東雲結子:「ペット可にしたら家賃3,000円アップ! 犬も猫も売上に貢献ですね」

管理担当:「犬は振り込みません。入居者さんが払います」

東雲結子:「では猫は?」

管理担当:「猫は壁紙で存在感を出すことがあります」

東雲結子:「収入と修繕、両方に登場するんですね……」

空室対策として「ペット可」は強い武器になることがあります。ただし、家賃を少し上げられる一方で、臭い・傷・退去後の清掃など、通常の賃貸とは違うコストもあります。ペット可にするなら、家賃アップだけでなく、契約と修繕までセットで考えましょう。

家賃3,000円アップだけなら、2年間で7万2,000円

家賃6万円の部屋を、ペット可にして6万3,000円で貸せたとします。2年間住んでもらえば、追加家賃は7万2,000円です。

さらに、募集対象が広がり空室が1か月短くなったと仮定すれば、家賃ベースでは6万円分の効果があります。一方、床の保護や消臭対策など、事前の追加工事に5万円かかったとします。

この条件だけなら、2年間の改善額は8万2,000円です。ただし、ここには退去時の追加修繕を入れていません。ペット可の採算は、退去時まで見て初めて完成します。

仮定 金額
追加家賃 3,000円×24か月 +7万2,000円
空室1か月短縮 +6万円
事前対策費 ▲5万円
退去前までの差額 +8万2,000円

追加敷金1か月は、売上ではありません

ペット可物件で、通常より敷金を1か月多く預かるケースがあります。

ここで注意したいのが、敷金は「もらったお金」ではなく、原則として返還義務を伴う預り金だということです。通帳残高は増えますが、利益が増えたわけではありません。

退去時にペットによる損傷があり、契約と法的な負担関係に基づいて敷金から精算する場合にはじめて、その一部が修繕費等に充てられます。最初から利益として設備投資へ使ってしまうと、退去精算で困ることがあります。

「ペットの傷は全部借主負担」と1行書けば勝ち、ではない

国土交通省の原状回復ガイドラインでは、ペットによる柱・クロス等の傷や臭いは、通常使用による損耗とはいえず借主負担と判断される場合が多いとされています。

ただし、特約なら何でも有効というわけではありません。借主が内容を理解し、通常の原状回復義務を超える負担を負うことを認識し、合意していることが重要です。また、経過年数を無視して新品交換費用を丸ごと請求できるとは限りません。

「ペット可だから全部借主負担」ではなく、何を、どの条件で、どこまで負担するかを具体的に決めておく必要があります。

契約書に書きたいのは「犬猫OK」より、この5つ

最低限、次の内容は管理会社と詰めておきたいところです。

・飼育できる種類、頭数、大きさ
・共用部での移動方法
・臭い、鳴き声、糞尿などの迷惑行為
・設備や内装を損傷した場合の負担
・退去時の清掃・消臭・原状回復の確認方法

「小型犬1匹まで」と書いてあれば、管理もしやすくなります。「常識の範囲で」と書くと、大家さんと入居者さんの常識が初対面になる可能性があります。

ペット可は、空室対策ではなく「別商品」を作る感覚で

ペット可にするなら、今までの部屋にチェックマークを一つ足すだけではなく、別の商品を作るくらいの意識が必要です。

家賃、敷金、設備、契約条件、退去精算まで一つのパッケージにして、初めて利益が残ります。

入居が決まりやすくなり、長期入居につながるなら強い武器になります。逆に、管理ルールが曖昧なまま始めると、退去時にその利益をまとめて吐き出すこともあります。

参考資料

国土交通省 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン Q&A

国土交通省 ペットによるキズの考え方