東雲結子:毎月30万円残るので、全部株に積み立てます!

石井税理士:来月、給湯器が3台壊れたら?

東雲結子:株を売ります。

石井税理士:その日に株が30%下がっていたら?

東雲結子:……給湯器に株価チャートを見せて、来月まで待ってもらいます。

 

不動産から毎月キャッシュフローが出るようになると、次の悩みが出てきます。「このお金を次の物件の頭金に貯めるか、株へ回すか」。株高の今は特に迷いやすいでしょう。結論からいうと、一つの財布で考えるから迷います。お金の役割を3つに分けると、投資しながら不動産経営の安全性も保ちやすくなります。

修繕資金を株に入れると、安い日に売らされる

株式投資で最も避けたいのは、下がったから売るのではなく「現金が必要だから売る」ことです。

外壁工事、給湯器、固定資産税、空室、原状回復。大家さんには相場とは無関係に現金需要が発生します。

株式市場が20%下がっている日に300万円の修繕が来れば、本当は持ち続けたい株を安値で売ることになります。これは投資判断ではなく資金繰りです。

だから、株を買う前に「株へ入れてはいけないお金」を決めます。

毎月30万円なら、まず3つに分けてみる

例えば、毎月の税引前キャッシュフローが30万円あるとします。説明のため、次のように3等分してみましょう。

・修繕・納税用 10万円
・次の物件用 10万円
・株式投資用 10万円

5年間続けると、修繕・納税用600万円、次の物件用600万円が積み上がります。株式投資は元本600万円です。

仮に株式部分だけが年5%で運用できたとすると、毎月10万円の積立は5年後に約680万円になります。約80万円が運用による増加です。ただし、年5%は説明用の仮定であり、実際には値下がりする年もあります。

毎月の配分 5年間の入金額
修繕・納税用 600万円
次の物件用 600万円
株式投資用 600万円
株式投資が年5%で推移した仮定 約680万円

株式部分だけ「長く待てるお金」にする

株式投資の強みは、長期で企業の成長に乗れることです。一方、1年後の値段は誰にも分かりません。

だから「来年の固定資産税」「2年後の外壁工事」「半年後に買いたい物件の頭金」は、株式市場へ置かないほうが扱いやすいのです。

逆に10年以上使う予定がないお金なら、一時的な株価下落を待てる可能性が高まります。

大家さんは不動産だけでも十分にレバレッジを使っています。金融資産まで短期資金でリスクを取りすぎる必要はありません。

NISAは「株を買う理由」ではなく、買うなら使いたい器

2024年からのNISAは、つみたて投資枠と成長投資枠を合わせて年間360万円、非課税保有限度額は1,800万円です。運用益や配当・分配金が非課税になるため、長期投資には有力な制度です。

ただし、「NISA枠が余っているから株を買う」は順番が逆です。まず余剰資金かどうかを確認し、そのうえで株を買うならNISAを検討する、という順番です。

節税制度が投資判断を乗っ取らないようにしましょう。

大家さんの強みは、株の暴落時にも家賃が入ること

株だけを持つ投資家と比べて、大家さんには毎月の家賃収入があります。これは大きな強みです。

株価が下落したときも、物件からキャッシュフローが出ていれば、無理に株を売らずに済みます。むしろ余剰資金で買い増せることもあります。

不動産の安定収入と株式の成長性を組み合わせる。そのためには、修繕資金まで株へ入れないことが大前提です。

「いくら儲かるか」の前に、「安値で売らなくて済む仕組み」を作る。結果として、そのほうが利益につながりやすいと思います。

参考資料

金融庁 NISAを知る

金融庁 NISAの抜本的拡充・恒久化