東雲結子:先生、株主優待で高級レストランの券をもらいました。これは節約ですね!

税理士石井:普段、その店へ行きますか?

東雲結子:えーっと……優待がなければ行きません。

税理士石井:では、節約というより新しい外食の予定が増えましたね。

東雲結子:えー、それは盲点でした(汗)。無料券なのに、お財布が軽くなることもあるんですね。

税理士石井:そうです。優待は、実際に使う額と追加支出で評価します。

東雲結子:大家業で使える家電やホームセンターなら、価値が分かりやすそうです。

税理士石井:はい。ただし配当、業績、株価も含めて、優待は最後に加える程度がちょうど良いです。

 

株主優待は楽しく、会社を身近に感じられる制度です。旅行券、食事券、買物券、商品。届くとうれしいものですが、優待を受け取るために割高な株を買ったり、使うために余計な支出が増えたりすれば、投資収益は下がります。

大家さんの場合、家電、ホームセンター、通信、宿泊、交通、事務用品など、賃貸経営の支出に近い優待もあります。ただし「額面1万円」と「自分にとって1万円の価値」は同じではありません。

優待利回りは、使い切れる金額で計算する

1万円相当の優待でも、実際に使うのが6,000円分なら価値は6,000円です。遠方の店へ行く交通費、優待利用時の追加注文、期限切れも差し引きます。公表額をそのまま利回りへ入れると、実態より魅力的に見えます。

年末に、届いた優待と実際に使った金額を記録してみてください。翌年の投資判断は、使った金額で行います。

大家業の現金支出を減らす優待は価値が高い

普段から買う家電、通信、工具、消耗品、宿泊・交通などに使える優待は、現金支出を直接減らします。自分の生活と大家業で確実に使うものほど価値は高くなります。

ただし、法人の経費を個人の優待で支払う場合は、誰の支出を誰が負担したかを帳簿上整理する必要があります。優待だから会計処理が消えるわけではありません。

優待廃止は、株価下落と同時に来ることがある

優待は会社の判断で変更・廃止されます。優待だけを理由に買った株は、廃止後に配当も業績も弱く、売りづらくなることがあります。優待のために会社の利益が圧迫されていないかも見ます。

企業の利益、配当、財務を確認したうえで、優待はおまけと考えるほうが安全です。優待がなくても持ちたい会社かを自分に聞きます。

100株だけ持つのが最も効率的なこともある

優待が100株で一律なら、1,000株持っても優待が10倍になるとは限りません。優待を目的にするなら最低単元だけ持ち、残りを別銘柄へ分散する方法があります。

一方、長期保有や保有株数で優待内容が増える会社もあります。権利条件と継続保有要件を確認します。

配当+優待+株価を、ひとつの投資として見る

配当利回り3%、実際に使える優待価値1%でも、株価が20%下がればトータルではマイナスです。優待券で財布が厚く見えても、証券口座の損失は消えません。

私は、優待を投資理由の最初に置かず、企業価値を確認した後の加点材料にします。「もらえるか」ではなく、「その会社へ資金を置く価値があるか」が本来の判断です。

優待の例 実質価値の考え方
普段使う家電・通信 現金支出を減らすため高い
使う予定のない外食券 額面より低く評価
遠方店舗のみ利用可 交通費・時間を差し引く
法人経費に使う物品 会計処理を要確認

 

参考資料

日本取引所グループ 株式投資の基礎