アパートの駐車場が3台分、ずっと空いている。
収入はないのに、掃除の出番だけはある。
「そろそろ、この場所にも働いてもらいたいな」
そんな大家さんには、入居者以外への月極駐車場の貸出しも検討の余地があります。ただし、募集の看板を立てる前に確認したいことがあります。外貸しによる入金から、増える費用と税金を引き、住宅の入居募集に不便が出ないかまで見ておきましょう。
今回は、すでに区画や舗装がある駐車場を、追加の大きな工事をせずに外貸しするケースで考えます。
年28万8,000円の計算に、空き期間も乗せてみる
月8,000円で3台分を貸せば、年間28万8,000円。なかなか魅力的ですよね。ただ、この金額は3台とも12か月ずっと借りてもらえた場合です。募集開始と同時に満車になるとは限りません。
仮に、各区画の契約期間が年間10か月だったとします。募集費用なども置いて、初年度に増える現金を計算してみましょう。以下は相場ではなく説明用の仮定で、金額は実際の入出金額として設定しています。
| 項目 | 計算・前提 | 年間の金額 |
| 駐車場の入金 | 8,000円×3台×10か月 | 24万円 |
| 管理料 | 入金の5%と仮定 | ▲1万2,000円 |
| 追加の清掃・軽微な補修 | 年間の仮定額 | ▲1万8,000円 |
| 初年度の募集費用 | 3台分の仮定額 | ▲2万4,000円 |
| 差引額 | 共通費・税金を引く前 | 18万6,000円 |

図4 駐車場の満車想定から空き期間と追加費用を引く仮の初年度収支
土地全体の固定資産税などの共通費、所得税等、消費税の納付、借入返済はこの表に含めていません。保険料や照明代が増えるなら、その分も差し引きます。表の18万6,000円を、確定した利益や最終的な手残りとは考えないでください。
外貸しによって、土地の固定資産税等を軽くする「住宅用地の特例」の適用範囲が変わる場合もあります。現在の使われ方と外貸し後の配置を自治体に示し、税額への影響も確認してください。
外貸しのために舗装工事などが必要なら、その初期費用を何年で回収できるかも追加します。毎月の小さな入金を楽しみにしていたら、最初の工事代が大きすぎた。そんな展開は、見積書の段階で止めておきたいところです。
駐車場の消費税は「入居者かどうか」だけでは決まらない
区画や舗装などを設けて駐車場として貸す場合、その使用料は原則として消費税の課税取引です。近所の方に貸すケースだけでなく、アパートの入居者から家賃とは別に駐車場代を受け取るケースも、基本的にこの扱いになります。
一方、駐車場付き住宅として住宅家賃に含めて貸す場合は、住宅の貸付けに含まれる扱いがあります。集合住宅では、入居者に1戸当たり1台分以上を確保し、車の有無にかかわらず割り当てる等の条件を満たし、駐車場使用料を別に受け取らないことがポイントです。「契約書の家賃欄にまとめたから大丈夫」とは判断できません。
なお、課税取引に当たることと、大家さんに消費税の申告・納付義務があることは分けて確認します。免税事業者か課税事業者か、適格請求書発行事業者として登録しているかなどによって扱いが変わります。納付額も、他の取引や、仕入れ等にかかった消費税の控除などを含めて計算します。
外貸しを始めるときは、住宅家賃と駐車場収入を帳簿でも分けておくと、後から確認しやすくなります。
「車がない区画」と「自由に貸せる区画」は同じですか
もう一つ、契約書を開いて確認してほしいことがあります。
今は車が止まっていなくても、その区画を使う権利がすでに入居者へ割り当てられていないでしょうか。駐車場付きで貸しているなら、入居者が現在車を持っていないことだけで、大家さんが自由に外貸しできるとは限りません。まず既存の賃貸借契約や駐車場の利用条件を確かめます。
また、空き区画をすべて外部の方に貸すと、次の入居希望者から「部屋はいいけれど、駐車場がないのは困る」と言われる可能性もあります。どのくらい駐車場付きの問い合わせがあるか、管理会社に実績を聞いてみましょう。
駐車場で月8,000円増えても、それが原因で家賃6万円の部屋が決まりにくくなったら、物件全体の収支を見直す必要があります。もちろん、必ずそうなるという話ではありません。地域の需要に合わせて、入居者用に残す区画を決めるということです。
管理会社への質問を、もう一歩具体的に
相談するときは「外貸しできますか」に加えて、募集賃料、成約までの見込み期間、募集・管理の費用を出してもらいましょう。その数字を先ほどの表に入れると、期待できる差引額が見えてきます。
併せて、外部利用者の出入りで建物の動線に支障が出ないか、事故や無断駐車の連絡を誰が受けるか、保険の補償に変更が必要かも確認します。将来、入居者用へ戻す可能性があるなら、期間や更新、解約の条件を管理会社などと検討してから契約します。「必要になったらすぐ返してもらえる」は、決めておかなければ希望のままです。
空いている場所から収入を生むのは、うれしい改善です。まずは駐車場の契約書と直近1年の利用状況を並べて、何台分をどんな条件で貸せるのか。そこから計算を始めてみてください。
参考資料
[1] 国税庁「消費税法基本通達 第6章 第1節」6-1-4、6-1-5(土地の貸付期間、駐車場など施設の利用と土地の貸付け)。
[2] 国税庁「消費税法基本通達 第6章 第13節」6-13-1、6-13-3(住宅の附属設備、駐車場付き住宅)。2025年10月時点の取扱い。
[3] 国税庁「消費税のあらまし 令和7年6月」12・19ページほか。施設の利用に伴う土地の使用、納税義務と免税事業者。
[4] 大阪市行政不服審査会「平成30年度答申第11号」第6(2018年の答申、2023年2月17日掲載)。駐車場の使用実態と住宅用地特例の対象範囲。個別の土地の適用は所在地の自治体に確認。































