東雲結子:「物件は東京と札幌、株も日本株です。地域分散できていますよね」
税理士石井:「どちらも日本の人口、金利、税制の影響を受けます」
東雲結子:「あっ、都市は違っても国は一つでした」
税理士石井:「国内不動産を多く持つ大家さんほど、金融資産は海外の成長も取り込む意味があります」
東雲結子:「日本を悲観して海外へ逃げる、という話ですか?」
税理士石井:「いえ。日本の良いエリアへ投資しながら、収益源を世界にも持つという話です」
東雲結子:「不動産は日本、株は世界。役割を分けるんですね」
税理士石井:「そうですね。ただし為替と外国税もあるので、割合を決めて淡々と持ちます」
日本の人口は長期的に減少が続く見通しです。だからといって、日本の不動産投資をやめる必要はありません。人が集まる都市、雇用が残る生活圏、単身世帯や外国人需要が増える場所を選べば、人口減少下でも賃貸経営は続けられます。
ただし、資産の大半が国内不動産である大家さんは、日本の人口、金利、税制、災害、景気へ集中しています。そこで金融資産の一部を、海外売上の大きい企業や世界株へ振り向けると、収益源を分散できます。これは日本を見限る話ではなく、日本不動産の集中リスクを少し薄める話です。
都市を分けても、国のリスクは共通する
東京、札幌、福岡に物件を持てば、地域分散は進みます。それでも、日本の政策金利、税制、建設費、人件費、人口動態という共通要因からは逃れられません。
日本株も同時に多く持つと、家賃と株価が同じ国内景気へ連動する場合があります。特に金融、建設、不動産、住宅設備に偏れば、大家業と株式のリスクが重なります。
資産一覧は「不動産」「株」という商品別だけでなく、「日本の内需」「海外需要」「金利上昇」「人口減少」など、影響を受ける要因で分ける必要があります。
世界株を持つ目的は、成長率を当てることではない
世界株投資の目的を「日本より上がりそうだから」と置くと、相場観に左右されます。目的は、売上と利益が生まれる地域を分けることです。
例えば国内賃貸から円の家賃を受け取りながら、海外売上比率の高い企業や世界株指数を持てば、海外の人口増加、消費、設備投資からも利益を受け取る可能性があります。
日本の不動産が安定している時期に世界株が不調なこともあれば、逆もあります。完全な逆相関ではありませんが、一つの国へ資産が集中するより、長期的な耐久力を高めやすくなります。
為替は利益を増やすことも、減らすこともある
海外株や世界株ファンドは、円安で円換算額が増え、円高で減ることがあります。大家さんの支出は多くが円ですから、海外資産を増やしすぎると、使いたい時期の為替に左右されます。
そのため、修繕・納税・次の物件資金は円の現金で持ち、10年以上使わない金融資産の一部を世界株へ回す考え方が合います。
為替ヘッジの有無にもコストと特徴があります。どちらが常に有利という話ではなく、何のために持つか、どの程度の変動を受け入れるかで決めます。
外国株の配当は、手取り税額を確認する
海外株の配当は、外国で税が引かれたうえ、日本で課税される場合があります。一定の要件を満たせば外国税額控除で二重課税を調整できることがありますが、控除限度額や確定申告が関係します。
NISAで日本側の税が非課税でも、外国側の源泉税が残るケースがあります。配当利回りだけでなく、税引後の受取額、為替手数料、ファンドの信託報酬を確認します。
インカムを目的に海外資産を持つときほど、表示利回りと手取り利回りを分ける必要があります。
日本不動産と世界株を、定期的に元へ戻す
不動産は簡単に売買できないため、資産配分の調整は主に金融資産側で行います。例えば金融資産の50%を日本株、50%を世界株と決め、年1回だけ元の割合へ戻します。
世界株が大きく上がれば一部を売り、修繕資金や次の物件資金へ移す。日本株が下がれば、追加投資は物件の資金需要と相談して決める。
不動産で日本へ深く投資しているからこそ、株まで同じ方向へ寄せすぎない。大家さんにとっての国際分散は、株式投資だけの理論ではなく、家賃収入を守るための資産設計です。
| 資産・収益源 | 主に影響を受ける要因 | 分散の考え方 |
| 国内賃貸不動産 | 日本の人口・雇用・金利・税制・災害 | 需要が残るエリアと用途を選ぶ |
| 日本株 | 国内外景気、円、企業業績 | 不動産と同じ業種へ偏りすぎない |
| 世界株・海外売上企業 | 世界景気、為替、海外税制 | 長期資金で収益地域を分ける |
| 円現金 | 日本の物価・金利 | 修繕・納税・購入資金を守る |
参考資料
※個別銘柄の推奨ではありません。株価、配当、為替、税制、物件条件等によって結果は変わります。重要な判断は一次資料と専門家へご確認ください。































