東雲結子:高市政権になって株が強いですね。AI、防衛、原発……全部買えば勝てますか?

石井税理士:全部買う前に、全部上がった後ではないか確認しましょう。

東雲結子:政策に乗るだけではダメですか?

石井税理士:政策→予算→受注→利益。ここまでつながって初めて会社の数字になります。

東雲結子:テーマ名を買うのではなく、利益まで追いかけるんですね。

 

2025年10月21日に高市内閣が発足しました。10月4日の自民党総裁選後から株式市場では、積極財政や成長投資への期待を背景に、いわゆる「高市トレード」が意識されました。大家さんの中にも株式投資をしている方は多いと思います。そこで今回は、政策相場で「上がりそうなテーマ」だけを追いかけるのではなく、利益につなげるために何を見るべきかを整理します。

株価は政策より先に走る。ニュースを見てからでは遅いこともある

高市氏が自民党総裁に選ばれた直後の10月6日、日経平均株価は前営業日比2,000円を超える上昇となりました。10月21日の政権発足時には、日経平均は5万円が視野に入る水準まで上昇していました。

相場は「政策が実行されて業績が伸びた後」に上がるのではなく、「そうなりそうだ」という期待で先に動きます。つまり、テレビで特集され始めた時点では、期待のかなりの部分が株価に入っていることがあります。

大家さんが物件を買うときも、家賃が高いから買うのではなく、その価格で利回りが合うかを見ます。株も同じです。「良い政策」と「良い買値」は別物です。

高市政権のテーマは多い。だからこそ、3段階でふるいにかける

10月24日の所信表明では、AI・半導体、造船、量子、バイオ、航空・宇宙、サイバーセキュリティ等への投資促進に加え、次世代革新炉、フュージョンエネルギー、国土強靱化などが示されました。

しかし、「政府が力を入れる分野=その分野の上場企業が全部儲かる」ではありません。私は次の3段階で見ます。

・政策に予算や具体策が付くか
・その会社が実際に受注できる位置にいるか
・受注が売上だけでなく利益率の改善につながるか

最後が大切です。100億円受注しても、利益率が1%なら利益は1億円です。受注額の大きさだけで株価が永遠に上がるわけではありません。

確認する順番 見るもの
政策 予算、補助金、政府調達、規制変更
受注 顧客、シェア、競争相手、供給能力
利益 営業利益率、増益率、キャッシュフロー

 

「政策テーマ」と「本業の強さ」が重なる会社を探す

政策テーマ株で私が一番避けたいのは、「テーマだけは立派だけれど、本業の利益が弱い会社」です。

例えばAI関連なら、「AIという言葉が決算説明資料に何回出てくるか」ではなく、その事業が売上の何%を占め、利益率が何%で、来期にどれくらい伸びるのかを見ます。

防衛、国土強靱化、サイバーセキュリティも同じです。政府の支出が増えても、競争が激しく利益率が上がらなければ、株主の取り分は思ったほど増えません。

不動産で言えば、「駅前」という言葉だけで物件を買わず、賃料・空室・修繕費を調べるのと同じです。

上がった株を買うなら、「5年保有できるか」を自分に聞く

政策相場では、短期間で株価が20%、30%上がる銘柄もあります。そこで「乗り遅れた」と焦ると、高値づかみになりやすくなります。

一つの目安として、その会社を5年間持ってもよいと思えるかを考えてみてください。5年持ちたい理由が「明日も上がりそうだから」しかないなら、それは投資というより値動きへの賭けに近くなります。

もちろん短期売買が悪いわけではありません。ただ、その場合は損切り条件と投入額を先に決めるべきです。大家さんは修繕や納税で突然現金が必要になります。株価が下がった日に売らざるを得ない資金まで入れないことが、長く勝つための基本です。

テーマ相場で儲けるコツは「買う銘柄」より「買わない銘柄」を決めること

政策テーマが強いと、関連銘柄の範囲がどんどん広がります。そのうち「これもAI」「これも防衛」と何でもテーマ株に見えてきます。

そこで、私は買わない条件を先に作ることをお勧めします。

・赤字が続いている
・営業キャッシュフローが弱い
・テーマ事業の売上構成が小さい
・短期間で株価だけが急騰している
・なぜ利益が増えるか自分で説明できない

大家さんが不動産で「再建築不可は買わない」「表面利回り○%未満は見送る」と基準を持つのと同じです。株にも買わない基準を作ると、相場が熱いときほど冷静になれます。

参考資料

首相官邸 2025年10月24日 所信表明演説

首相官邸 2025年10月21日 基本方針

テレビ朝日 2025年10月6日 高市トレード