(2025年9月末は7〜9月期の売上原価を4倍して年換算)。2025年末の総資産・棚卸資産は2026年1月の資料に記載がない。2023年末のBPSは会社資料で未確認。

赤字の2年間は、手元のお金を削りました。現金から借入金を引いたネットキャッシュは、2022年末の735.9億台湾ドルから、2025年9月末には242億台湾ドルまで減少。2022年末まで借入金はゼロでしたが、2024年末には252.7億台湾ドルになっていました。

流れを変えたのが10〜12月期です。この3か月の営業CF(本業で稼いだ現金)は151.7億台湾ドルで、会社は借入金89億台湾ドルを返済しました。2025年末のネットキャッシュは、会社の表示で385億台湾ドルです(現金577億台湾ドル−短期借入51億台湾ドル−長期借入142億台湾ドル。各項目は会社が10億台湾ドル単位で丸めた値のため、差し引きは1億台湾ドルずれます)。

自己資本比率は2025年9月末で77.7%と、なお高い水準です。ただ、2022年末の89.5%からは下がっています。2025年末の総資産と在庫は、2026年1月の資料には載っていません。

気になるのは在庫でした。2024年末の棚卸資産は353.2億台湾ドルで、売上原価の373日分。1年分を超える在庫を抱えていた計算です。2025年9月末は320.6億台湾ドルで、7〜9月期の売上原価を年換算すると191日分まで下がりました(いずれも当ブログの計算)。

大家業でいえば、在庫は「空室在庫」です。家賃相場が下がる局面で空室を抱えると、値下げして埋めるか、空けたまま待つかの選択を迫られます。値上がりの局面では、同じ在庫が利益に変わる。2025年末の在庫がどこまで減ったかは、監査を経た財務諸表で確かめたい数字です(当ブログの見方)。

用語メモ:ネットキャッシュ=現金から借入金を引いた額。在庫日数=棚卸資産が売上原価の何日分にあたるかの目安。自己資本比率=自己資本÷総資産。BPS=1株あたり純資産。

営業CFは2025年に182.3億台湾ドルへ、配当は2年度続けてゼロ

億台湾ドル 2021年 2022年 2023年 2024年 2025年
営業CF 441.1 210.8 −61.0 19.5 182.3
設備投資(有形固定資産の取得) 112.6 207.1 132.5 161.4 134.5
FCF(営業CF−設備投資) 328.5 3.7 −193.4 −141.9 47.9
配当金の支払額 40.0 114.7 66.0 0.0 0.0
1株配当(その年度の分、台湾ドル) 3.70* 2.13* 0* 0 未定

※TIFRS・連結。2025年の営業CF・設備投資は1〜9月(MOPS提出の財務諸表)と10〜12月(決算説明会資料)の合計で当ブログが計算。FCFは当ブログの計算。配当金の支払額はその年に支払った額(前の年度の分)。1株配当の*はデータサイト(HiStock、二次資料)の値で、支払額と整合。2024年度分は2025年2月26日の取締役会で現金・株式とも配当なしと決議。2025年度分は2026年1月31日までに決まっていない。

2023年の営業CFは61.0億台湾ドルのマイナスで、FCF(フリー・キャッシュ・フロー)は193.4億台湾ドルのマイナスでした。2024年もFCFは141.9億台湾ドルのマイナスで、2年間で335.3億台湾ドルが出ていった計算です(当ブログの計算)。

それでも設備投資は、2023年に132.5億台湾ドル、2024年に161.4億台湾ドルと続けました。赤字の年に工場への投資を続けられたのは、2022年末に735.9億台湾ドルあったネットキャッシュの厚みがあってこそだと私は見ています(当ブログの見方)。

2025年は営業CFが182.3億台湾ドルに戻り、FCFは47.9億台湾ドルのプラスです。とくに10〜12月期だけで、営業CF151.7億台湾ドル、FCF129.3億台湾ドル(会社の表示)を生みました。

配当は、2021年度の1株3.70台湾ドル、2022年度の2.13台湾ドルから、赤字の2023年度・2024年度はゼロになりました。2021年度と2022年度の配当性向(1株配当÷EPS)は、50.0%と45.1%です(当ブログの計算)。自社株買いの記録は、この回で参照した資料にはありません。

