「家賃は下げたくないんですよね」。
その気持ち、よく分かります。
毎月2,000円でも、積み重なれば大きいですから。
ところで、そのお部屋は今、空いていませんか?
空室は、請求書を送ってきません。でも、家賃6万円の部屋が1か月空けば、受け取れたかもしれない6万円は入ってこない。値下げは目に見える一方、待つことで逃す家賃は見落としやすいのです。
今日は「値下げをするべきか」を、気合いではなく電卓に相談してみましょう。
家賃の高さより、同じ期間でいくら入るか
次の3案を、今日から24か月で比べてみます。
| 募集の案 | 今日から24か月の計算 | 家賃収入の合計 |
| A:6万円を守り、1か月後に入居 | 6万円×23か月 | 138万円 |
| B:5万8,000円で、すぐに入居 | 5万8,000円×24か月 | 139万2,000円 |
| C:6万円で即入居、最初の1か月は無料 | 6万円×23か月 | 138万円 |
入居後は退去も滞納もなく、家賃も変わらないものとします。Cの「最初の1か月無料」が、いわゆるフリーレントです。
あれ? 月額が一番安いBのほうが、合計では1万2,000円多くなりました。
もちろん、これは家賃収入だけの比較です。利益や手取りを出すには、管理料、募集にかかる費用、修繕費、税金なども考える必要があります。まずは条件をそろえ、家賃の入り方を見えるようにする。それがこの表の役割です。
ただし、長く住んでもらうと結果が変わります
「それなら、値下げが正解ですね?」
もう一呼吸、お付き合いください。今回のAとBは、今日から30か月で家賃収入が同じ174万円になります。36か月なら、Aが210万円、Bが208万8,000円。今度はAが1万2,000円上回ります。
1か月目の終了時点ではBが5万8,000円先行します。その後はAが毎月2,000円ずつ追いつき、今日から30か月で同額になります。比べる期間によって、答えは変わるんですね。
ここで大切なのは、時計のスタートをそろえること。Aは入居してから24か月、Bも入居してから24か月、と比べると、Aが空室だった1か月が計算から消えてしまいます。
フリーレントなら、いつでも得?
Cは月額6万円を維持しながら、入居の最初だけ負担を軽くする案です。ただし、無料期間を設ければ必ず早く決まる、という保証はありません。
無料にするのは家賃だけか、共益費も含むのか。いつからいつまでなのか。募集条件と契約書の記載を一致させ、管理会社と確認しましょう。賃料や共益費、契約期間を明確にするうえでは、国土交通省の賃貸住宅標準契約書も参考になります。
条件を変える前に、問い合わせや内見の状況も見てください。見てもらえていないのか、見てもらっても選ばれないのか。写真、募集情報、設備、価格のどこに理由があるかで、使うお金は変わります。
管理会社への相談は、このひと言から
「家賃を下げますか?」だけでなく、こんなふうに聞いてみてください。
「今の家賃で待つ案、値下げする案、フリーレントを付ける案を、今日から24か月の家賃収入と追加費用で比べたいです。入居時期の見込みには、どんな根拠がありますか?」
できれば、早く決まる場合と、もう1か月遅れる場合も並べてみましょう。数字が一つだけだと、その予測が外れたときの痛さが見えません。
家賃を守ることも大切です。でも、大家さんが守りたいのは、最後に手元に残るお金のはず。次の空室募集では、月額だけでなく「待っている時間」にも値札を付けて考えてみてください。































