東雲結子:「毎月配当が入るポートフォリオを作りたいです。家賃みたいで安心ですよね」

税理士石井:「毎月入ることと、年間で安定して増えることは別ですよ」

東雲結子:「でも、入金がない月は少し寂しいです」

税理士石井:「その寂しさを埋めるために、内容の弱い商品を買うほうが心配です」

東雲結子:「あっ、入金月を優先して銘柄を選ぶと、本末転倒になるんですね」

税理士石井:「そうですね。年間配当を確保して、受取月の偏りは現金口座でならす方法があります」

東雲結子:「配当を毎月発生させるのではなく、配当を毎月使えるようにする?」

税理士石井:「その考え方です。大家さんは家賃管理で、前受けと支払い時期を調整するのが得意なはずです」

 

毎月配当という言葉には、何とも言えない安心感があります。家賃のように定期的な入金があれば、固定資産税や生活費へ回しやすく感じるからです。

ただ、配当月を揃えることを優先しすぎると、事業内容や財務が弱い会社、コストの高い商品まで買ってしまうことがあります。配当投資で大切なのは、毎月入ることではなく、年間の受取額が無理なく続くことです。入金月の偏りは、銘柄選びより資金管理で解決できる場合があります。

日本株の配当は、受取時期が偏りやすい

日本企業には3月期決算が多く、中間・期末配当の権利確定や支払い時期が似通いやすい傾向があります。良い銘柄を選んだ結果、6月と12月に配当が集中することは珍しくありません。

入金が偏っても、年間配当が計画どおりなら問題はありません。固定資産税や修繕費の支払月に合わせ、受取配当を別口座へプールし、毎月一定額を振り替えるほうが、無理に12か月の銘柄を探すより自然です。

例えば年間配当120万円なら、受取月に専用口座へ入れ、毎月10万円ずつ使う仕組みにできます。配当の発生月と、大家さんが使う月を分けるのです。

J-REITとETFは入金時期を分散しやすいが、中身を先に見る

J-REITは銘柄ごとに決算期が異なり、年2回分配の銘柄を組み合わせると受取月を分散しやすくなります。ETFも分配金支払基準日が商品ごとに異なり、年2回や年4回のものがあります。

ただし、分配月だけを理由に選ぶべきではありません。J-REITなら用途、稼働率、LTV、借入満期、修繕計画。ETFなら指数の構成、業種偏り、信託報酬、売買代金を確認します。

東京証券取引所も、ETFの分配金支払基準日は銘柄によって異なり、分配金がゼロとなる場合もあると説明しています。カレンダー上の入金予定は、確定家賃ではありません。

毎月分配を作るより、6か月分の現金を持つ

大家さんの毎月の固定支出が10万円なら、60万円を配当専用口座へ置きます。配当が集中する月に補充し、入金がない月はその口座から使います。

この方法なら、銘柄の質を落とさずに毎月の支出を平準化できます。また、減配が起きても、すぐに株を売らず、現金バッファーで半年程度考える時間を持てます。

不動産でも、家賃入金日とローン返済日が完全に一致しなくても、運転資金があれば問題ありません。配当も同じで、入金スケジュールのズレは現金で吸収します。

外国株を混ぜるなら、為替と税金を理解する

海外企業は四半期配当が多く、入金月の分散には使いやすい面があります。一方、円換算額は為替で変わり、外国で源泉徴収されたうえ、日本で課税される場合があります。

一定の要件を満たせば外国税額控除で二重課税を調整できることがありますが、控除限度額や確定申告が関係します。NISAで日本側が非課税でも、外国側の税が残るケースもあるため、手取り額は商品と国によって確認が必要です。

毎月配当を作るために外国株へ手を広げるなら、配当月だけでなく、通貨、税務、企業分析まで負担が増えることを理解しておきます。

「毎月入る安心」より「減っても困らない設計」

配当月の分散は便利ですが、それ自体が収益を増やすわけではありません。年間120万円の配当は、年2回受け取っても年12回受け取っても120万円です。

大切なのは、減配が20%起きても固定資産税や生活費を払えるか、特定の業種へ偏っていないか、株価下落時に売らなくて済むかです。

配当を家賃のように使うなら、毎月配当を無理に作るより、良い事業から受け取った配当を、大家さん自身が毎月の収入へ作り替える。そのほうが長く続くと思います。

入金設計の例 役割
日本の増配・高配当株 配当の土台。入金月より事業と減配耐性を優先
J-REIT・ETF 受取月や用途を分散。ただし分配金は固定ではない
外国株・海外ETF 四半期配当等で分散しやすいが、為替・外国税を確認
配当専用の現金口座 受取月の偏りをならし、毎月一定額を使う

 

参考資料

日本取引所グループ ETFの売買制度・分配金

国税庁 外国税額控除とは

金融庁 NISAを知る

※個別銘柄の推奨ではありません。株価、配当、為替、税制、物件条件等によって結果は変わります。重要な判断は一次資料と専門家へご確認ください。