2025年度の配当は、2026年1月末の時点ではまだ決まっていません。株主還元の方針を示した会社の文言も、この回で参照した資料では確かめられませんでした。黒字の年に利益の半分前後を配当してきた実績はありますが、2025年度分の金額は取締役会の決議を待つことになります(当ブログの見方)。

用語メモ:営業CF=本業で得た現金の出入り。FCF=営業CFから設備投資を引いた、会社が自由に使えるお金の目安。配当性向=利益のうち配当に回した割合。

2026年の設備投資は最大500億台湾ドル、2025年の約3.7倍の計画

2026年1月19日の決算説明会資料で、会社は2026年の設備投資を「up to NT$50B」、つまり最大500億台湾ドルとしました。「Subject to Board’s approval」(取締役会の承認が前提)との注記があり、2026年1月末の時点ではまだ計画の段階です。製造装置(WFE)はこのうち約30%の見込みで、新工場への装置の搬入は2027年初めの予定としています。

過去の実績は、2023年132.5億台湾ドル、2024年161.4億台湾ドル、2025年134.5億台湾ドルです。500億台湾ドルは2025年の約3.7倍にあたります(当ブログの計算)。2025年の営業CF182.3億台湾ドルの約2.7倍、2025年末のネットキャッシュ385億台湾ドルの約1.3倍でもあります(同)。

一方で、会社は上限を決めても使い切らない年が続いてきました。2024年は上限260億台湾ドルに対して実績約161億台湾ドル、2025年は上限196億台湾ドルの見込みに対して実績134億台湾ドルです(2024年の年次報告書、決算説明会資料)。2025年の未使用分62億台湾ドルは2026年に繰り延べたと報じられています(科技新報、2026年1月19日)。

「最大」の500億台湾ドルも、上限として読むのが自然だと思います(当ブログの見方)。どこまで実行するかは、取締役会の承認と、その後のDRAMの値動きしだいでしょう。

大家業でいえば、家賃相場が高いうちに新築や建替えを決めるようなものです。ただ、建物ができて入居が始まるころに相場がどうなっているかは、誰にも分かりません。新工場の装置搬入が2027年初めの予定である以上、大きな投資が実を結ぶのは2027年以降で、そのときの価格の水準が投資の採算を左右します(当ブログの見方)。

用語メモ:設備投資=工場の建物や製造装置への投資。WFE=ウエハー(半導体の基板)に回路をつくる製造装置。繰り延べ=予定の支出を翌年以降に回すこと。

台塑グループの3社は2025年10〜12月に3回、合計約1.86億株を売った(報道)

株の需給の面で見逃せないのが、大株主の売却です。台湾の報道(經濟日報、優分析、旺得富理財網)が伝えた売り手側の公表によると、台塑・台化・台塑化の3社は、2025年10〜12月に3回に分けて南亜科技の株を売りました。

回 期間 3社合計の株数 価格(台湾ドル) 金額(3社合計) 各社の持株比率
1回目 2025年10月2日〜28日 7,500万株 平均約98 約74億台湾ドル 売却後9.9985%
2回目 2025年10月30日〜11月11日 5,400万株 公表時の参照価格133 約78.5億台湾ドル 9.9985%→9.4176%
3回目 2025年11月12日〜12月31日 約5,692万株 平均169.46〜169.89 約96.5億台湾ドル 9.4176%→8.8053%

※報道(經濟日報2025年12月31日、優分析2025年10月29日、旺得富理財網2025年10月29日)が伝えた売り手側の公表数値で、MOPSの原文は未確認。3社とも同じ株数で、各社の売却は1回目2,500万株、2回目1,800万株、3回目1,897.2万株。

3回の合計は約1億8,592万株で、2025年9月末の発行済株式数30億9,863万株の約6.0%にあたります(当ブログの計算)。売却額は、3回の合計で250億台湾ドル近くと報じられています。

