東雲結子:株は配当3%、アパートは利回り7%。ならアパートの勝ちですね。

石井税理士:7%は物件価格に対する家賃です。3%は株価に対する配当です。比べ方が違います。

東雲結子:数字だけ並べて、異種格闘技をさせていました。

石井税理士:同じ自己資金で、手元に何が増えるかを比べましょう。

 

株と不動産、どちらが儲かるのか。大家さんなら一度は考えるテーマです。ただ「株の配当利回り3%」と「アパートの表面利回り7%」をそのまま比べることはできません。不動産は借入れを使い、経費と返済があります。株は借入れなしなら値動きと配当が中心です。同じ自己資金1,750万円で、違いを見てみましょう。

株1,750万円、配当3%なら年間52万5,000円

株式へ1,750万円を投資し、配当利回り3%なら税引前配当は52万5,000円です。

課税口座なら配当には通常税金がかかります。NISAなら非課税の条件があります。

株価が上がれば資産額は増え、下がれば減ります。配当だけでは株式投資のリターン全部を表していません。

同じ1,750万円をアパートへ入れると、現金は約79万円

前の記事と同じ仮定を使います。

7,000万円のアパートに自己資金1,400万円、諸費用350万円、合計1,750万円を入れます。

空室5%、運営費20%、借入5,600万円・金利2%・30年、修繕用40万円を確保すると、税引前の残額は約79万1,000円です。

現金だけなら、株の配当52万5,000円より多く見えます。

同じ自己資金1,750万円 年間キャッシュの仮定
株:配当利回り3% 52.5万円(税引前)
アパート:表面7%・8割融資 約79.1万円(税引前・修繕確保後)

 

アパートには「元金返済」という見えない資産増加がある

5,600万円を金利2%・30年で返済する場合、初年度の年間返済約248万円のうち、概算で約138万円は元金返済です。

この138万円は手元に残りませんが、借金が減ることで大家さんの純資産は増えます。

つまり、アパートは現金約79万円に加えて、借入元金が約138万円減る効果があります。物件価格が変わらない前提なら、合計約217万円分、自己資本が増えるイメージです。

ただし、物件価格下落、税金、追加修繕を考慮していないため、そのまま利益と呼べる数字ではありません。

株には「すぐ売れる」という強烈なメリットがある

不動産は高い収益を期待できても、明日現金化するのは難しいです。仲介、買主、融資、契約、決済が必要です。

株式なら市場が開いていれば売却できます。1,750万円の一部だけ売ることもできます。

この流動性は大きな価値です。

修繕で300万円必要になったとき、アパートの玄関だけ300万円分売ることはできません。株なら一部売却できます。

結論は「どちらが上」ではなく、両方持つと強い

不動産は借入れを使い、家賃と元金返済で資産形成を加速できます。株は高い流動性と企業成長への参加という強みがあります。

大家さんは既に資産の大部分が不動産へ偏っている場合があります。だから次の500万円、1,000万円は株へ回すことで、資産全体のバランスがよくなることがあります。

反対に株ばかりで安定収入が少ない人なら、家賃収入のある物件が意味を持ちます。

儲けるために必要なのは、勝者を一つ選ぶことではなく、違う性質の資産を働かせることです。

参考資料

国税庁 配当金を受け取ったとき

金融庁 NISAを知る