「毎月の返済が、約8万円下がります」。そんな見積もりが届いたら、思わず拍手したくなる金額です。修繕費の積み立てにも、余裕ができそうですね。
ただ、その拍手の前に、見積書の「返済期間」を見てください。月額が軽くなった理由には、金利の低下だけでなく、返し終わる日が遠くなったこともあり得ます。
毎月はいくらラクになり、完済までにはいくら払うのか。今回は、同じ5,000万円を借り換える二つの案で比べてみましょう。
金利は下がった。返す年数はどうなった?
次の条件で比べます。
借入残高は5,000万円。今のままなら固定年2.0%で残り20年、借り換え案Aは固定年1.5%で20年、案Bは固定年1.5%で30年とします。
返済は、元金と利息の合計が一定になる「元利均等」。毎月返済でボーナス返済はなく、金利も完済まで変わらない仮定です。
借換諸費用150万円は、現在のローンを完済する費用も含め、A・Bとも自己資金で一括払いとします。借り換えが可能という仮定です。
月々の返済は、今のままなら252,942円、Aは241,273円、Bは172,560円です。Bなら約8万円軽くなります。では、完済までの費用はどうでしょうか。
| 選択 | 今後の利息 | 借換諸費用 | 合計(元金を除く) |
| 今のまま・20年 | 1,070.6万円 | 0万円 | 1,070.6万円 |
| A・20年 | 790.5万円 | 150万円 | 940.5万円 |
| B・30年 | 1,212.2万円 | 150万円 | 1,362.2万円 |
どの案でも返す元金は5,000万円なので、表から除きました。月額は1円、表は0.1万円単位に計算後四捨五入。金融機関ごとの端数処理、税金への影響、支払時期によるお金の価値の違いは含めません。

図1 同じ5,000万円でも、返済期間によって月額と総費用の動きが変わります。本文の仮定から計算。
月8万円の余裕には、理由があります
Aは、諸費用を払っても今のままより約130.1万円安くなります。一方、Bは約291.6万円高くなります。同じ年1.5%でも、結果はずいぶん違いますね。
Bでは、借金を返す期間を10年延ばしています。金利が下がっても、元金を返すペースがゆっくりになり、利息を払う期間も長くなります。この条件では、その影響が金利低下の効果を上回るのです。
月々の余裕を確保することにも意味はあります。修繕や空室に備えたいなら、その余裕と増える費用の両方を見て判断しましょう。「月額が一番低い案」が、自分の計画に一番合うとは限りません。
借り換え時には150万円の現金が先に出ていくので、その後に必要な修繕資金まで使い切らないかも確認しましょう。
5年後に売る予定なら、比較の終点も5年後にそろえます。それまでの元金返済額、利息・費用、売却時の残債も確認してください。返済額の差をそのまま「得した金額」にすると、売るときに残る借金を見落としてしまいます。
見積書で聞きたいのは、金利の次の話です
金融機関には、「今と同じ残存期間の案と、期間を延ばす案を、費用込みで比べたい」と伝えてみてください。
確認するのは、事務手数料、登記費用、印紙税、現在の借入れを完済する手数料・違約金など。借換元と借換先の両方から、費用の明細をもらいましょう。将来売却する際の繰上返済条件も確認します。
期間延長や固定金利での借り換えができるかは、投資用ローンの商品条件や審査によります。固定金利の期間中は繰上返済に制限や違約金がある商品もあります。
次の見積もりでは、月額の隣に「完済までの利息と費用」「売却予定時の残債」も書き込んでみてください。毎月の安心と、最後に残したいお金。その両方に合う借り換えを選びましょう。
参考資料
[1] 住宅金融支援機構「元利均等返済と元金均等返済とは?」(返済方式の定義を参照)
[2] りそな銀行「アパート・マンションローン」商品概要・手数料
[3] 横浜銀行「商品概要説明書(アパートローン)」お借入期間・手数料