税理士として目が留まるのは、売り手の会計の説明です。3社は、南亜科技の株は持分法ではない金融資産で、売っても処分益は出ず(未処分利益に計上)、1株あたり利益にも影響しないと説明しました(報道)。会計の区分ではFVOCI(その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産)にあたります(当ブログの見方)。売り手にとっては、売っても決算の利益が膨らまない売却です。

3回目の後も、各社は約2.73億株(8.8053%)を持ち続けています(報道)。筆頭株主の南亞塑膠の29.28%とあわせ、グループの持株は大きいままです。大家業でいえば、大口の共有者が持分を少しずつ市場に出している状態で、次の売りが出るかどうかも株価の材料になりえます(当ブログの見方)。

2026年1月30日の株価で見ると、実績PER153.3倍、直近四半期×4では22.8倍

株価の指標を、2026年1月30日のTWSEの終値で並べます。良し悪しを決めるためではなく、株価が何を前提にしているかを見るための材料です。

指標 値 前提
株価(終値) 326.50台湾ドル 2026年1月30日、二次資料(Yahoo Finance)
時価総額 1兆117億台湾ドル(約4.9兆円) 2025年9月末の株数30億9,863万株で計算
実績PER 153.3倍 2025年12月期のEPS2.13台湾ドル(自行結算)
直近四半期×4のPER 22.8倍 2025年10〜12月期のEPS3.58台湾ドル×4(参考値で、予想ではない)
PBR 5.94倍 2025年12月末のBPS54.99台湾ドル(会社資料)
配当利回り 0.00% 2024年度分は無配。2025年度分は未定
FCF利回り 0.47% 2025年のFCF47.9億台湾ドル÷時価総額
2025年の株価の騰落率 +559.8% 2024年12月31日29.25台湾ドル→2025年12月31日193.00台湾ドル
2026年1月の騰落率 +69.2% 2025年12月31日→2026年1月30日

※当ブログの計算。PER(株価収益率)=株価÷1株あたり利益、PBR(株価純資産倍率)=株価÷1株あたり純資産。会社は数値の業績予想を出していないため、予想PERは計算していません。円換算は1台湾ドル=4.88円(三菱UFJ銀行の2026年1月30日の1ドル153.66円を、台湾銀行の同日の1ドルの直物の買値と売値の中間(31.465台湾ドル)で割った値)。

2つのPERの差は、利益をどの期間で測るかの違いです。実績PERは、赤字だった1〜6月を含む2025年1年間のEPS2.13台湾ドルで割った値。直近四半期×4は、黒字が大きく膨らんだ10〜12月期のEPS3.58台湾ドルを4倍した、14.32台湾ドルで割った値です。同じ株価でも、物差しが違えば6倍以上の差が出ます。

逆数の益回り(利益÷株価)にすると、実績では0.65%、直近四半期×4では4.39%です(当ブログの計算)。大家業でいえば、空室だらけの年の家賃で計算した利回りが0.65%、満室になった直近3か月の家賃を1年分に直した利回りが4.39%、という違いです。

どちらが正しいかというより、どちらの家賃が続くと見るかの問題です。株価は直近の高い利益の水準を物差しにしている、と私は読んでいます(当ブログの見方)。

株式投資の目線では、南亜科技の株価はDRAMの値段の波を映す

ここからは、決算の数字を株式投資の銘柄選びにつなげます。南亜科技は、HBMの売上が確かめられない以上、汎用DRAMの値段と出荷量で利益が決まる会社です。私はこの株を、DRAMの価格サイクルにほぼそのまま賭ける株だと見ています(当ブログの見方)。

大家業でいえば、長期の法人契約で埋まった部屋(HBM)ではなく、毎期の相場で家賃が決まる部屋ばかりの物件です。2023年の営業利益率−48.4%と、2025年10〜12月期の39.1%は、同じ物件の別の年の姿です。

株価と利益の関係から見ます。株価は2025年の1年で559.8%上がり、この連載で取り上げる上場7社の中で最も大きな上昇でした(7社の中央値は274.4%)。2026年1月も、1月19日の決算発表をはさんで69.2%上がっています。2024年末の29.25台湾ドルから見ると、約11.2倍です(当ブログの計算)。

