新築アパートの収支表、固定資産税の欄を毎年同じ金額でコピーしていませんか。

コピーは便利です。ただ、税金の「期間限定価格」まで永久保存してしまうと、数年後に通帳がびっくりします。

新築住宅には、一定期間、建物の固定資産税が軽くなる制度があります。大家さんが確認したいのは、今年いくら安いかに加えて、いつ減額が終わり、その後いくら払うか。ここまで入れて、ようやく長く使える収支表になります。

新築住宅の減額には終了年度があります

2025年10月時点の制度では、一定の新築住宅について、居住部分のうち1戸当たり120㎡相当分までの固定資産税が2分の1に減額されます。一般の住宅は、新たに課税される年度から3年度分。3階建て以上の耐火・準耐火建築物は5年度分です。認定長期優良住宅には、一定の要件の下でそれぞれ5年度分、7年度分の制度があります。

賃貸アパートなら何でも対象、というわけではありません。共同住宅など一戸建て以外の貸家では、原則として1戸の床面積が40㎡以上280㎡以下などの要件があります。共用部分を按分して加える判定なので、募集広告の専有面積だけで判断しないでください。

ここで、減額の対象は建物の固定資産税です。この制度で土地の税金や建物の都市計画税まで半分になるわけではありません。自治体独自の軽減がある場合も、別の制度として確認します。

税金が2倍になるとは限りません

「半額が終わるなら、納税通知書の合計が2倍?」

そう考えたくなりますが、合計額には減額対象以外の税金も含まれます。仮に、建物の固定資産税が全額この減額の対象となるアパートで比べてみましょう。

年間の税金 減額期間中 減額終了後
建物の固定資産税 21万円 42万円
建物の都市計画税 9万円 9万円
土地の固定資産税・都市計画税 12万円 12万円
合計 42万円 63万円

図1 新築減額の終了前後の年間納税額を比べた仮の例

金額は説明用の仮定です。評価替え、土地の税額の変化、自治体独自の軽減などは考慮していません。

この例の増加額は年21万円。合計では1.5倍で、月平均にすると1万7,500円の負担増です。所得税等への影響を考慮しない資金収支で、毎月10万円が残ると見込んでいたなら、約8万2,500円になります。家賃も入居率も変わっていないのに、です。

反対に、評価額の見直しなどで実際の増加額がこの計算より小さくなる場合もあります。機械的に「今の税額を2倍」にするより、明細の減額対象部分から確認したほうが、予測の精度は上がります。

見るのは築年数より課税のスタート

たとえば、一般の3年度分の減額が適用される住宅を2025年6月に新築し、2026年度から課税されるケースなら、減額期間は2026〜2028年度。2029年度からは、この減額がなくなります。

「築3年だから今年で終了」と覚えると、新築した年と最初に課税される年度を取り違えがちです。収支表には「新築年月」「最初の課税年度」「減額の最終年度」を並べて書いておくと、後から見ても迷いません。

すでに所有しているなら、納税通知書の課税明細や減額のお知らせを確認します。購入予定なら、売主が納めている税額に新築減額が入っているかを聞いてください。築浅物件の前年税額を、そのまま買った後の毎年の経費にすると、買って早々に予定が変わることがあります。

10月に直しておくと来年の判断が変わります

秋のうちに、少なくとも今後5年分の税金を年ごとに置いてみましょう。減額終了年の支出が見えれば、修繕時期や繰上返済に回す金額も決めやすくなります。

先ほどの例なら、減額終了後の21万円を、終了前から資金計画に織り込んでおく方法があります。減額期間中に浮いたお金を全部使わず、納税資金や修繕資金として残しておくわけです。別口座に移しても、それだけで新しい必要経費になるわけではありません。

賃貸用の固定資産税等は不動産所得の必要経費になりますが、経費になれば支払額が丸ごと戻る、という意味でもありません。所得税等への影響はその人の所得などで変わるため、納税資金はまず支払額で確保します。

買う前に見るべき数字も、保有中に残したいお金も、減額の終わりを入れると変わります。収支表の税金欄を一度開いてみてください。「今年と同じ」が並んでいたら、そこが見直しどころです。

参考資料

[1] つくば市「新築住宅に対する固定資産税の減額」(2025年4月23日更新)。床面積要件、減額対象、3年度・5年度の期間、都市計画税との区別。

[2] 鎌倉市「新築住宅に対する減額措置について」(2025年5月7日更新)。通常の新築減額と認定長期優良住宅の減額期間。

[3] 国税庁「令和6年分 収支内訳書(不動産所得用)の書き方」2ページ(2024年10月1日現在の法令等)。賃貸用資産の租税公課と必要経費。