東雲結子:分配金利回り5%。一番高いJ-REITを買います!

税理士石井:現物アパートも、利回りが一番高い物件を買いますか?

東雲結子:うーん、買いません。築年数、空室、借入、修繕を見ます。

税理士石井:そうですね。J-REITも同じです。

東雲結子:えーっと、株のように見えるけれど、中身は不動産会社みたいなものですか?

税理士石井:不動産の詰め合わせに近いです。しかも借入金を使っています。

東雲結子:なるほど。大家さんの経験が、そのまま使えそうですね。

税理士石井:はい。利回りランキングより、保有物件と借金の満期表を読んでください。

 

J-REITは、投資家から集めた資金と借入金で不動産を保有し、賃料収入や売却益を分配する商品です。証券取引所で売買でき、少額で多くの物件へ分散できます。しかし、分配金利回りだけで選ぶと、借入金利上昇や物件競争力の低下を見落とします。

大家さんはJ-REITを読むうえで有利です。稼働率、賃料、築年数、修繕、借入比率。普段の物件検討と同じ項目が決算資料に載っています。

最初に見るのは、住宅・オフィス・物流・ホテルのどれか

住宅は比較的安定しやすく、オフィスは賃料改定と景気、物流は新規供給とテナント、ホテルは宿泊需要と単価の影響を受けます。同じ利回り5%でも、収益が動く理由は違います。

自分が理解できる用途から始めると、決算資料を読みやすくなります。大家さんなら住宅系J-REITの賃料、稼働率、更新時の増減は感覚を持ちやすいでしょう。

LTVは、大家さんでいう借入比率

LTVは総資産に対する有利子負債の割合です。高いほど少ない自己資本で大きな不動産を持てますが、金利上昇や不動産価格下落への耐性は下がります。

自己資金1割で物件を買う場合と、3割入れる場合を比べる感覚と同じです。利回りが高いJ-REITでも、LTVが高く、借換え余力が小さい場合は注意します。

平均金利より、借金の満期がいつ集中するか

固定金利でも、数年後に大量の借換えが集中すれば、その時点の金利が収益へ響きます。借入金の返済期限、固定・変動比率、平均残存年数を見ます。

満期が分散していれば、一度に高金利へ切り替わるリスクは小さくなります。大家さんが複数ローンの固定期間終了日を一覧にするのと同じです。

NAV倍率が低い理由を考える

NAV倍率は、保有不動産の純資産価値に対して投資口価格がどの程度かを見る指標です。1倍未満だから自動的に割安ではありません。物件の質、スポンサー、増資、金利、成長性への不安が価格へ反映されている場合があります。

現物不動産でも、積算価格より安い物件には理由があります。数字が安いことと、買って得なことは別です。

分配金は家賃そのものではない

J-REITの分配金は、賃料収入だけでなく、減価償却費、物件売却益、内部留保、増資の影響を受けます。一期だけ高い分配金より、1口当たり利益が継続的に増えているかを見ます。

気になる銘柄を3つに絞り、用途、LTV、固定金利比率、満期分散、稼働率、NAV倍率を同じ表へ並べると、現物物件と同じ感覚で比較できます。

大家さんの物件確認 J-REITで対応する項目
借入比率 LTV
ローン固定期間 固定・変動比率、満期分散
入居率 ポートフォリオ稼働率
修繕履歴 資本的支出・修繕計画
売却査定 NAV倍率・鑑定評価

 

参考資料

日本取引所グループ REITの概要