南亜科技は12月決算なので、暦年の株価の騰落率と利益の期間はそろっています。ところが2025年の通年EPSは2.13台湾ドルにとどまり、1〜6月は赤字でした。株価は通年の利益より先に、後半の利益の急増とその先を織り込んで動いた、と読めます(当ブログの見方)。

今の株価が前提にしていることを、倍率で確かめます。実績PER153.3倍は、実績PERを計算できる4社の中央値31.9倍を大きく上回ります。一方、直近四半期×4のPER22.8倍は、計算できる6社の中央値22.7倍とほぼ同じです。10〜12月期の利益の水準が続くなら、同業並みの倍率に収まる値段だということです(当ブログの見方)。

PBR5.94倍は、7社のちょうど真ん中で、南亜科技自身が中央値にあたります。PBRをPERで割るとEPS÷BPS(1株あたり利益÷1株あたり純資産)になり、実績では3.9%、直近四半期×4では約26%です(当ブログの計算)。2025年のROEは3.9%でした。今のPBRは、ROEが20%台で続くことを前提にした値段だと読めます(当ブログの見方)。

お金の面では、2025年のFCF利回りは0.47%で7社のちょうど真ん中(中央値)、配当と自社株買いを合わせた株主還元利回りは0.00%です。ネットキャッシュは時価総額の3.81%にとどまり(2025年末、当ブログの計算)、株価のほとんどは、これから稼ぐ利益への値段です(当ブログの見方)。

用語メモ:PER=株価÷1株あたり利益。益回り=1株あたり利益÷株価で、PERの逆数。PBR÷PER=EPS÷BPS。FCF利回り=FCF÷時価総額。株主還元利回り=配当と自社株買いの合計÷時価総額。中央値=値を小さい順に並べた真ん中の値。

銘柄選びでは、契約価格の行方と大株主の売り、設備投資の重さを確かめたい

利益の振れの大きさは、7社の中でも際立ちます。年次の営業利益率は2021年の31.8%から2023年の−48.4%まで、振れ幅は80.1ポイントで、7社で最も大きい値です(中央値は37.0ポイント)。四半期では、2023年10〜12月期の−46.5%(二次資料)から、2025年10〜12月期の39.1%まで動きました。

株価が動くきっかけは、まず翌月上旬に公表される月次売上です。次の決算では、平均販売価格と出荷量についての会社の説明、2025年末の在庫、2025年度の配当の金額が材料になります。業界の側では、TrendForceなどが公表する契約価格の予測も、株価の受け止め方を左右しやすいと私は見ています(当ブログの見方)。

会社側の材料としては、最大500億台湾ドルの設備投資が取締役会でどう承認されるか。そして、台塑グループの株の売却が続くかどうかです。2025年10〜12月の3回で約1.86億株が売られており、大株主の売りは株の需給に直接響きます(当ブログの見方)。

下振れのリスクとして、記事の数字から言えるのは四つです。一つ目は、汎用DRAMの価格の反転です。2023年には粗利益率が−15.0%まで落ち、売上原価が売上を上回りました。値上がりが利益を一気に押し上げたように、値下がりも同じ速さで利益を削りうる、というのがこの会社の過去の姿です(当ブログの見方)。

二つ目は競争です。中国の長鑫科技(CXMT)は、目論見書によるとDDR5やLPDDR5/5Xを作り、2025年1〜9月の売上(営業収入)は前年同期比97.8%増でした。調査会社Counterpointの2025年7〜9月のDRAMシェア(二次資料経由)は、CXMTが5%、南亜科技が2%です。同じ規格品の市場で中国勢の供給が増えれば、価格の重しになりえます(当ブログの見方)。CXMTは、その目論見書を読む回で詳しく取り上げます。

三つ目は設備投資の重さです。最大500億台湾ドルは2025年の営業CFの約2.7倍で、新工場への装置の搬入は2027年初めの予定。投資が膨らんだところで価格が下がれば、2023〜2024年のようにFCFのマイナスが続く形になりえます。四つ目は、先に見た大株主の売りによる株の需給です。

