賃貸物件の敷地を整え、物置を設置し、駐車場も舗装する。工事が終わって届いた請求書には、「外構工事一式600万円」。

すっきりした一行ですが、税務の情報まで、すっきり省かれているかもしれません。中には、建物、構築物、土地の取得価額になる費用が混ざっていることがあります。

資産管理会社の決算で困らないように、工事の中身を少し分解してみましょう。

小さな物置にも、建物の顔があります

「プレハブだから備品」「屋外にあるから構築物」。こう決めたくなるところですが、商品の呼び名だけでは区分できません。

建物かどうかの判断では、土地への定着性、屋根や周壁などの構造、雨風を防ぎ物を保管する機能などを確認します。過去の裁決でも、工場設備の一部と主張された資産について、構造や使い方から建物と判断されています。

たとえば、コンクリート基礎に固定し、壁と屋根で囲って長期間使う収納庫なら、建物としての検討が必要です。一方、実際に移動して使う容器などは事情が違います。「ボルトを外せるから移動可能」と、一つの特徴だけで結論を出さないようにしましょう。

建築確認書や図面、設置状況の写真も判断材料になります。物置の中に置く機器まで、必ず同じ資産になるわけではありません。

600万円を、工事の目的ごとに開いてみる

次は、会社が自分の土地に新たな設備を設けた場合の仮例です。金額は税務上の取得価額に入る額として仮定し、消費税等の影響は省きます。実際の金額は、見積内訳や工事内容に基づいて区分します。

工事の中身 仮の金額 検討する資産区分
基礎に固定した、壁・屋根のある収納庫 180万円 構造や用途を確認して建物を検討
新設駐車場のアスファルト舗装 240万円 舗装路面として構築物を検討
敷地全体の通常の造成・地ならし 180万円 原則として土地の取得価額を検討
合計 600万円 工事全体を一つの区分に決めない

道路以外の地面の舗装も、耐用年数の取扱いでは構築物の舗装路面に含まれます。

ただし、見積書を細かく分ければ、好きな資産区分にできるわけではありません。完成した資産の実態と、費用の対応関係を確かめるために内訳を使います。共通の仮設費なども、合理的に配分する必要があります。

区分の違いは、経費になる時期に表れます

アスファルト敷の舗装路面の法定耐用年数は10年です。

上の240万円について、新設した資産を1年間事業に使い、定額法・償却率0.100で計算する仮例なら、年間の減価償却額は24万円となります。期中に使い始めれば月数で調整し、法人では損金経理などの要件も確認します。これは税額が24万円減るという意味ではありません。

一方、土地に含まれる造成費は、建物や構築物のようには減価償却できません。「外構だから全部土地」と処理すると、本来別に把握する資産が埋もれる可能性があります。

ただ、建物を建てるための工事なら、すべて建物に入るわけでもありません。通常の土地造成・改良費は原則として土地。専ら建物等の建設のために行い、土地の改良のためではない地盤強化などは、建物等の取得価額に入る取扱いです。

名前が同じ「地盤工事」でも、工事目的が違えば検討結果も変わります。施工会社には、何を支えるための工事だったのかまで確認したいところです。

発注前に頼むと、内訳は集めやすい

今日できることは、見積りを頼む際に「本体、基礎、舗装、造成を分けてください」と伝えることです。図面、仕様、材質、寸法、完成写真、使い始めた日もまとめて保管しましょう。

決算が近づいてから「去年の600万円の内訳を」とお願いするより、工事中のほうが話が早く進みます。建物と構築物の区分、耐用年数、共通費の配分を税理士と確認すれば、将来の更新時にも資産を追いやすくなります。

なお、固定資産税の家屋評価や償却資産申告は別途の確認が必要です。法人税の勘定科目を決めただけで、そちらの手続が終わるわけではありません。

請求書の「一式」は、支払いの確認には便利です。経営の数字まで一式にしてしまう前に、中身が分かる資料を一枚追加しておきましょう。

参考資料

[1] 国税不服審判所・平成7年10月30日裁決(工場用建物と機械装置の区分)。個別の設備についての判断を、構造・機能を確認する参考としています。

[2] 国税庁「耐用年数の適用等に関する取扱通達」2-3-10、2-3-11。

[3] 国税庁「令和6年分 収支内訳書(不動産所得用)の書き方」7〜8頁(共通の耐用年数表・定額法償却率表)。令和6年10月1日現在。

[4] 国税庁・法人税基本通達7-3-4「土地についてした防壁、石垣積み等の費用」。