東雲結子:中古8%が、新築5.5%に勝っています。数字が大きいほうを買います!

税理士石井:10年間の修繕費と空室率は入れましたか?

東雲結子:うーん、利回り表には書いてありません。

税理士石井:だから自分で書き足すんです。

東雲結子:新築は安心だけど高い、中古は安いけど修繕が怖い……。

税理士石井:そうですね。どちらが正しいかではなく、どのリスクを自分が読めるかです。

東雲結子:えーっと、10年後の売却価格も入れますか?

税理士石井:はい。運営中の手残りと出口を合わせて、初めて比較が完成します。

 

新築は利回りが低く、中古は高い。表面利回りではそう見えます。しかし、空室、運営費、修繕、融資、売却価格を入れると差は縮まります。

ここでは返済前の10年収支を単純比較し、どこで差が生まれるかを見ます。

新築は稼働率と経費率を低く置きやすい

新築8,000万円、年間家賃440万円、稼働率97%、運営費20%とすると、年間NOIは約341万円です。10年で約3,414万円。修繕400万円を引くと約3,014万円です。

初期修繕を読みやすく、募集競争力も高い一方、購入価格が高く、家賃下落や固定資産税軽減終了の影響があります。

中古は購入価格が安いが、費用の振れ幅が大きい

中古5,500万円、年間家賃440万円、稼働率91%、運営費27%なら、年間NOIは約292万円。10年で約2,923万円、修繕1,200万円を引くと約1,723万円です。

修繕1,200万円を一括で置くだけでは足りません。外壁、屋上、給排水、設備、原状回復を年ごとに配置し、いつ現金が必要かを見ます。

中古の最大の武器は、2,500万円安く買えること

運営収益だけでは新築が上回る仮定ですが、中古は購入価格が2,500万円安いです。自己資金、借入額、返済、土地値まで含めれば結論は変わります。

同じ自己資金で中古を買い、余った資金を修繕予備や別投資へ回す考え方もあります。価格差を無視してNOIだけを比べてはいけません。

10年後の売却価格が、最終結果を大きく動かす

新築は築10年、中古はさらに築年が進みます。土地値、残存耐用年数、買主の融資期間、地域需要によって出口価格が変わります。

中古でも土地値が強く、修繕履歴を整え、家賃を改善できれば出口が安定することがあります。新築でも家賃下落が大きければ、期待どおりに売れません。

新築か中古かではなく、予測誤差を管理する

新築は修繕を読みやすい代わりに、価格が高く、家賃下落を読む必要があります。中古は価格が安く改善余地がある代わりに、修繕の不確実性が大きい。

自分が建物を見られる、工事を管理できるなら中古の強みを活かせます。手間を抑えたいなら新築が合うかもしれません。高い利回りより、自分が管理できるリスクを選びます。

10年比較(返済前) 新築5.5% 中古8%
価格 8,000万円 5,500万円
年間家賃 440万円 440万円
稼働率 97% 91%
運営費率 20% 27%
10年NOI-修繕 30,144,000円 17,229,200円