銘柄選びで確かめる点 この会社の数字(時点) 当ブログの見方
株価と利益の向き 2025年の株価+559.8%、2026年1月+69.2%/2025年のEPS2.13台湾ドル(前年は−1.64台湾ドル) 株価は通年の黒字より、10〜12月の利益の水準を見ている
利益に対する株価の水準 実績PER153.3倍、直近四半期×4で22.8倍(2026年1月30日。中央値は4社で31.9倍、6社で22.7倍) 高い利益の水準が続くことが前提
PBRと資本の効率 PBR5.94倍(7社のちょうど真ん中=中央値)、EPS÷BPSは実績3.9%・直近四半期×4で約26% ROEが20%台で続く前提
利益の振れ 年次営業利益率31.8%(2021年)→−48.4%(2023年)、振れ幅80.1ポイント(7社で最大) 価格が下がれば赤字に戻りうる
株主に戻すお金 配当利回り0.00%(2024年度は無配、2025年度は2026年1月末時点で未定)、FCF利回り0.47%(2025年) 利回りより価格の波に賭ける株
株の需給と投資 台塑グループ3社が約1.86億株を売却(2025年10〜12月、報道)、2026年の設備投資は最大500億台湾ドル(取締役会の承認前) 大株主の売りと投資の重さも前提に入れる

投資の目的に当てはめてみます。配当で毎年の収入を得たい人にとっては、2023年度・2024年度と無配が続き、2025年度の配当も2026年1月末の時点では未定という点が、まず物差しになります。黒字の年には利益の半分前後を配当してきましたが、配当そのものが利益の波に連動する性格です(当ブログの見方)。

値動きの面では、1年で約6.6倍、その翌月にさらに69.2%という動きを見れば、振れの大きさは明らかです。DRAMの価格サイクルの上げ下げを、そのまま値動きとして受け入れられるかが、この株を選ぶかどうかの分かれ目になります(当ブログの見方)。

日本の個人投資家にとっては、買う経路も確かめておきたい点です。SBI証券の外国株式の手数料のページ(2025年2月14日現在の表示)にも、外国株式取引の説明書(対面取引、2026年1月)の対象9か国にも、台湾は入っていません。この回で調べた範囲では、2026年1月末の時点で、日本の主要ネット証券に台湾の個別株の取扱いは見当たりませんでした。

対面の証券会社では、アイザワ証券のアジア株のページが取引できる市場に台湾を挙げています。ただ、ページに日付の表示がなく、2026年1月末時点の取扱いや、南亜科技が対象かどうかは確かめられていません。実際の取扱いは、証券会社に直接確認してください。

税理士として一言添えると、台湾株の配当には台湾でも税金がかかります。日台の民間租税取決めでは上限が10%ですが、台湾の国内法の税率は21%で(二次資料)、日本の証券会社を通したときにどちらになるかは確かめられていません。外国税額控除やNISAでの扱いは、海外メモリー株を比べ、外国株の配当と税金を取り上げる回でまとめます。

南亜科技の決算は、黒字の大きさより「価格の波がどこまで続くか」で読む

南亜科技の決算は、2023年の営業利益率−48.4%から、2025年10〜12月期の粗利益率49.0%、営業利益率39.1%へと、メモリーの価格サイクルの振れ幅をそのまま映しました。会社は売上の伸びを、平均販売価格と出荷量の両方で説明しています。株価は、その高い利益の水準が続くことを前提にした位置にあります(当ブログの見方)。

次の決算で確かめたいのは、まず2026年1〜3月期の平均販売価格と出荷量です。会社が見込む値上げが、どの程度の幅で売上に表れるか。毎月の売上の公表は、その途中経過を教えてくれます。あわせて、2025年末の在庫と、監査を経た2025年12月期の確定値、2025年度の配当の金額も見ておきたいところです。

もう一つは、最大500億台湾ドルの設備投資の承認と、台塑グループの株の売却が続くかどうか。投資の大きさと株の需給は、利益の数字とは別の角度から、株価の前提を動かします。

家賃相場のいちばん高い月ほど、大家は次の下り坂のことを考えておくものです。南亜科技の決算書も、満室の3か月の手取りだけでなく、空室だらけだった2年の数字と並べて読むと、今の株価が何を前提にしているかがよく見えてきます。HBMで稼ぐSKハイニックスを取り上げる回、台湾のニッチメモリー2社を取り上げる回もあわせてどうぞ。

