「もう貸さない建物だし、年内に壊してすっきりさせようかな」
解体の予定がある大家さん。工事日を決める前に、カレンダーの1月1日に丸を付けてみてください。お正月は、固定資産税にとっても大事な日です。
ただし、「年を越すまで残せば得」と決めつけるのも早いですよ。土地だけを見ると、家屋の税金と保有費用が、こっそり計算から逃げてしまいます。
土地の税金が軽くなっている理由
住宅の敷地には、固定資産税の課税標準を軽減する「住宅用地の特例」があります。小規模住宅用地は、住宅1戸当たり200平方メートルまでの部分が原則として評価額の6分の1。一般住宅用地には3分の1の特例があります。対象面積などには要件があります。
住宅を取り壊して更地にすると、この特例の対象から外れるのが原則です。ただし、税額は負担調整措置なども含めて計算されるので、「今の納税額が、そのまま6倍」とは限りません。
また、判定に使うのは原則として1月1日の状況です。2025年中に解体を終える場合と、2026年1月1日に住宅が残っている場合では、2026年度の課税関係が変わり得ます。
家屋の税金も、忘れずに同じ表へ
1月1日に家屋が存在すれば、その後に取り壊しても、その年度の家屋の固定資産税は原則としてかかります。
そこで、土地と家屋をセットにし、解体を遅らせる追加費用まで並べてみましょう。
次は比較方法を示す架空の例です。税額は評価額から計算した実額ではなく、実際には自治体に確認した見込額へ置き換えます。建替えの特例は使わず、年明けまで残す場合は1月1日に住宅用地の要件を満たす想定です。
| 比べる支出 | 2025年内に解体完了 | 2026年1月1日後に解体 |
| 2026年度の土地の固定資産税 | 18万円 | 4.5万円 |
| 2026年度の家屋の固定資産税 | 0円 | 7万円 |
| 解体を遅らせることで増える管理・安全対策費 | 0円 | 9万円 |
| この表の支出合計 | 18万円 | 20.5万円 |
この仮定では、年明けまで残すほうが2.5万円多くかかります。土地の税金だけなら13.5万円軽くても、それで判断は終わりません。
都市計画税、解体工事費の差、売却時期や所得税等への影響は表に含めていません。該当する費用や収入の差を追加して、自分の物件の表に直してください。
建替えなら、話が変わる場合があります
住宅を建て替える土地は、前年の利用状況、工事の着手・完成時期、敷地や所有者などの要件を満たせば、特例が続く場合があります。具体的な要件の確認や手続きは、所在地の自治体に相談しましょう。
「新しいアパートを建てる予定です」と伝えるだけで、自動的に適用されるとは考えないでください。
また、空き家を残しておけば必ず特例を使えるわけでもありません。特定空家等や管理不全空家等として勧告を受けると、住宅用地の特例から外れる場合があります。
まず自治体に、土地と家屋それぞれの税額、建替え時の扱い、必要な届出を確認する。そのうえで工事業者と日程を詰めましょう。倒壊などのおそれがある場合は、安全確保を優先した工程で比較します。
解体の見積書には、翌年度の税金までは書いてありません。そこを自分の表に一行足せる大家さんは、支出の見落としを一つ減らせます。
参考資料
[1] 北九州市「固定資産税(土地)に対する特例措置」(2024年12月23日更新)
[2] 朝霞市「土地に関するQ&A」(2025年5月7日更新)
[3] 浅口市「年の途中で家屋を取り壊したり建て替えると、固定資産税はどうなりますか?」(2024年3月19日更新)
[4] 国土交通省等「住まいのエンディングノート」10頁(2024年公表)































