東雲結子:「お父さまが連帯保証人です。これで安心ですね!」

管理担当:「極度額はいくらですか?」

東雲結子:「極度……?」

管理担当:「保証人さんが最大いくらまで責任を負うかです」

東雲結子:「安心の前に、契約書が無保証状態になりかけてた!」

 

保証人を付けてもらったから安心。昔はそれで終わっていた賃貸契約も、今は確認すべき点が増えています。2020年4月施行の改正民法では、個人が賃貸借契約のような根保証をする場合、極度額、つまり責任の上限を定めなければ保証契約が無効になります。保証会社を使う場合も、保証範囲の確認は別に必要です。

個人保証人には「最大いくら」を書く

賃貸借では、将来発生する家賃、原状回復費など、契約時には総額が決まっていない債務を保証することになります。こうした個人の根保証契約では、極度額を定める必要があります。

法務省は、極度額の定めのない個人根保証契約は無効と説明しています。また、極度額は「○○円」など明瞭に定め、書面に記載する必要があります。

古い契約書を流用している大家さんは、ここを必ず確認してください。

極度額120万円なら、160万円の債務全部は保証されない

例えば、個人保証人の極度額を120万円と定めているケースで、未払家賃や原状回復などの対象債務が合計160万円になったとします。

保証人が負う責任は、原則として極度額120万円が上限です。残り40万円まで自動的に保証人へ請求できるわけではありません。

極度額は大きければよいというものでもなく、保証人が内容を理解して契約することが大前提です。

例 金額
対象債務の合計 160万円
保証人の極度額 120万円
極度額を超える部分 40万円

保証会社は「登録済み=国のお墨付きで絶対安心」ではない

国土交通省には家賃債務保証業者の登録制度があります。ただし、この制度は任意であり、未登録でも保証業を営むことは可能です。

登録業者は一定の財務・業務体制等の基準を満たしますが、登録されているから個々の保証契約で何でも補償されるわけではありません。

保証会社を選ぶときは、会社名より契約書の補償範囲を見ます。

家賃は保証されても、退去費用まで全部とは限らない

大家さんが確認したい項目は次のとおりです。

・月額家賃、共益費
・更新料
・駐車場代
・原状回復費
・残置物処理費
・訴訟・明渡し費用
・死亡時の費用
・保証上限と期間
・請求期限

「保証会社あり」の5文字だけで安心すると、いざというとき対象外の項目が見つかります。

保証は、入居審査をやめる道具ではない

保証会社があると、家賃滞納時の資金繰りは安定しやすくなります。しかし、騒音、用法違反、部屋の使い方など、保証会社では解決できない問題もあります。

本人確認、勤務先、入居目的、同居人、緊急連絡先など、通常の審査を丁寧に行ったうえで保証を重ねる。

保証は審査の代わりではなく、審査の上に置く安全装置と考えると分かりやすいでしょう。

参考資料

法務省 賃貸借契約により生ずる債務の保証に関するルール

国土交通省 家賃債務保証業者登録制度