 

※本記事は公表資料をもとにした情報提供を目的としたもので、特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。業績や株価に関する記述は当ブログの見方や試算で、将来の業績や株価を予想・保証するものではありません。

※数値は各社の決算資料・年次報告書・米国証券取引委員会(SEC)への提出書類などの公表資料をもとに当ブログが集計・計算したもので、四捨五入の関係で合計が合わない場合があります。数値は2026年1月31日までに公表されたもので、時点は本文・表に記載しています。円換算は2026年1月30日の為替レートによる参考値です。税制は2026年1月31日時点の法令にもとづき、令和8年度税制改正大綱の内容は今後の法改正で決まります。

出典・参考

  • Nanya Technology Q4 2025 Investor Conference presentation(南亜科技、2026年1月19日。MOPS提出ファイルのミラー)https://financialfilings.com/filings/ntc-2408/investor-presentation/2026/33767083/
  • 公告本公司今日法人說明會摘要(南亜科技 MOPS重大訊息、2026年1月19日)https://financialfilings.com/filings/ntc-2408/earnings-release/2026/33767085/
  • 114年第3季 合併資產負債表(南亜科技、2025年11月4日)https://financialfilings.com/filings/ntc-2408/interim-quarterly-report/2025/33765848/
  • 114年第3季 合併綜合損益表(南亜科技、2025年11月4日)https://financialfilings.com/filings/ntc-2408/interim-quarterly-report/2025/33765856/
  • 114年第3季 合併現金流量表(南亜科技、2025年11月4日)https://financialfilings.com/filings/ntc-2408/interim-quarterly-report/2025/33765860/
  • 113年度 合併財務報告(南亜科技、監査報告書の日付2025年2月26日)https://financialfilings.com/filings/ntc-2408/annual-report/2025/33772484/
  • 113年第4季 合併資產負債表(南亜科技、2025年2月26日)https://financialfilings.com/filings/ntc-2408/annual-report/2025/33766597/
  • 113年第4季 合併現金流量表(南亜科技、2025年2月26日)https://financialfilings.com/filings/ntc-2408/annual-report/2025/33766590/
  • 113年度股利金額(董事會決議)(南亜科技、2025年2月26日)https://financialfilings.com/filings/ntc-2408/notice-of-dividend-amount/2025/33766610/
  • 111年第4季 合併綜合損益表(南亜科技、2023年2月22日)https://financialfilings.com/filings/ntc-2408/annual-report/2023/33764820/
  • 111年第4季 合併現金流量表(南亜科技、2023年2月22日)https://financialfilings.com/filings/ntc-2408/annual-report/2023/33764817/
  • 111年第4季 合併資產負債表(南亜科技、2023年2月22日)https://financialfilings.com/filings/ntc-2408/annual-report/2023/33764825/
  • Nanya Technology 2024 Annual Report(南亜科技、ミラーの掲載日2025年5月9日)https://financialfilings.com/filings/ntc-2408/annual-report/2025/33772953/
  • Monthly Revenue 2025(南亜科技、月次で公表。2025年12月分は2026年1月6日までに公表)https://www.nanya.com/en/IR/36/Monthly%20Revenue?Year=2025
  • Monthly Revenue 2024(南亜科技、月次で公表)https://www.nanya.com/en/IR/36/Monthly%20Revenue?Year=2024
  • 南亞科第四季每股獲利暴衝達58 元,全年 EPS 來到 2.13 元(科技新報、2026年1月19日)https://finance.technews.tw/2026/01/19/nanya-technologys-fourth-quarter-earnings-per-share-surged-to-nt3-58/
  • Nanya Tech posts record Q4 EPS NT$3.58, flags tight DDR5/4/3 supply and 1Q price hikes(TrendForce News、2026年1月19日)https://www.trendforce.com/news/2026/01/19/news-nanya-tech-posts-record-q4-eps-nt3-58-flags-tight-ddr543-supply-and-1q-price-hikes/
  • 記憶體成印鈔機!南亞科 10 月獲利超越第三季,營收創為 50 個月新高(科技新報、2025年12月2日)https://finance.technews.tw/2025/12/02/nanya-technologys-october-profit-surpassed-that-of-the-third-quarter/
