東雲結子:「エアコンも設備部品も、円安で高くなると言われました」

税理士石井:「家賃は円で入り、修繕費の一部は海外価格の影響を受けます」

東雲結子:「それでは、円安になるほど大家さんは不利?」

税理士石井:「国内資産だけなら、そうなる場面があります」

東雲結子:「海外株を持てば反対方向に動く?」

税理士石井:「為替だけなら円安で円換算額が増えます。ただし株価自体は下がることもあります」

東雲結子:「うーん、完全な保険ではないんですね」

税理士石井:「はい。それでも、収益源を円と日本だけへ集中させない意味はあります」

 

国内の賃貸不動産は、家賃も売却代金も基本的に円です。一方、給湯器、空調、建材、燃料などは、原材料や部品を海外へ依存しており、円安や輸入物価の影響を受けます。

つまり、収入は円に集中しているのに、支出の一部は世界価格で上がる構造です。海外株や海外売上比率の高い日本企業を持つことで、外貨・世界需要から得る収益源を足す考え方があります。

500万円の設備が10%上がると、不足は50万円

輸入部品の影響を受ける設備更新を500万円で予定していたとします。円安や価格上昇で10%上がれば550万円。不足は50万円です。

同じ時期に500万円相当の海外株を持ち、株価が現地通貨で変わらず、円が10%下落した単純仮定なら、円換算額は約550万円となり、50万円増えます。為替部分だけを見れば設備費増を相殺します。

しかし実際には、海外株の価格も上下します。円安でも株価が20%下がれば、円換算で損失になる可能性があります。完全ヘッジではなく、収益通貨を分ける考え方です。

海外株でなくても、海外売上の大きい日本企業という方法がある

外国株の税務・為替管理を複雑に感じる場合、海外売上比率の高い日本企業を持つ方法もあります。円安で海外利益の円換算額が増える企業、輸出価格に競争力が出る企業が候補です。

ただし、原材料輸入が多い企業は円安が逆風になります。海外売上比率だけでなく、海外費用、為替予約、生産拠点を確認します。

「海外で売る会社」ではなく、円安時に利益がどう動く会社かを見ます。

外国配当は、税引後で考える

外国株の配当には、現地で源泉税がかかり、日本でも課税される場合があります。確定申告で外国税額控除を検討できるケースがありますが、控除限度額や所得状況によって全額控除できるとは限りません。

NISAでは日本側の税は非課税でも、外国での源泉税が残る場合があります。配当利回りを比較するときは、公表利回りではなく自分の口座へ入る手取りで見ます。

海外株をインフレ対策へ使うなら、値上がりだけでなく税金と為替手数料も含めます。

国内不動産+世界株は、人口と通貨の分散にもなる

国内不動産は、自分が理解できる地域で家賃を得る強みがあります。一方、人口、税制、金利、通貨が日本へ集中します。

海外株を組み合わせれば、米国、欧州、アジアなどの企業利益へ参加できます。日本の人口減少や円安が進んでも、別の市場から利益を得る可能性が生まれます。

私は、日本の有望エリアへの不動産投資をやめる必要はないと考えます。得意な国内不動産を持ちながら、株側で世界へ広げる。これは弱点を認めて撤退するのではなく、強みを残したまま収益源を増やす戦略です。

円安の単純例 当初 10%円安・現地価格不変
設備費 500万円 550万円
海外株の円換算額 500万円 550万円
差額 – 双方+50万円
注意点 – 株価・税・為替手数料は別途変動

 

参考資料

日本銀行 2025年10月展望レポート

国税庁 外国税額控除

金融庁 NISAを知る

※個別銘柄の推奨ではありません。株価、配当、為替、税制、物件条件、融資条件等によって結果は変わります。重要な判断は一次資料と専門家へご確認ください。