「保証会社が付いているので、この部屋は安心です」
そう聞くと、家賃の確認から少し解放された気がしますよね。ただ、保証契約には対象や限度額、請求手続があります。契約書をファイルに入れただけで、あらゆる入金漏れを自動で防いでくれるとは限りません。
今日は保証料の安さよりも、せっかくの保証をきちんと使う話です。家賃を上げる工夫と同じくらい、「受け取れるはずのお金を取りこぼさない工夫」も手残りにつながります。
家賃保証は、まず契約の中身を確認しましょう
ここで扱うのは、入居者の家賃債務などを保証する家賃債務保証です。不動産会社が物件を借り上げて転貸するサブリースとは、仕組みが異なります。
保証が付いているからといって、空室中の家賃や、あらゆる修繕費まで払われるわけではありません。家賃、共益費、更新料、退去時の原状回復費、明渡しに関する費用など、何がどこまで保証されるかは商品・契約ごとに確認します。
たとえば「原状回復費も対象」と書かれていても、大家さんが払った工事代の全額が対象になるとは限りません。入居者が負担すべき費用なのか、保証の上限はいくらか、必要書類は何かまで読みます。
契約書は少し眠くなるかもしれません。でも、眠くなるページほど、財布に関係することが書かれていたりします。
滞納を知った日と、保証会社に届いた日は別です
滞納が発生したら、所定の方法で請求・報告するタイプの保証があります。保証会社の公開資料でも、賃料の支払約定日からの請求期限が示されています。
ここで気を付けたいのが、管理会社や大家さんが把握しているだけでは、保証会社への手続が完了していないことです。電話で相談した、メールを下書きした、担当者に頼んだ。どれも、その契約で求められる正式な請求が済んだかどうかとは別に確認します。
期限を過ぎた場合の扱いも、保証約款で確認が必要です。「多少遅れても大丈夫だろう」で運用せず、契約上の期限より前に、手続完了まで確認できる日程を組みましょう。
一方、集金代行などと組み合わせ、口座振替ができなければ自動的に立替払いが行われる商品もあります。毎月の報告が必要かどうかを含めて、使っている商品の手順に合わせます。
1部屋ずつ、保証の点検表を作ってみませんか
確認する項目は、複雑なものではありません。管理会社に一覧を依頼する場合も、次の内容があると見落としを探しやすくなります。
| 確認する項目 | 書き留めたい内容 |
| 契約の特定 | 部屋番号、入居者名、保証会社、商品名、保証番号 |
| 保証の対象と上限 | 家賃・共益費・更新料・原状回復費などの範囲と限度額 |
| 請求の手順 | 誰が、いつまでに、どの方法で、何を提出するか |
| 手続の確認 | 受付結果、支払予定日、未対応の事項 |
| 契約の継続・変更 | 保証期間、更新、賃料や所有者・管理会社変更時の手続 |
国土交通省の家賃債務保証業者登録規程でも、登録業者が保証委託契約の前に説明する事項として、保証期間・範囲・限度額などが挙げられています。制度への登録状況も選ぶ際の判断材料ですが、個別の保証内容は契約書で確認します。
数字でも考えてみましょう。仮に月7万円の家賃について、保証の請求が認められず、入居者からも3か月分を回収できなければ、未回収額は21万円です。同じ部屋の家賃を月1,000円上げて得られる年間増収は1万2,000円。21万円は、その17.5年分に当たります。
これは特定の会社の免責事例ではなく、金額感をつかむための仮定です。保証があっても、範囲外の費用や回収までの時間差に備える資金は残しておきたいところです。
物件や管理会社が変わるときは、保証も引き継ぐ
中古物件を買う場合には、入居者一覧の「保証会社あり」という記載だけで済ませないようにします。実際の契約書、契約の有効性、既に発生している未払い、請求済みかどうかを確認し、所有者変更後に必要な手続を保証会社へ問い合わせましょう。
管理会社を変える場合も、旧管理会社がどの月まで確認・請求し、新管理会社がどこから担当するかを明確にします。「前の担当者がやると思っていました」が重なると、誰も手続きをしない期間が生まれます。
まずは一部屋、保証契約書を開いてみてください。次に家賃が遅れたとき、誰が何をするか。その答えが決まっているだけでも、保証を使う準備はぐっと進みます。
参考資料
[1] 全保連「家賃保証サービス」紹介資料(エイブルオーナーズフェスタ2022公開資料、4・8ページ)。保証範囲、代位弁済請求、口座振替サービス。具体的な期限・範囲は各契約で要確認。
[2] 国土交通省「賃貸住宅管理業法ポータルサイト 適正化のための措置」。サブリースの仕組み。
[3] 国土交通省「家賃債務保証業者登録制度」および家賃債務保証業者登録規程第17条。登録制度は2017年10月25日施行、2025年10月時点の制度を対象。