  • 南亞科第三季轉虧為盈 EPS 0.5 元,終結連 11 季虧損(科技新報、2025年10月13日)https://finance.technews.tw/2025/10/13/nanya-technologys-third-quarter-profit-was-nt0-50/
  • 南亞科 2024 年每股虧損64 元,DRAM 市場可望上半年觸底(科技新報、2025年1月13日)https://finance.technews.tw/2025/01/13/nanya-technologys-full-year-loss-per-share-for-2024-is-rmb-1-64/
  • 台塑集團獲利吞補丸(經濟日報、2025年12月31日)https://money.udn.com/money/story/5607/9237832
  • 南亞科股價2個月大漲8倍 台塑三寶大股東逢高再賣5.4萬張(優分析、2025年10月29日)https://uanalyze.com.tw/articles/7905137048
  • 台塑化、台塑、台化公告 擬處分南亞科股票各8萬張(旺得富理財網、2025年10月29日)https://wantrich.chinatimes.com/news/20251029900830-420101
  • 南亞科股價2025年飆漲逾559%!台塑集團3公司第3波處分 套現近百億(聯合新聞網・中央社、2025年12月31日)https://udn.com/news/story/7253/9237732
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  • HiStock「南亞科(2408) 除權除息」(2021〜2023年度の1株配当を使用)https://histock.tw/stock/2408/%E9%99%A4%E6%AC%8A%E9%99%A4%E6%81%AF
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  • TrendForce: Memory Makers Prioritize Server Applications, Driving Across-the-Board Price Increases in 1Q26(TrendForce、2026年1月5日)https://www.trendforce.com/presscenter/news/20260105-12860.html
  • Memory Spot Price Update – DRAM module sellers mostly halt quotes as mainstream DDR4 soars 7.21%(TrendForce News、2025年10月15日)https://www.trendforce.com/news/2025/10/15/insights-memory-spot-price-update-dram-module-sellers-mostly-halt-quotes-as-mainstream-ddr4-soars-7-21/
  • Memory Spot Price Update – DRAM surges as sellers hold back inventory, mainstream DDR4 up nearly 10%(TrendForce News、2026年1月14日)https://www.trendforce.com/news/2026/01/14/insights-memory-spot-price-update-dram-surges-as-sellers-hold-back-inventory-mainstream-ddr4-up-nearly-10/
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  • 长鑫科技集团股份有限公司 首次公开发行股票并在科创板上市招股说明书(申报稿)(長鑫科技、上海証券取引所、2025年12月30日)https://static.sse.com.cn/stock/disclosure/announcement/c/202512/002170_20251230_B8QS.pdf
  • 外国株式 手数料(SBI証券、2025年2月14日現在の表示)https://search.sbisec.co.jp/v2/popwin/info/home/pop690_price_int.html
  • 外国株式取引に関する説明書(対面取引)(SBI証券、2026年1月)https://search.sbisec.co.jp/v2/popwin/info/home/bm/bm_260124_6_footc.pdf
  • アジア株(アイザワ証券、日付表示なし)https://www.aizawa.co.jp/products/asia/index.html
  • 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための公益財団法人交流協会と亜東関係協会との間の取決め(日台民間租税取決め)和文(2015年11月26日署名)https://www.koryu.or.jp/Portals/0/images/news/20160615/sozei-J.pdf
  • Japanese Practice News 2018年1月2(KPMG台湾、2018年1月)https://home.kpmg.com/content/dam/kpmg/tw/pdf/2018/01/Kpmg-News201802J.pdf
  • 外国為替相場 2026年1月30日(三菱UFJリサーチ&コンサルティング、2026年1月30日)https://www.murc-kawasesouba.jp/fx/past/index.php?id=260130
  • 牌告匯率 2026/01/30(臺灣銀行、2026年1月30日)https://rate.bot.com.tw/xrt/all/2026-01-30